誤解させてはいかん
会社勤めしていた頃の事。
ランチの時、痴漢の話になりました。
「分かる、あれは不愉快だよね」
「絶対許せない」
「幸せな人がそんな事する訳ないんだから、要するに不幸な人なんでしょ」
「モテなくて嫌味な奴よ」
「ジロっと睨むとドキッとした顔するよね」
「そう、そのまま固まってんの、大声出されたらどうしようって顔して」
「だったら最初からそんな事しなきゃいいのに」
「痴漢して何が楽しいのかね」
などと、みんな口々に言います。
私は言いました。
「そういう時は、近くいる、まともそうな人に助けてって頼むのよ」
みんな感心したように頷きます。
誤解をさせてはいかん、と思い付け足しました。
「痴漢に頼んじゃ駄目よ」
みんな崩れるように笑っていました。