パール
お店に入ると、入ってすぐの所に、自動ドアが開いてすぐの所にお米が積んでありました。お米。五キロ。売り出し中なのだろうなと思いました。この店はこのお米が今、売り出し中なのだろうなと思いました。パールライスのお米と書いてありました。値札というか、大きめのポップって言うのかな。そういうのが台車みたいなのにくっついていて、その台車にパールライスのお米という文字、商品名の書いた。お米。五キロ。の袋が積まれてありました。お米だ。パールライスだ。パールライスは有名だもんなあ。パールライスは有名だ。聞いたことある。食べた事。はあったかなあ。もしかしたらあるかもしれない。だってパールライスだし。パールライスは有名だし。パールライスは知ってるし。見たことあるし。聞いたことあるし。
しかしなあ……。
私はその店で、店頭で。入口入ってすぐの所で、自動ドアが開いたすぐの所で。ある事を思いました。不思議な事を思いました。考えました。夢想しました。場合によっては無作法。無粋とも思われるかもしれません。そう言う事を思いました。考えました。思いあぐねました。
しかしお前。
お前ってさあ。
パールライスのお米って。
パールライスがもうお米なのに。
ライスなのに。
パールライスのお米って。
パールライスでもうお米じゃん。
パールライスのお米って。
何だっけ。
こういうのよくある気がする。ダブルバインド的な? 違うかも知れない。でもなんかあるでしょう。意味が二重になってるみたいな事って。
なんか、あるでしょう。
ほら、
階段を下に下降するみたいなさ。
よく俎上に上がるやつ。
なんか、いや、
今適当な何かがすぐに思い浮かばないんだけど。
スマホで調べたり、ネットで調べたりしたら、すぐに出てくると思うし。そういうのってよくよく目につく人がいるでしょう。指摘する人がいるからね。
いやまあ、私はどうでもいいんだけどさ。
うん。
どうでもいいなんて言ったら有識者とか、識者とかになんか嫌な風に思われたりするのかもしれないけども。
でも、まあ、本当に。
私は言ったら、言ってみたらどうでもよくてなあ。
ベッドをベットって書いたりするし。
バットをバッドって言ったりするし。
でも、まあ、どうでもよくて。
他人から言われたら、あ、そうなんですか。はーい。っていう感じなんだけど。ホントに、まあそれ位の感じ。だからまあ、私はいいんだけど。
パールライスのお米がパールライスのお米でも。
私は別にいいんだけども。
でも、
どうなんだろうなあ。
これって。
もしかしたらネットとかでは、どっかの界隈とかでは話題になってるのかな。
「パールライスのお米ってあれ、真珠お米のお米じゃん。お米が二重じゃん」
とかって。
話題になってたりするのかなあ。
どうなんだろうなあ。
5ちゃんねるとかで。
Twitter(現X)とかで。
話題になってたりするのかなあ。
どうなんだろうなあ。
それとも公式がもう既に、
「二重ですけども、あれはそういう風な意図で考えられたものなので」
とかって、先制攻撃的な、リメンバーパールハーバー的な感じでやってるのかなあ。
どうなんだろうなあ。
パールライスのお米。
これ。
パールライスのお米。
君。
パールライスのお米。
五キロ。
パールライスのお米。
ねえ。
パールライスのお米五キロの隣には、パールライスのお米十キロ袋が積んでありました。五キロも十キロも売り出し中なんだなあ。そうかあ。今、凄く勢いがあるんだねえ。いいねえ。景気いいねえ。
その隣にもまた五キロ袋のお米が積んでありました。で、それにもパールライスのお米って書いてありました。
え。
なんで。
パールライスのお米はもうこっちにあるじゃん。
でも、よくよく見てみるとそれはパールライスのお米ではありませんでした。それにはパーリナイトのお米と書いてありました。
パールライスのお米の五キロの隣にパールライスのお米の十キロが積んであって、その隣に更にパーリナイトのお米の五キロ袋が積んでありました。それもパールライスのお米と同様に今現在、絶賛売り出し中の様でした。
「パーリナイトのお米!」
自分の声で目を覚ましました。夢だったようです。なんだ。夢か。なんだ。なーんだ。転んだのとか、階段を転げ落ちた夢を見てがばっと目を覚ました時みたいに心臓がバクバクしていました。
がっかりして、また寝ようと思って目を閉じました。しかし、すぐに寝付くことが出来なくて私はパーリナイトのお米の事を考えました。
パーリナイトのお米。気になるなあ。
あれ、どういう味したんだろうなあ。
気になるなあ。
パーリナイトのお米。
パーリナイのお米ってことでしょう。パーティーナイトのお米ってことでしょう。
パーリの時にお米とか食べるのかなあ。パーリナイトの時にお米食べることあるのかなあ。
どういう感じなんだろうなあ。
私は再び寝付くまでパーリナイトのお米の事を考え続けました。
しかし考えれば考えるほど頭の中がパーリになっていってしまって。どんちゃんどんちゃんしていってしまって。なかなか寝付くことが出来ませんでした。




