【5】
そうしてしばらくすると、もうティアは感情豊かなよく笑うティア・ドロップとなっていました。
雨が降るのを楽しみにし、仕事を毎日楽しくこなすようになり微笑みを湛えたティアがそこに居ました。
たまにはつらいと思う時の雨も降りました。
でも、ティアはそんな時「明日はきっと良い涙の雨が降るわ」と思っていました。
仕事が楽しいずっとこうしていたい。
そう思うようになったティア。
そんなティアの所に一人の老婆が現れたのはティアの感情が豊かになって間もなくのことでした。
「ティアよ……」
ティアは緑の涙の滴の宝石を壺から川へと流し『涙の川』を心穏やかに眺めていたのですが、声をかけられ振り向きました。
「どなた、ですか?」
ティアは尋ねました。
老婆はその質問には答えず静かに話しだしました。
「ティアよ。もうそなたはただのティア・ドロップではない」
「はい」
ティアは老婆の言葉に、素直にうなずきました。
老婆はさらに言いました。
「旅立ちの時じゃ」
「旅立ち……?」
ティアは『涙の川』と老婆を見比べて悟りました。
壺がティアの手から滑り落ちてパーン! と割れた時。
ティアは、いいえ、あなたは真の名前を取り戻しました。
ふらふらとあなたは『涙の川』に沿って歩き出します。
決して振り返らず真っ直ぐ前へと向かって歩いていきました。
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