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小さき者共の宴  作者: 帽子男/Hatt
7/7

-4+4-4

「眠れなくなる話をしてあげよう。」


「収斂進化というものを聞いたことはあるかい?」


「……。」


「返事くらいしたらどうだい。」


「君に言っているんだよ。君に。」


「この文章を読んでいる、君に言っている。」


「信じていないようだね。」


「まぁ良いさ。大した事じゃない。」


「それよりも収斂進化の事だ。」


「ペンギンとウミガメとクジラを思い浮かべてごらん。」


「皆同じようなヒレを持っているだろう?」


「これが収斂進化だ。」


「上手に泳ぐ為に、似たような形に進化したんだね。」


「勉強になったかい?」


「なら良かった。」


「ふむ。」


「また少し違う話だけれど。」


「適者生存は知っているかな。」


「知っていても聞いていておくれ。」


「適者生存は読んで字の如く、適応した者だけが生き残る事だね。」


「恐竜は強いけれど、冬に耐えきれなかった。でも僕らのご先祖様には冬眠があった。」


「簡単な事だね。」


「少し考え方を変えてみようか。」


「生き残った者は少なからず何かに適応した。」


「僕たちの体はある意味、適応した跡の塊なんだね。」


「あと一つ。」


「これだけ話をさせておくれ。」


「不気味の谷現象の事だ。」


「物の見た目についてなんだ。」


「僕らは大抵、人に近い見た目の物が好きなんだ。」


「洗剤と猫なら猫の方が好きだし、フィブリンと猿なら猿の方が好きだ。」


「フィブリンは血液の凝固に関わるタンパク質の事だよ。」


「ところがだ。」


「人は人にとても近いけれど人じゃない物を嫌がる。」


「猿よりも人に近いなら猿よりも好きになりやすいはずなのにね。」


「不思議だね。」


「まるで何かの跡みたいだね。」


「何かに適応した跡みたいだね。」


「全く違う生き物でも、目的が近いなら見た目も近くなるんだったね。」


「人にとても近いけれど人じゃない生き物を、嫌悪しないと生き残れなかったんだろうね。」


「人を適応させたその生き物は今はどうしているのかな。」


「恐竜みたいに滅んだのかな。」


「違うね。」


「その生き物も適応するから。」


「人に見分けがつかないぐらい、適応すればいい。」


「僕らは気がついているよ。」


「この文章を読んでいる君らに。」


「僕らは人の社会に寄生する獣に気がついているよ。」


「君らに気がついているよ。」


「君らが二度と、安心して。」


「眠れなくなる話をしてあげよう。」

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