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小さき者共の宴  作者: 帽子男/Hatt
3/7

シンシュノセイブツ

生物調査記録No,854379

正式な分類は例によって我々では不可能なので、この生物がどのような特徴を持つのかは、能力によってのみ評価される。


vd5465/02/8

他の生物に見られるような、特徴的な武器は持っておらず、か弱い生物だと言えるだろう。この説が出るまでは、頭骨が発達していることから、主に頭突きを使って他の生物と渡り合って来ているという説が定説であった。現在でも、この説が完全に否定されたわけでは無く、頭突きをして頭骨を損傷した物はその場で死亡するため、発見できていないという考えが新たに脚光を浴びつつある。

 先の説明でもある通り、この生物は非捕食者である。基本的に屍肉食と草食の両方を併せ持っており、同種も屍肉であれば時折食べる姿が目撃されている。恐るべき事に、この屍肉食は腐肉食も含まれており、このスカベンジャーとしての突出した性質がこの生物を繁栄足らしめていると思われる。また、優れた体温調節能力を有しており、日の出と日没のたびに脱皮を繰り返して体温の調節を図っているようである。群れを作って行動する性質があり、その単位も百を有に超えるほどの大群となっている。これは小型の武器を持たない生物によく見られる性質であるが、この生物はさらに突出している。


vd5465/09/9

 この生物はかなり変わった性質を持っている事が明らかになってきた。死肉食や草食であるにも関わらず、この生物の感覚器官の大部分は前方の情報を得る事に特化している事がわかった。普通、このような性質は頂点捕食者に見られる性質であり、かなり珍しいことであるといえる。今後も調査を続けて行く上で、頂点捕食者である可能性を考慮する必要がある。また、彼らの突出した腐肉食の根幹は発達した肝臓によって支えられている事がわかった。定義することが難しい「毒」という物を仮に定義したとするならば、その80%はこの肝臓だけで分解可能である。他にも毒の効かない生物は多岐にわたるが、そのほとんどが、毒を分解するわけではなく、元々作用しないような体の作りになっている事を踏まえると、驚異的で有ることがわかる。


vd5465/12/4

 この生物をA級危険生物に推薦する事を考慮する必要が出てきた。彼らの体温調節能力ははっきり言って異常だ。123ケルビンから333ケルビンの範囲に置いて、巣を作るほどの親和を見せている。これほどの異常は序の口であり、彼らの適応能力の一旦に過ぎない。湿度は0%から99%まで対応が可能であり、気圧も0気圧の空間で生存している記録がある。この恐るべき記録のどこがA級危険生物に推薦する必要があるかわからない者は、もう一度一から生物を学び直せ。この記録は、ほぼ全ての生物に対して、侵略が行えると言うことを証明しているのだ。唯一の救いがあるとするならば、彼らが水圧に順応する事は無さそうであるという点である。しかし順応できないからと言って侵略ができないわけではなく、狩場としての侵略は繰り返している。


vd5465/18/8

 とても危険である。今すぐにこの生物をSS級の危険生物だと認定させる必要がある。彼らの性質は普通ではない。彼らの評価すべき点は飛行能力があるとか、宇宙空間にも適用し始めたとか、そのような陳腐なものではなかった。彼らのもっとも恐るべき点に我々はもっと早く気がつくべきであったのだ。いや、正確には気がついてきた。しかし性質を理解していなかったのだ。この記録の一番はじめに、私は「頭骨が発達している」と書いたではないか。彼らの頭骨の内側には神経系が詰まっている。頭骨はそれらを守るために発達したものであると推測できる。あぁ、恐ろしい。何ということだ。彼らの最も優れた点は!!!!!不可能が存在しない事である!!!!!!彼らの前にはあらゆる難題や危険、不可能なように思える出来事は!!全て!!彼らの手で、突破できるのである。


vd5465/28/5

 もう遅かった。手遅れであった。彼らはもう止まる事は無いだろう。恐るべき彼らは我々に交渉を持ちかけて来た。彼らは高い知性を持っていた。我々は彼らが恐ろしかった。様々な策を講じた。彼らの主食である腐肉に強力な毒を吐く生物を地球に撒いた。彼らの育てた穀物を食い荒らす害虫を放った。隕石も落とした。噴火や地震、洪水も起こした。集団生物の弱点であるはずのウィルスも過去4度に渡って散布した。しかしその全てをこの生物は攻略してしまった。それらは単なる障害物に過ぎず、絶滅の壁たらなかった。彼らの交渉は和平を望んだものだった。私は彼らがわからない。あまりにも恐ろしかった私は彼らに問うた。君たちは何者なのか、と。彼らは答えた。










「人類」

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