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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ある部屋の地獄

作者: あれも

・ある美しき女のメール


助けてください

私を助けてください

何度も言います

あいつがいるんです

私の後ろにいるんです

少し離れた場所にいるんです

振り返れません

でも分かるんです

振り返るわけにはいけません

背筋を震わせる視線を感じるんです

パソコンに向かうといつもそうなんです

あいつが現れるんです

あいつが見てるんです

何が目的なんでしょう

何がしたいのでしょう


いやああああ近づいて来ました

今日に限ってどうして

何故分かるって

足音です

正確には床

床が軋む音

それが聞こえるんです

もう駄目です

すぐ傍まで来ました

生者なら息遣いすら感じられるでしょう

私はこれからどうなるんでしょう

ああ肩に

私の肩に冷たい手が置かれました

予感がします

もう駄目だと

これから私は踏み入れるのでしょう

二度と帰ってこれない世界へ

さようなら


・ある幼き女の言の葉


この部屋に住み着いてからいっぱい時間が経ったの

その間に外から一人また一人と来ては去っていったの

誰も私のことなんて気にしなかったの

私も誰のことなんて気にしなかったの

寂しくはなかったの

嘘じゃないの

そのはずだったの

変わったの

彼女が来たの

可愛い顔だったの

ずっと大切にしてたお人形さんみたいだったの

私の心を揺さぶったの

ずっと眺めてたの

彼女が首を吊るとこも見てたの

彼女もここへ住み着くことになって嬉しかったの

でも悲しかったの

彼女は自分が死んだことを理解してないの

そのせいで仲間を察知する力が弱いみたいなの

彼女には私が良く分からないみたいなの

いないのと同じみたいなの

でも例外もあったの

パソコンだったの

あれが点いたら少しは分かるみたいなの

ディスプレイの光なら私の輪郭を浮かび上がることが出来るみたいなの

彼女が察知出来るぐらい私の存在が確立するみたいなの

科学ってすごいの

今日も彼女が点けたの

生前から熱心だったの

現実よりデジタルな人間が好きみたいなの

お目目がくりくりで髪がカラフルな女の子がいたの

綺麗な衣装を着てたの

踊って歌ってたの

男女を虜にするみたいなの

科学ってすごいの


でも面白くないの

彼女はどうして私には振り向いてくれないの

気づいたのに気づいてない振りをしてるの

苦しいの

胸が痛いの

いけないことなの

分かってるの

ずっと耐えてたの

でも押さえられないの

限界なの

だから今日こそはその唇を

奪ってやるの



・ある霊感女の帰宅


うわっ!あいつら、まだ居やがる!

今朝から、住職に貰った御札貼っといたんだけどなぁ。

早く成仏なり退散なりしてくれよ。

パソコンが勝手に動いてるのなんか、特に気味が悪いわ。

やっぱり、いわく付きのアパートなんて借りるんじゃなかったかな。

でも、金ないしな。

ここぐらい家賃安いとこなんて、他にあるわけないしな。

はぁー、金持ちのイケメンと結婚して、広い家に住みたいわ。

ていうか、まず彼氏が欲しい、彼氏くれ。

……それより、さっきから何やってんだあいつら?


……きゃっ(/▽\)

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