俺の女神様
女神様を捜し続けて、どれくらいの年月が過ぎただろうか?
未だに俺は、女神様を見つけられないでいた……。
俺は、北は北海道から南は沖縄まで、日本全国を転々としながら、女神様を捜し続けていた。
※※※※※※
13:44
蒸し暑い、真夏のある日。
うだるような猛暑の日だった。
俺は大都会の交差点で、街行く人々に、女神様の居場所を尋ねていた。
「すみません、すみません、女神様は、何処にいらっしゃるのでしょうか?」
だが、みんな俺を無視して、足早に歩き去ってしまう。
あぁ、女神様……、何処に居るんですか?
そろそろ、現れてくれてもいいじゃないですか?
俺は、もう、ほとほと疲れました……。
疲れ果てました。
だんだん体も言う事を聞かなくなってきました……。
どうしましょう?
「……女神様。……あぁ、女神様ぁ……」
交差点の信号が赤に変わる。
物凄い人数の人の波と熱気で、意識が朦朧とする。
辺りには陽炎が見えた。
「熱い……女神様、熱いです……あぁ……」
──その時だった!
俺は、向かい側で信号を待ってる人の波の間に、女神様らしき人物が立っているのを発見した!
俺は、自分の目を疑った!
しかし、その女性からは、後光が発っせられているではないか!!
……あれは、女神様だッ!!
間違いないッ!!
……やっと……やっと、会えましたねッ!!
「女神様ッ!!」
俺は、女神様に向かって走り出した。
その刹那、交差点を走り抜ける一台のトラックが、俺の体を突き飛ばした。
時がスローモーションのように流れる。
空中に浮かぶ俺の体。
あぁ、女神様のように翼も生えていないというのに、空を飛んでるようだ……。
気持ちいい……。
そして俺は、地面に叩きつけられた。
しかし、痛みは無かった。
不思議な安堵感で包まれる。
さっきまで俺を無視してきたイヂワルな人々が、俺のほうを見ている。
何かザワついているが、よく聞こえない。
みんなが俺を見ている。
しかし、俺は、女神様に出会えた感激で心を震わせていた。
そして、ゆっくりと、ゆっくりと、瞳を閉じた。
「あぁ、女神様……やっと会えましたねぇ!! 女神様ッ!! 女神様ッ!!」
ゆっくりと瞳を開けると、背後に後光を発する女神様が、俺の顔を覗き込んでいた。
あぁ、なんて麗しいのだろう……。
お美しいです、女神様。
実に穏やかな気持ちである。
女神様のオーラは、なんてアタタカイのだろう……。
そして、麗しの女神様は、俺にこう言った。
「行きましょう、純」
「……はい、女神様」
俺は女神様に手を取られ、上空へと舞い上がる。
雲を抜け、空の上へ。
もっと宙の上まで。
光の彼方へ……。
あぁ、ようやく祈りがとどきました。
女神様、これで、やっと“普通”な世界に戻れるんですね……?
この瞬間を、ずっとお待ちしておりました。
ありがとうございます。
本当に、ありがとうございます、女神様……。
あなた様と出逢えて、わたくしは幸せものでございました…………。
【 完 】