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女神  作者: 南あきお
8/9

俺の女神様

女神様を捜し続けて、どれくらいの年月が過ぎただろうか?


未だに俺は、女神様を見つけられないでいた……。


俺は、北は北海道から南は沖縄まで、日本全国を転々としながら、女神様を捜し続けていた。


※※※※※※


13:44


蒸し暑い、真夏のある日。

うだるような猛暑の日だった。

俺は大都会の交差点で、街行く人々に、女神様の居場所を尋ねていた。



「すみません、すみません、女神様は、何処にいらっしゃるのでしょうか?」



だが、みんな俺を無視して、足早に歩き去ってしまう。


あぁ、女神様……、何処に居るんですか?

そろそろ、現れてくれてもいいじゃないですか?

俺は、もう、ほとほと疲れました……。

疲れ果てました。

だんだん体も言う事を聞かなくなってきました……。

どうしましょう?



「……女神様。……あぁ、女神様ぁ……」



交差点の信号が赤に変わる。

物凄い人数の人の波と熱気で、意識が朦朧とする。

辺りには陽炎が見えた。



「熱い……女神様、熱いです……あぁ……」



──その時だった!

俺は、向かい側で信号を待ってる人の波の間に、女神様らしき人物が立っているのを発見した!

俺は、自分の目を疑った!

しかし、その女性からは、後光が発っせられているではないか!!


……あれは、女神様だッ!!

間違いないッ!!

……やっと……やっと、会えましたねッ!!



「女神様ッ!!」



俺は、女神様に向かって走り出した。

その刹那、交差点を走り抜ける一台のトラックが、俺の体を突き飛ばした。


時がスローモーションのように流れる。

空中に浮かぶ俺の体。

あぁ、女神様のように翼も生えていないというのに、空を飛んでるようだ……。

気持ちいい……。

そして俺は、地面に叩きつけられた。

しかし、痛みは無かった。

不思議な安堵感で包まれる。


さっきまで俺を無視してきたイヂワルな人々が、俺のほうを見ている。

何かザワついているが、よく聞こえない。

みんなが俺を見ている。

しかし、俺は、女神様に出会えた感激で心を震わせていた。

そして、ゆっくりと、ゆっくりと、瞳を閉じた。



「あぁ、女神様……やっと会えましたねぇ!! 女神様ッ!! 女神様ッ!!」



ゆっくりと瞳を開けると、背後に後光を発する女神様が、俺の顔を覗き込んでいた。

あぁ、なんて麗しいのだろう……。

お美しいです、女神様。

実に穏やかな気持ちである。

女神様のオーラは、なんてアタタカイのだろう……。

そして、麗しの女神様は、俺にこう言った。



「行きましょう、純」

「……はい、女神様」



俺は女神様に手を取られ、上空へと舞い上がる。

雲を抜け、空の上へ。

もっと宙の上まで。

光の彼方へ……。


あぁ、ようやく祈りがとどきました。

女神様、これで、やっと“普通”な世界に戻れるんですね……?

この瞬間を、ずっとお待ちしておりました。

ありがとうございます。

本当に、ありがとうございます、女神様……。

あなた様と出逢えて、わたくしは幸せものでございました…………。



【 完 】

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