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mistel  作者: ぽむぽむ
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終章

終章   次なる一歩


「ニルス・レンクヴィストは連続殺人と王国襲撃の主犯として最厳重管理の地下監獄施設に送られました。アリス・レンクヴィストは改めて今回の件とは無関係であり妖狐の存在自体が危険であるという話も真っ赤な嘘だと証明されたため自由の身となります。今回王国の転覆を目論んだ輩の討伐に尽力いただきました『ミスティル』の方々には特別報酬をご用意させていただきます。尚この度国王様が片腕を失われたことを機に王座を返上されます。つきましては我が夫エルランド・メランデルが次期国王に着任することになりました。したがっては私エイラ・メランデルが女王、自衛団団長はアラン・オークランスが務めさせていただきます。」

 エイラは口を閉じると読み上げた書状を丁寧に折りたたんだ。

「と、事後報告書の内容確認に来てみれば・・・、一体何なのですか!この騒ぎは!」

 メルマリア王国の有名茶屋『戸陰』その店内は騒然としていた。妖狐の姿のアリスが街の子供たちと店内を壁だろうが天井だろうが所狭しと駆け回り、ある机ではラウラ主催女だらけの大食い大会、ある机ではクルトによる腕相撲選手権、ある机ではヘレーナ様による従僕の慰労会が行われアルヴァは隅の席で酒樽を傾けながら大笑いして観覧していた。

「あ、エイラさん。お疲れ様です。今日はお仕事ですか?」

 『戸陰』の入り口でエイラが怒りを顔に出しながら突っ立っていると、ウエイトレスの恰好をした可愛らしい女の子、に見えるアマデウスが声をかけてきた。

「ああ、アーデさん。お身体はもう大丈夫なのですか?というか何ですかその恰好は?」

「ええ、体はおかげさまでもう平気です。この格好は・・・。実は僕今日からこちらでお手伝いすることになりまして。僕の制服はこれ、ということだそうです。なんだか足がすーすーして落ち着かないのですが・・・。」

 アマデウスは笑っているがその制服はどこからどう見ても女性用だった。だが、エイラはあえて口にすることをしなかった。

「なるほど、自分たちの家族の初めての接客業が心配で見に来た、ということですか。」

「そうなのですよ。心配していただけるのはとても嬉しいのですが・・・ハハハ。」

 アマデウスはポリポリと人差し指で掻きながら困り顔で笑っていた。


 ニルスとの闘いの後妖刀のことや妖狐、アリスのことについて国王ドグラスから王国全土に向けて国内放送が行われた。このことによりアリスは国民からも受け入れられ改めてこの『メルマリア王国』が『ミスティル』がアマデウスとアリスにとっての居場所となった。アマデウスはニルスが投獄された後一度、面会に行った。妖刀を失ったニルスは大人しくなり『すまない』を連呼するばかりだった。

 アリスはあの後一週間眠っていたが目が覚めるとアマデウスに抱き付きしばらく泣きじゃくっていた。妖狐化していた間の事はうっすらと記憶にあるらしく兄の腹に自分が開けた穴について謝っていた。その後アリスがミスティルやアマデウスに恨みを持っていないことも確認が取れミスティルの絆はより固いものになっていた。


「ですが、妖狐の力にの神の力、雪女のハーフエルフにウェアウルフ狼男、他国の者の興味を引くには十分すぎる力が集まっているのも事実です。やはり住居だけでも国内に移しませんか?」

 今回、自衛団が大きな失態を犯したことで生まれた後ろめたい気持ちとエルランドさんたちが友人としてアマデウスたちを心配する気持ちがあって、色々と『ミスティル』のメンバーの安全を守る提案をしてくれた。だがアルヴァはそれを

「そんなものいらないわよ。私たちにそんな余計な気を使うぐらいなら国民のために使いなさい。」

 と、一蹴した。そしてアマデウスもこの考えには同感しているわけで。

「エイラさん。大丈夫ですよ。僕たちは『ミスティル』逆境を耐え忍び困難に打ち勝つただそれだけですから。僕たち家族はいつも一緒です。」

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