龍布の服作り・・・下着編・・・んごきゅっす。
「それでしん様はどうされたのですか? まさか1人で取りに行かれたのですか?」
「・・・は? 前にみんなでダンジョンに行ってサラマンダーの希少魔獣を倒して時に3本出たじゃん。もしかして・・・みんな忘れてないか?」
アイリがポンと手を叩きながら大声を出した。
「あー! そういえばそうだったわね。その後に出てきた帽子やら召喚本やらもふもふ天国やらで、しっかり忘れててしまってたわ」
「ですね、アイリさんもですか? 私も完全に忘れてました」
「アイリとクラリーナもなの? 私もよ。完璧に忘れてたわ。モフモフで記憶が消えたのかも」
「こらこらミー、もふもふをバカにするんじゃないぞ。もふもふで記憶は消えないって。悩んでいるときの『不安な気持ち』は消える効果があるけどな」
「そんな効果があるんですか? 知りませんでした」
「そりゃそうだろう、俺が勝手に言ってるだけだし」
「何でそんな事をしん君はいつも自信満々に言えるのよ。それで森林黄熱病の話は?」
「おお、話が逸れてしまってたな。サラマンダーの雫を投与してグレゴリオさんの奥さんの『ミーシア・シーズ・フォレストグリーン』さんは助かったんだけど・・・森林黄熱病の高熱で妊娠中のミーシアさんは母子ともに酷くダメージを受けていたんで、2人にエクストラヒールを使用したんだ。エクストラヒールの影響で元々難聴だったミーシアさんは完治して、子供も全盲になりかかっていたけどこれもエクストラヒールで完治した」
「凄いのね、エクストラヒールって」
「そうだなミー。でもクラリーナももう使える魔法なんだけどな。ただ魔力総量の関係でしばらく練習はしないほうが良いかもしれん。練習するなら教会じゃないとたぶん倒れる」
「わかりました。しん様に従います」
「まぁ、それは追々な。それで俺がエクストラヒールを使ったその時に、教会の枢機卿による長年の詐欺まで発覚して、いま教会は大騒ぎになってるよ」
「しん君、枢機卿の詐欺ってなんなの?」
「この国で唯一エクストラヒールを使える枢機卿ってみんなは知ってるか?」
「それぐらいなら私でも知ってるよ。名前は知らないけど目玉が飛び出るほどの高額を要求されることで有名ね」
「それは俺も聞いた。そいつが使ってるのがエクストラヒールではなくて『メガヒール』だったことが発覚したんだよ」
「どういうことですか?」
「俺がエクストラヒールでミーシアの難聴を治したらグレゴリオさんとミーシアさんに言われたんだ『妻がエクストラヒールでも回復できなかった難聴が治った』『小さな時に2回エクストラヒールを受けて治りませんでした。枢機卿様からエクストラヒールで治る時と治らない時があるって言われました』って、ありえないんだよ。完全難聴も完全盲目も1回で治るのがエクストラヒールって魔法なのに。ミーシアさんに聞いて実験したら枢機卿が使ってるのは間違いなく『メガヒール』だった。両手で同時に使って回復量を多くしてるだけで、メガヒールではエクストラヒールには絶対に及ばない」
「そんな、枢機卿様が・・・」
食事が終わったので居間のソファーに皆で移動してそのまま会話を続ける。
俺は日本酒をやめてウィスキーに切り替えた。50年物のウィスキーをロックで飲んでる。
つまみはタツクリの素揚げに塩を振ったものだ。このシンプルさがロックに意外と合ってて美味しい。
みんなは食後のハーブティーを飲んでる。
嫁3人は2日続けて酒を飲みまくったみたいだったから今日は飲みたくないんだと。
「この魔法後進国のシーパラ連合国でしか出来ない詐欺だろうなクラリーナ。両手でメガヒールを使えるだけでも凄い才能なのに・・・金か地位か名誉か・・・それらに目がくらんだのか、ただの詐欺師なのか。それはこの国の最高評議会の諮問委員会に関わる問題になるってグレゴリオさんもギルドマスターのラザニードさんも言ってたから、これからシーパラ連合国を揺るがす問題になるだろうね。枢機卿が教会の名を借りて詐欺をして凄い大金をせしめていたんだからな」
「もしかしてしんちゃんって既に巻き込まれてる?」
「肩までドップリだな。俺が最高評議会に呼ばれることも今後は出てくるだろうし、枢機卿の稼いだ大金のおこぼれを貰っていた連中から命を狙われる危険性もあるかな。それにこの国で唯一エクストラヒールを使える人間になってしまったからな、クソバカ連中がワンサカ集まってくるだろうな」
「しん君は・・・大丈夫だね。しん君が心配してるのは私達だったりする?」
「ああ、だから今日からは3人とも外に出る時は俺・るびの・俺の作ったゴーレムが絶対についていく。悪いが3人の戦闘能力云々の前に、敵を感知する能力が致命的に低過ぎるからな。これは魔法や俺が作ったアイテムでは補いきれない。それで今日からはみんなの私服・靴・下着などの布製品は全部没収させてもらう。このドラゴン繊維で全部作り直す」
居間のテーブルにセバスチャンが大量に作った『龍布』『龍糸』『ドラゴン繊維』をアイテムボックスから取り出して見せた。
「『ドラゴン繊維』って・・・あの伝説のですか?」
「ああアイリ、そうだよ。セバスチャンがワイバーンの肉から抽出するのに成功した」
「ワイバーンの肉の中の繊維物が『ドラゴン繊維』ってことなの?」
「ミー、これが抽出できなくなって伝説になり廃れた訳はスキルの問題だろう。セバスチャン、これは『料理スキル』でないと抽出できないんだよな?」
「はい。ご主人様に報告したように私も料理に使おうとして試行錯誤してる時に『偶然』に発見されたものです。まさか繊維を抽出させるのに『料理スキル』が必要だったとは、私も考えてませんでした。何度か他の方法で抽出しようと実験しましたが料理スキルでないと繊維物だけ取り出すことは不可能でした」
「と言うことなんだよ。これがこの技術が廃れた理由だな。門外不出にしたらその後の発展は消える。1人がほんのちょっと儲かるだけだ。とはいえ今からこの技術を流すには危険過ぎるブツになってしまったがな」
「これもやっぱり危険なのですね」
「クラリーナ、この技術自体はもうほぼ俺たち以外には不可能になってしまったんだ。料理スキル自体が、今現在ほぼ消滅しかかってるから、もうどうしようもないよ。俺がゴーレムを作りまくるしか解決策が無い。そうするとまた俺にバカタレが集まってくることになるからな。今更俺がいうのもなんだが・・・面倒はゴメンだな。危険過ぎておやっさんやおかみさんに渡す事すら出来ないし、おやっさんたちも俺たち以外には作れない危険な布だからな」
「そんな布で私達出歩いてても大丈夫なの?」
「この龍布を見てもわかるけど見た目は普通の布だな。そもそも・・・このドラゴン繊維って抽出するのに料理スキルが必要で、繊維を糸にするのとそれを織って布にするときに適切な魔力を使うのが面倒なだけで、布にしてしまえば後は簡単に加工できるんだよ。色も形も自由自在な便利な布だ。更に魔法や結界などの保護魔法もかけやすいのに魔法防御力はミスリル製を凌駕する。ドラゴン種の防御力の高さがこの繊維に詰まってるんだな・・・それでこれがもう既にトン単位で俺のアイテムボックスに入ってる。3人の持ってる全ての布製品をこれに替えさせれ貰う。まぁ防御力アップだな。普段着も下着も全部だ」
「しんちゃんが全部作るとなるとまた寝る時間がなくなっちゃうよ?」
「既製品の複製はマリアとセバスチャンに作業してもらうから大丈夫だよ。俺は自分の好みの服を作らさせてもらう。まずは基本の下着とかからいこう」
「い、今からはちょっと・・・先にお風呂に入って寝室でしませんか?」
「それもそうだな。じゃあ、風呂入ってる間にみんなが持ってる服と靴を全部出しておいて、セバスチャンとマリアに夜のうちに作っててもらうから」
俺は今まで飲んでいた酒をアイテムボックスに片付けている間に、嫁達はセバスチャンとマリアに自分の持っている全ての服と靴を渡す。
靴はセバスチャンとマリアに任せて俺は風呂場に行く。
今夜のお風呂は早めに済ませて、風呂の後の更衣室でまずは下着を作成する。
スケスケ全身ストッキングを先に作った・・・俺の趣味100%。これが凄いのなんのって。
首の部分がビヨーンって伸ばしてから着用するんだけど、着る時に伸ばしても元に戻ってる。ビロビロに襟元が伸びたりしないのが凄い。さすが龍布だな。
「しん様なんでこの薄い下着は股間が開いてるのでしょうか? 物凄く恥ずかしいんですけど」
「クラリーナはトイレに行かないのか? いちいちこれをトイレに行って脱いでる方が面倒だと思うんだが。それにこれを脱ぐためには服を全部脱がないといけなくなっちゃうよ。トイレの度に素っ裸になりたいのかな?」
「あ! ・・・そうでした」
「それでこれはこういうパンティを上から穿くんだ」
クラリーナに穿かせた下着はいわゆる『ヒモパン』だな。両サイドだけでなくて股間もお尻側はヒモになってる。
「これってもはや下着の役目を果たしていないと思うのですが」
「この下着の目的は好きな男を誘惑するために穿く事であって、下着の機能は度外視してるんだ」
「でもこの『ぜんしんすとっきんぐ』って私は好きだな。胸が凄く楽になるのに動いても擦れない」
「ミーも? 私もここまで楽な下着は始めてかも。あ! 鎧の下に着るアンダーシャツみたいね」
「ああ、アイリとミーの2人の巨大なマウンテンを支えるために、それこそ上半身部分が全体で胸の動きを無理なく柔らかく衝撃を全部分散させて吸収するようにしてあるから、胸が上下左右に動く時の衝撃は全部その全身ストッキングが吸収してくれるんだ。だから体への負担はほぼなくなってるよ。アンダーシャツは全部で衝撃を拡散してるだけだけど龍布ならそれが糸でも可能になる」
「私達の下着が全部こんなに楽になったら、しん君の作ってくれる下着以外は着れなくなりそうね」
「そうね。1度楽を知っちゃうともう戻れないよね」
「俺と同じ物をセバスチャンもマリアも作れるから、俺に言うのが恥ずかしかったら2人に頼んだらいいよ」
「とりあえずはしんちゃんが私たちに着て欲しいと思うものを作って欲しいな」
「わ、私もしん様の好みの下着を頑張って着ます。・・・恥ずかしいけど、でも頑張ります」
「たかが下着にそんなに気合を入れなくても・・・まぁ、少々恥ずかしいのは我慢して欲しいけど、そういう下着ばかりじゃないから」
それからは色んなタイプを作っては着せていく。今まで持ってた下着を好みの参考にしてリクエストにも答えていく。龍布と神の創り手スキルの組み合わせは便利だな。色も形も厚さもサイズも模様もデザインも全部が思いのままだ。
ガーターストッキングと網ストッキングももちろん作った。
セクシーショーツもだな。男のロマンだから仕方が無い(デマ)。
「なななな、なんでこのパンティには大事な部分が無いのですか?」
「それはなクラリーナ、男のロマンのためだな(ドヤ顔)」
「何でそんなくだらない事をドヤ顔で言えるのよ、もー。ま、私はしんちゃんが興奮してくれるなら喜んで穿くけどね」
「甘いなクラリーナ、俺が求める先にはこんなものまであるんだ」
「もはやそれは下着じゃないです。ただの紐です」
「そう、私はしん君の前だから平気よ。しん君私の分をちょうだい。よいしょっと・・・ほら、どう? しん君」
「ああ、アイリ最高だよ」
「わ、私の分もください。はー、頑張って穿くのです。アイリさんには、負けたくないのです。はー」
「クラリーナ大丈夫? 無理はしなくていいんじゃない?」
「だ、大丈夫ですミーさん。よし! はっ。どうですか、しん様」
「クラリーナ恥ずかしくて前を隠すのはいいけど、お尻をこっちに向けるのはかえって俺を挑発してるんだが・・・その下着って、後ろの紐は透明にしてあるし」
「はわわ、ああ、どうすれば」
早乙女家の夜はこうして更けていく。