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夜通し仕事をさせられて目覚めたら夕方・・・何か一日を損した気分になりませんか? っす。

起きたら太陽は沈みかかっていた。

何か日本で日曜日を寝過ごしたような気分になってくるのはなぜなんだろう。


少し沈んだ気分で居間に降りて行ったら、マリアが迎えてくれた。

嫁達の買い物はセバスチャンとるびのが付いていったみたいだった。

18時ぐらいとまだ時間が少し早いので今日は晩ご飯の前に日本酒でも飲もうかな・・・今日はつまみで梅干が食べたいなって考えて思い出した。

フォレストグリーン商会に昨日顔を出す予定だったな。

「マリアちょっと俺、用事を思い出したよ。一昨日に夜に一連の騒動の中で縁が出来たフォレストグリーン商会に、昨日行くって行っていたことを思い出したんだ。今ならまだ店が開いてる時間だから、ちょっと行って買い物してくるよ」

「了解です。ご主人様のご夕食はいかがされますか?」

「帰ってきてから食べるよ。嫁達が帰ってきたら自由にしててくれ。フォレストグリーン商会は本拠地がドルガーブにあるみたいで、海産物や加工食品が主要品目なんだって。しかもドルガーブ名産の『梅干とシソ』も取り扱っているらしい。だから今日は大量に買ってくるよ」

「では、後でご主人様が購入されてきた品物を見てメニューを考えておきます」

「おう、それと嫁にも説明しておいてくれ。では行ってくるよ」

「了解しました。いってらっしゃいませ」


隣の客間に入ってガウンから着替える。

今日はロンTにチノパン。ファンタジー感が全くない服装だな。

まぁ、散々アマテラスにゴミ掃除をさせられて『反抗期』になったと思ってくれ。

そのまま居間に戻ってマリアに『じゃあいってくるな』とだけ告げて玄関に。


一昨日作ったスニーカーと違うのを作る事にした。色をズボンに合わせて変更。ハイカットのスニーカーにした。履いてみたが・・・これなら大丈夫だな。

異世界では少し目立ちそうだが。派手で目立つのではなくて地味で悪目立ちしそうな感じだな。

このイーデスハリスの世界はファンタジーでキラキラとかピカピカなんかが好きな人が多いからな。

俺には真似できん。

色も全身どピンクなんて鎧を着たおっさんがヨークルを闊歩してるからな。

目に悪そうな都市だ。


隣のガガレージを覗いてみたがキャンピングバスは嫁達が使用してるので何も置いてない。

今度個人乗りの車でも作ろうかな?

何て考えながら冒険者ギルドの裏庭の木陰に転移した。

隠者スキルで自分を隠して裏口から外に出る。泥棒してる気分になってしまうな。


冒険者ギルドも商業ギルドもヨークルの都市の中心地にある。

シーズの家などの商会は中心地に巨大な店を構えている。ガルディア商会のヨークル支店の隣にフォレストグリーン商会のヨークル支店がある。

こちらも巨大としか言いようが無い店構えで、裏の巨大な倉庫に次々とゴーレム馬車が出入りしている。


店の中に入っていくと偶然にグレゴリオさんと、奥さんのミーシアさんがガルディア商会から帰ってきたところだった。

「いらっしゃい。早乙女さん、今ちょうど完治した妻を連れて実家のゾリオンお義父さんへ挨拶に行ってきたところです。ゾリオンさんも喜んでましたよ」

「早乙女さん、いらっしゃいませ。おかげ様で今日の昼には自宅に帰宅許可が司祭様から出まして帰ってくる事が出来ました。ありがとうございます。今日はお買い物ですか?」

「グレゴリオさんとミーシアさん、こんばんわ。昨日来る予定でしたが・・・昨日は警備隊本部から離れることが出来なくて今日のこんな時間になってしまいました」

「早乙女さんのご活躍は聖騎士団のジャクソン団長からも聞きました・・・噂話程度ですが」

「ほら貴方、早乙女さんのお買い物の邪魔になってしまいますわ。ではごゆっくりお選びくださいね」

「ああ、申し訳ないですね。ここにある商品は全て自慢の品ばかりですが、秘蔵の品も数多くございますのでごゆっくりお選びください。売り場責任者をお呼びしますので」

「旦那様お呼びですか?」

「早乙女さん、彼女がここの支店の売り場責任者です」

「初めましてフォレストグリーン商会ヨークル支店売り場責任者『天瀬アマセ涼子リョウコ』です。天瀬とお呼びください。よろしくお願いします」

「初めまして。『早乙女真一』と言います。早乙女と呼んでください。こちらこそよろしく」

「天瀬君、こちらの早乙女君は我々夫婦の救ってくれただけでなく、お隣のガルディア商会にとっても救世主のお方になる。秘蔵の品物もお得様専用の品物も私が許可するから、最高の品物を用意してくれ」

「きゅ、救世主って・・・り、了解しました」

「では早乙女さんごゆっくりどうぞ」


グレゴリオさんとミーシアさんはそのまま奥の方に行ってしまった。

「早乙女さん、本日などのような商品をお求めですか?」

「あ、まずは梅干と梅酢とシソがほしいですね。『紅生姜』があれば欲しいんですけど」

「紅生姜ってなんですか?」

「梅酢で作る生姜の漬物なんですけど・・・もしかして知りませんか? 簡単な保存食で焼き魚などの付けあわせで食べると美味しいですよ」

「へぇ、一度食べてみたいですね」

「メチャクチャ簡単なんでレシピを今教えますよ」

俺の回りにいた店員さんが皆が興味津々で聞いてるのでみんなに教えてあげる。

レシピって言っても梅酢と生姜だけで超絶簡単だ。


①生姜を食べやすい大きさにカットしておく。

②カットした生姜を日陰で一日陰干しする。

③梅酢で5~10日ほど漬ける。


これだけだ。

日陰で一日陰干ししないと紅生姜になる前に腐ってしまうので注意するように言っておく。

天日で干すのもOK。これは出来上がりの味の好みでわかれる。

俺の説明を途中から聞いていた梅干の職人さんが『これなら材料もここで全部揃うから費用はほとんど掛からないし簡単に出来る』と言って店の奥に走っていってしまった。


俺は自分が購入するものを選んでいく。

梅干はしょっぱいのが俺の好みなので、しょっぱいのを大きな壷で一つ。

これは梅酒の梅か? ってぐらいにフルーティーなのも購入する。

梅も売っていたので梅・シソ・塩を大量に購入しておく。塩がたくさん買えたのでありがたかった。

海産物の加工品もたくさんあった。

昆布・ワカメ・鰹節など今まで欲しくて堪らなかった物をキロ単位で購入。

今まで市場で出回る量しか確保できなかったから、ここで安定購入できるようになったのは非常にありがたい。

味噌汁が好きなだけ飲めるようになったな。味噌汁が自分で好きなだけ作る事が出来る。

総額の料金を払って

「今日のところは時間が無いのでとりあえずこれぐらいで帰る事にします。今日はありがとうございました」

「こちらこそ、新しい商品になりそうなレシピをありがとうございます。今までここでは梅酢は廃棄処分にするしかなかったので、今後は有効活用が出来そうです」

「天瀬さん・・・全部捨ててたんですか? それはもったいなさ過ぎますよ。サラダとかのドレッシングに混ぜたりとか、梅酢って結構万能調味料だったりしますよ。料理する時に少し入れるだけで味が劇的に変わったりもしますので、是非皆さんで色々試しても面白いですよ」

「なるほど・・・ありがとうございます。これからはしばらくの間は全従業員で梅酢の料理開発になりそうですけど」

「紅生姜とほぼ同じ漬け方で『ミョウガ』も漬けると美味しくできますよ。ミョウガの場合はつける前に一度熱湯で湯通ししないといけませんけどね」

「ミョウガか・・・それはうまそうだな」

気付いたら従業員だけでなくグレゴリオ夫婦まで俺の話を聞いていた。


「早乙女さん、色々とありがとうございます。今まで誰も見向きもしなかった『梅酢』これが我がフォレストグリーン商会も益々発展できそうな予感で私自身ワクワクしてますよ。私がこの紹介を引き継いで2年。これで親父以上になって見せますよ」

「それじゃあ、俺がばぁちゃんから教わった知識で・・・梅酢の保存は日のあたらない場所で一定温度の場所で保存。梅酢も日が経つと酒や酢と同じで『熟成する』から保存した梅酢と新しい梅酢は味がまったく違うから注意! ってことですんで」

「なるほど『熟成』かぁ・・・職人と相談して最高の商品たちを作って早乙女さんを唸らせてみせますよ」

「楽しみに待ってますね。では今日はこの辺で、またそのうちきますので」

「ありがとうございました。是非いつでもお越しください」


グレゴリオさん、ミーシアさん、天瀬さんと他の従業員や職人さん達まで握手を交わしてフォレストグリーン商会を後にする。

ゾリオン村のおにぎり祭りみたく梅酢の使用法で色々な料理が生まれると面白いんだけど、流石におにぎりほどのバリエーションの幅広さが無いからな、グレゴリオさん達がどう纏め上げてくるかが楽しみになってくるな。


今日はもう太陽も沈んで外は真っ暗だけどライトの魔法を浮かべて歩いて帰る。

気配を探りながら移動して、タイミングを見て路地裏に入り転移魔法で自宅に帰宅した。

3点セット魔法で全身を浄化して靴を脱いでアイテムボックスに入れて居間に歩いていって声をかける。


「ただいまー、っておお。今日は豚バラ肉のミョウガ焼きか? これは美味そうだな」

「今日は美味そうなミョウガが市場にあってね。大森林の南側の温暖な村だと、普通はまだ早いこの時期にミョウガが出るのよ。それで買ってきたらセバスチャンがこれを作ってくれてね」

「ミー、ナイスなものを買ってきたな。俺も食べるよ。セバスチャン準備をお願い。今日はもう先に酒を飲ませてもらう。マリア、つまみを作るから菜の花とソラマメを出してくれ」

「しん君、つまみって何を作るの?」

「簡単なものだな。『菜の花とソラマメの梅和え』日本酒に合いそうなやつだ」

俺は自分のアイテムボックスから今買って来たばかりの梅干を使って神の創り手スキルでササッとつまみを作る。みんなが好き勝手に食べられるように大皿で作った。

梅干はそのまま小皿でみんなにも食べられるように出した。


「しん様、美味しいですね、この梅干。今日買いに行ってこられたのですか?」

「ああ、フォレストグリーン商会だよ。一昨日みんながもふもふ天国で泊まっている時に、冒険者ギルドから緊急依頼が入ってギルドに行ったら、今の現行当主10代目のグレゴリオ・シーズ・フォレストグリーンからの依頼だった。森林黄熱病に犯された奥様を救うためにサラマンダーの雫がほしいって依頼だったよ」

「え?」

「ああアイリ、俺も診察したけど間違いなく森林黄熱病だった。奥様は妊娠中で森林黄熱病の高熱にやられて絶体絶命だったよ」

「サラマンダーの雫っていつの間に取りに行ってたの? もしかして魔法で治るの?」

「森林黄熱病は別名が『聖職者殺し』だ。魔法で治せないし教会では神の加護で浄化が効きにくいんだ。それで治療にあたっていた神父やシスターに猛威をふるって『聖職者殺し』の別名が付けられた経歴がある。サラマンダーの雫がないとどうにもならないよ」

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