都市ヨークルへの旅。でも出発前に説教されたっす。
7・15修正しました。
11・13修正しました。
早乙女邸に帰ったらセバスチャンとマリアが迎えてくれた。
晩ご飯までの時間を使って2人を強化する。
ミスリルやダマスカス鋼をふんだんに使い、素材を余すことなく強化、魔結晶も追加してソフト部分も強化しておく。
2人のアイテムボックスを中に強化。
・・・満足した。
これでスピード自慢のグリーンウルフよりも早く動けるし、ワイバーンぐらいの下級竜なら生きたまま捕獲することも可能だ。
空を飛んだままじゃ捕獲は難しいけどな。
リニューアルしたセバスチャンとマリアにおにぎりやサンドイッチなどの軽食も何セットか作ってもらう。
明日以降は食事がどうなるかわからないからな。
できるだけためておく。アイテムボックスに入れておけばいつでも熱々ホカホカで食べられる。
2人のアイテムボックスは俺の空間魔法での派生スキルだから俺のアイテムボックスに相互移動が可能だというのをセバスチャンに教えてもらった。
知識はあったはずだけどなぁ・・・。
本拠の丘周辺探索でイチゴ・メロン・スイカなどの果物や茄子・きゅうりなどの野菜もあったと報告された。収穫済みなので今後はレパートリーがさらに豊富になっていく。
アイテムボックスを使った手紙で、これからは2人といつでもどこでも連絡もできるので食べたいものがあったら、リクエストしてみることにする。
果物がたくさん手に入ったのでジュースもつくっておいてもらう。
今日の村長宅で昼ごはんをご馳走になった時、ヨシュアが俺の向かい側のテーブルでジュースを美味しそうにゴキュゴキュ飲んでる姿を見て、ジュースの存在を思い出したぐらいに忘れてた。
コーラとかカルピスなんかはもう飲めないのかなぁ?
なんて、今後はもう飲めないかもしれないジュースと、このイーデスハリスの世界に来てからまだ一滴も飲んでいないお酒のことなんかを考えながら、晩ご飯を食べて風呂に入りマリアとセバスチャンにマッサージをしてもらって・・・寝る。
アマテラスが花畑でキャッキャウフフとはしゃいで走り回っているのを横目で見ながら、デッキチェアに座ってる俺。
横のテーブルのにあるピスタチオをつまみにバーボンをロックで飲んでる。テーブルの向こうのデッキチェアにはゴッデスが座ってる。
ストレートの芋焼酎をどんぶりでつまみはめざしとししゃもってシブイな。
「平和じゃな」「ですねぇ」
なんてゆるい会話しながら酒を飲みながらマッタリ・・・
という夢を見た。
とりあえず『なんでやねん!』って、起きてすぐ忘れないうちにツッコミを入れた。
このイーデスハリスの世界に転生してきて、ツッコミが多くなった気がする。俺はボケ側の人間だったはずだ。ツッコミができるパートナーを探すのが先決か?
それともせっかく異世界にチートな能力を持って転生してきたからには男の夢とロマンを追い求めて『ハーレム』建設に邁進すべきか・・・悩むな。
ここは真ん中をとってツッコミ役のハーレム要員がベストだな。
会話のツッコミ役にベットでツッコミ・・・
ポーン。 ~称号『オヤジギャグ使い』を得ました~
・・・超いらねぇ。
しまった。これからは脳内でもオヤジギャグは封印しないとオヤジギャグの称号がランクアップするかもしれん。オヤジギャグマスターとかキングとか帝王なんてイヤすぎる。
朝ごはんはおにぎりとスープにした。
味噌汁ができないんだよな。海産物がゾリオン村にまで入ってきてない。
昆布とか鰹節とかの出汁が壊滅状態では流石の料理スキルの恩恵は減る。出来ないことはないが『コク』の部分が弱くなる。
今日、ゾリオン村へ送ってくれたのはガウリスクだった。
いつもの行動部隊副隊長は今朝から大岩周辺の偵察に行ったから。今日のゾリオン村周辺の哨戒をするのがガウリスクだった。
ガウリスクに乗ってゾリオン村にきたんだが、さすがガウリスク軍団のボス。
いつもの行動部隊副隊長よりも短時間で到着する。
早いな、時速100キロぐらい出てるんじゃないのか?
ガウリスクに聞いたら本気の速さはこんなもんじゃないらしい。
上に乗ってる俺を揺らさないように慎重に走ってるんだって。
これでも。
確かに上に乗ってる時はほとんど揺れないので、副隊長もガウリスクも凄く乗りやすかった。モフモフだし。
モフモフは正義で間違いない(断定)。
モフモフを語ると終わりが見えなくなりそうなんで・・・ゾリオン村に入り定期便の受付窓口へ。
荷馬車は戦場だった。
定期便出発前の荷物の最終確認作業と明日ヨークルで乗せる荷物の書類の束の確認作業。
俺は窓口にバイドにもらった黒いカードを見せる。
受付のオッサンは商業ギルドの人間だった。
俺は今、オッサンに朝から説教を受ける。
本来であれば荷馬車に乗る人の移動の場合は前日に予約に来てもらわないと困るそうだ。
ゾリオンからヨークルまでの移動費用は5000G。
これは午前と午後の休憩のときのお茶とお菓子・お昼の食事までセットに入った料金だから、当日の朝では準備できないから断られるのが常識らしい。
運ぶ荷物の状況もあるから前日夕方までの予約制。
俺の場合は食事とお茶などは自分で準備できて、幾つかの荷物を俺のアイテムボックスで運ぶと提案したので、空いた場所に何とか乗せてもらえた。
大きな荷物を3個ほどギルド職員の立会いのもとで俺のアイテムボックスに入れる。書類は御者が受け取ってた。
良かった。
つーか教えろよバイド。俺が生まれて初めて荷馬車で移動するって言ったのに・・・使い放題のカードより情報をくれよ。
ボーリックさんも何で教えてくれなかったんだ。
とりあえず乗れるようで安心した。
いざヨークルへ!
荷馬車といっても屋根もあるし幌馬車タイプで幌は『溶解蜘蛛』の糸を使って加工して作られてるんだと。
溶解蜘蛛はウェルヅ大森林にはたくさん居てポピュラーな蜘蛛。体長50センチぐらいの大きさで臆病な性格の蜘蛛らしい。
人や魔獣の気配を感じるだけで隠れちゃう。その蜘蛛の巣に30センチぐらいの蜘蛛の大好きなバッタを蜘蛛の巣に引っ掛けておく。
蜘蛛は糸で玉を作ってバッタを閉じ込め、そのときバッタに牙から溶解液を注入。
バッタが溶けたら蜘蛛は中身を吸って、糸玉をポイって地面に捨てる。
糸玉は水に濡れると溶けてなくなっちゃうんだけど、糸玉を魔力を込めた水で溶かすと『魔糸溶解液』ができあがる。
この魔糸溶解液を布に塗って乾かすと『撥水・防水の布』になる。
幌馬車の幌はもちろんテント防水シート、防水コートなんでもできる。塗って乾かす回数を増やすことで硬さも自由自在。
布に直接だけでなく糸を魔糸溶解液に浸け乾燥させてから布を織り、布にしてからまた魔糸溶解液に浸けて乾燥させ幌馬車の形に加工してから最後の仕上げでまた塗って乾燥すると頑丈で劣化しない幌馬車の幌になる。
蜘蛛と共存できてるな。
win-winの関係かな? 蜘蛛の糸拾いは子供でもできる作業なんで冒険者ギルドのGランク指定。
大森林で子供の小遣い稼ぎって仕事らしい。
なんて豆知識を荷馬車の御者の人に教えてもらってた。
暇だ。
午前の休憩は9時半から10時の30分だった。昼休憩が12時からの1時間で、午後の休憩は15時からの30分。
きっちりではなく大体こんな感じだ。
荷馬車の馬はメッチャでかかった。1トンぐらいありそう。目的はスピードよりもパワーとスタミナ重視だからな。
荷馬車と聞いていたのでアニメで見たデカイ犬がミルクを載せて運ぶヤツを想像してたが、ぜんぜんそんな可愛いもんじゃなかった。
わかりやすくいうと西部開拓時代の家代わりになる幌馬車を北海道ばんえい競馬のばん馬が引っ張ってる。
もしくは2トントラックの荷台を引っ張る世紀末覇者の馬だった。
今回のゾリオン村から都市ヨークルへ行く荷馬車は3台編成。
御者は4人。
1人は休憩できるようになってる。不定期だが最低でも10日に1回は冒険者ギルドに依頼を出して街道の安全確保をしてるんだと。
魔獣や盗賊はそんなに出ない。ここは商業の国。商業において流通経路の安全確保は必須条件。
盗賊が出たってだけで国軍から討伐軍が出る。
バイドの開拓村での悲劇は情報不足で、盗賊だけでなく銀大熊とグリーンウルフの襲撃が重なったためだろう。盗賊だけでも200人近くいたんだし。
テンプレではこういうときは・・・
①強力な魔獣(ドラゴン含む)に襲われる。
②女の子が盗賊(魔獣パターンもあり)に襲われてる。
③盗賊に襲われる。
④貴族にケンカ売られて決闘。
こんなパターンだと思うんだが・・・ものの見事に『何もない』暇すぎる。
『平和って良いなぁ』とつぶやいてみたり、『俺、この旅が終わったら結婚するんだ』って出発前に御者が言ってるのを聞いてて、フラグたってるから無事には済まないと思ってたけど、ホントになにもないよ。
昼休憩場所はガルディア商会の荷馬車の専用休憩所が作られてあった。
休憩所の食堂でちょうど『これからゾリオン村に向かう荷馬車』の御者グループと一緒になった。
反対の便は荷馬車5台で御者は7人いた。
俺がアイテムボックスからクマステーキを出して食べてたら、物凄くうらやましそうに見られてた。
クマ肉は処理できないほどあるので11人(ヨークル便4人+ゾリオン便7人)に振舞う。
おにぎりの具(香草とやくそうを塩もみして刻んだだけ)にビックリしてた。
予想以上に凄く美味しかったらしい。
レシピを教えてあげると喜んでくれた。
おにぎりの具は万能だからな。
エロゲームに出てくるヒロインで、校内では日本刀を持ち歩く風紀委員委員長の女の子が言ってたから間違いない。
昼の休憩場所はゾリオン便・ヨークル便のどちらもこの場所で決まってるらしい。
午前と午後の休憩場所は状況によって場所も時間もかわるんだと。
昼になると荷物満載な獲物が毎日集まってくるんだから、盗賊だったらここを襲撃したほうが早くないか? って皆に聞いたら、過去にはそういう被害があった。
けど休憩所も魔法で補強&保護されてるし、御者も冒険者ギルドのBランク以上とかの高ランク保持者が、移動目的で御者のバイトをするようなことが多々あるそうだ。
商会のほうも安全で安く雇えるために、喜んで迎えてくれる。
御者も素人ばかりじゃない。
元冒険者が安定のために御者に転職なんて良くある話。
休憩所を襲うよりも休憩所で屋台でも出したほうが楽なんだって。
フラグも立てられないな。
いやー、襲われたいんじゃない。暇なんだよ。暇すぎるんで寝る。午後の休憩もしないで眠リ続けた。
で、ヨークルに到着して入り口での前に起こされた。門の守護兵の入り口確認の担当者が荷馬車の中まで確認用の魔水晶を持ってきてくれるのでありがたい。
ヨークルでっけぇ、15万人以上の住む『都市』だ。
イーデスハリスの世界では住民が1000人以下なら『村』。1万人以下が『町』。10万人以下が『街』。それ以上は『都市』だ。他に首都もあるが。
ヨークルの中(外周部)にある荷馬車倉庫に直行し、俺が荷馬車に乗るために預かってた大きな3個の木箱を渡し旅の終了。
外周部の門をくぐりヨークル市街部へ。
ヨークル市街部のMAPは俺のもらった記憶の中にもある。ギル・シード・ガルディアにも簡単にだが教えてもらった。
時間もそろそろ夕食の時間だし、まずは宿屋の確保だなと歩いていたら、屋台で『鬼まんじゅう』を売ってる店を発見した。
しかも蒸しパンバージョンではなく生地に粘りのある方だ。
日本にいた頃でも10年ぐらい食べた記憶がない。
イモの鬼まんじゅうも紫イモの鬼まんじゅうもあった。
両方とも美味しかったので大興奮で30個ずつの大人買いをする。