証拠品提出作業で1日終了しちゃったっす
8・12修正しました。
警備隊の本部に到着してからもまた大変だった。
冒険者ギルドにあるようなアイテムボックスが封入された箱に、俺が持ってきたザイモア商会が関わった全ての犯罪の証拠品などを、全て俺のアイテムボックスから引き出して記録して引渡しをしていく。
その総数は1000をゆうに超えてる。
トリーはローグ真偽官の手伝いで証言をさせに行かせた。
手間は少ない方がいいからな。
イーデスハリスの世界に転生して21日目の朝8時。
朝食が近くの飲食店から取り寄せられた。サンドイッチと新人君特製コーヒー。
・・・作業はまったく終わりそうにない。
警備隊隊員は続々と夜勤だった人間と日勤の人間が入れ替わってるが俺は入れ替わることが出来ない。
昼食は近所のうなぎ屋から出前のうな丼と肝吸いだった。
警備隊の隊員は昼食は入れ替わりで近所に食べに行ってるみたいだ。俺は入れ(以下略)。
昼食後にアイリから念輪で連絡が入る。
俺は作業を続けながら会話する。
「しん君、状況はどうなった?」
「まだまだ時間が掛かりそうだな。品目数が品目数だけに1つずつ説明しなきゃならんし・・・やはり、当初の予想通り、晩ご飯もここで食べなきゃならなくなりそうだ。カタリナさんは今夜は帰るんだよな?」
「うん、そうだよ。ドミニアンお義父さん次第なんだけどね。もし今夜もドミニアンお義父さんが帰ってこれない事になったら、母さんが今夜もここに泊まりたいって言ってるんだけど」
「それはアイリ達に任すよ。俺は自宅に帰るのはたぶん早くて深夜になりそうだから。何しろ証拠のブツとそれに関連したメモだけで合計1200ぐらいはあるからな。警備隊の担当は入れ替わりが出来るるけど、俺には出来ないから」
「お疲れ様ね。夕方に実家に母さんを送っていったら、今夜の予定が決まるからまた連絡するわね」
「ああ、るびのは元気か?」
「母さんに懐いてるよ。朝に一度元の大きさに戻ってから、また小さくなって母さんに甘えてる」
「ああ、カタリナさんはビーストテイマーの素質が少しあるからな。るびのを甘えさせるのは簡単なことだろう。愛玩ゴーレムたちは誰でも平等になっちまうけど」
「そうなんだ。母さんに教えたら喜びそうだから言っておくよ。また昼からも友達を呼んでもふもふ天国の試験営業をしてもいいんだよね?」
「ああ、かまわないよ。遠慮なくドンドン批判と問題点を指摘してもらってくれ。その方がより良い店作りになるからな。そのついでに口コミによる宣伝効果もあるからよろしくと頼んでおいてくれ」
「うんわかったよ。それじゃあ、引き続き頑張ってね」
「おう、じゃあな」
俺は担当官に2重帳簿の計算方法の違いを説明しながら、アイリとの念輪を切断する。
あのクソブタ、ご丁寧に2重帳簿まで使って脱税までしてやがったから、帳簿の説明だけで1時間以上掛かってしまった。
深夜どころか明日の朝まで掛かりそうだ。
15時には半分は終わったので流石に休憩させてもらった。
体力はあるが昨日からの精神的な疲労で気分が滅入ってきてたからな。
どうせ時間が掛かる事を理解してくれてる警備隊の皆さんが、気を使って仮眠を提案してくれたのでそのまま乗っかって1時間ほど眠らさせてもらった。
仮眠の前にシャワー室を借りてサッパリさせてもらった。
俺が出した証拠はそのまま担当の司祭と真偽官(ローグ真偽官とクリスティ司祭は朝の10時ぐらいに交代要員が来て帰宅している)に渡されて更に尋問。
尋問の供述が記録されていく。逆に尋問の供述から証拠の提出を求められて説明中に別の証拠物を出したりしてるので、予想よりも作業時間がかかりそうだ。
夕方になって今度はクラリーナから念輪連絡が入った。
「しん様、クラリーナです。時間をいただいてもはよろしいですか」
「クラリーナか、大丈夫だよ。それでカタリナさんはどうなった?」
「夕方5時に今日はアイリさんの実家で夕食をご馳走になってる時にご主人が帰宅されて、残念ながら連日のお泊り会はなくなりました。今は私達は店舗の方へ戻ってきてます」
「それで、皆はどうするの?」
「私達は今日は自宅に帰りたいと思ってますけど、店舗の方はどうすればよろしいですか?」
「店番のホワイト達のメイドゴーレムに全てを任せて帰宅して良いよ」
「了解しました。それでは失礼します」
「おう、じゃあな」
19時になって晩ご飯。
この軟禁状態に気分転換で近所でおすすめの食堂に連れて行ってもらう。
カレー専門店だった。食欲を誘うスパイシーな香りが近所中に充満している。
トッピングにハンバーグを付けたのもここの店の名物がハンバーグカレーだったからだ。
一口食べて思い出す。
護衛依頼任務の時に食べたハンバーグカレーの味だ。
お水を注いで回っている店員さんに尋ねる。
「以前、ガルディア商会の護衛依頼でここの店の名物のハンバーグカレーと、全く同じ味のハンバーグカレーを食べたんだけど、この店って注文販売までしてるの?」
「ガルディア商会様は大口の固定客ですので、注文販売もさせてもらってるんです」
「なるほどね。ありがとう」
「どういたしまして」
ガルディア商会はこういう店の食事を大量に注文して輸送隊に食べさせているんだろうな。
食後はまた警備隊本部に戻って作業の続きだ。
10時過ぎぐらいにローグ真偽官と、今度は違うパートナーの司祭を連れてきて尋問開始だ。
俺や警備隊の隊員さん達に気を使って差し入れのクッキーを大量に持ってきてくれた。
その少し甘めのクッキーと昨日と同じ新人君が入れてくれたコーヒーで少し休憩。
新人君のコーヒーは相変わらず別格の美味さだった。
昼食後に飲んだコーヒーはそこそこの味だったが、新人君とは差があり過ぎるな。
警備隊の皆さんも大変だろうな。急にコーヒーのレベルが爆上げになって舌が肥えてしまったんだから。
贅沢を覚えた体はなかなか戻らないって言うしな。
それにしても長いな。
深夜1時に夜食の時間になった。日本にいたときは夜食って言うと定番のカップラーメンだったりしたが、この世界にそんな便利なものは無い。
爆走鳥のロースと肉がサンドされたボリュームたっぷりのサンドイッチと野菜たっぷりスープが運ばれてきた。
この時間の満腹攻撃はキツイな。新人君の美味しいコーヒーがあっても眠くなる。
ここでも結局1時間ほどは仮眠させてもらった。
証拠品の引渡し作業は翌朝まで続いた。
転生して22日目の朝は警備隊で迎えた。仮眠と食事の時間が入ってるとはいえトータル24時間以上掛かってるな。
退治&救出のトータル時間の何倍かかってるんだ?
ザイモア商会の連中を皆殺しにしてダンジョンに放り込んだほうが半分以下で済んだだろうなという気分になる。
元奴隷商のトリーは全部の裁判が終わるまで10日以上は警備隊の本部で寝泊りする事になりそうだ。
もちろん協力者として宿泊所で寝泊りして3度の食事つきだ。
証言者としての安全確保でもあるので我慢は必要だ。
ローグ真偽官とトリーの2人と握手をしてから別れる。
トリーとは再会を約束した。
俺は警備隊本部を跡に帰宅できる。
今日は警備隊の隊員さんにゴーレム馬車で自宅まで送ってもらう事にした。
帰宅中についでに一般的ゴーレム馬車の操縦を教えてもらった。
俺のコピーしてもらった知識の中の馬車の操縦に似ているな。キャンピングバスの運転とは違いすぎる。
早乙女邸に到着して送ってもらったお礼を言って俺は自宅に入っていく。
玄関でいつものように全身を3点セット魔法で浄化してから靴を脱いで玄関に上がる。
この家では全員が自分の靴は自分のアイテムボックスに入れるので玄関の下駄箱は撤去されている。
下駄箱があった場所はガレージへの扉になってる。
居間に行ってまずは朝食。
セバスチャンに言ってドラゴン汁で焼きおにぎりを作ってもらったら中々の味だった。
食事の後はお風呂に行くが、風呂の途中で眠くてたまらなくなったので、早々に切り上げ居間に戻る。
「俺はこのまま寝る事にするけど、皆はどうする?」
「しんちゃん、るびのは今日は部屋でゴロゴロするって言ってたよ。私は今日は地下の訓練場でレイピアの練習をする」
「おお、そうかミー。アイリは?」
「今日は午前中はミーの練習に付き合うけど、午後は買いだしに行ってくるわ。新しいお酒を捜したいと思ってたから」
「あ、いいですね。私もアイリさんと付き合います。私は午前中は本屋に行って魔法関係の本を探しに行ってきます」
「ああ、外に行くならマリアかセバスチャンを必ず連れて一緒に行ってくれ。マリア、セバスチャン後は任せる」
「「了解しました。ご主人様」」
「俺はこのまま昼食抜きで寝るよ。じゃあおやすみ」
そのまま寝室に行ってバタリと超巨大なベッドに倒れこんでそのまま眠る。ああー、疲れた。
警備隊の本部で軟禁状態で篭ってたから精神的な疲労は溜まってるな。