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今日がなかなか終わんねぇーって、もう朝じゃん・・・っす。

ヨークル警備隊本部に着いたらトリーに起こされた。そのままトリーと話しながら警備隊本部の敷地の正門入り口の門番のところに歩いて行く。

「早乙女さん、あんな場所でよく熟睡できますね。俺だと落ちてると思う」

「ふぁーあ。スッキリした。意外と落ちないもんだって。それで俺のする事は?」

「早乙女さんにお願いしたいのは、ザイモア商会の逮捕の理由説明ですね」

「おー、トリーだけでは弱かったか?」

「100%信用してもらえませんでした」

「そうなるか。隷属の首輪で無理矢理やらされてるのに」


入り口の門番さんに俺の冒険者ギルドカードを見せる。

「Bランクの冒険者様でしたか、これは失礼しました」

こういうときの信頼度がBランク以上の高ランク冒険者の特権だな。信用度がまるで違う。

だけど遊んでるヒマは無い。救ってあげなきゃいけない人がいるからな。


「悪いが本部の中の人間と大至急で連絡してくれ。今、凶悪殺人犯のグループを運んできた。被害者は多い。まだ隷属の首輪で捕まってる人間が複数人いるので救出するための人数が必要だ。救出チームには俺も入って手伝う。それと教会に連絡を取って真偽官と司祭と聖騎士団の応援要請をしてくれ。コイツラの犯してる罪は殺人と誘拐だけじゃない。真偽官と司祭による尋問で洗いざらい吐かせてほしい」

「は! おい、緊急通報だ」

門番の1人が詰所に走りこんでいった。

「早乙女さん、俺達はどうしますか?」

「そのまま中に入っていってください。入り口にゴーレム馬車を乗りつけても大丈夫です。これから入り口にも犯人の護送だって連絡しておきます」

「だってよ。トリー行こうぜ。時間がもったいないし」


今度は先頭のゴーレム馬車の御者席で、トリーの横に座る。

「流石の高ランク冒険者ですね、俺とは信用度が違ってました」

「こういうときだけは便利さを実感できるな。信用度が違うと説明が簡単で済んで助かるよ」

「Cランク以上は国への貢献度が必要になってきますからね。大きな盗賊グループを退治したとかの貢献がないとランクアップは時間が掛かりますので、それも併せての信頼でしょうね」

「俺がそのパターンだよ。300人以上の盗賊や迷賊を退治したからBランクになれた」

「さ、さんびゃく? 凄まじい意数字ですね。それはそうとザイモア商会に突入する救出チームに早乙女さんも協力するのですか?」

「ああ,そうだよ。ザイモア商会の本店&ロバートの邸宅の大きな敷地を夜間警備してるのは全部誘拐された奴隷だろ?」

「はい、よくご存知ですね」

「ロリコンブタの知識を全部コピーさせてもらったからな。あいつの持ってる知識でアイツが思い出せないような事まで全部俺は知ってるよ」

「コピーってのがいまいちわかりませんけど・・・凄いんですね早乙女さん」

「細かい事は気にすんな。さあ、到着だ」


警備隊本部の中から複数の武装した警備隊が俺に敬礼する。

「殺人犯の逮捕へのご協力、誠にありがとうございます」

「いえいえ。さぁ、このバカどもを締め上げちゃってください」

3台のゴーレム馬車のドアを開けて15人の親衛隊とロバート・ザイモアを引き渡す。

そうだ! 聞かなきゃいけないことがあったな。

「済まないんですけど、コイツラが逃げ出さないように素っ裸にひん剥いちゃったんですけど、コイツラが装備していたものって、どこに出せばいいんですか?」

「それはご自由にどうぞ。どうせコイツラは全財産没収されて、今後着る事が出来るのは囚人服だけなんですから、裸のままで構いません。むしろ脱がす手間が省けてありがたいですね。それで、早乙女さんとそちらの・・・」


「あ、私の名前は『トリスティックス・アルグライト』です。長い名前なんでトリーって呼んでください」

「では早乙女さんとトリーさんは詳しく話を聞きたいので、こちらの応接室に来ていただいてもよろしいですか?」

「いいよ。あ、俺は話し合いの前にホットコーヒーをちょうだい」

「了解いたしました。トリーさんはどうされますか?」

「私も同じもので」

「了解です。おい、ホットコーヒー2つ、応接室に頼む。ではお2人はこちらへどうぞ」


やたら腰の低い警備隊の幹部らしき人に案内されて、応接室に入っていく。

警備隊の本部の建物に近づいただけでコーヒーの香りで我慢できなかったからな。

応接室に座った沖にはすぐに警備隊の若い新人君がコーヒーを持ってきてくれた。

一口飲む。かなり美味いなここのコーヒー。

マリアよりは少し劣るが店で出せるレベルだぞ。

「美味いですねここのコーヒー。これは生き返る」

「ホントですねぇ、ここまで美味いコーヒーは1年前に隷属の首輪を付けられる前から飲んで無かったですね。生涯最高の味かも」

「そ、そんな。大げさです」


「あ、コイツはまだ警備隊に入ったばっかの新人で実家が老舗の喫茶店なんですよ。それで家から持ってきてくれる余り物のコーヒーがやたら美味くて、コイツはこっちの方に才能があるんじゃないかって思ってるんです」

新人君がメッチャ照れてるので、俺の疑問の目線に気付いた案内してくれた人が説明してくれた。

「確かに君にはコーヒー職人としての天賦の才能がある。犯人捕獲術にも才能があるから警備隊にも向いてるし、彼はかなりの有望新人ですね」

「ありがとうございます。これから頑張ります」

新人君がお辞儀をして元気に応接室を飛び出していって、出口でこけた。

「おいおい、そんなところで躓くなよ。ったく。早乙女さん騒がせて申し訳ないです」


「いえ、美味しいコーヒー飲ませてもらったんでこれぐらいは構いませんよ。それより早く奴隷にされてる人達を救出に向かいたいのですけど」

「俺もその話がしたかったです。俺と同じように誘拐されて無理矢理奴隷にされた人達がザイモア商会の本店に20人以上はいます。本店と屋敷は隣同士で隣接しています。中にいる人数は60人以上、その中の奴隷は購入した奴隷も合わせると43人です」

「早乙女さん、それだと救出に100人以上は必要になります。今夜は事件が多くてあちこちに応援に行ってるので、すぐに集められる人間は30人ぐらいです。じゃないと他の事件が起きた時に対応できなくなります」

「俺がいるんだから10人もいれば充分だって。いや、人数を運ぶ必要があるからゴーレム馬車の台数分は欲しいな・警備隊ですぐに準備できるゴーレム馬車は何人乗りが何台ありますか?」

「少々お待ちください。確認させます。おい君、確認頼む」

「は!」

入り口に立っていた警備隊隊員が走っていった。


「俺が魔法で敵全員無力化させるから、警備隊に用意して欲しいのは牢屋と運ぶ人員だけだ。聖騎士団の応援は頼んだのか?」

「既に連絡はしてますが、教会も内部でごたごたが今夜あったみたいで、それの対応でうちの本部長も呼ばれてしまってるんです。それのおかげで非番中だった本部長補佐の私が呼び出されまして」

「あ、枢機卿問題か! ゴメン。それも俺も加わってた」

「え”? そうなんですか。ですが、今夜はもう1個、問題もありまして」

「もしかしてスパイギルドのギルドマスターの問題だったりする? ゴメンね、そっちも俺が噛んでる話だったりする」

「両方とも知ってるんですね。俺なんにも言ってないから真実ですね」

「ごめんな。ヨークルの中に沈んでいた悪性の膿を一晩で一度に引き摺り出し過ぎちゃったな」

「いえ、こちらこそヨークルの警備隊で本来は私達が解決しなきゃいけない問題なのに、早乙女さんに変なことばかり押し付けてるようで、申し訳ないとしか言えません」

「そういっていただけると、ゴミ掃除をした身として助かります」


コーヒーを飲みながらそんな話をしていたら先程出て行った隊員と一緒に聖騎士団のゴツイ人と、司祭服を着た見た事の無い女性と、何度もあってる真偽官が入ってきた。

『ローグランド・ペスカトーレ真偽官』通称ローグ真偽官だった。


「やっぱりお前か、早乙女。俺はドミニアンと一緒にゾリオン村に行かなくて正解だったな」

「ローグさんも、かわらずお元気そうで。また悪党をたくさん連れてきたんで、思いっきり締め上げちゃってください」

「アッハッハ。それは楽しみで腕が鳴るな。・・・ジャクソン、こちらがこの都市で今、噂の正義のヒーロー様だ。これでこの事件は解決だな。早乙女に紹介するよ。この都市ヨークルの聖騎士団団長の『ジャクソン・ミライジス』だ」

「あ、初めまして。冒険者ギルドBランク冒険者の『早乙女真一』です。真一って発音しにくいようなので早乙女で呼んでください」

「立場上、たくさんの話を知っています。早乙女君もジャクソンって呼んでくれ。また君には世話になってしまうな。それでどこかの商会に突入するんだって?」

「そっちの話はそっちでやってくれ、俺は悪党の尋問に入るぞ! クリスティ司祭行くぞ」

女性の司祭を連れてローグ真偽官は活き活きと深夜の尋問フルコースに行った。


「あ、報告しますゴーレム馬車は犯罪者輸送用の大型が10人乗りで3台。普通ののゴーレム馬車が6人乗りで3台です。今夜は使用中のものが多くて今すぐですと、それだけしかありませんでした」

「俺がザイモア商会から奪い取ったのが3台ある、これがデブが乗るように改造してあって1台はデブ専用の1つしかイスが無い。だから残りの2台は6人乗りの普通サイズだから・・・合計60人か、人数的にちょっときついぞ?」

「俺が直属の22人の聖騎士団団員と、ここ警備隊本部まで一緒に乗ってきたゴーレム馬車が2台ある、これは大型で1台10人乗る事が出来る。これを使って構わんよ、早乙女君」

「ジャクソン団長が連れてきた直属の隊員って何人ゴーレム馬車を運転できますか?」

「全員が普通の荷馬車も可能だよ。俺が徹底的に訓練をした聖騎士団の遊撃チームだから精鋭しかいないよ」

「じゃあ、聖騎士団だけで捕獲に行けますね。警備隊本部長補佐はここに残って指揮をお願いします。こういうときは他の犯罪もおきやすいんで注意してください。ゴーレム馬車は全部お借りします。それと詳しい地図があったら貸してください。場所はトリーが説明してきてくれ」

「了解。どこに地図は保管されてますか?」

「こちらです。お願いします」


屋敷の中の見取り図は俺が手描きで簡単な略図を書かせてもらった。

聖騎士団の団員を大きな会議室に集めてもらって全員に説明する。

とはいえ作戦って程は無い。

俺が全部のトラップ・結界・封印を解除して敷地内全ての人を無力化してからの突入だ。

隷属の首輪を解除して外し奴隷を解放することも俺がやる事にするから、危険なことなど何一つ無い。

回収する奴隷・犯罪者・元犯罪者の購入した奴隷の扱い方だけを説明する。

まずは奴隷の解放と治療。逮捕者も乗せれる人間を乗せたら1台ずつこちらに戻ってくる予定にしていく。

屋敷や本店から押収する証拠品も全部俺が指示して俺のアイテムボックスで持っていくので最終で俺とジャクソン団長がトリーの運転で帰ってくる事になった。


俺とトリーと聖騎士団の総勢25人が10台のゴーレム馬車で警備隊本部を出発する。

俺は到着まで寝させてもらった。


もうすぐ到着するって場所で予定通り停車して俺が先行していって魔法をかけて探査で探る。

全部で67人かどれが奴隷なんて後で調べるので、敷地内にいる全員にスリープ魔法をかける。

・・・また誰もレジスト出来てないな。


草原の暴風の生き残りでレジスト出来たのも、スリープよけのアイテムをタマタマ持ってた4人だけだったしな。

エルフの精霊の加護は別にして。

他所の国でも対魔法戦闘の方法って確立されてないのか?

この国の魔法技術の低さに舐められてるだけだったりしてな。


皆のところに合図を出す前に敷地内の封印・結界・トラップ・施錠まで全部解除した。

これで終わりだな。

合図のライトの魔法を浮かべると俺は走っていってザイモア商会の本店の正門を開ける。

そのまま開けっ放しにして俺は本店とロバートの本宅の間の庭を走り回って、庭の夜間警備をしている奴隷の人々を隷属の首をを解除して外しながら1人ずつ丁寧に運んでいく。

聖騎士団は予定通り本店の中にいる幹部連中の捕縛にトリーの案内付きで行ってる。


俺は夜間警備20人を全員奴隷から解放させて、庭の休憩場所となっている東屋に寝させておく。

俺が鑑識の魔法を出しっぱなしにして・・・聖騎士団に説明した通り、強制的に奴隷にされた人達は隷属の首輪を解除して横にさせておく。

元犯罪者など購入されてきた奴隷は首輪はそのまま。

ザイモア商会の職員で犯罪者はロープで縛っておくという事にしてある。


聖騎士団の団員はそれを見て回収・保護・捕縛とゴーレム馬車を分けて乗せていく予定だ。


庭の夜間警備は全員が強制奴隷だった。庭掃除は終わったので本宅の中に入っていく。

本宅の中は多くの眠らされてる人がまだいるが、俺には絶対に先にやらなければいけない事がある。

ロバートが指示して集めた俺の情報を全部俺が貰っていきたい。

聖騎士団には知らせる必要のない情報もあるからな。

真っ先に執務室に向かっていって俺に関するメモなどの情報を抜き取る。

これだけやっておけばもう後は奴隷開放と職員捕縛。


1階のロビーに地下室に閉じ込められていた人達まで全員を解放させて・・・治療は魔法も必要ないほどだな。少し傷付いてる女性の性奴隷が5人いたので『メガヒール』で回復させただけで、残りはハイポーションが必要な栄養失調気味の奴隷が複数人いただけだった。


女性の奴隷だけはシーツで包んでおく。際どい下着しか身につけてなかったから緊急処置。

聖騎士団の団員に会ったので取り扱い注意だけ伝えておく。


さぁ、これからは証拠の回収って事で片っ端から犯罪に実際使われた凶器や証拠のメモも全部集めて俺のアイテムボックスに入れていく。

完全に終了したのは朝の6時半。


クソッタレのブタ野郎め、犯罪多過ぎで証拠のブツが多過ぎて手間取ったじゃねぇーか。


そのままジャクソン団長さんとゴーレム馬車で警備隊の本部にトリーの運転でもどる。

その間に寝ながら嫁達に念輪で報告だけはしておく。

もふもふ天国に今日は夕方まで行けそうも無いしな。マリアに任して自由にしててって伝えておく。

セバスチャンにはワイバーンの肉汁の研究のお願いをしておいた。

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