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連発した騒動の最後。そろそろ眠いっす。

ここに来た理由はもう1個あって、今日のこれからの時間が会合時間になってたから、ここにザイモア商会の重要人物が来てるだろう。


俺は『忍者』スキルの『隠者』スキルで自分の存在感を完全に消す。

これで俺が目の前にいても誰も気付かない。

素っ裸で街中を歩き回っても誰も気付かないという、変態さん御用達なスキルだ。

街中でおっぱいを軽く触るぐらいなら、このスキルを使っていれば可能だ。

・・・お、俺はしないよ。


会合場所はスラムの中の一軒家だ。ゴーレム馬車が3台停車している。

門にいる門番の隣に立って空間探査魔法でこの土地の全てを探る。


ザイモア商会代表『ロバート・ザイモア』と親衛隊が16人か。しかもロバートは地下室にいる。

馬鹿かコイツは。ここの地下室って逃げ道ないじゃん。

それにしても代表自らの御出ましときた。

コイツらをからかって遊びたくなってきたな。深夜のハイテンションってやつだな。


とりあえずは逃げられないようにこの会合場所を封印結界で隙間なく覆う。

目の前のヤツラの屋敷の中に入っていく。


・・・ザイモア商会親衛隊の人間に『隠れる』って単語が脳味噌の中に存在しないらしい。


スラムの中にある一軒家の中でフルプレートアーマーの厳ついオッサンが16人もガチャガチャ音を出して歩き回ってる。

もう深夜1時をまわってる時間だってのに。


近所迷惑撲滅させるためにこいつら全員シーパラ大河に放り込むか?


地下室にたどり着くと部屋のドアは開けてあった。無用心だな。楽でいいけど。

「しかし、忍はいつになったら来るんだ? ったくあのクソジジィ、せっかくユマキ商会に食い込んでシーズの家を自由に操るチャンスだったのに、ビビッてションベン漏らして全部をふいにしやがって。もう今回だけは我慢ならねぇ・・・おい! あと1時間してもジジィが来なかったら、この人数でスパイギルドに殴り込みをかけるぞ?」

「しかし親分、それだと大騒ぎになりませんか?」

 ~親分って、お前等山賊か?~

「ん? 騒ぎになんてならねぇよ。俺達はこの人数で何度も出入りしてるんだ。いつものように入っていってギルドマスター室だけ襲えばいいだけだ。それならスパイも対応できないだろ?」

「さすが親分! 名案ですね」

「だろ? ギャッハッハッハ。それでギルドマスターの地位も手に入れて俺がもっと有効に使ってやるよ。あの小便チビリじゃスパイを上手く使いこなせてなかったんだよ」


「さすが親分。これで我々も楽に金が稼げますね」

「金の女も自由自在だな。お前らはあの紅蜘蛛の3人か?」

「あ、あっしは早乙女ってヤツの嫁がいいです」

「あの爆乳は俺のだ」

「早乙女は全財産と女と馬車とゴーレムって奪うものがたくさんあるからな。まずはスパイを俺のものにしたらそのまま、あの小さな屋敷に全員で攻め込むからな。女もお前らが好きにしろ・・・しかしお前等子分どもの女の趣味がわからんな。俺はユマキ商会の長女『キャンシー』ちゃんだな。もう少しであの子を自由に出来たのに・・・でゅふふふふ、キャンシーたんハァハァ」


俺はあまりの驚愕で思わず隠者のスキルを解いてしまった。

「キャンシー・シーズ・ユマキってまだ8歳じゃねぇーか。お前はロリコンか? キモ! 妄想は脳内に留めておけよ! 口から垂れ流すな! この産業廃棄物デブが!」

大声で怒鳴ってしまう。我慢できなかった。

「貴様は早乙女! いつの間にここに潜り込んできたんだ」

「『しかし、忍はいつになったら来るんだ?』ってあんたのセリフからだな、ザイモア商会代表『ロバート・ザイモア』さんよ」

「な、な、なんだってぇ、全部じゃねーか」

「あそこから話が始まったのか、あ、ちょっと待って。ほい、尋問終了」

ロバートの頭をポンと1回叩いてから部屋の奥に飛んで離れる。

「ガッハッハッハ、自分から罠に掛かりに行くとはバカめ!」


『拘束結界発動』

ロバートが自分のアイテムボックスから魔結晶を取り出して呪文を唱える。

俺の下の床に魔方陣が浮かび上がり、拘束する結界が魔法の茨のように俺に絡み付いて全身を締め上げてくる。


「ぐあぁああああ」

「あれ? これは新型か? まぁいいや・・・馬鹿が自分から罠にハマるなんてな、手間が省けたわ。これであの小さな家に攻め込む理由がなくなったな。俺達がここでスパイギルドの連中と会合していたのはな、こうやって罠を仕込むためなんだよ。おいお前ら、早乙女に隷属の首輪を嵌めてこい」

「ヘイ。こうやって、こう嵌めて、魔石に魔力を入れて・・・あれ?」

俺に隷属の首輪を嵌めて魔力を流すが、魔力を首輪に流したとたんに首輪が勝手に外れて床に落ちる。


「おいお前、なにやってるんだ俺に貸せ! えーーっと、ここをこうして・・・あれ? これ不良品じゃねーのか。違う首輪を貸せ・・・あれ?」

「ゴメンね。俺、隷属の首輪が掛からない体質なんだ。空気読めなくてゴメンね」

「そうなんだ・・・まぁ仕方ないよ。そういう体質の人が稀にいるみたいだし気にすんな・・・って拘束結界は?」

「ぐわぁああ。体が締め付けられるぅ~。助けてくれぇ~」

「気のせいか。よしお前ら、元奴隷商の人間のトリーを連れて来い」


1分経過。

隷属の首輪をしたゴツイ男が地下室に入ってきた。

「ぐわぁあ、ぐるじい、だずげでぇ~~(既に棒読み。蔦の中で三角座りをしている)」

「お待たせしました親分。何の御用でしょうか」

「コイツに隷属の首輪が効かないんだがどうすればいい?」

「難しいですね。隷属の魔法が効かないヤツって拘束結界も、拘束封印も全く効きませんから・・・それで、親分に質問があるんですけどいいですか?」

「おう、なんだ」

「その隷属の首輪が効かない人間を拘束してるこの魔法って何ですか?」

「これはお前が罠で仕掛けた拘束結界に決まってるだろ」

「俺の仕掛けた拘束結界でこんな蔦とか茨なんて出てきませんよ。あれは移動を制限するだけの簡易拘束結界ですので」


「・・・おいおいおいおい、せっかくの俺の名演技が全部無駄じゃん。種明かしが早過ぎるだろ」

「すみません。つい気になってしまって」

「もう少し引っ張らせろよ。でもお前ってまだ20歳ぐらいだろ? 若いのに封印とか結界に詳しいな。俺のこの魔法は木魔法の中級魔法の『蔦がらみ』と『ローズウィップ』の複合でオリジナルの魔法なんだ。『薔薇と茨の拘束』って名前をつけた、見た目だけに薔薇の棘があるけど、締め付けてる部分は棘が行かないように安心設計だな。こうやって薔薇の花を装飾に使える」

蔦のあちこちから色とりどりの薔薇が咲き乱れた。


「薔薇の花が綺麗ですね。これなら奴隷に人気が出そうですね。・・・でも俺せっかく親父の後を継いで必死に勉強したのに、親分に捕まって奴隷の首輪で隷属させられて・・・皮肉ですね。まさか奴隷商の人間が悪人に捕まるなんて」

「それは言えるな。普通こういう時って奴隷商の人間の悪党が黒幕だったりするのがテンプレなのに、お前ってメチャクチャ良い人じゃん」

「そうですね。お前は奴隷商人に向いてないって親父にいつもボヤかれてましたよ」

「やり直せばいいじゃん。なんなら俺が手伝おうか? まずはこの隷属の首輪が邪魔だな」


俺は自分に絡み付いてた薔薇の締め付けを解除して消滅させた。

そのまま元奴隷商の男の目の前に歩いて行って首輪を触って『ロック解除』と魔法を使って隷属の首輪を解除した。

「ほいよ。これで君は自由だな。どうするコイツラ訴える?」

「はい訴えたいです。彼らの悪行は全て俺が証言します。俺以外にも隷属の首輪で捕まってる人が何人もいるので、皆を助けたいんです」

「おし、それなら俺も手伝うよ。さぁ、そろそろ戦闘が始まるからそこで動かないで持ってて」


「おおおお、お前らなにやってるんだ!」

「何って、今後のお前らを警備隊に突き出すって話だな。・・・ロリコンは五月蝿いから死んでるか黙ってろよ。呼吸を止めろよ。部屋が変態臭で臭いだろうが」

「ろ、ロリコンの何が悪いんだ! 俺の勝手だろ!」

「ああ、妄想するだけなら自由だ。脳内を規制する事なんて洗脳しても難しい。妄想結構、想像結構。夢で我慢できるなら自由だ・・・でもお前、何人の女の子を犠牲にしたんだ? 今までで15人の幼女に何をした? お前は死んでいい。もしもアマテラス様が許しても俺が殺すよ。まぁ、先に逮捕されて公開ギロチンの刑は決定だけどな。ここまでのデブだとギロチンは特注でお前専用になるよ。デブで良かったな」


「プギーーー。なぜ人数まで・・・コイツラは絶対に生かしておけん! 親衛隊を全員連れて来い。2人とも殺せ!」

「プギーってただのデブじゃなくて、豚獣人だったのか・・・デブって言ってゴメンね。悪かった。豚なんだもんなぁブタ親分」

「ブヒーー、うるさいうるさいうるさい!」

「アー、五月蝿いなブタ。お前は俺と口喧嘩がしたいのか? ブタはブヒブヒ言って部屋の隅にいろよ。目障りなんだから」

「こ・ろ・し・て・や・るぅうう」


ロバートが飛び掛ってきたのでサッと避けてそのまま魔方陣の拘束結界に蹴って入れるとブタが苦しそうに動けなくなった。

「おお、お前の拘束結界が効いてるな。あ、お前の名前聞いてなかったな」

「あぁ、そういわれてみれば名乗ってませんでしたね。俺の名前は『トリスティックス・アルグライト』といいます。トリーと呼んでください」

「俺の名前は『早乙女さおとめ真一しんいち』だな、真一ってのは発音しにくいらしいから早乙女と呼んでくれ」

2人で握手を交わす。

「プギー、なにやってるんだお前ら、早くこいつを殺して俺の助けろー!」

「親分、今全員集まりやした。おい、お前らこ2人を殺せ!」

「へい!」


「し、しまった、なんだと・・・15人全員そろっただと」

「バカめ! 早乙女、これでお前もお仕舞いだ。トリーもここで死んでしまえ」

「トリー違うって、待ってたんだって。やっと全員そろった。待ちくたびれちゃったよ。『ショック』はい。終了」

ガラガラガッシャンと音がして15人のフルプレートアーマーを来た親衛隊が全員崩れ落ちる。

「ブヒ! なんで!」

「あ、お前を忘れてたよブタ。『ショック』これで全員か。しかしこの国にはまともにレジストも出来ない人間が多過ぎる」

「早乙女さん、それは仕方がないんです。この国は以前、魔法文明が栄えて人間が増長して聖獣白虎様の逆鱗に触れて滅んだ経歴があります。それがこの国の始まりなので、国民の意識の中に魔法への強い憧れと、魔法の発達を素直に喜ぶ事が出来ない気持ちが同居してるんです」

「なるほどなぁ、この国には『魔法使いギルド』もないもんな」

「農作物と自然の恵みだけでこの国は豊かですからね。魔法の発達にそこまでの関心のありませんし、まだ農業だけでも発展する余地はかなり残ってますので。ですので魔法を覚えるより商人になった方が楽にか稼ぐ事が出来ます。教会以外で魔法を教えてくれる人もいないので、魔法の才能がある事が分かると他国に留学する人がほとんどです」

「そうだよなぁ、無いなら無いで生活できちゃうのが魔法だもんな。まぁ、その話は後にしてコイツら全員を警備隊に突き出そう。コイツラの乗ってきたゴーレム馬車を連結して運べば簡単だろう」


アイテムボックスからロープを取り出して全員を縛り付けて1人ずつ上まで運ぶ。

「トリーって見た目以上に体力無いなのな」

「早乙女さんって凄いんですね。俺は2人しか運べませんでした」

「まぁ、俺もBランクの冒険者だからな」

「凄いですね。でも俺って鍛えたこと無いんですよ」

「その体でか? もったいないよ。でも商人には必要ない事だもんな」

「いくら俺が鍛えたところで親分って体重200kgあるんですよ? あれが運べるとは到底思えない」

ゴーレム馬車を3台をロープで縛りそのまま移動を開始する。

人数が多いので牢屋の関係上警備隊の本部に行く事になった。

先頭のゴーレム馬車の運転をトリーにお願いして俺は3台目のゴーレム馬車の屋根の上で横になる。


「ふぁあーあ、今日は寝そびれそうだな。これから警備隊の本部で説明しなきゃいけないしなぁ」

警備隊本部に到着するまで寝る事にする。今日は一日でやった事が多過ぎだな。

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