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船を作った。だけどまだ実験段階っす。

「ああそうだな。みんなに紹介するよ。皆は見た事ない生物だと思うけど、俺が前に住んでいた日本って国ではこういった種類のぬいぐるみが多く売られていたんだ。名前を順番に説明するよ・・・『パンダ』『レッサーパンダ』『コアラ』『タヌキ』『キツネ』『ウサギ』『柴犬』『三毛猫』『リス』『オスライオン』『ペルシャネコ』って名前をつけた。首につけたチェーンにネームプレートがあるから、そこに書いてあるのがゴーレムの正式登録名だな」

「愛玩ゴーレムたちのデータもホワイト達のメイドゴーレムによって内蔵された念輪によって統括されて管理されてるから、客に教えてもらった呼び名は1体ずつに教える必要がない。会話した内容も全部がゴーレム達に共有化されている。だからお客が来てゴーレムたちと会話する事によってデータがドンドン溜まって行くシステムだ」

「しん様・・・でも、話もしてないゴーレムにあだ名で呼ばれたらビックリします」

「それの言い訳はこうだよ。さぁ、キツネ君話してごらん」


「うん。あのね、クラリーナさんがおはなししてるのがきこえたの。ボクってミミがいいんだよ!」

「と、まぁこんな感じで言い訳してくれるよ」

「ああ、なるほど。そんなこと言われたら納得してしまいますね」

「それにしても・・・幸せ。何この愛くるしいゴーレムたちは・・・これがもふもふ天国・・・」

「ミーと同じ事を考えてたよ。しん君凄いね・・・これが、もふもふの魔力」


「まぁそういうことで今日はここに友達とかを連れてきて、ここで一日過ごすといいよ。セバスチャンとマリアも置いて行くから、2人に頼めば料理も買い出しもしてくれる。友人も20人ぐらいまでは入れるから客を店舗の中に詰め込んだ場合の状況がどうなるのかも併せてテストして欲しい」


そういって俺はコーヒーを飲み干して通路を通って自分の下駄箱の鍵を受け取り外に出る。

俺のテーブルとクッションと飲み終えたコーヒーカップはブラウンが回収してくれた。


ブーツを履いて腰に天乃村正を装備してから大森林の南側で、以前るびのとオーク狩りで待ち合わせをしていた場所に転移する。

ここからだとヨークル川の支流が近いのでそこに行く。


歩いて行くのは訳がある。

自分で魔糸溶解液を作るために『溶解クモ』の糸玉を拾っていきたかった。

セバスチャンとマリアが大森林に行くといつも持って帰ってきてくれるが、今日は船を作るのに船の防水用のコーティング剤として魔糸溶解液は欠かせないものだからな。

この周辺は森林バッタがたくさんいて溶解クモが数多く巣を作ってると、セバスチャンとマリアに教えてもらってる。


数百の溶解クモの糸玉が集められたので・・・これだけあれば何艘でも作れるだろう。

糸玉集めは終えて気配を弱くして歩いてるとオークが襲ってくるので美味しくいただく事にする。

「とーんこつ。それ! とーんこつ。そいさ! とーんこつ」

食材としてオークは使い勝手がいいので、ついつい歌を口ずさみながらオーク狩りをしてしまう。

るびのと同じ歌を歌ってることに途中で気付いた。

・・・俺に似たんだな。ごめん、るびの。


支流と言っても川幅は200m以上あるし、深さも20mぐらいはあるので船の操縦での実験には良い場所だと思う。付近を通る船もないし。


気配と封印していた魔力を元に戻すと周辺にいた魔獣は逃げていった。

遠見魔法もイタズラが過ぎたのか、死んでないダイイングメッセージが予想以上の効果があったのか、あのとき以来、何もないな。


俺の忍術スキルを乗り越えて監視するのは不可能だから・・・諦めたか?

昨日はミノムシも作らなかったし、諦めてくれるとうれしいんだけどな。


まずは実験用でデータを取るために、このイーデスハリスの世界では従来どおりのゴーレム船でこれは『双胴船』となってる。

船の動力はプロペラではなく地球でいうところの『ウォータージェット方式』になってる。

魔法バンザイな世界なので転生者で船に詳しい人がいて作られた技術だろう。

俺にもその人の技術と知識と経験が入ってるので、このまま作るだけなら材料さえあればすぐに出来る。


オーガ鋼製でコーティングは魔糸溶解液。

動力部にクズ魔結晶と魔石を配置して魔力でウォータージェット推進の力を得ている。

それらの動力を効率的に推進させるために多少質が悪くても大きい魔結晶が各舟艇に2つと、それを連動させて動かすための魔結晶が運転席に1つで合計5ついる。


キラービーナイトからとった魔結晶を5つ使用して仕上げる。

船の運転は俺の経験にはないが、コピーされた経験と知識があるので操縦には問題がないが、せっかくのゴーレム船になるんで、俺の中にある船の操縦技術と知識と経験をクズ魔結晶に封入して運転席の魔結晶にサブとして取り付けた。MAP・アイテムボックス(中)なども入れたかったんでサブは合計3つもつけてしまった。

これでこの船も自動操縦が出来るようなった。


双胴船はスピードが出せて荷物がたくさん乗せる事が出来るが、小回りは利かない。だから倉庫街の各倉庫には小型船がたくさんある。これを使って倉庫に船をつけるためだ。


俺の作った双胴船は・・・双胴船でも『ハウスボート』っぽくなってしまったな。

こっちの船の名前は『ハウスボート』でいいな。

荷物を運ぶためだけの船じゃなくて夫婦で船を使った川移動の快適な居住空間って考えたらこうなってしまった。

キャンピングバスと同じで窓は取り付けなかった。魔法で外は見ることはできるし。

操縦席もキャンピングバスと同じように全員で座れるように展望デッキとしてハウスボートの2階部分に設置した。全面ガラス張りだが外から中は見えにくくなっている。

展望デッキのソファーはキャンピングバスにある専用ソファーと同じ大きさにして、こちらも個別の専用ソファーにした。


船の長さは10mで船の横幅は5m。ハウスボートの建物の長さが8mで横幅は船と同じ。

中の内装はキャンピングバスには似てなくて運転席の下は、ここにも専用ソファーを置き自宅の居間の様な居住空間だ。

居住スペースの後ろにはトイレが設置してあって出入り口とトイレの間に上に行く階段がある。階段の下には簡単なキッチンを設置した。

1階部分の最後尾はベットルームにした。長さ2m幅は横幅全部使っている。


完全にハウスボートになってしまったな。

だけど魔石と魔結晶をふんだんに使用したパワーは凄いので35ノット以上のスピードが出せる超高速船だ。風の抵抗が凄そうで完全アウトな形なんだけど、流石のファンタジーで風除けの結界が施してあるので問題なかった。


ヨークルと首都シーパラの距離は約1200kmある。

双胴の荷物運搬用高速ゴーレム船で24時間かかるって聞いてるので、ノット換算に計算すると27ノットぐらいだな。

俺が作ったような小型の超高速ゴーレム連絡船で夕方3時に出発して翌日の8時に到着するから17時間ぐらいって言ってたので40ノットぐらいは出るみたいだな。


ハウスボートを実際に走らせてみた。

船の喫水線よりも下には水圧などを測定させるための魔石を薄いプレート状に加工したパネルが幾つも取り付けてある。この船はあくまで実験用の船だからな。


ウォータージェット方式だと『水の吸い込み口』があって、配管を通る水を魔力で加速させて『水の排出口』から水を押し出して船を推進させる。

この流れを逆に動かせば船は逆進する。

このハウスボートも吸入口が前部に3個、排出口が後部に2個。双胴船なので倍ある。

この流れと舵を使って船をコントロールさせて操縦する。

普通のプロペラ式は動力でプロペラを回して推進させて舵で方向変換。


俺が考えてるのは・・・

『魔法を使ってるのにワザワザ配管通さなくてもいいんじゃね?』


魔石をパネル状に加工して転送魔法で水を吸い込んで別の魔石に転送させて直接押し出せばいいじゃん。

パネルを小型化させて数多く設置、それを宇宙空間でのバーニアやスラスターのように使えばもっと運動性は向上するんじゃないかなって考えた。

船じゃ普通はありえない複雑怪奇な動きも可能なんじゃないかと思って実験したかった。

水が船の推進に抵抗として圧力を受けた場所の全てから圧力分の水を転送させれば『水の抵抗ゼロ』まで目指せるんじゃないのかと考えてる。


双胴船では実験データに違いは出ると思うが、俺が作ろうとしてる船はまだ形にもしてないので実験は無駄にはならないだろう・・・と思う。


このハウスボートも形の割には運動性はあるし、風も穏やかでここは川だから波がそこまで高くならない分、スピードが出せる。40ノットはいけそうだ。

小回りは絶望的だけど。

双胴船だと弱点は小回りのなさと『波のうねりで生まれる歪みによる船体へのダメージの多さ』だと俺のもらった知識と経験にも入ってる。

双胴船だと高い波でうねりが強い外洋にはあまり向いてない。ダメージが大きいから船の耐用年数に影響が出やすい。

大型化すればそれはそれで色々問題が増えてしまいそう。


そろそろお昼の時間だしデータも集まってきてるので自動操縦で川の流れ分動かせて、この場所を維持させるように設定。

俺はキャビンスペースに降りて昼食を食べる事にした。

今日はボッチな昼食だ。

久しぶりに俺がこのイーデスハリスの世界に来て1番最初に食べた物・・・焼いてあったが残ってるクマのステーキにする。ポテトサラダと冷製のかぼちゃのスープをつける。


あの20日前と同じようにボッチで食べてるんだが・・・感慨深いな。

たった20日で激動な時間を過ごしている。

嫁を3人ももらうなんて考えてもいなかったし、結構楽しく過ごせているのはやはり日本には残してきたのが少ないからだろう。

じぃちゃんばぁちゃんが死んで結婚する事を考えた愛梨とも別れてから、イーデスハリスの世界に来てるのが大きい。


このまま年もとらずに何百年もこの世界で過ごすうちに、もしかしたら地球に帰りたくなるかもしれないが、今のところは帰る手段もないし・・・ゴッデスにお願いすれば日本を見るだけぐらいなら出来るだろうとは思うが・・・今のところはどうでもいいな。

まだそんな気分にはなってない。

今の欲求は『焼肉のタレ』と『豊富な魚介類』だけだしな。

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