ゴーレム製造・・・いっぺんに作りすぎっすか?
8・12修正しました。
セバスチャンとマリアは既に待ち合わせ場所で待機していた。
緊急の連絡はなかったようなので、報告は後回しにして皆でそのままニャックスの巣に転移した。
ここでもるびのは既に待ち合わせ場所で待って、ニャックスたちと楽しそうに話していた。
ニャックスたちに礼を言ってから早乙女邸のるびのの外部屋に全員で転移する。
るびのの世話をセバスチャンとマリアの二人に頼んで俺達夫婦はアゼット迷宮付近のヨークルの外門近くに転移した。
街道に出て安全を確かめてからキャンピングバスをアイテムボックスから取り出して全員で乗り込み発車させる。
ヨークルの外門から入ってそのままクラリーナの実家にキャンピングバスを走らせた。
実家にたどり着くとクラリーナだけがキャンピングバスを降りて家の中に入っていった。
俺達はそのままキャンピングバスの中で待機する。
クラリーナが弟君を伴ってキャンピングバスに入ってくる。
「しん様、弟がどうしてもお礼が言いたいって聞かなくて」
「早乙女さん、こんな綺麗なナイフと帽子をありがとうございます。この度正式に聖騎士団への入団が決定して、誕生日の翌日・・・明々後日ですね。明々後日から聖騎士団の訓練所に通うことになりました。このナイフを見て今後は精進していきますので、今後ともよろしくお願いします」
綺麗な姿勢で頭を下げる弟君。アマテラスの言葉通りまともな人間だな。
ホントに聖騎士団の団長クラスになりそうだ。弟君の今のこの気持ちを永遠に忘れて欲しくないな。
「君に贈った今回のプレゼントは2つ。どちらのモノもこれから君を守ってくれるだろう。それを正しく使って君は誰かを守ってくれ。そのナイフの鞘には『再生』の魔法を俺が込めておいた。だからそのナイフを使って誰か大事な人や君自身の命を守ろうとする時には一切躊躇することなく使用してくれ。例え刃が欠けようと根元から折れようと鞘に戻せば元通りになる。俺が『バスカトル家』という代々続く聖騎士ために作ったんだ。『聖騎士・バスカトル家・再生』この3つの言葉の真意を君への誕生日プレゼントとして我々夫婦から贈らせてもらうよ」
「・・・皆様、ありがとうございます。この美しいナイフを我が家の守り神として代々伝えていきます」
「それとそのナイフは手入れが一切必要ない。切れ味が落ちても鞘に戻せば元通りになるから」
「刃物の扱いの慣れない私のために、ワザワザありがとうございます」
それではと、全員で弟君と握手を交わしてクラリーナの実家を後にして、キャンピングバスを早乙女邸に向かって走らせた。
いつものように人が歩くよりは早いぐらいの時速10kmほどでヨークルの街中をキャンピングバスで走っているとクラリーナが話しかけてきた。
「しん様ありがとうございます。私の弟や実家の行く末まで案じていただいて」
「そこまで思っての事ではないよ。ただクラリーナの弟君はアマテラス様が『聖騎士団の団長にもなれる器の持ち主だ』って言ってたからね。聖騎士団に入る前にビシッと気合を注入させてもらった」
「馬鹿ねぇ、しんちゃん。クラリーナにはそれが一番ありがたいと思うよ」
「そうなんです。ミーさんの言うとおりです。しん様が弟にかけた言葉『聖騎士・バスカトル家・再生』この言葉が1番の誕生日プレゼントだと思っています。弟もそれに気付いてくれるはずです」
「そうよね。あの弟君ならしん君が言うようにアマテラス様が気に入りそうな真面目で実直な男かもね。今の若い内に精神的にも逞しくなれば出世は早そうね」
「アマテラス様も同じような事言ってたよ。弟君はクラリーナの事件を乗り越えて精神的にも肉体的にも逞しく成長するって。だから俺達は後は見守るだけだな」
「そうですね。見守って弟が道を踏み外しそうになったら蹴飛ばしちゃいましょう!」
「おー、クラリーナの怖いお姉ちゃん宣言」
「アイリさんヒドイです」
キャンピングバス内に笑い声が響く。
そのままキャンピングバスを早乙女邸に乗り入れガレージの中で停車させた。
時間が中途半端に余った。キャンピングバスを降りながら皆に尋ねた。
「17時かぁ、中途半端に時間が余っちゃったな。皆はしたい事はある?」
「しんちゃん、ガレージだし私はこのまま地下練習場にいくよ。師匠ゴーレムとレイピアの練習をしてくる」
「私も一緒に訓練していくわね。師匠ゴーレムにシールダーの勉強をさせてもらう」
「それなら私も同行します。杖術のおさらいをしたかったので」
「ミー、ロングソードの師匠ゴーレムにはレイピアの技術も入ってるから、それに訓練してもらえばいい。・・・それじゃあ俺も地下練習場でゴーレムでも作ろう。晩ご飯はセバスチャンたちにお願いしとくから、皆は先に行ってて」
嫁達はガレージから直接地下練習場に降りていった。俺はセバスチャンに念輪の回線を開く。
「早乙女だ。セバスチャン聞こえるか?」
「聞こえておりますご主人様」
「今日の晩ご飯を作っておいてくれ。メニューはお任せだ」
「了解しました」
セバスチャンの回路を切って、今度はマリアに繋げる。
「早乙女だ。マリアは聞こえてるか?」
「マリアです。ご主人様聞こえています」
「マリアはキャンピングバスの清掃をしておいてくれ。タイヤの石取りも頼む」
「了解です」
マリアとの念輪の回線も切って俺もガレージから地下練習場に続く階段を下りていく。
地下練習場では師匠ゴーレムがロングソードをレイピアのように使ってミーの練習相手になっていた。
杖術の師匠ゴーレムはクラリーナの足運びを指摘して指導中。
アイリは魔獣ゴーレムの猛撃をひたすら受け流す練習をしていた。盾職の師匠ゴーレムがアイリに自分で気付けない部分を客観的に見てもらってアドバイスを受けてる。
俺は空いてる部分で材料をアイテムボックスから取り出してユーロンド隊の4~10号の7体を作り上げる。
早乙女邸が3体。倉庫が5体。店舗&事務所が2体で何とかなるかなっていう計算だ。
建物や敷地面積を考えると妥当かなって感じだな。
倉庫は広さはあるが中に何もないがらんどう状態だからな。5体は予備も込みだな。
店舗の方はホワイトたちが常駐するし事務所側の防衛と店舗防衛予備だな。
まずはおやっさんが作ったユーロンドたちの原型の鎧から先に作る。
『防具製造』
スキル魔法を展開させて基本がオーガ鋼のフルプレートアーマーで全く同じ形の物を7体作る。
外骨格型のゴーレムで中身は森林モンキーの尻尾が詰まってて森林モンキーの尻尾を動かして鎧が動く。
頭脳は今日退治したキラービーナイトからドロップした魔結晶7個に小さなクズの魔結晶を2個ずつ入れておく。
『ゴーレム製造』
いつものようにハード部分から作り上げていく。ユーロンド達と同じように表面はミスリルコーティング処理をしておく。
ソフトの基本で騎士や剣士の知識や経験を入れて、サブの魔結晶に武器の技と魔法を封入していく。
ヒール・ショック・スリープなどの簡易的な攻撃の魔法が中心だ。
武器は相変わらずに悩む。拠点防御用なので刃物よりは打撃系のほうが怪我は手加減できる。
不法侵入ぐらいで殺したり重症を負わせたりすれば厄介な事になりそうだしな。
1号はシールダー。2号は双鞭。3号は棍。
ここで一時的にユーロンド1~3号も地下練習場にきてもらう。
少し手直しもしたかったしな。
それで今回は4号~10号になるんだけど・・・ホントに悩むな。
とりあえず4号はトンファーにした。防御力はシールダーに近いからな。
5号は悩んで万力鎖にした。攻撃よりも捕獲が優先だからな。ただし分銅の間の鎖は森林モンキーの尻尾を編んで作ったので、伸び縮みしちゃうんで正確には鎖じゃないんだけど・・・まぁいいか。
6号からは繰り返させた。
1号6号がシールダー。2号7号が双鞭。3号8号が棍。4号9号がトンファー。5号10号が万力鎖。で決定した。
見た目が全く一緒になってしまったので1~5号は肩に1本線、6~10号は2本線の階級章みたいな白いラインをつけた。コレでわかりやすくなったかな。
わかりやすくなったところでユーロンド1~3号には早乙女邸内の防衛任務に戻ってもらう。
サクッと武器とそれに伴うスキルを封入してゴーレムを起動させる。名前を付けて完了。
今作ってて気付いたんだが倉庫だと建物がデカ過ぎで屋根の防御力が低いな。
ユーロンド達は重さがあって屋根の上の立ち回りは難しい。
・・・こっちもゴーレムを作るか。
屋根専用だから重力は軽くしないとな。魔法で軽量化するか・・・空を飛ばすか。
そういえばワイバーンの骨や皮、翼もあるし・・・ワイバーンタイプで1mほどの大きさ。
骨格はワイバーンの骨を圧縮してミスリルでコーティング。
筋肉は定番の森林モンキーの尻尾。皮膚はそのままワイバーンでいいな。
魔結晶はユーロンド達と一緒にして、このゴーレムには格闘はいらないな。忍術を入れておく。
武器はない。ミノムシにするためにヒモで縛るだけだな。翼は付いてるが羽ばたく事もなく飛翔魔法で無音で飛び回る。
魔法はショック・スリープがあればいいな。無手格闘術さえあればいい。
忍術スキルの気配探査と魔力探査は必須だな。
『ゴーレム製造』
スキル魔法で尻尾まで含めた全長が1mぐらいのワイバーンを可愛らしくデフォルメしたゴーレムを3体作る。
先程考えたスキルと魔法を封入して終わり。
ゴーレムを始動させて名前をつける・・・色も真っ黒にしたので『忍』3体で1号2号3号にした。
この3体も見た目が全く一緒だから見分けが付かなかったので、肩に階級章ラインを1号が1本。2号が2本。3号が3本にした。ラインの色はこげ茶色なので見難いが、しょせんは忍だからな・・・目立ってどうする?
コレで完成した。
明日にでもまた商業ギルドに行ってユーロンドたちを追加で登録してこないとな。
・・・今から行ってくるか。
「訓練中に悪いけど皆聞いてくれ。ユーロンド達が完成したから、今から商業ギルドに行ってゴーレムの追加登録してくるよ。すぐ終わると思うから皆はそのまま訓練を続けててくれ」
そういって俺はゴーレム10体をアイテムボックスに入れて、そのまま冒険者ギルドの裏庭の木陰に転移。
いい場所見つけたな。
ここなら人に見られないし、転移でヨークルの中心街の真ん中付近に出られる。
そのまま裏口からでて、商業ギルドに向かう。
商業ギルドに入り会議室を借りてゴーレムの登録を行い、帰ろうとしたときに商業ギルド職員に停められた。
おくからリーチェが走ってきた。
今日渡しておくのを忘れていた『店舗の会計用の商業ギルドカード付きの魔水晶』と魔水晶の金額設定のマニュアルだった。
そういえば、コレがないと会計できないことに今気付いたよ。
完璧に忘れていた。
・・・リーチェも忘れていたらしい。
俺が日が沈むまでにギルドに来なかったら、リーチェが家にまで届けようとしていたみたいだった。
用が済んだので商業ギルドを出て、また冒険者ギルドの裏庭から自宅に転移で戻る。
脇目もふらずに一直線。目的だけ達したら即帰宅。俺っぽくないな。
自宅のガレージに転移魔法で帰って来て自分の全身にいつもの3点セット魔法で浄化する。
地下練習場にいくとみんながちょうど訓練を終えてシャワー室に向かうところだった。
「みんな練習終わったの?」
「はい。今一区切り付いたので終了しました。今からみんなでシャワーを浴びてきます。しん様、何かありましたか?」
「別に何もなかったよ。じゃあごゆっくり。俺はるびのと話でもしてくるよ」
今地下へと降りてきたばかりだけど、そのまままたガレージに上がって行った。