早乙女商会の結成。もふ天はこれから煮詰めるっす。
遊び過ぎたな。嫁が全員風呂から出てきてしまった。
俺はこれから入りに行く。
そういえばここの風呂に俺1人で入るのは初めてか?・・・なのかもしれない。
かけ湯をして湯船に入ると、一人っきりだと風呂のデカさが際立つな。10人は入れそうなお風呂って事で作ったけど・・・デカすぎるな。
体を洗おうとして、以前乾燥したヘチマをマリアかセバスチャンが拾ってきてくれたのを思い出した。
長いから背中も届くが・・・まぁ、こんなもんだな。
ちょっと痛そうだと思ったけど、俺のステータスにはヘチマじゃな。
3点セット魔法でヘチマを浄化して乾燥させてから、アイテムボックスに入れて片付ける。
サッパリしたので風呂を出て自分に乾燥魔法をかけてサラサラにさせるとガウンを着て居間に戻る。
ヘチマに3点セット魔法をかけて思い出したが、ホワイト達に3点セット魔法を封入するのを忘れていたな。
忘れないうちに3体に入れておく。
アイテムボックスの中も入れておかないと。
コーヒーカップや紅茶用のカップ。後は入れたてのコーヒーや紅茶やハーブティーが入ってるポットなども収納して行く。
皆は寝室に寝に行ってしまったので俺も寝る事にした。
寝る前に今日作ったゴーレムを俺のアイテムボックスに全部入れておく。
翌日の転生19日目は朝から快晴だった。日中は少し暑くなりそうだ。
今日もマリアが朝に入れてくれたコーヒーの匂いで目覚める。いつものように俺は顔を洗いにいき、帰ってくると次はクラリーナ。最後はミーとアイリが二人一緒。
着替えながらの朝食。
今日の朝食はいつものサンドイッチではなくロールパンにした。
バターが自作できるようになったからな。ホカホカの焼きたてロールパンにバターを塗って食べる。
コレがとてつもなく美味かった。
俺がバターをたっぷり使ってるので嫁達も真似して無言でガツガツ食べてる。
サイラスの甲殻鎧を装備して、先にるびのをニャックスの巣の近くに送っていく事にした。
るびのの外部屋に行く。
今日はるびのは初めてたった一人で岩場に挑む。
セバスチャンの見立てでも大丈夫みたいなんで、今日はセバスチャンもマリアもるびのには付けずに大森林で木材集めをやってもらう。
念輪もあるし近くにはニャックスもいるし大丈夫だろう。
「じゃあ、今日はるびのは1人で大草原の東側、ニャックスたちが住んでる岩場に送るからな」
「うん。無茶はしないから大丈夫だよ」
「おう。まぁニャックス達とも狩りを楽しんで来い。ニャックスと炎虎達はるびのの昔の部下の子孫なんだから、るびのと一緒に狩りがしたかっただろうからな」
「うん。とうちゃん、早く行こうよ!」
「そうだな」
転移魔法でニャックスの巣の近くに行くと、ニャックスたちが出てきた。
「ニャックス、おはよう。今日はるびのがこの岩場で狩りがしたいと言ってるから、ここまで連れてきたよ。昨日ニャックスがるびのに言った大型の大鹿魔獣が狩りたいそうだから、案内してやってくれ頼むな」
「おお、るびの様お待ちいたしておりました。是非一緒に狩りをしましょう!」
「じゃあ、何か異常があったら念輪で連絡をくれ。ニャックス後は任せるな」
「お任せください」
「とうちゃん、じゃあ、夕方ここでね」
俺は転移魔法で自宅に戻る。
今度はセバスチャンとマリアを大森林に送る。
場所はオークの集落があった大森林の南側が大型の木材が多そうなので後は2人に任せる。
嫁を連れて商業ギルドにキャンピングバスで向かうことにした。
朝の倉庫街は昨日の俺がやったミノムシ遊びで、自宅を出た時に警備隊の隊員が俺に話が聞きたいと、ちょうどやってきたところだった。
警備隊の隊員さんをキャンピングバスに乗せて、彼の案内で警備隊詰所に行く。
「おはようございます。早乙女です。何かありましたか?」
「いえいえ、早乙女さんの自宅を何人かが覗いて倉庫で捕まる人間が多発してましてね。それで話をさせていただきたかっただけですよ」
「まぁ、俺には覗きがどうなろうが知ったこっちゃないって言うのがホンネですね」
「それは間違いないですが、変なヤツが増えてるって事で注意を呼びかけさせていただいてます」
「わかりました。家はゴーレムが守ってますので無敵です。ではもうよろしいですか?」
「はい。注意を呼びかけてるだけですので・・・失礼しました」
そのまま警備隊詰所を後にする。
彼らも俺に聞きたい事は山ほどあるだろうけど、俺がやったという証拠すらないから、俺に無理矢理聞くことも出来ない。
俺はショック魔法で気絶させて、魔法でグルグル巻きにして吊るしただけだ。
それを見た人はいないし、証拠もない。
俺が捕まえて警備隊詰所に突き出したのならともかく、捕まえたのは倉庫番の人達でミノムシは倉庫の敷地内で逮捕されてるんだから不法侵入の現行犯になってる。
捕まえた犯人からは俺を誰かに頼まれて覗いていた事と頼んだ相手の情報しか警備隊にはあがってこないのだ。
逮捕も捕獲も俺には関係がない。
俺を事件に関係させようとするには、捜査中の事件の詳細な話を俺にしないといけなくなるだろう。
俺はそれが目的なんだし。
捜査を公的機関にさせて自分は高みの見物がしたいからな。
しかし俺に話をする事も捜査中の事件の情報の漏洩になってしまう。
俺が自分から聞けば彼らも俺から情報を引き出そうとするが、俺からは話をしないので彼らも切り込めないのだろう。
しばらくは警備隊とこんなやりとりが続きそうだな。
キャンピングバスを走らせて商業ギルドに向かう。
今日は覗こうとしてくる人間はまだいないな。遠見の魔法を使っていたヤツラは全員ダイイングメッセージつきで気絶させたし、家の近くをうろついていたストーカーのヤツラは全員ミノムシにされて、既に警備隊に突き出された後だし。
商業ギルドのゴーレム馬車置き場にキャンピングバスを乗り入れて停車。
4人で商業ギルドに入っていった。
受付でリーチェの確認をしてもらったら、今日は出勤していたので呼び出してもらう。
俺達は以前時と違って受け付け前のシートに座って待つ。
会議室で今日は話がしたいからな。
「早乙女さん、お久しぶりですね。新しい物件でもお探しですか?」
「リーチェさん、お久しぶりです。今日は相談があってここに来たんですけど、内密な話なんで会議室って使えますか?」
「わかった大丈夫だよ。ここはボクに任せて」
リーチェは受付まで行って鍵をもらってくる。
会議室3の部屋に全員ではいると先に封印の魔法を部屋全体にかけて声を漏れないようにした。
リーチェが驚いてるが説明は後だ。
「とりあえずコレでここの声は外部に漏れないようにした。内密の話なんですまないが皆のためだ。まずはクラリーナを紹介しよう。彼女も俺の嫁になったクラリーナだ」
「初めまして、『早乙女・クラリーナ』です。クラリーナとお呼びください。まだ冒険者に成り立てで、早乙女の妻です。今後ともよろしくお願いします。」
「こちらこそ初めまして『リーチェル・ハナザワ』です。この商業ギルドの不動産部門の責任者をしています。今後ともよろしくお願いします。堅くならずにリーチェって呼んでね」
「リーチェに相談したい事って言うのは、みんなで話をしていて・・・店を開こうと考えてるんだ。それで商業ギルドに所属して『早乙女商会』を立ち上げようと思った。リーチェには出来れば良さそうな物件と商会を立ち上げるため信頼できる商業ギルドの人間を紹介してもらおうと思って」
「私が全部教えますよ。コレでも長年ここの商業ギルドで働いてますから。それに・・・責任者って部下を育てちゃうと意外とヒマになっちゃうんですよ」
「おおお、リーチェが俺の担当になってくれるのはありがたい。それで開こうと思ってるのは『喫茶店』です」
「喫茶店ですか?ヨークルにはたくさんあって新規参入は難しいですよ」
「まぁ、趣味全開の店になりますので儲けは度外視ですね。他の喫茶店とはメインで売るものがまったく違います。俺が売るのは『癒し』です。それ以外は普通以下の喫茶店ですね」
「癒しですか?想像もできないのですが」
「まぁ、見せたほうが早いですね」
アイテムボックスからおーとまを取り出す。
「ごしゅじんさま、おはようございます。アイリさん、ミーさん、クラリーナさんもおはようございます」
ペコリト頭を下げてまた転がってしまう。うんしょって感じで起き上がる。
「ね、ねぇ、早乙女君、これってなに?」
「これは俺が『癒し』の為だけに作ったゴーレムで名前は『おーとま』だな。おーとま、あいさつして」
「はじめまして、おーとまといいます。おねーさんのおなまえは、なんですか?」
「ああ、ボクのなまえはリーチェだよ。リーチェって呼んでね」
「リーチェさん、おはようございます。これからよろしくね」
リーチェがトロンとした目でおーとまを見ながら、おーとまの頭をなでている。
「な?コレと会話してるだけで癒されるだろ?モフモフで触ってるだけでも癒されるだろ?。俺が作る店ってのは『もふもふ天国』だ」
「これがゴーレム・・・凄いね。これはハンパない凄さだね。コレを売るの?喫茶店?」
「おーとまは非売品。こいつらは店内を不規則に徘徊させるだけだよ。他のも出すか」
クマ・コー・ウルフを出す。会議室のテーブルの上を4体のゴーレムがポテポテ歩いてたまに転がる。
「こいつらは喫茶店内を不規則に徘徊するだけで、おさわりは自由。・・・まぁ、そんな店だな。もちろん盗まれないように移動禁止の封印をかけるから、アイテムボックスの亜空間にすら入れられない。入れても転送魔法で戻ってくる」
「それと、店で働く従業員も全員ゴーレムだ。コレも見せたほうが早いな」
アイテムボックスからホワイト達を3体取り出した。それでホワイト達に注文を実際に取らせた。
「ホワイト、俺はコーヒーをくれ」
アイテムボックスから準備してあったコーヒーカップに、ポットから注いで目の前に置かれる。
見た目は愛らしいサルでもメイドの作法は完璧なので流れるような美しさがある。
嫁達はマリアとセバスチャンで慣れてるので、なんともないが目の前のサルが完璧な美しい作法で紅茶を注がれたリーチェは固まってしまっていた。
「このゴーレムたちが店で働きます。ですので人間はいませんし雇いません。暴漢が店で暴れる事も不可能なほどこのゴーレムは高性能ですので、何も問題ないですよ」
「ゴーレムは商業ギルドで登録しますか?」
「はい。早乙女商会所属で登録します」
「それだったら先に商会の立ち上げをした方がいいのかも知れませんね」
そういってリーチェは自分のアイテムボックスから書類を取り出す。
「早乙女商会の代表者は早乙女真一様でよろしいですね?。副代表はどうされます?」
「副代表は嫁3人でお願いします」
「わかりました」
「それでは早乙女商会に入れる運転資金の資産はいかがしますか?」
「今から入金でも大丈夫ですよ。この4人で5000万Gずつの2億Gを溜めておきます」
「2お・・・了解しました。では皆様方、ステータスカードを準備してください」
リーチェは流石のプロだな。
あまりの金額の多さに一瞬声を上げそうになったが、すぐに立ち直った。
4人ともステータスカードを取り出して、会議室のテーブルの上にある魔水晶にかざすとブーンという音とともに1人5000万Gが入金される。
「ではこちらの書類に皆様方のサインをください」
会社の名前しか書いていない紙の、代表者のところに名前を書く。
ギルドに預ける書類と自分達の書類と2枚にサインする。
嫁達も副代表の横に1人ずつサインをして終了。
「これで商会の立ち上げは終了です。こちらがが商業ギルドカードになります。皆さんの名前など個人の情報をご確認ください」
リーチェに言われたのでカードに記載されている内容を他人には見えない部分まで確認する。
金額もきっちり2億入っていた。
「間違いなかったですね」
「それではこれから先にゴーレムの登録にいきましょうか」
登録って言っても冒険者ギルドに登録した時と何も替わらない。名前を登録するだけだ。
もらったネームプレートはネックレスタイプにして、ゴーレムそれぞれに取り付けた。
「リーチェに聞きたいんだけど、防犯のためにおーとまたち愛玩ゴーレムの方のネームプレートは金銭のやりとりを出来ないように登録できないか?」
「それは出来ますよ。じゃあ、四体のゴーレムですね?」
魔水晶をネームプレートに当ててなにやら登録したら使えなくなったようだ。
「これでゴーレムの登録は完了しました。後は店舗の話に入ります」
「よろしくお願いします」