バイド村からゾリオン村へ移動の開始。天気は雨になっちゃったっす。
1・15修正しました。
転生17日目の朝。今日はマリアのモーニングコーヒーの香りで目覚める。
今日の天気はあまりよくなさそうだ。雨が降ってきそうだな。
「マリアおはよう」
「おはようございますご主人様。ただいま5時55分です」
「顔を洗ってくるから俺はコーヒーを頼む。朝食は昨日のスモークサーモンのサンドイッチだな」
「承知しました。・・・ミネルバ奥様、クラリーナ奥様おはようございます」
「しんちゃん、マリアおはよう。私は今日の朝はカフェオレで。朝食はしんちゃんと同じでいいよ。アイリの分もお願いね」
「承知しました」
「マリアさんおはようございます。私も同じサンドイッチをください。ドリンクはミルクティーで」
「承知しました。・・・アイリ奥様おはようございます」
「クラリーナおはよう。洗面所空けたよ。ミーとアイリもおはよう」
「しん様おはようございます。では行ってきます」
「しんきゅん、おふぁーよーーぅ。みんにゃもおふぁーよぅ」
俺はそのまま防具へ着替え始める。
うん・・・いつもの光景だな。
俺がおきて洗面台に行って顔を洗う。
その間にクラリーナとミーが起きてきて朝の挨拶。
俺が戻ってくる頃にアイリがノロノロ起き上がってくる。
クラリーナは俺の後に洗面台へ。
もはや見慣れた光景だ。
アイリの朝の弱さは凄いな・・・3歳児ぐらいになってる。
顔を洗うとスッキリ目覚めてくれるんだけどな。
着替えながら朝食を済ませる。
少なくなったコーヒーポットをいくつか補充しておく。
セバスチャンとマリアを連れてるびのの外部屋へ。
るびのもセバスチャンに30分ほど前に起こされていて今は朝食中だった。
以前大量に狩ったオークを骨ごと食ってた。
「おはよう、るびの・・・ん? るびの、昨日狩ったワイバーンは食べないのか?」
「あ、とうちゃんおはよう。ワイバーンって昨日の晩ご飯で食べたけどクソ不味いよ。噛み応えがあるだけで、ぜんぜん美味しくないよ。セバスにーさんに色々調理してもらったけど全部不味かったよ」
「セバスチャン、どういうことだ?」
「ご主人様。アレは食材って言うより防具や武器などの『素材』って言った方がよろしいかと思います。頑丈なだけあって肉が堅くて、食材にはなりませんね。ちなみに生肉がこれです」
実際に目の前に差し出されたワイバーンの生肉を触って感触を確かめてみるのだが・・・確かにこれは素材だ。
それ以外に言いようがない感触。
トラックのタイヤ並みの堅さだ。
生肉ってより、かなり頑丈でワイヤー入りゴムだな。
そういえば俺が狩ったワイバーン3頭も解体すらしないで、そのままアイテムボックスに入れっぱなしになってる。
完璧に存在すら忘れてたなぁ・・・哀れなワイバーンだ。
そういえばニャックスもワイバーンは内臓しか食べないって言っていたのを思い出した。
「んそういえばニャックスがワイバーンは内臓以外は不味いから食べないって言ってたな」
「内臓ですか? それは・・・考えてませんでした。了解です。今日の夕方までにワイバーンの内臓の調理方法を考えておきます」
「分かった。マリアも考えておいてくれ」
「承知しました。では、そろそろ時間となりましたので」
「おう、そうだな。じゃあ先にアイテムボックスを整理しよう」
セバスチャン・マリア・るびのの3人のアイテムボックスの中を整理しておく。
ワイバーンは内臓だけ残して俺のアイテムボックスに移動した。
アイテムボックス整理しながら、どこに行きたいか聞いておく。
「るびのは今日はどこに行きたい?」
「オークが美味しいから、もっと狩っておきたい」
「じゃあ、大森林の南側の集合ポイントだな。マリアとセバスチャンも一緒で良いか?」
「「構いません」」
アイテムボックス整理が終わったので3人をオークの巣があった場所で待ち合わせ場所にしていたところに送る。
「セバスチャン、マリア、何かあったら必ず連絡をくれ。るびのも何ああったらまずはセバスチャンたちに相談だ、わかったな?」
「「承知しました。お任せくださいご主人様」」
「わかった。じゃあ、また夕方ここでね、とうちゃん。遊びに行ってくるね」
「おう、ムチャすんなよ」
俺はそのまま自宅の寝室に転移した。
嫁3人も防具に着替えて、朝食も終わり片付けまで終わって準備万端で俺を待っていた。
「おまたせ。じゃあみんなでバイド村に行こう」
夫婦4人でバイド村に停車中のキャンピングバスに転移する。
バイド村の中央にある本部に出向いて出発することを伝えてからキャンピングバスを発車させる。
今日は俺が最初に運転手をすることにした。
時速30km以上のスピードを出してキャンピングバスはゾリオン村へと突き進む。
今日は天気が朝から良くなかったけど、出発してすぐに雨が降ってきたみたいだな。
これで郊外の未舗装街道での雨天時での走行実験が出来る。
時速30kmというと日本では原付並みのノロノロ運転だが、ここの世界では荷馬車の倍近い猛スピードだ。
前方のセンサー代わりに設置してある魔石を起動させて周囲の探査魔法の網を張る。
これだけの雨ならワイバーンも飛んでこないので、今日は実験ぐらいしかすることも注意することもない。
「ねぇ、しん君。何で外は雨が降ってきたのに、このキャンピングバスの窓ガラスは全く濡れないの?」
「ああアイリ、濡れないようにしてあるんだ。ガラスに雨が当たると絶対に視界が悪くなるからな。雨が当たらないようにガラスには結界が施してある。濡れなければいいだけだから簡単だな」
「それにしても、しんちゃんが作ったキャンピングバスは快適ねぇ。雨の馬車の移動の辛さを思い出すと・・・それだけで気分が滅入ってくるのよね」
「ミーさん・・・それほどまでに普通の荷馬車で、雨の日の移動は大変なんですか?」
「ああ・・・そうねクラリーナは経験がないからね。アレは悲惨よ悲惨。前は見にくいわ、雨は目に入ってくるわで、もー大変なのよ。高級な雨具を持っていれば大丈夫なんだけど、安い雨具しか持ってないと、暑くて蒸れるし脱ぐとビチャビチャに濡れるしで・・・ホントに悲惨なのよ」
「なんか経験したくない感じですね」
「ミーの話を聞いてたら思い出しちゃったな。あのゾリオン村にDランクの昇格試験で護衛依頼を受けたときの事」
「なんだそりゃ、昇格試験が雨の中だったのか?」
「護衛依頼は天気が良かったの。でもそれは片道だけだったんで、帰りは小遣い稼ぎで2人でヨークルまでの荷馬車の御者をしたんだけど・・・今日ぐらいの結構強い雨が降っていて・・・悲惨だったわね」
「ううぅ、アイリ思い出させないで。アレはホントに悲惨だった」
「何がそんなにきつかったんだ?」
「あのときの私達はまだほとんど素人で『雨具を持ってなかった』の。全身ずぶぬれで休憩場所にも入れさせてもらえないし、厩舎で馬と一緒に食事までしたのよ。アレで馬と仲良くできるようになったんだから、損だけではないんだけど・・・ミー、私もきつかった」
「それは凄い経験だな。しかも2度と味わいたくない方の経験だ」
「ゾリオン村からヨークルに戻ってすぐに体調を崩して、2人とも2日ほど寝込んじゃって・・・治ってから最初に雨具を買いに行ったことまでがセットの思い出よね。ねぇアイリそうだったよね?」
「そう、今まで溜めてた大金払って最高級の雨具を2人で買ったの。そこまでがセットになった思い出」
「・・・そ、それは辛い思い出ですね。それを考えるとこのキャンピングバスがいかに恵まれてるかわかりますね」
「雨具かぁ、そうだな」
俺はそういってアイテムボックスから魔石を3つ取り出して雨避けの結界を封入する。
嫁3人に魔石を渡す。
「はいよ。雨避けの結界入り魔石。それを持ってるだけで雨に当たらなくなるよ」
「・・・これを昔の私に持って行って、ずぶぬれになる前に渡してあげたいね」
「ミー、私も全く同じことを考えてたよ・・・魔法って凄いわね」
「しん様、ありがとうございます。大切にします」
「そのままだと持ちにくいな。ちょっと待って・・・ハイどうぞ」
魔石そのものを加工して指輪にしてあげた。
ミスリルでコーティングしてから、みんなの右手の小指に装備してあげた。
サイズを指にはめながらピッタリ合うように微調整するのも忘れない。
3人の嫁がうっとりと指輪を眺めてるのであげてよかったと思う。