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うな丼・肝吸い・お新香・・・黄金の3点セットが良いねっす。

1・9修正しました。

アイリがクラリーナとミーのシートを移動させてから、自分のシートを俺のシートの隣に移動してきた。


「しん君、私も朝からしん君の子供の時の話を聞いてて思ったんだけど、私も小さい時に父さんが亡くなって片親に育ててもらったから、自分では結構不幸な家の出身だと思ってたけど・・・まさか早乙女一家の中では自分が一番家庭に恵まれてるとは思ってもなかった」

「両親がそろっているから幸福。片方だから不幸ってことはないしな。クラリーナの家庭事情・ミーの家庭事情・俺の家庭事情・・・見事に皆バラバラだけど、俺の場合はここに転移してくるまでの35年間で10歳から33歳までの23年も親は存在していたから不幸とは自分では思ってないよ。俺を生んだ両親は10歳の時に俺が殺したって考えてるから」

「しん君が殺した? ご両親は死んでるの?」


「生きてるのか死んでるのかすら知らない。知りたいと思わないし、今となっちゃ顔も思い出せないから、あの家族とはこれ以上関わりたくない。俺が10歳の時にじぃちゃんとばぁちゃんにお願いして2人の子供にしてもらったから・・・じぃちゃんばぁちゃんも望んでたんで本当の養子になったんだ。早乙女真一がその時生まれた。それで名前が変わる前の自分も含めて『あの一家全員俺が殺した』って考えてる」

「あの家族から俺の学校に届いた手紙の数だけで20通以上あったんだぜ? クラリーナがご両親に言ったことと同じ『自分が許されたいと逃げる為の自己満足』それだけの為に学校にまで手紙を書いてきやがって。じぃちゃん家に届いて俺が見てない手紙なんで山ほどあったんじゃないかな。俺が早乙女家の人間になってあの家族は滅びたってのが俺の考えだよ」


「しん君の早乙女って名前には色々な事が含まれてるんだね」

「ああ、そうなるな。でもアイリももう早乙女家の一員なんだけど」

「もちろんそれは分かってて言ってるわよ。今でもステータスカードや冒険者ギルドカードに表示される『アイリ・早乙女』って文字を見るだけで心が踊るほどうれしいわ」

「喜んでもらえて何よりだな。そういえば・・・アイリに聞きたかったことを今思い出したんだけどいいかな?」

「いいわよ」


「アイリの父さんのモルガンさんは冒険者で『タンク』だったんだよな?」

「うん。2m以上もある大男で今でも実家に父さんが使っていた盾があるけど、私でもとり回しが出来ないほど巨大なタワーシールド。横幅が1m以上もあるし長さも1.5m以上、重さも30kg以上もある」

「あの実家の居間の壁につけてあった巨大なシールドって実用品だったの?」

「そうアレが父さんの使っていたシールド」

「アレはデカ過ぎだな。さすがタンクって感じのシールドだ」

「あの巨大な盾を軽々と振り回して家の庭で練習している父さんが格好良くて憧れてたわ」

「それが俺が聞きたかったことなんだ。何でタンクをしていたモルガンさんに憧れて盾の使い方まで習ってるのにアイリは『タンク』じゃなくて『シールダー』になったんだ?」


「女性のタンクの致命的な欠点があって『体重が足りない』から、私には練習しても無理だったんだ。それを父さんの師匠でもあったおやっさんに相談したら『アイリにはタンクとしての才能は残念だけどそれほどない。でもシールダーには向いてるから練習してみないか?』ってハッキリ言われちゃった」

「確かにタンクを目指す女性ならではの悩みだな。狼獣人のように2mを越す身長だったり特殊人族の龍人みたいな体の頑丈さがないとタンクとして必要な体重と筋肉量が足りないもんな」

「タンクは敵の攻撃を防いで耐えて、盾で敵を押さえ込むのが仕事。シールダーは敵の攻撃をさばいて味方を守り、盾で殴って敵に攻撃するのが仕事。おやっさんにいつも言われてたわね。受け流して弾き飛ばして味方に敵の攻撃が当たらないようにするのがシールダーの仕事なんだって」


「おやっさんはシールダーなんだよな?」

「うん、私のシールダー職の師匠。私以外にもシールダーとしての弟子が100人以上はいるんじゃないかな? おやっさんが育てた防具職人の数よりも多いっていつもぼやいてた。あの特殊な盾の持ち手はおやっさんの師匠の父親で、『シールダー職の異端児』って言われてる人が考案した正当な持ち手だっておやっさんが自慢してた」

「あぁ、そっちは俺が知ってる人。俺の記憶と経験の中にある転生者の1人『春日部かすかべ侠市きょういち』さん。ドワーフの転生者で防具職人。ドワーフに転生して、ドワーフの為に戦って、ドワーフに利用され尽して、最後は迫害されて絶望の中でドワーフに殺された人・・・自分の運命に絶望して神を呪っていても、それでもドワーフを怨んでいない立派な人だよ」


「私もおやっさんから聞いた伝説で知ってる。素晴らしい偉大な人『偉人』だって。転生者って聞いてたけど・・・しん君の中に残ってる人だったんだね」

「そう。アイリに確認してよかったよ。おやっさんがあの持ち手を使ってるシールダーで防具職人。俺の記憶と知識にある人に繋がりがあるんじゃないかって、ずーっと引っかかってたんだ。解決できて良かったよ」

「しん君の中の人も喜んでるんじゃないの?」

「俺のもらった知識と記憶と経験には無念が残っているだけで、喜ぶとかの『感情』はないよ。盗賊に怨みのある人達の無念を盗賊をこの手で殺すことで晴らすと昇華していくだけ。ゾリオン村でからまれたバカ貴族の2人の実家が崩壊するって聞いても昇華したから、貴族や王族なんかにも無念が大量に残ってそうだ」

「そうなんだ・・・便利なことだけじゃないんだね。でもしん君に無念を晴らしてもらって昇華してるんだから喜んでるって言えるんじゃないの?」

「そう考えれば・・・確かにそうだな。うん。アイリありがとうな。俺の不安な気持ちが少し晴れたよ」

「不安だったの?」


「不安にもなるよ。動けないように拘束したり魔法で眠らせてる盗賊を問答無用で虐殺してるんだからな。迷賊討伐の時にアイリも見ただろ? あんな風に笑いながら全員虐殺してるんだからな。いくら相手が盗賊や迷賊で全員が殺人犯の犯罪者集団だからって、魚をさばくような気軽さで殺してまわれる人間だなんて自分自身で思ってもいなかった。魚は食べるために殺してる、俺が家族を自分の中で殺したのは自分が生き残っていく為だし」

「それだけの恨みや無念なんだから『喜んでる』でいいんじゃない? 盗賊や迷賊が退治されるのは『自業自得』だから」

「アイリ、ホントにありがとうな。俺の中で溜まっているモヤモヤが晴れて楽になったよ」

「うふっ。それが妻の務めですからね」

「ああ、俺はいい奥さんをもらって幸せだよ」


アイリがまた抱きついてきてイチャラブ空間が出来上がった・・・が、運転席から降りてきたミーのわざとらしい咳払いで終了するお約束だった。


「ん”、ん”ん”。しんちゃん。お昼の休憩場所が見えてきたよー!」


今日の昼ご飯は何だろうな。

ガルディア家名物(?)の天ぷら弁当あたりがくるかもな。

運転していたクラリーナがキャンピングバスを指示された停車場所に停めてから降りてきたので、みんなでキャンピングバスを降りて案内された昼食場所に向かう。


歩いている時の香りで昼食がわかってしまった。

今日はうな丼だ。

蒲焼の良い匂いが食欲をそそり涎が出そうになってくる。


ウナギの蒲焼も転生者が作ってこの世界の人間に教えて広めた食事・・・俺の知らない人だけどホントに感謝したい。

しかもこの国はウナギがどこにでもいて安く大量に出回っているのも、日本人だった俺には物凄くうれしい事実だ。

日本ではまだウナギの養殖は実験段階で気軽に食べられるってシロモノじゃなくなってたしな。

天然モノのウナギが美味しくいただけるってのは・・・最高だろう。


そんなことを考えながら無言でうな丼を食べる。

付け合せのお新香も美味しいし、肝吸いってのも最高だ。

アイテムボックスから出した山椒をかけて、嫁達にもリクエストされたのでかけてやった。

この山椒の香りも美味しい。


食後は今日の昼の休憩場所は風が強かったのでキャンピングバスに戻ることにする。

ついでに運転席の周りを少し広げて嫁達が全員ここで座ることが出来るように改造する。


運転席の床を少しだけ広げて・・・後ろにあった壁を斜めにしてそこを座れるようにした。

窓ガラスを増やして天井もガラスにして、運転席の後ろの部分は『展望席』みたいに改造した。

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