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ミーが見たかった風景の場所がわかったっす。

12・15修正しました。

1・25修正しました。

翌朝、転生15日目の朝。

6時半にマリアの念輪コールで起きた。

天気は上々。

朝のさわやかな空気がキャンピングバス内の空気を清々しくしている。


マリアを連れて早乙女邸内に転移。セバスチャンとるびのとマリアを連れて大森林大石に転移した。

るびのはこれから朝食を狩りしてから食べるそうだ。

これもセバスチャンからの訓練みたい。

空腹時の狩りの練習なんだと。

バカ親から過保護に育てられているのに兄弟に逞しく鍛えられて育っている。


俺はマリアとセバスちゃんのアイテムボックスを整理して、たまってるものは俺のアイテムボックスに入れてスッキリさせる。

るびのの教育と世話は2人に任せているので、バカ親は邪魔しないようにキャンピングバスに戻る。


バイド村は大忙しだった。

昨日の緊急防衛陣地の為に使った資材の箱を門を開けて予定された場所に並べ替えている。


そういえば今回の護衛依頼で3日目にして初めて朝食をもらった。

そういえば2日とも断っていたからな。

おにぎり2個と野菜のたっぷり入ったスープ。

スープの匂いが美味そうだったので俺・アイリ・ミー・クラリーナの夫婦4人で屋根だけテントの下で食べた。

おにぎりは塩のみだったけどスープに合ってて美味しかった。

今日から護衛隊隊長改めバイド村警備隊の隊長さんが俺達のいるテントに来て、一緒に朝食をとりながら話しかけてきた。


「早乙女君おはよう。君達が今日一緒に移動しての護衛する馬車は10台だ・・・この荷馬車には荷物は載っていない。御者の護衛隊の人間が合計20人、それと食事の準備などのコックが2人だけ乗るだけだ」

「は? 空っぽなんですか?」

「あぁ、そうだ。このバイド村からゾリオン村に運ぶ品物は何もない。護衛の人間と荷馬車と馬をゾリオン村に戻したいんだ」

「なるほど。そういう意味でしたか。わかりました」

「じゃあ、そういうことで本日もよろしく頼む」


隊長さんは話しながら朝食を掻っ込み、慌しく出て行ってしまった。ホントに忙しそうだな。


俺達夫婦も出発時間になったのでキャンピングバスに乗り込みバイド村を出て行く。

運転は嫁達に任せて俺は出発してすぐにニャックスの住処の上空にに転移する。

巣の前に降り立ち声をかける。


「おーい、ニャックス、いるか?」

「・・・あ、ボス。何か御用ですか?」

「ああ、ニャックスにも念輪を渡しておこうと思ってな」

「それはそれは・・・ワザワザありがとうございます」


ニャックスに首輪タイプの念輪を魔法で装備させる。

ニャックスの念輪の練習の為にパーティー回線でガウリスクとアキューブに回線を開く。


「おはよう! ガウリスクとアキューブ、聞こえているか?」

「こちらアキューブ聞こえます」

「あっ、アキューブもボスから念輪もらったの?」

「フッフッフッフ、ガウリスク。俺だニャックスだ! 俺も今もらったぞ。フッフッフ、自慢しやがって、こんにゃろ」

「おう、ガウリスク。俺もアキューブから昨日聞いたぞ! あんまりこんな事で自慢すんなよ」

「あぁー、アキューブてめぇボスにチクったのかよ」

「へへーんだ。バーカバーカ」

「ガウリスク、いい気味クックック」

「ニャックスもひでぇ」

「ケンカしない! お前らガキかよ」


まぁ、ケンカもほどほどになって言って俺は念輪回線を切ってキャンピングバスに転移で戻る。

平和で良い事なんだけど、ガキのケンカみたいでちょっと疲れた。

シートではアイリが寝ていた。ミーとクラリーナが運転席で小さな声で笑って話をしてた。


俺はアイテムボックスからマリアが作ってくれていた『おつまみセット』のポテトチップス&フライドポテト&ハッシュ・ド・ポテトの芋の三種盛りを取り出してムシャムシャ食べながらコーヒーを飲んでいる。


平和でヒマな時間だな。


隣を見るとアイリが起きてジーっとこっちを見ていたんで、アイリにも芋の三種盛りをアイテムボックスから取り出して渡す。

クラリーナとミーにも芋の三種盛りを大きめの深皿に乗せて持って行ってあげる。

たまにはジャンクなおやつもいいだろう。

流石に芋ばかりは飽きたので、ワカサギの甘露煮にした。

コーヒーとは合わんな、これは。

隣からまた熱い視線を感じたので無言でアイテムボックスからトレイごと取り出してアイリに渡す。

運転席の2人にも渡しに行った。

ファンタジックな美女3人にワカサギの甘露煮が好評だったので今度はイナゴの佃煮・・・デカくて無理だな。

30cm以上の佃煮なんてイヤ過ぎる。

いくら美味しくてもビジュアル的にキツイな。


「ねぁしん君。この甘い小魚って何? しん君の故郷の料理?」

「そうだよ。俺が前にいた世界の日本って国に昔からある料理だな。小魚をみりんと砂糖としょうゆで煮出した料理だな。日本では『保存食』になると思う。前にヨークルで酒屋に行ったときにみりんを発見してマリアに作らせた」

「保存食?」

「イーデスハリスの世界にはアイテムボックスがあって永久にそのまま保存が可能なんだけど、こんなの前の世界にはなかったからな。食べ物はなるべく保存が出来るようにっていう知恵と創意工夫の結晶が保存食だろう。しかもなるべく美味しくってのが日本人のこだわる所だな」

「甘くて美味しい、しかも歯ごたえもちょうどいい」

「そうだな。美味しいからこそ素晴らしい。だな」

「またなにか新たな材料を見つけて、しん君の故郷の料理を作ったら食べさせてね」


アイリはそういって今まで食べていたものをアイテムボックスに皿ごと入れて運転席に上がっていった。

俺も食べていた物を片付けてシートを倒して横になってウトウトとまどろむ。


午前の休憩場所に到着して起こされた。

ふぁーあ、と欠伸をして体を伸ばしながらキャンピングバスを降りる。

人数が少ないからかわからないが午前中の休憩のドリンクは紅茶だった。何の花かよくわからないが砂糖漬けの花が浮かべてあって香りも良くて美味しかった。

お茶請けがなかったので俺が御者さんとコックさんの分まで全員にポテトチップスを配ってあげた。


昼食休憩までの道中は本格的に寝てしまった。


「しんちゃん。お昼ごはんだよ! ほら起きて!」


ミーに揺り動かされるまで熟睡していた。

・・・この世界に転生してから始めて熟睡したのかもしれない。

しかも昼寝で。


「いやぁーぁあふぃー、熟睡しちゃったなぁー」


と、欠伸と伸びをしながらキャンピングバスを降りる。

昼食の場所ではゾリオン村から向かってきた荷馬車の人達と合流してご飯を食べる。

今日の昼食は爆走鳥の香草焼きとサラダ・スープという感じの料理で外で食べてる感がない。

テーブルの上に大きなカゴがおいてあり、好きなだけパンが食べれるというガッツリなメニューだった。

爆走鳥も一切れが300gぐらいある。


ゾリオン村からこれからバイド村に行く人達に俺が盗賊を全滅させたので安心して行ってこいと、俺達と一緒に来たコックさんが声をかけてたので俺はみんなからお礼を言われた。

今日は風がほとんどなく天気も良過ぎるので少し暑い。

なので食後はキャンピングバスで寛ぐことにした。嫁の3人は午後は俺が運転するので昼寝をしている。

みんなの昼寝の邪魔をしないように俺は運転席で休憩していた。

空の荷馬車軍団が動き始めて俺もキャンピングバスを発車させて最後尾について行く。


午前中は寝てばかりいたので流石にもう眠気はない。

街道をひたすら南下してゾリオン村を目指す。

街道はガッタガタってほどではないが未舗装なので平らな訳ではない。

俺が盗賊を倒してガウリスクの背に乗り、初めてガウリスクの本拠の丘に移動をしたときは大小様々な石が転がっていたはずだったが今はほどんどない。

昨日通った時よりもさらに綺麗になってるな。

転がっている石も資材になるから拾って運んでいるのだろう。

ミーが運転席に上がってきた。

先ほどまで聞こえたじゃんけんに勝利したみたいだな。


「お、今日の勝者はミーなんだ」

「うん。リベンジ成功! 今回はクラリーナが最初に脱落してアイリとの熱戦は私が制した」

「ミーに聞きたい事があるんだけど、いいかな?」

「私で答えれることなら。何でも聞いて!」

「ミーのことじゃないんだけど・・・この街道のこと」

「私の事じゃなかったかぁ・・・この街道がどうかした?」

「この道って転がってる石以外はすごく整備された道なんだけど、いったい誰が作ったのかな?」

「道を作ったのは誰かは知らないけど、ヨークルが出来た1000年前ぐらいに作られたって話だけど・・・作った人より壊した事の方が有名だからね」

「もしかして・・・るびのがこれも破壊したの?」

「そう。伝説では怒り狂った白帝の走り抜けた後は雷雲が巨大な雷を幾つも落とし、豪雨の中でも消えない炎が三日三晩燃えて消えなかった。伝説ではここにも人がたくさん住んでたんだけど、全部滅ぼされちゃったんだ」

「るびのって怒ると怖いんだな。あんなにモフモフで可愛いのに」

「そうだよね。白虎って聞いても伝説の聖獣とはまったく一致しないよね」

「ああ、アキューブに聞いたんだけど、成長すると大きさは尻尾まで含めると4m以上になるんだと」


「ホント? じゃあ、私も乗せてもらえるかな?」

「ミーは、るびのに乗ってみたいの? でも、俺達が乗るまでにはもう少しかかるだろう。でも今朝見たらもう尻尾まで含めると1mはあるから・・・そんなにはかからないかも」

「ウソ! もうそんなになってるの? ・・・やっぱり聖獣って凄いんだね。るびのはよく食べるしね」

「5kg以上の肉を毎食食べてるもんなぁ。体重も、もう30kgぐらいはありそうだった」

「デカっ! ちょっと会うのが楽しみになってきたよ。そうだ! しんちゃん、今夜は家に帰って寝ようよ」

「るびのは・・・たくさん食べてたくさん寝てるしな。そうだな今夜ぐらいは久しぶりに自宅で寝るか?。おーい、下のの皆もいいよな?」

「いいよー! うちのお風呂に入りたい」

「私もうちのお風呂に入って、自分達のベッドで寝たいですね」

「アイリとクラリーナも賛成だし、今夜はお家でエッチ三昧だ!」

「「おー!」」


ミーが下に降りていきながらの掛け声に下のキャビンスペースから威勢が聞こえる・・・まぁいいか。俺も楽しみになってきたし。

午後の休憩場所が見えてきたときにアイリが運転席に上がってきた。


「アイリ、今来たばかりだけどもう到着しちゃうよ」

「大丈夫です。休憩の後も私から始まるんで今は余り時間ですから」

「ちゃっかりしてるな。でも、昨日ミーに勝ってはしゃいでたクラリーナが最下位か?」

「ふふふっ、今日は一発で負けましたけどね。だって・・・じゃんけんが始まる前から手の形がチョキなんですから」

「ぶはははっ、流石にそれはないよ。わかりやすすぎ」

「よほど昨日の勝利がうれしかったんでしょうね」

「5歳児かよ・・・うかれすぎだな」

「ですね。あっ、こっちに停めてくれって指示してますよ」

「おう。でもこんなにスペース空いてるんだから、どこでも一緒なんだけどなぁ」

「まぁまぁ、うちは馬がいないのでどこでもいいんですけど、普通は馬の世話はまとめてやった方がいいですから」


キャンピングバスを指示された場所に停車して下に降りて行く。

下ではクラリーナが凹んでた。


「どうした、クラリーナ。顔が暗いぞ?」

「だって、じゃんけんも負けるし。しん様にも笑われちゃったし・・・」


ドアを開けて休憩場所のテントにみんなで歩いて行く。


「まぁ、次は気をつければいいさ。アイリも親切に教えてくれたんだから」

「明日は私、頑張ります!」

「え? 明日はないだろ? 明日は今まででやってない順番、①クラリーナ②ミー③アイリじゃないのか? なぁミー、そうだよな?」

「うん。そうだよ。明日はもう順番決まってるからじゃんけんしないよ」

「それはそれで何か悔しいですね」

「ホント、クラリーナは負けず嫌いになってるなぁ。まぁ今回の依頼は明日で終わりだけど、俺達の旅はまだ始まってもいないから、あせらなくていいってのんびりいこう」


そういって俺はクッションの上に腰を下ろす。


コック係が俺達のテーブルに冷えたフルーツ(イチゴとメロン)とハーブティーのポットを人数分置いてくれる。

自分の前に置かれたポットからマグカップにハーブティーを入れて一口飲む。

今日のは当たりかな。

俺の好みの味だった。

また皆で一口ずつ回し飲みをした。

うん・・・今回のは癖の強いのはなかったな、皆飲みやすい味だった。

今日はかなり暑い日だけど、ホットハーブティーと半分凍ってるフルーツが相性も良くて美味しかった。


今日の護衛隊の人達は明日も俺達と一緒にバイド村に行くみたいだ。

そのままバイド村の警備隊になって定住をする予定。

家族はヨークルまで来ているが、バイド村の状況がもう少し落ち着いてから呼びに戻るって言ってた。

護衛隊の皆さんは1人を除いてみんな首都シーパラで首都防衛軍のメンバーだった。


1人はウェルヅ大陸の南方の港町『シグチス』で警備隊で働いていたが、奥さんがゾリオン村の出身でガルディア商会のシグチス支部で働いていて、今回のバイド村警備隊募集の高給と条件の良さに移住を決めたそうだ。


シグチスは港町でも漁業はそれほど発展していない。

メインの産業はシーパラ連合国の南方で大量に栽培されている綿花の集積地として発展した12万人ほどが住む都市らしい。

シグチスは歓楽街としても発展していてカジノとかがあって警備隊は給料安いのに深夜まで事件やケンカが耐えなくてかなりの重労働なんだって。


でも、夜勤明けに背後の山から登る朝日と、海に沈んで行く夕陽は一見の価値が絶対にあるから、一度は見た方が良いってしきりに薦められてしまった。


朝日の話があったのでミーとアイリが食いついた。

背後の山っていっても、山頂の山小屋まで子供でも歩いて登れる程度の小さい山。山頂の山小屋には宿泊場所もあって、小屋の外に出て見る朝日は絶景らしい。

あたり一面の綿花の畑が黄金色に輝いていて例えようもない美しい光景だと胸を張っている。


アイリもミーも大興奮だった。

昔見た永遠に忘れる事が出来ない風景・・・しかし2度と見ることが出来ないとまで思っていた光景がシグチスの背後の山の山頂にある山小屋で間違いないそうだ。


「そういえば、母さんが父さんはシグチス出身だって言ってた。港町だから考えから抜けてたよ」

「そうね・・・確かにモルガン父さんはシグチス出身だって聞いたことある。行きたいのが山小屋で港町ってことで・・・考えもしなかったよ」


アイリとミーは若干凹んでる。


「私も海に沈み行く夕陽が見たいです」


クラリーナはまだ見ぬ風景に心を躍らせていた。


俺は知らない話をしてもらってるので、俺はニコニコして聞いていた。

知らない場所の知らない話は面白い。

シグチスかぁ・・・いつか行くことが出来るかな。

アイリとミーの反応を見ると首都シーパラのあとはシグチスに決定だな。


馬達の元気が有り余ってるから、ここからはスピードを上げてゾリオン村に早めに着こうって事になった。

休憩も若干早めに切り上げて出発する。

俺達もキャンピングバスに乗り込んで出発する。

俺がガウリスクの本拠の丘を見ているとアイリが運転席に登ってくる。

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