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カイゼル髭はたくさん情報をくれた。盗賊&クマ退治で大金ゲットっす。

7・11修正しました。

「銀色の亡霊とは捨てられた開拓村周辺で猛威を奮っている銀大熊に付けられたあだ名でな、開拓村が捨てられる原因の一端でもあるし、因縁浅からぬ相手なんだ」


シルバードとの因縁のだけでなく、俺の知らないゾリオン村やシーパラ連合国などの情報も質問してたくさんの説明を聞く。



ゾリオン村を作ったのは『ゾリオン・シーズ・ガルディア』という男。

シーパラ連合国の首都シーパラに本店があるガルディア商会の8代目代表。

シーズという名前はシーパラ連合国の建国において多大な貢献をした商人12人に名乗ることを許された名前でシーズを名乗れるのは代表とその子供のみ。

代表が替わり代表の兄弟となるとシーズの名前ははずされる(当代の兄弟は名乗れない。当代と子のみ)。

次代当主に子が生まれ(孫が生まれ)ると当代交代になり名も受け継がれる。

国家運営は12家の先代・先々代達の最高評議会(元商人ばかりで構成されているため通称『商議会』)がおこなう(人数は決まってない)。

最高評議会を監視・サポートするのが商業・冒険者・農業などの各ギルドの代表や宗教関係者、村や町の代表者の合計150名からなる評議会。


ゾリオンの長男のギル・シーズ・ガルディアは都市ヨークルでガルディア商会副代表として修行中。

次男のバイド・シーズ・ガルディアはゾリオン村の村長をしていたのだが、5年ほど前にゾリオンに三男ヨシュアが産まれたことによって運命が大きく変わる。

自分の名を冠した村を作りたかったバイドは父のゾリオンを説得して1年前に村長をヨシュアに譲り開拓村を作った。


開拓当初は好調だったが荷馬車が度々襲われる事件を手始めに開拓村に暗雲がたちこめる。

銀大熊に何度も村を襲撃される。

銀大熊退治に応援を頼もうとした早馬を襲われ連絡が遅れる。

応援を待ちきれずに撤退を決定するも準備中に盗賊に襲われて守備隊が壊滅。

逃走中に盗賊に銀大熊が襲い掛かり、さらに馬に乗って追いかけてきた盗賊にグリーンウルフの群れが襲いかかり、何とかゾリオン村に逃げ帰ってこれたのは一般市民とバイドだけ。

一般市民に死者がなく被害は軽い怪我と資産のみで損害賠償は軽微なものだったのだが、納得できないのがバイドとゾリオン。

冒険者ギルドに依頼し応援を呼び、盗賊『草原の暴風』の情報を集め討伐隊を万全の体制で送ったにもかかわらずまたも壊滅。

銀大熊が襲ってくる時と逃走する時のスピードが通常の銀大熊のレベルとかけ離れていた為についたあだ名が

『銀色の亡霊』

まとめるとこんな感じだった。


銀大熊軍団VS盗賊『草原の暴風』VSガウリスク軍団VSバイド軍・・・凄い四つ巴だな。

だけど、冷静になって考えてみると盗賊『草原の暴風』は俺が壊滅させた。

銀大熊軍団は俺がシルバード8世を退治して壊滅。

ガウリスク軍団はもはや俺の子分になって人族の馬は襲わないように命令した。


・・・この四つ巴もう終了してる?


「これでもう草原の暴風もおしまいだな。リーダーとサブリーダー、それに幹部が根こそぎ討伐されたからな。あと盗賊のステータスカードの精査中だが、残りの幹部3人とザコ70名ほどは銀大熊に食われたらしいからな」

「(クマも結構がんばってたんだな)・・・銀大熊も討伐しちゃったんですけど」

「・・・はぁ? 銀大熊の討伐証明部位の『牙』は持ってるか?」


俺はギルドマスターにシルバード8世の牙をアイテムボックスから取り出して渡す。

シルバードの牙は大きすぎてセバスチャンやマリアには使用しなくて良かった。


「この色でこの形の牙は銀大熊で間違いない。それにしてもこの長さは凄まじいな。念のためにステータスカードをこちらの板に当ててくれ」


応接テーブルに取り付けられた黒い板に俺のステータスカードを当てる。

ブォンと音が鳴り黒い板に文字が浮かび上がる。


「うむ。間違いなく討伐してるな。では、またスマンが少し待ってくれ。あの銀色の亡霊には幾つもの討伐依頼や懸賞金がかけられているのでな」


俺をギルドマスター室に案内してくれた職員が室外へ出ていく。


「計算も時間がかかることだし、これから少し二人っきりで話がしたい。無論、尋問などではないので君に都合の悪いことは答えなくても良い。そして俺は冒険者ギルド職員としてここでの話を秘密にする義務がある。理解できるかな?」

「わかりました」

「では、ずばり聞くがもしかして君は『転生者』かね?」

「・・・ハイ」


悩んだが正直に答えた。なぜか理由は説明できないが正直に答えたほうが良いと思った。


「教えてくれてありがとう。このイーデスハリスの世界では転生者と呼ばれてる人は何十人と数多くいた。彼らは強大な魔力と卓越した戦闘力でこの世界を破壊し、高度な文明や文化で生まれ変わることを1000年以上も前から繰り返してきたのだ」

「・・・」

「我らダークエルフも絶滅寸前に救ってもらった種族なんだよ」

「え?」

「ダークエルフというのは『エルフ』と『魔族』のハーフから産まれた種族でな。エルフを含む妖精族・魔族・人族・獣人族などすべての種族から迫害を受けていて、誰もいない場所で逃げ回るか奴隷にされるか二つに一つだった」

「・・・」

「そんな状況を救ったのがダークエルフ『ノルシアム・ビッタート』様。ダークエルフの転生者で救世主。ダークエルフにしか使えない魔術『魔装術』を編み出した創始者でもあるし、ワシの祖父でもある」


・・・知っている名前が出てきてビックリした。


転生者『ノルシアム・ビッタート』。俺に記憶と知識と経験をコピーしてくれた一人だ。


それに『魔装術』はダークエルフだけの技じゃない。

俺にも使える。

魔装術という技は全身を魔力で硬質化させて身を守り、硬質化した全身を使って攻撃する無手の格闘術だ。

魔力が膨大にありながら魔法として放出することができないダークエルフという種族にはとても使いやすい魔術で、違う種族だと魔力が魔法として放出されてしまうから魔力を装えないし、装えるほどの魔力の持ち主で無手での格闘術まで身につけている他の種族はほとんどいない。


魔装術を使えるほど膨大な魔力を持つなら魔法使いになる。


ダークエルフは魔族とエルフのハーフとして両方の優れた身体能力と膨大な魔力を受け継ぐが、エルフの『妖精魔力』と魔族の『暗黒魔力』という相反する魔力のせいで体外に魔法放出しようとすると打ち消しあって魔法にならずに魔力だけ消費してしまう種族。


他の種族が使えず、使いこなせるダークエルフの中だけで発展した魔術が『魔装術』。


「ワシはノルシアム様を尊敬してるから、転生者に対して便宜を図りたいのだ」

「それはありがたいのですが・・・」

「わかっておるよ。まずは秘密が優先だ。しかし、皆はこの盗賊退治と銀大熊退治で口には出さなくても早乙女君が転生者だとうすうす感じることだと思う。普通の15歳じゃ成しえないことだからな」

「ですよねぇ」

「転生者を恐れてる人たちも少なからずいる。転生者=魔王な部分でもあるし、魔王を討伐したのは転生してきた人=勇者な一面も転生者にはある」


これは俺も転生者からの記憶や知識で考えていた。転生者を迫害したりして魔王にさせたのもイーデスハリスの人々。奴隷の首輪を使い利用した転生者を複数使って戦争に使いまわし、挙句に転生者に反撃されて滅んだ国もいくつもある。


俺も莫大な魔力と戦闘能力を貰ったが、ただでさえお人好しな日本人。

人の隠した悪意を見分ける能力なんて皆無。

誰かに利用されて戦争させられるなんてゴメンだ。

コピーされて俺の中で生きている記憶と経験で俺を利用しようとする権力に反発する気持ちは尋常ではなく消えずに残ってるし、神への恨みもまだ消えてない。

早乙女村の教会を潰したのも見てるだけで少しムカムカしてたから、完全に解体してしまったのだ。


「それで早乙女君に聞きたい事がある。もしかして君は上級回復魔法の『エクストラヒール』は使えないのだろうか?」

「・・・できますよ」

「やはり神託は君のことだったんだな。では、君に冒険者ギルドから個人指名依頼をしたい。報酬は確約する。また追って連絡するがゾリオンのバイド前村長の治療をお願いしたい。ゾリオン様とバイド様に相談する必要があって、すぐには準備できないので治療が終わるまでこの村で何日かとどまって欲しい」

「俺のことってどういう・・・」

「教会で『太陽神アマテラス』様から、この村の問題を解決できる男が村に向かってくる。彼の助けを借りなさいと昨日教会にいた複数人に御神託がおりたんだ。怪我の治療のために教会にきていたバイド様、付き添っていたゾリオン様と親衛隊の5人、教会で他の患者を治療していた神父。その瞬間に教会にいた全員に御神託があったんだ。彼にお願いして教会に来てもらい治療してもらえばバイド様の怪我は回復するだろうと」

「(・・・アマテラスって誰だ? 俺が殺した4人の神ではないみたいだな)・・・わかりました。個人指名依頼を受けます」

「ありがたい。一日最低一回はこの冒険者ギルドに顔を出して欲しい」

「わかりました」


ゾリオン・シード・ガルディアは今、この村に来ていて神託がおりてから待って我慢することができずに、今日の早朝から親衛隊の隊長と二人でヨークルに向かって飛び出してしまったらしい。だから連絡を取るのに少し時間がかかる。

バイドはこの村にいるんだからチャッチャと済ませば終わるのにな。

バイドの怪我は目と喉に盗賊からの弓攻撃を受けていて右目が失明、喉も損傷して小さなかすれた声しか出ないので筆談で会話してるそうだ。

シーパラ連合国で唯一『エクストラヒール』を使える枢機卿は現在国外で船旅の途中らしい。

この村にいる神父は中級の回復魔法『ハイヒール』しか使えない。

喉は何度もハイヒールをかければ少しずつ治るらしいが、ハイヒールでは失明は治すことは不可能。


権力への反発心から、あまり権力に近寄らずに田舎でノンビリ暮らしていこうと思っていたが、今のイーデスハリスを管理する神は主神ゴッデスになってるはず。俺に教会にきて治療して欲しいってことは、俺に何か言い忘れたことでもあるのかもしれない。だからひとまず権力への反発心は我慢して依頼を引き受けることにした。


ここでドアがノックされて職員が戻ってきた。査定が終わったらしい。


合計2800万Gだった。ステータスカードに入金してもらう。

俺の所持金は

10万9999G(ゴッデスにもらった最初の所持金)+1億6980万G(盗賊退治賞金合計額)-1200G(カレーライス代金)-1000G(コーヒー2杯代金)+2800万(クマ退治合計賞金)

=1億9790万7799G。


クマが銀色の亡霊って呼ばれて恐れられていたのに、盗賊たちに比べると意外と安かったので聞いてみたら・・・クマの毛皮などの素材は別口での買い取りだった。

セバスチャンやマリアを解体する気は今はないし、残った素材は持っておきたかったので

「クマは重くて回収できなかった、今日見たらもう死体がなかったので獣や魔獣たちが食べたんだろう」

といっておいた。説明するのも面倒だったから。

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