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護衛依頼2日目の午前。アイリとの話っす。

12・7修正しました。

キャンピングバス内でノンビリすごす。

コーヒーのおかわりを自分で入れて外を眺める。

壁一面に外の景色が映し出されている。


うん、なにもない。

ただ起伏のあるだだっ広い草原がどこまで続いてんのこれ? ってぐらいに広がっている。

ただボンヤリ風景を眺めてコーヒーをすすっていたらガウリスクから念輪がきた。


「ボス、おはようございます。ボスって今、大草原に来てますか?」

「おう、ガウリスクおはよう。大草原の街道を走ってる馬車の中にいるぞ。なんかあったのか?」

「ボスの気配を感じたので連絡しただけで、連絡事項はありません。何人かの人族がやってきましたが、こっちが逃げたら帰っていきました」

「そうか、わかった。ありがとうな俺の命令を守ってくれて」

「グリーンウルフにとってボスの命令は絶対ですので。でも人による被害が無くなったことで、こちらにとっても都合が良いです」

「まぁ今後も引き続き頼む。炎虎や銀大熊の方は何かあるか?」

「炎虎の『ニャックス』と銀大熊の『アキューブ16世』が、自分たちも眷属の末裔として白帝様に挨拶がしたいと言ってました」

「るびのかぁ・・・るびのは今、大森林での狩りに夢中になってて、楽しくてたまらないって感じだなぁ・・・だからアキューブ達に挨拶するにはもう少し時間がかかるって伝えておいてくれ。ニャックスには・・・俺が今から会いに行って、直接話をしてくるよ」

「わかりました」


ガウリスクとの念輪を切った。

そういえば岩場で石の補充がしたかった。

早乙女邸の大改造・・・石製の門・塀・ガレージ・地下訓練場・地下訓練場の階段×2で半分近くを消費してしまったから、そろそろ補充がしておかないといざという時に使えないと困るからな。


キャンピングバスを操縦しながらバイド村への街道の道に開いてる穴や転がってる石を避ける遊びで盛り上がってる嫁3人に、岩場に石を拾いに行ってくると告げる。

何か合ったら念輪で連絡してねと言い残して、ニャックスの巣の近くの上空に転移。

巣の上空から気配を探るとニャックスがいたので巣に入る前に話しかける。


「おーい、ニャックス! いるんだろー?」

「あっ! ボスいらっしゃい。えっと・・・それで白帝様は?」

「ニャックス悪いな。それを謝っておかないとな。今、るびのは大森林での狩りに夢中になってて、挨拶に来るぐらい落ち着きそうな雰囲気じゃないんだ。だからもう少し時間がかかりそうなんだよ。しばらく待っててくれないか」

「わかりました。そういうことなら仕方ないですね。しばらく待ちます」

「スマンな。ニャックスも経験があると思うけど狩りが楽しくて楽しくてたまらないって興奮中なんだ」

「それならよくわかります。ところでボス、今日はどんな用件で岩場にこられたんですか?」

「ああ、また良い岩場を知らないかと聞こうと思ってな。以前の場所はほとんど掘りつくしちゃったからなぁ・・・良さそうな岩場を知らないか?」

「それでしたら、ここより北に真っ直ぐ行けばいくらでもありますよ。前の場所よりは石の大きさは小さくなりますが、それでよければ数は北の方が多いです」

「そうか。ニャックス、ありがとうな。いやぁ・・・今日はニャックスが巣にいてくれて助かったよ」

「昨日狩りが成功したんで今日は腹がいっぱいで休みです。そういえばボスも人族ですし、こんなのって要りますか?」


そういって巣に戻ったニャックスが持って来てくれたのは全長3mぐらいある大鹿魔獣だった。


「私たち炎虎は内臓と肉しかいらないんですが、人族は皮とか角を欲しがるって聞きましたんで。もう内臓は食べちゃいましたけど、小さい獲物なんですが残りでよければどうぞ」

「コレはありがたくいただくよ。今解体する」


解体魔法をかけて肉を全部返して皮・角・骨までもらった。

ニャックスに別れを告げて飛翔魔法で飛び上がり北を目指す。


良さそうな場所を見つけたので降りようとすると近くに大鹿魔獣がいたので魔法でサクッと狩る。

ニャックスにもらった大鹿魔獣とほとんど変わらない大きさだ。

解体してアイテムボックスに放り込む。

そこからは時間の許す限り石を掘り出し、岩をくりぬきって具合に集めて行く。

飛翔魔法で何度も飛び回ってドンドンと回収して行く。

大鹿魔獣は岩石採取の合間に5頭ほど狩った。

ミスリルなどの塊もあったので探査の魔法で地中からも合計100kg以上は掘り出した。

宝石系は前回の場所の方が多かったが、鉄・銅・金・銀・ミスリル・プラチナなんかの鉱石系はこっちの方が多かった。大量にあったので全部総ざらいで持って行く。


この前以上の300トンぐらいあればしばらく大丈夫だろうと岩場を後にキャンピングバスへ転移する。

まずはトイレを済ませて運転席の方に階段を登っていって声をかける。


「ただいまー、今帰ったよ」

「しん君お帰りなさい。ほら、ちょうど良かったよ。あそこで午前の休憩をとるみたいよ」


アイリが指指す方向を見ると荷馬車がたくさん駐車できるような平らな場所があって、そこにみんな荷馬車を停めて休憩テントに入っていってた。

運転しているクラリーナが指示された駐車場所にキャンピングバスを停める。


「クラリーナ、運転お疲れ様。さぁ、みんな休憩に行こう」


ミーの声を合図にキャンピングバスを降りて自分たちの休憩スペースに入っていく。

屋根だけのテントの下でクッションの上に座り、のんびりハーブティーを飲む。

荷馬車に乗ってた護衛の人たちは凝り固まった体をほぐし準備運動を軽くしてから御者の交代にいった。

今まで馬に水や岩塩を与えていた御者役の護衛の人達が代わりに休憩をしにきてハーブティーを飲みだした。

草原を渡る風が心地良い。草の青臭い風が気分を落ち着かせていく。

護衛隊の隊長が俺のところに来て俺の向かい側の空いてる場所に座り護衛の話をしてくる。


「やぁ、早乙女君休憩中に仕事の話で済まないがいいかな?」

「はい、どうぞ」

「では・・・ここから先が、魔獣の警戒区域に入る。主な魔獣はグリーンウルフと銀大熊だな。で、これは早乙女君へのお願いなんだが、早乙女君には上空の警戒を頼みたい。我々は地上の銀大熊とグリーンウルフには対処も退治も可能だが、ワイバーンは君たちで無いと不可能だし、我々には警戒する上空を眺めていても発見できないんだ。君達の探知能力に期待することしかできない」

「大丈夫ですよ。任せてください」

「あともう一つ。コレは不確定な情報なんだが大草原に『草原の暴風』の生き残りがいるという噂があるんだ。君が退治したのが148名で確認が取れなかったのが30名近くいたんだ。幹部3人の死亡確認も出来ていない。大草原から逃亡したって噂もあるし、魔獣に骨まで食われたという噂もあって不確定情報なんだ。バイド様からは不確定だから君に言わなくてもいいと言われているが、護衛任務につく上で必要な情報だと俺は判断し君に伝えさせてもらった。盗賊が馬車を襲う場合は後ろから襲うパターンが多いから、君にはワイバーンと盗賊襲撃の警戒をお願いしたい」

「わかりました。お気遣いありがとうございます。知ってると知らないでは警戒の仕方が変わりますから、ありがたい情報をいただきました。盗賊もワイバーンも退治で良いんですよね? 捕獲だと逃す恐れがありますので」

「退治でお願いしたい。生きたまま捕獲しても今の我々では運ぶ手段がない」

「わかりました。では遠慮なく退治させていただきます」

「では、こちらからの話は以上だ。早乙女君、ついでに何か聞きたい事や疑問とかはありますか?」

「いえ、今のところは大丈夫です。気になるのは・・・生き残りの盗賊が一発逆転を狙う場合って、休憩所とかにしませんか? 待ってれば必ず獲物がきますし。それにあいつらって気配を消すのが上手かったですよ。警戒レベルは上げておいた方がいいと思います」

「うーん・・・それは確かにな。わかった。昼と午後の休憩所への先発隊に周囲の警戒レベルを上げておくように指示してみるよ。これは良い意見をもらったな。では先発隊が出発する前に話しに行ってくる。早乙女君達は時間までゆっくりしててくれ、じゃあよろしく頼む」


そういって隊長が立ち上がったので、俺も立ち上がりガッチリと握手を交わす。

そうかぁ、全滅しただろうけどもしかしたら生き残りがいるかもしれないってビッタート卿も言ってたような・・・

シルバードも、もうちょい頑張って盗賊狩っとけよ。


午前の休憩を終えてから動き出すバイド村荷馬車船団。

最後尾を走るキャンピングバス。

護衛隊の隊長と話したように警戒レベルは少し上がってる。

全体的の荷馬車船団の速度を少しだけ上げたようだ。


午前の休憩まで俺は、まったく運転してなかった。

だから今は俺が運転している。

ミーとクラリーナは下のキャビンスペースで寛いでいる。

運転席にアイリが登ってきた。

先ほどまでキャビンスペースで白熱したじゃんけんで順番の最初を勝ち取ったようだ。

運転席でイスを置くスペースはなくて狭いから、午前の休憩後に出発してからはじめは全員ここにいたのだが立ちっぱなしになってしまうので、じゃんけんで20分ごとの交代で1人ずつにしたのだった。

運転席の両サイドにはクッション付きのバーが出ており、軽く腰掛けれるようにはしてあるが長時間はきついだろう。


「お、最初はアイリが勝ったのか」

「うん。おまたせ。じゃあ、しん君予定通り私が先に運転するよ」

「おう、頼む」


俺は運転席から立ち上がってアイリと交代した。


「じゃあ、10分交代ね。それで、しん君・・・このイーデスハリスの世界はどうかな? 楽しんでる?」

「楽しいかどうかって聞かれたら、間違いなく楽しいな。何しろ何の取り柄もなかった自分が、武器は何でも使いこなせて、魔法で何でも出来るようになってるんだからね。魔法なんてまったく存在しない世界から来てるのに」

「しん君のいた世界って魔法はなかったの? えっと・・・日本って言ってたっけ?」

「日本だけでなくて俺が元住んでいた世界には魔法はなくて科学って学問が進化してたな」

「科学? 学問?」


「そうだよ、科学っていう名前の学問。膨大な計算式によって成り立っていて、計算すると誰でもわかるように証明するっていう学問だよ。たとえばこのイーデスハリスの世界にも昼と夜がある。何で昼と夜に分けられてるかわかる?」

「お日様が昇って昼間。お日様が沈んで夜」

「うん、そうだな。でも夜の星を見てると普通の星はお月様のように動いている、でも動いていない星があるのは知ってる?」

「北極星?」

「その通り、じゃあ何で北極星は動かないのに太陽や月は動いてるの?」

「魔法? 神様の力? 私にはわからないわね」

「そうだな。俺が住んでいた元の世界でも科学という学問が発展する前は同じように考えられていたよ。でも、元の世界には魔法なんてないしね。物事には決まった法則によって成り立っているということを証明する計算式が科学という名前の学問。『なんで、コレはこういう風になるの?』って疑問が科学という学問のスタートだ。魔法! 魔力! というのがないからね。気が遠くなるような膨大な実験を重ねて計算を証明するんだよ」


「うーん。凄いのね。難しすぎてよくわからない」

「あぁ俺も同じさ、凄いのはその計算式が合ってるって証明した先人達であって俺じゃないから」

「そうなんだね。さっきの話に戻るけど、何で動かない星があるの?」

「それを証明するにはまず、根本的な考えが間違ってるんだ。空に浮かぶ星は実はみんな動いてない。動いてるのは俺たちのほうなんだ」

「え? どういうことなの?」

「アイリは俺たちは平らな地面の上になっていると思う? 丸い地面の上に立って理と思う?」

「平らな地面に・・・」

「うん、そうだな、見た目は一瞬そう思うけど、そこも間違っている。ここから草原が見えるだろう? ここは見晴らしがいいからね。地面の形は草でわからないけど遠くの地平線を見てごらん。遠くの地平線の形は丸くなっていないか? アイリは海を見たことがあるんだよな? 今と同じように地平線は丸くなかったか?」

「そうね! 丸かったわね」

「そう、俺たちは平らな板の上にある地面のうえに立ってるんじゃなくて、月や太陽と同じような球体の上に立っているんだよ。それも自分が平らな地面と錯覚するほどの大きい球体」


俺は魔法でアイリの目の前に球体の氷の塊を浮かべた。


「こういう球体をこうやって回転させると、軸が出来てるよな?」


これも魔法で軸の部分に鉄の棒を突き刺す。


「球体は回っていても軸の部分は回転しているだけで軸の方向は動かない。動かない軸の方向にあるのが『北極星』なんだよ。そうやって『空の星は動いていない。動いて回ってるのが自分たち』というのを証明するのが科学って学問なんだ」

「なんか、自分の中で決まっていた物事が全部否定された気分になるわね」

「そうだよなぁ、否定することが出来ない残酷な事実のみの積み重ねで科学は成り立つから、結果は残酷になってしまうこともある。科学を否定するのも科学で証明しないといけないからね」

「そうなんだねぇ。ありがとう。色々教えてくれて。そろそろ交代時間ね」

「ああ、俺が運転するよ。アイリはどうなんだ? 俺と結婚して不満とかはないか?」

「今のところコレっていう不満はないわね。あっ! 1個ある。しん君との行為でで失神させられて朝起きたらそのまま裸っていうのはちょっと恥ずかしい」


「だって俺、みんなのパジャマ持ってないからな。着替えさせられないよ」

「それなら、しん君が私たち全員の分のパジャマを作ってよ。しん君が自分好みのモノで構わないわよ。エッチなパジャマでも大歓迎」

「それは楽しそうだな。よし、今度はそうするよ」

「それと私たちの普段着もついでに作ってよ。しん君の好みの服がわからないって私もミーもクラリーナも悩みのタネなんだよ」

「皆悩んでたの?」

「それは愛する人の好みのタイプでいたい! 好みの女のタイプになりたいっていう女心。どんな服を着た私たちの姿が見たいっていうのが、しん君の場合はまったくわからなかったから皆で悩んでいたのよ。どんな服を着ても嬉しそうにニコニコ見てるし」

「それは申し訳なかったな。この世界にどんな服があるのか知らなかったからね。俺は『この人はこの格好が一番似合うからこの格好じゃないとダメ』ってのが昔からまったくないんだ。むしろ好きな女の色んな表情やいろんな格好を見てみたいと思ってるよ」

「わかった。私たちも頑張って色んな服を探してくるから、しん君も私たちにこの世界にない服を着させて」

「それも楽しそうだな。わかった。考えておくよ」


そういってアイリは下のキャビンスペースに降りていった。そろそろ交代の時間のようだ。

しかし・・・嫁からコスプレの許可をもらっちゃいました。


夢が広がるな・・・何からいこうか?

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