森林モンキーのレクイエム。翌朝は嫁と息子にイジメられてホバーボードを作った。自重と常識は置いておくっす。
10・26修正しました。
大森林に入りセバスチャンとマリアにそれぞれ単独行動させて大森林の探索を命じた。
俺は時間を短縮させる為に気配探査と魔力探査の網を大きく広げる。
「アイリ、ミー、森林モンキーのトドメはクラリーナがするんだから殺さないように。クラリーナが慣れるまではできるだけ致命傷で動けなくなるレベルで。森林モンキー以外は狩ってくれていい・・・俺もそうする」
「「わかったわ」」
「クラリーナは落ち着いてくれ。魔法は『ここにこう当てる』って脳内のイメージが1番大事なことだ。慣れないうちは外れても気にするな、どんどん打ち込めば良い。魔力が切れそうになったら俺が補充するから辛くなったら言ってくれ。絶対に我慢するなよ?」
「わかりました」
「よし・・・ではこっちだ。森林モンキーらしき群れが20匹ほどの反応がある」
今までは大森林のダンジョン『アゼット』までの街道で話していたが森林に足を踏み入れる。
ライトの魔法を前後左右に4つ放って足元と魔獣を誘う。
誘蛾灯みたいなものだな。
フォーメーションは俺が先頭で遊撃する。
アイリはクラリーナの横を歩いて壁になる。
ミーも最後尾で遊撃するスタイルにした。
俺とミーはスピードと手数で勝負するタイプだしな。
3分ほど歩くと・・・
「来た! こっちから・・・20mほどだな。みんなも魔力と気配を探る練習をしておいてくれ」
「はい。あ! 何かきた! わかる! はやい」
クラリーナが感じたようだな。俺もカタナを抜いて迎撃体制に入った。
「こっちにこい! このサルやろー!」
アイリも感じたようだな。
クラリーナの前に出て、挑発を連発して森林モンキーを自分に誘導する。
俺が群れの右斜め後ろに回りこんで逆に群れを追い立てる。
最初にカタナで足を切ったら死んでしまったので、カタナは納刀した。
これはいかん、手加減が難し過ぎる。
それからは素手で相手の攻撃をいなしてたまに軽くパンチを入れて手加減の調整をしていく。
群れの左斜め後ろかに回り込んだミーも同じように調節を失敗して3匹ほど殺してしまった。
それからは槍を短槍に持ちかえて石突で相手をさばいていた。
アイリも同じだった。
盾をトンファーのようにして敵の攻撃をいなして反対の盾で殴ったら死んでしまったのだ。
それからは防御オンリーで相手に挑発を入れて攻撃をいなすの繰り返しだった。
俺はクラリーナに風魔法の『空弾』の指導をしながら森林モンキーの攻撃を素手で裁く。
「ちがう、クラリーナもっと空気の弾を圧縮して半分以上に小さく」
「そう! それぐらいだ。今度はその弾丸を螺旋回転運動をさせて目標に捻り込め!」
「よしそれでいい。今度は目標を正確に貫くイメージで! 森林モンキーの眉間を狙え! うん、そうだ!」
と、クラリーナに空弾の指導をしてガンガン撃たせる。
10匹ほどクラリーナが殺したところで森林モンキー5匹は逃げ出した。
「いやー、ゴメンゴメン。1匹殺しちゃったよ・・・まさか足を切り落としたら死ぬとは」
「しんちゃん、私も一緒だよ。まさか槍の一突きで死ぬとはね・・・3匹も殺しちゃった。まだこのサイラスの槍の手加減ができないよ」
「私もオーガナイト鋼の盾が威力があり過ぎて死んじゃうから手加減できないわ。攻撃するのはやめておくね」
「皆さんありがとうございます。おかげで私も10匹ほど倒せました。でも・・・森林モンキーが逃げちゃったんですけど、逃がしてしまって良かったんですか?」
「ああ、大丈夫よ。あいつらは仲間を捜してまた襲い掛かってくるから。今度はこの森林モンキーの血の臭いをかいで次から次へと魔獣が集まってくるわよ」
「アイリ、そう脅さないの。しんちゃん、悪いけど3mほどの昆を作ってくれない? 手加減が厳し過ぎるし、森林の中で振り回すには長過ぎ」
ほいよーと返事をして簡単に作る。
ミーの意見を聞きながら調整していく。
如意棒みたいだなこれ、両端は石突みたいに丸くしたし。
みんなにアイテムボックスからジュースを出して渡す。
ん、甘くて美味しい。
森林モンキーではない反応が俺の探査に引っかかった。
「森林モンキーではない反応が来た。こっちの方向だ。森林モンキーの血の臭いに釣られてやってきたな。反応は1匹だけだから俺が相手をする。アイリとミーはクラリーナの防御。その後すぐに逃げた森林モンキーが仲間を連れてやってくる。連戦になるぞ! 森林モンキーはこっちの方向からだ。全員迎撃開始」
「「「はい」」」
俺の掛け声とともに魔獣が暗闇から飛び出してきた。
サソリオオクモだ!
これは美味しい相手だ・・・俺の鎧の原材料だからな。
これで壊れても簡単に補修が出来る。
俺はカタナを抜くと弾丸のようにサソリオオクモの真正面に飛び出してサソリオオクモ甲殻の隙間から脳にカタナを突き入れてえぐる。
別に甲殻ごとでも刺してえぐることは出来るが・・・気分の問題かな。
キレイな甲殻も欲しかったし。
反応すらさせずに殺してすぐ魔法で解体してからアイテムボックスに入れる。
「よし。間に合ったな。来たぞ森林モンキーだ。反応は50匹以上だ。今度も逃げた敵は追わなくていい」
俺は森林モンキーの群れの正面へ躍り出て正面から突破して後ろに回りこむ。
捕まえては投げる。
森林モンキーの爪攻撃を交わして腹にパンチ。
噛み付き攻撃をかわして膝に蹴りで膝を砕く。
アイリとミーも同じようにさばいていく。
2人は防御をメインにして鉄壁の守りだ。
人の壁の間からクラリーナが魔法で森林モンキーを討伐していく。
今度はクラリーナが魔法での攻撃に慣れてきて短時間で50以上倒し森林モンキーは3匹ほど逃げ出した。
「さて、今度は逃げ出した森林モンキーが本拠の巣に帰っただろう。逃げたやつが動かなくなるまでに森林モンキーの素材を回収だな」
俺は自分達がいる今の場所で散乱する森林モンキーの死体を解体して回収する。みんなに冷えたイチゴやメロンをカットしたものを渡して食べて、しばし休憩。
森林モンキーの巣にみんなをつれて転移して200匹ほどを狩る。
それをもう2度繰り返して600匹以上を狩った。
もちろん巣の中にある森林モンキーが集めた素材も完全に回収する。
クラリーナの討伐数が530匹を超えたために終了しておく。
以前に大森林で泊まった広場でセバスチャンとマリアの2人と待ち合わせをして集合してから家に帰ることにする。
るびのは大森林に着く前から俺の上でスヤスヤ寝てる。
るびのを起こさないように体をスムーズに、滑らかに動かせながら敵の攻撃をすべて見切って動く狩りは楽しかった。
広場からヨークルの門に程近い場所の道に転移してキャンピングバスを取り出し家路につく。
俺もみんなも装備を外してパジャマに着替えた。
熟睡中のるびのはマリアが抱いていてくれてる。
今日はヨークルの外へは門から出て行ったので門から帰ったほうがいいかな?
っていう用心の行動だったりするが・・・いまさら自重か?
って気分にもなる。
ここの門番は馬車の中に入ってきてステータスカードのチェックをしてくるので、ちょっとウザイが安全のためだとあきらめている。
ヨークルの中のほうが悪党多くないか? って気分になるしな。
流石の門番さんもキャンピングバスの中で今日はマットの上に布団が敷いてあるし、みんなパジャマで寝転んでるし、には驚いていたけど。
家に到着するころにはみんな熟睡中だった。
キャンピングバスの洗浄をセバスチャンに任せる。
マリアには寝室にるびのを運んでもらう。
俺は嫁に3点セット魔法でキレイにして寝室に1人ずつお姫様抱っこで運んでいく。
みんなを寝室に運び終えてから、居間でセバスチャンとマリアの報告を受ける。
マリアがホットコーヒーをいれてくれた。
マリアもセバスチャンも両方ともサソリオオクモを退治していた。
セバスチャンは3匹・マリアは1匹。
俺のアイテムボックスに解体して移し替える。
セバスチャンが大森林の中で『乾燥したヘチマ』を回収してきてくれた。スポンジ代わりだな。
マリアは小川と池を見つけて中をもぐった結果、何かの遺跡らしき物を見つけたのだが、まだ詳しくは調べていないと報告してきた。
発見した場所をMAPに入力しておく。
池には大きいサーモンがいて10尾ほど捕まえてきてくれてた・・・さすがマリアだ。
セバスチャンは森林モンキーが大量発生している原因を調べてた訳ではなかったが、森林モンキーが大好物の木の実が大量になっている場所の魔力反応が異常な場所があったので掘って調べたら、大きな魔結晶を5つと、小さいが純度が高い魔水晶20個ほど掘り出してきてくれた。
たぶん地中の魔水晶が相互に干渉しあって魔力が暴走。
そして近くの木や地中に埋まってる魔結晶を大きく成長させてしまったのだろう。
原因を取り除いたので森林モンキーの大量発生は時間とともに減少していくだろう。
大きな魔結晶はシルバードより少し小さいぐらいだったのでこれは使いやすいな。
魔水晶は魔獣の中から出てくるモノより地中から掘り出されるモノの方が多い。
地中の中で魔力の塊が石に反応すると出来る。
時間と手間と魔力を一定量を長時間、必要とするが人工的に作り出すことも可能だ。
間違って食べてしまった魔獣は魔力が暴走して砕け散る。
極まれに体内に取り込むことに成功した魔獣は強力な魔獣に変身する。
魔水晶そのものは魔力は持たない。
魔水晶は周囲から少量ずつ魔力を集めてきて、それをある一定の方向に放出する。
その先に植物や魔結晶があると異常な成長を遂げてしまう。
セバスチャンが畑に埋めたいといったので1つ渡した。
1つぐらいならそこまでのパワーはなく、板状に加工すれば魔力の飛ぶ方向が安定させれるのでコントロールしやすくなる。
この魔水晶の特性を利用して加工すれば・・・電話が出来そうだ。
番号はないので、グループ会話が可能なトランシーバーだけどな。
さっそく試してみた。
魔水晶を細長い棒状にして俺の魔力パターンと念話のスキルを封入する。
それをマリアとセバスチャンに持たせてマリアは家の外に。
俺は大草原の大岩まで転移して使用してみた。
あっさり出来た・・・これでアイテムボックスメールが必要なくなったな。
また早乙女邸の居間に戻って量産する。
1つ作るのに魔水晶の大きさは1/5で充分だった。
すべてのゴーレムに内蔵させることにする。
俺の分は腕輪にして嫁の分はネックレスタイプにしておく。
これで今夜も終了だ。
おやすみなさいって寝る・・・そういえば今夜はエッチなしかぁ、なんて考えながら。
あけて転生11日目の朝。
朝の天気が良くて庭に出て驚く。
明らかに昨日より畑に植えてある野菜や果物たちが成長してる。
昨日作ったアイテムは『念輪』って名前にした。
ネーミングセンスを俺に求めるな! って宣言したような名前だな。
ネーミングセンスは絶望的でもデザイン気に入ったみたいだな。
嫁3人に渡して使用方法を教える。
慣れないうちは戸惑っていたが、3人とも物覚えが速いな。
すぐに覚えて俺抜きで嫁3人で念輪で会話してる。
俺はグループ会話から外させてしまった。
・・・イジメいくない。
るびのには念輪は付けていない。
子供にこういうのを持たせるとヤバイ気がするっていう立派(?)な理由がある。
俺は腕輪を左手にはめる。
時計が着いてるみたいでついつい見てしまうのが習慣病だろう。
右手だと違和感ありまくりで結局左手にはめるという推移があった。
嫁3人は朝食後はまた地下訓練場に行ってる。
訓練場で昨日の実践の中で気になった部分がいくつかあって師匠ゴーレム達と動きを検証するんだと。
「え? 俺は訓練場に行ったらダメなの?」
「しん君がいたら頼っちゃいそうで訓練にならないからね。だから訓練は私たちだけの訓練です」
「だよねー。いまさら、しんちゃんは訓練いらないしねぇ」
「しん様は神様ですから訓練なんて必要ありません。私たちが少しでも強くなってしん様に迷惑をかけないためにする訓練ですので」
と、追い出されてしまった。
ヤバイ俺、ちょっと泣きそう。
モフモフに癒しを求めようと、るびののところに行った。
「マリアねーさん、こう?」
「るびの、違いますよ。後の攻撃を繋いでいくためには、ここではいったん相手の攻撃をかわして後ろに回りこむんです」
るびのと遊ぼうとしたら既にマリアを先生にして魔獣ゴーレムたちを相手に裏庭で狩りの練習をしていた。
るびのは俺がセバスチャンとマリアを作ったんだから君のにーさんとねーさんだよと教えたらマリアねーさん・セバスにーさんと呼ぶようになった。
「る、るびの。とうちゃんと遊ばないか?」
「今、狩りの練習で忙しいからまた今度ね」
あっさりフラれた。
子供はこうやって巣立っていくんだな・・・もはや涙目になってきた。
セバスチャンは朝食後に買出しに行かせてしまったし・・・そろそろ米が補充したかったしな。
午後は冒険者ギルドに行って昨日の森林モンキーをクラリーナに討伐証明させてランクアップさせないとって仕事があるけど・・・今が超ヒマ。
何か作るかな・・・こういうときは一切自重せずに趣味全開で何かを作り上げたい。
そういえばここってファンタジーだよな?
地球じゃ無理でも、ここなら・・・アレが作れそうな気がする。・・・アレとは何か?
有名なハリウッド映画の3部作で車で未来に行ったときにスケボー持って来たよな?
あの、浮くヤツ。
男のロマンが炸裂し始める。
今の俺なら簡単に出来ねぇか?
重力魔法を入れて風魔法で方向を。
そこまで高く上がらなくて良い。
2mぐらい浮けばいいな。
キックボードタイプじゃなくて、板と靴をスノボのように固定式にして。
それだったら足の動きで方向変換も・・・
作った!
やった!
さすが『神の創り手』スキル。
これ専用のブーツまで作ってるのが俺の狂気だな。
ブーツを履き板の上に乗る。
板のジョイント部分にブーツをはめて乗ってみる。
ブーツを微妙に動かせて浮いてみた。
体重移動が失敗してグルンって回転して顔面から落ちた。
でも俺まったく痛くない!
そりゃそうだな、元々ステータスおかしいしな。
さらに今は興奮し過ぎてアドレナリンがドッパドパだ。
「アッハッハ、こいつぅ、テコズラセヤガッテ」
もはや危ない人だな俺。
わかってる・・・でも楽しくてたまらない。
何度も何度も転がって落ちて引きずられて・・・でもこの天元突破ステータスは習得が早い。
10分後には自由自在だった。
「イー・・・ヤッフォー!! 俺、飛んでる! 飛んでるぜーぃ!」
別に飛翔魔法を使えばいつでも飛べるんだけどな。
でも、こういうときは叫ばずにはいられない。
だって、男の子だもん(デマ)。
「アハハハハハハ・・・」
笑いながら屋敷の裏庭から飛び出す、シーパラ大河の上だ。
水の上でホバリングさせてみるがまったく問題ない。
映画とは違って水しぶきが凄いだけだ。
最高スピードを試す。
バシューと水面近くを飛ぶ飛行機の後ろみたいな水しぶきを上げながら水上2mほどを加速していく。
「おおおー! すっげぇ! 魔法バンザーーイ!」
周囲の船などからの視線も一切気にしないで飛び回っている時速100kmぐらいは出そうだな。
そのまま突っ走り人目が無くなったところで自宅のガレージに転移した。
最後だけ自重した。
流石にそのまま戻ってきたら騒ぎになりそうだからな。
あー、楽しかった。
久しぶりに脳味噌のタガが外れそうになるほど笑ってはしゃいだよ。
ストレスやらいろんなものが吹っ飛んだな・・・ついでに常識も。
セバスチャンは買出し中だし、久しぶりに俺が昼ご飯を作ろう。
昨日マリアが獲ってきてくれたサーモンでカルパッチョを作る。
これも昨日セバスチャンが採ってきてくれた木の実の中にオリーブがあったので。
生姜が食材にあったのでメイン料理は豚バラ肉の生姜焼き。
料理をしているとるびなが走って、飛んで俺の後頭部に掴まる。
「とうちゃん、何あれ? ビューンって。すっげーっし! 川の上をボーって」
「おー、とうちゃんはすっごいぞー。マリア、アイテムボックスからスープをだして温めておいてくれ」
「はい」
マリアがテキパキ動いて先回りをして準備していくので料理がはかどる。
セバスチャンが帰ってきたので片づけを任せて、俺は念輪でみんなを呼ぶ。
「アイリ、ミー、クラリーナ。昼食を作ったぞ。そろそろ食べにおいで」
「ハーイってしんちゃんが今日は作ったの?」
「えっ? しん様って料理も出来るんですか?」
「出来るも何もマリアやセバスチャンが持ってるスキルって、もともとはしん君のだよ? しん君の料理は・・・すっごいのよ。女としての自信がぁ~、とかねもう何もかもがぶっ飛んでく美味しさよ」
「・・・んごきゅ。それは楽しみです」
ダイニングテーブルに嫁3人が走ってきた。
「ほーら、飢えた魔獣のようにお食べ、子猫ちゃんたち」
って誰も俺の変なセリフにツッコミを入れてくれない。
マジで飢えた魔獣のようにガツガツ食べてる。
テーブルの真ん中におかわり用に作っておいた肉が大皿に積まれていたのにすぐになくなる。
俺も食べてたのに気付くと嫁3人の目線による無言の
『お前が何食っとんねん。はよ次焼けや』
というプレッシャーに負けて肉を焼き続けた。