ゾリオンとの話し合い・・・それは流石に予想してなかったっす。
7・9修正しました。
8・17修正しました。
10・24修正しました。
到着するとゾリオン本人が出迎えてくれた。
応接室で話し合いの開始。まずは俺の嫁から紹介しないとな。
「早乙女君久しぶりだな。わざわざ店まで呼んですまない。この男はワシの執事をしている『ウィンダムス』だ。以後よろしく頼む。それでそちらのお嬢さん方は・・・」
「ゾリオンさんお久しぶりです。まずは俺も冒険者のチーム『早乙女遊撃隊』を作りましたので紹介します。まずこちらが『アイリ・早乙女』俺の妻です。アイリはCランクの冒険者です。そしてこちらが『ミネルバ・早乙女』彼女も俺の妻で冒険者ギルドランクもCです。最後にこちらも俺の妻の『クラリーナ・早乙女』彼女はまだ冒険者ランクはFですが、まだ冒険者になりたてですので。ついでにこっちのクマは『セバスチャン』俺の執事ゴーレムです。こっちのクマは『マリア』メイドゴーレムです。2体は俺の自作です。ゴーレムまで全員がチーム『早乙女遊撃隊』です。・・・ああ、頭の上にいる魔獣はるびのです。彼もチームのメンバーです」
俺が1人ずつ紹介していって嫁たちがお辞儀をするとゾリオンとウィンダムスもお辞儀を返しているが・・・絶句しているみたいだった。
そりゃそうか。
俺が1人で来ると思ってたのにぞろぞろと嫁を連れてきてるしゴーレムまでいるし。
「すみません・・・ゾリオンさんからの依頼内容ではチームでの参加も可能だったはずですが?」
「・・・あぁ、すまない早乙女君。君がチームを作ったとは聞いていたんだがな。チームでの参加も大歓迎だ。それでは依頼内容はギルドで聞いてきたってことで話を進めたいのだが」
「えぇ、簡単には聞いてます。話を続けてください」
「まずはこのヨークルからの移動になるが君達を乗せるための荷馬車の分の荷物をキミのアイテムボックスで運んでもらいたい」
「俺たちは荷馬車がなくても大丈夫ですよ、馬車も持ってますから。あと運ぶのは荷馬車1台分でいいんですか? 妻たちは結婚の祝福をアマテラス様からいただきまして、みんな俺と一緒のアイテムボックスの中のサイズです。クラリーナに至っては大のサイズをいただいてますんで全員で100台分は余裕で運べますよ」
結婚したことで神様から祝福がたまに貰えたりすることがあるのは今でも常識なはず。
「なんだって? ちょ、ちょっと待ってくれ。サイズが予想以上だ! 少し計算し直したい」
ゾリオンとウィンダムスさんが事務室の方に走っていった。
俺たちはギルド職員さんとコーヒーをすすりながら暇をつぶす。
「なんかすっごい慌ててたね。クックック、ちょっと笑っちゃった」
ミーが失礼なことを言って笑ってるが仕方がないだろうな。
アイテムボックスの中というのは最大で10m×10m×10mの1000㎥の物資を運ぶことが出来る・・・中身の重さはまったく関係ない。
クラリーナに至っては大のサイズだから20m×20m×20mの8000㎥だ。
俺は本当は無限だがステータスカードで書いてあるサイズが中なので中といってる。
アイリ・ミー・俺・クラリーナで最大11000㎥もの物資が運べてしまう。
荷馬車は最大サイズでも高さ3m幅も3m長さは6mだから54㎥。
単純計算で200台以上もの物資が俺たちだと馬車1台で1回で運べる。
これがアイテムボックス持ちが優遇される理由だし、ひとたび戦争になると敵からも味方からも誘拐されたり暗殺対象となる。
ゾリオンたちが帰ってくるまではかなりの時間がかかった。
1時間半以上は待たされた。
マリアが2回も紅茶を入れてくれた。
あまりに美味しく入れた紅茶だったのか、ギルド職員が紅茶の入れ方をマリアに真剣に教わってて少し和んだ。
クマに紅茶の入れ方を学ぶ40代女性ってのはシュール過ぎる。
「とうちゃん、そろそろ晩ご飯だよ。腹へって来たよー」
おぉ、成長したな我が息子よ・・・会話に漢字が入ってるぞ。
「るびのの言うように、そろそろ私もおなかが空いてきましたね」
クラリーナもるびのに賛成してるし、ここでなんか食おうかなってみんなで話していたらゾリオンが部屋に戻ってきた。
「お待たせして申し訳ない。今、会議室の方に食事を取り寄せることにしたんでお詫び代わりに皆で召し上がっていただきたい。ギルド職員さんの分も用意してありますから遠慮なさらずに。ギルドには食事もしていくって、今さっき人を走らせて連絡させていただきました」
「ありがとうございます。では、皆さんいただきに参りましょう」
ギルド職員さんの嬉しそうな声でみんなが立ち上がって動き出す。
ゾリオンが立ち上がる俺に聞いてきた。
「早乙女君、申し訳ないがるびの君の食事が何がいいのかわからなくて相談したいんだが」
「るびのの分は俺が持ってるんで大丈夫です。何もいりませんよ」
「早乙女君、本当にすまないな。職人ギルドとの調整でもう少し時間が欲しい。食事が終わるころには計算も調整のための話し合いも終わる予定だからゆったり食事でもしててくれ」
「わかりました」
会議室に行ってビックリした。
食事を取り寄せたって聞いてたので美味しい弁当だと思っていたが・・・やるなゾリオン、職人ごと持ってきやがった。
流石にこれは意表を突かれたな。
目の前で並んでるネタを目の前で天ぷらにして揚げてくれる・・・超VIP待遇だった。
これには流石に今まで美味しいものが食べられると思っていて、少しだけはしゃいでいただろうギルド職員さんまで絶句してた。
野菜・キノコ・肉・魚介などの山盛りのネタをみんなで食いまくった。
るびのは俺の席の隣の席におすわりで座ってマリアが世話してくれてる。
マリアがちぎった肉をおいしそうに食べてて・・・なんで1回の食事で肉1kgとミルク5ℓをがぶ飲みしてるんだ?
成長するのが早いはずだな。
俺たちが食べてる天ぷらには興味も示さなかったので助かった。
欲しいって言われても流石に天ぷらはまだ無理だしな。
食事が済んでみんなでお茶をすすってると、ゾリオンが会議室に入ってきた。ウィンダムスさんともう1人、知らない人間も入ってきた・・・いや、正確には人族でない、ドワーフだ。
ドワーフが部屋に入ってきてすぐに話を始める。
「私は職人ギルド、ヨークル支部のギルドマスターをしている『アルベスタ・キグナス』です。ドワーフですのでキグナスが名前のほうです。キグナスと呼んでください」
そう言って俺たち全員に自分のステータスカードを1人ずつに見せてくれた。
「では、さっそくですまないが本題に入らせてもらう。君達のステータスカードを自己紹介代わりに見せて欲しい。それでチーム『早乙女遊撃隊』の皆さんには自分の名前とチーム名、それで祝福のアイテムボックスが本当にあるのかを表示して見せていただきたい。冒険者ギルドの職員さんは職業を表示してください」
ああ、なるほど確認ですか。俺たちがステータスカードを出してキグナスさんに1人ずつ見せて確認していく。
「間違いなく全員分のステータスカードの確認させていただきました。ご協力ありがとうございます。それで日程のほうは・・・」
「キグナスさん、それはまだ俺たちは聞いてないんですが」
「早乙女君、キグナスさん、申し訳ないがこれから説明させて欲しい。早乙女君にお願いしたい日程がこれで決まった。明日・明後日は準備をさせてもらいたいので、3日後の朝7時からの4日間の契約をさせていただきたい」
「4日間もですか?」
「ヨークルからゾリオン村への移動で1日。ゾリオン村から開拓村で1日。開拓村からゾリオン村で1日。再びゾリオン村から開拓村へ1日の計4日間でお願いしたい。運ぶ物資の量はここヨークルから開拓村まで2m×2m×2mの大きさの箱を1人125個の計500個の量をお願いしたい」
「運ぶ荷物って箱なんですか?」
「木箱に入ってる石材や金属が主な荷物だ。木箱に使用する木材も運んで欲しい材料なんだ」
「わかりました。どうぞ話を続けてください」
「ああ、そして再びゾリオンに戻ってきてもらいゾリオンから開拓村に同じ量の物資を運んで欲しい。次も木箱で石材と金属が主な荷物となる」
「護衛の依頼ってどうなるんですか?」
ミーが疑問をゾリオンにぶつけてきた。
そうなんだよな・・・俺たちチーム『早乙女遊撃隊』の今回の目的は、クラリーナの冒険者ギルドランクを上げるために受ける依頼なんだからな。
金の問題でない。
「それはもう一つの依頼という形になる。護衛対象はヨークルから石材と木材と金属加工の職人が合計100人移動となるので開拓村まで護衛してもらいたい。護衛とはいえ早乙女君たちは自分の馬車で移動できるので、移動の際は最後尾を走ってもらいたい。荷馬車で1台10人と護衛が2人これが10台の移動だ。君たち以外の護衛も先ほど連絡が取れて全員参加可能との返事を貰った」
「他の護衛って会ったこともないんですけど」
「あぁ、3日後の当日の朝にみんなで顔合わせをしていただく。早乙女君たち以外の護衛は全員が元国軍の人間で、彼らは開拓村の防衛軍としてそのまま雇われることになる。身元はハッキリしているし、真偽官を入れた面接を全員としているので犯罪を犯しそうなヤツはいないと断言できるので、奥様方もご安心していただきたい。そしてゾリオンから2回目の開拓村への便には、今はゾリオンに避難しているが前に開拓村にいた職人系の住民の家族が合計100人の移動だ。これにもゾリオンから護衛が荷馬車に同行するのでまた後ろから馬車で護衛していただきたい」
「それで今回の依頼の報酬はどうなりますか?」
「こちらでも計算して確認はしているがギルド職員の方にも確認して欲しい。まずは輸送と護衛の2つの依頼で1人1日500万G×2で1000万G。チーム4人で4000万G。それを4日で1億6000万Gとなる。依頼成功のボーナスとして一人1000万G。全部合計で2億Gでいかがですか?」
俺はこの金額が妥当の範囲かわからなかったのでギルド職員さんの顔を見る。
嫁たちもゾリオンさんたちもみんなでギルド職員さんの顔を見る。
全員にいきなり注目されて少し顔を赤らめたギルド職員さんが大きな声で答えた。
「金額はかなり多いですが運ぶ物資の量と拘束される時間を考えると妥当な範囲に入っていると冒険者ギルド側は判断します。それで早乙女さんはどうなさいますか?」
「すみません、チームで確認の話がしたいので少し時間をいただけますか?」
そういって俺は嫁たちを連れて一度会議室を出る。
「しん君どうするの? 私は賛成したい。これは仕事としては美味しい仕事の部類だと思う」
「アイリの言ってることは私もわかるよ。私も依頼を受けるべきだと思う。クラリーナの昇格試験がこれなら簡単だよ。移動も自分達の馬車が使えるし、他の護衛の身元もしっかりしてるから中でのトラブルはほとんどないと思う」
「私は冒険者になり立てで仕事もまだ理解できていませんが。しん様の意見に従います」
「ああ、俺もこの依頼は美味しいと始めから思ってるよ。以前、るびのを紹介した時に話したと思うけど、俺は銀大熊・グリーンウルフ・炎虎の魔獣と会話したことがあるって言ったけど覚えてる?」
「「「覚えてる」」」
「それを簡単に説明すると・・・今回の目的地の開拓村が廃村になった理由の1つで銀大熊の『シルバード8世』というのが開拓村周辺の魔獣の暴君の大ボスとして君臨していてね。俺がこの世界に転生してきた場所の大岩で俺が襲われたんで退治したのがきっかけなんだ」
「「「魔獣に名前があるんですか?」」」
「あぁ、あるんだよ・・・俺もはじめは凄く驚いたよ。それで次の日にその大岩に行ったらグリーンウルフのリーダーの『ガウリスク』から昨日から貴方がここのボスになりましたって慕われてね。それからグリーンウルフの本拠地がある丘の洞窟に仮住まいさせてもらったりと仲良くさせてもらってるんだ」
「「「・・・」」」
「それで次はクマの大ボスが死んだことによって北の草原でボス争いが起こってね。それを勝ち抜いてきた『アキューブ16世』っていう銀大熊が50頭以上の銀大熊を引き連れて縄張りを広げるために攻撃を仕掛けてきた。それに抵抗してグリーンウルフの軍団とウルフと仲がいい炎虎の軍団が合同して銀大熊軍団とのあいだで戦争になったんだ」
「「「・・・」」」
流石に真剣に話を聞いてくれてるみたいだな。
「このまえ俺が石材を取りに行った時に、グリーンウルフにお願いされて戦争に介入して戦争を力ずくでやめさせたんだ。その時に銀大熊と炎虎も俺の傘下に入って、俺が大草原の魔獣の大ボスに就任することになった。せっかく大ボスになったから、もう人族は狙わないように命令し、追いかけられても逃げるように言ってある。それでも追っかけてくるようだったら退治して食べちゃっても良いよって許可もしてある」
「じゃあ、大草原で魔獣に襲われることがこれからもうなくなるんじゃないですか?」
「ああ、クラリーナが今言ったように大草原で『魔獣から襲われること』は今後はなくなるよ。だから今回の護衛任務でも襲われる可能性があるのは盗賊だけだ。しかも廃村になった開拓村を本拠地にしていた盗賊集団『草原の暴風』は俺が148名を退治したんでほぼ全滅している。これを考えると俺たちは自分の馬車に乗って移動するだけで大金とクラリーナのギルドランク昇格試験がセットでもらえる美味しい仕事だと思う。だから俺はこの依頼を受けようと考えてるが、みんなは賛成してくれる?」
「私はしん様の意見に従います。賛成です」
「私ももちろん賛成よ。もともと美味しいと思ってたからね。アイリは?」
「私も賛成。思ってる以上に美味しい仕事だったみたいね」
「よし! じゃあ、この依頼を受けて今夜はこれから森林モンキー狩りだな。目標はクラリーナが525匹以上狩ることだ」
会議室に入り依頼を受けると伝えると依頼書の作成に入る。ギルド職員が作成した依頼書3枚を全員で確認して全員でサインして俺が1枚ゾリオンが1枚冒険者ギルドの1枚をそれぞれ持って今日は解散。
俺たちは夜の暗くなった大森林に行く。