新ギルドマスターとの話し合い。また大金もらっちゃったっす。
10・22修正しました。
鎧ゴーレムと魔獣ゴーレムは訓練で傷付いていたので、修理して邸内にそれぞれ配置して停止させておく。
敷地内にいるユーロンドたちが交戦状態になった時だけ応援に行けるように設定。
そこまで高性能には作ってないし戦闘能力に特化したゴーレムなので訓練の時と戦闘戦力の補充ぐらいにしか使えない。
魔結晶の質が悪いので魔力も長時間持たない。
今日は大森林に行く予定だから帯剣はしていないが防具は装備していつものようにキャンピングバスを使い俺の運転で冒険者ギルドに向かう。
今日はセバスチャンとマリアも同行する。
また大森林の中では別行動をしてもらって素材集めをしてもらう予定だったからだ。
るびのは俺の頭の定位置だけど、もうすでにるびのが大きくなりはじめてる。
はじめは頭に乗ってて後頭部に掴まっていたのだが、今日はもうすでに俺の肩の上にるびのの後ろ足が乗ってる・・・首の後ろに乗って座ってる・・・これは肩車? という状態になってる。
歯もほとんど生えてきてるので今日の昼食は柔らかい爆走鳥の肉を小さめにちぎって与えている。
まだミルクもがぶ飲みしているが・・・こいつすっげぇ食って飲んでるな。
真っ白だった体毛は黒の縞模様が出てきてホワイトタイガーっぽくなった。
毎回頭に乗せる時は革紐の長さを調整していたが今日は革紐じゃなくてベルトにした。
・・・るびのを頭に乗せての移動も今日で最後かな。
明日以降は一緒に歩いていこう。
キャンピングバスの中にるびの用の席をつくらないとな・・・こんな考えをしてる間に冒険者ギルドに到着する。馬車置き場にキャンピングバスを入れて停車。
セバスチャンをキャンピングバスの見張りとして置いて中に入る。
俺がギルドの中に入っていくと・・・あれ? 昨日までの受付の人が違う。
とまどう俺の前に冒険者ギルドの幹部がきた。
「早乙女様、少しだけ時間をいただきたいのですが」
「え? あー、俺は話すことはもうないんだけど」
「あ、実は今日から冒険者ギルドヨークル支部のギルドマスターが新しく就任してきまして、ご迷惑をおかけした早乙女様に謝罪がしたいと」
「ああ、そういうことね。じゃあ今から会うよ。俺も忙しいからなるべく手短にお願いするよ」
俺はるびのをマリアに預けて、みんなには依頼書を見ててもらう。
「こちらのギルドマスター室でお願いします」
・・・そういえばヨークルの冒険者ギルドマスター室は今日が初めてだな。
「君が早乙女真一君か。この度は冒険者ギルドの汚れた部分を押し付けてしまった・・・誠に申し訳ない。それと汚れた部分を炙り出してくれてありがとう」
「ハイ、わかりました。謝罪と感謝を俺は受け入れますんで、もうこれ以上の謝罪も感謝もいりません・・・えーっと、貴方のお名前は?」
今度のギルドマスターは50代の騎士みたいな風貌をしている。
鎧は着用していないが逞しく鍛え抜かれたゴツイ体格をしている。
身長は175ぐらいだろうが、横幅は俺の倍はありそう。
二の腕はクラリーナのウエストぐらいの太さがありそう。金髪の金色部分が減った白髪のオールバック・・・ハゲではない。
顔はイケメンではなくゴツク逞しい顔だな。
それで、頭を下げるギルドマスターに話を促すために質問しようとしたら・・・名前がわからなかった。
「ああ、早乙女君すまない。まずは名前だな。私の名前は『ラザニード・ヴェイケルシュタット』だ。ラザニードと呼んでほしい」
「早乙女真一です。早乙女と呼んでください。それで謝罪と感謝は了解したのですがラザニードさんからの話とは?」
ラザニードさんと握手をするが、やはり俺は日本人だな。
よほど親しい人間以外からは苗字で呼ばれたほうがしっくりする。
「まぁ、立ち話もなんだしまずは座ってくれ」
俺が座ると幹部職員が飲むのはコーヒーか紅茶かを聞かれたのでコーヒーと答えると奥の給湯室からコーヒーを入れてきてくれた。
ギルドマスター室に入ってすぐにコーヒーの良い匂いがして気になってたから良かった。
「早乙女君と話がしたいって言うより、当事者の君が疑問に思うであろうこと・・・結果報告だよ」
「なるほど。確かにそれは気にはなっていましたね」
「まずは順番に・・・君を殴った『MAXマッスルパーティー』のチームのリーダー以外のメンバーは全員全財産没収でギルド資格の停止処分になる。ランクは『H』として固定されて、他のギルドの資格は停止となる。Hランクで期間は最短で3ヶ月。この間は決まった仕事しか請けられない・・・仕事は用水路の掃除とかだな、仕事をしてポイントを溜めないことには期限は永遠に延びていく。早い話『牢屋に入らない強制労働者』だな、賃金は最低限しかないし。自分の金は没収されて1Gもないから仕事しないと生きていけない。養ってくれる人間がいればいいけど・・・買い物すらできなくなるからな。しかも彼らの場合は借金も背負うことになる」
「へ? 借金ですか}
「ああ、犯罪に対する罰金だけでなく、君を殴って骨折などの治療費が彼らには国からの借金というかたちになる。この治療費がバカみたいに高くてな。通常の3倍だ。だから彼らにはそれぞれ100万G以上の借金になる」
「ボッタクリですね」
「当たり前の話ではあるんだけどね。教会側としては犯罪者の治療なんてしたくないって名目のボッタクリ価格になってるよ。だから2/3は教会が持っていく。通常の倍の金額で教会が儲けになってるし、1/3は国だ。これらは利子も含めてあるからな・・・こうでもしないと犯罪者の治療なんて好き好んで誰もしない」
「国は何もしないで1/3ですか?」
「犯罪者の治療費は後納しかないからな・・・利子だ。教会には倍の治療費を国が即支払って肩代わりしているから」
「ああ、それで『利子』ですか。結構エグイ話ですね」
「今回の事件の場合は全財産没収の時点で国庫に損はないが、普段の事件では治療費回収前に死んでる場合が多いしな」
「なるほど、そういうわけなんですね。それで・・・」
「MAXマッスルパーティーのリーダーなどを含む前ギルドマスターの親戚116人はもう完全に犯罪者集団だった。犯罪を繰り返していたために全員が全財産没収と犯罪者奴隷の首輪をつけられて若い女は身売りされる。それ以外は全員鉱山の町に送られる。犯罪の数によって期限はまちまちだが・・・まぁ出てこれないだろうな。首輪がある限り逃げることどころか逆らうことすら出来なくなる。体力のあるやつほどキツイ仕事に回されるし、期限が来るまで最低限の食事と最低限の睡眠、それ以外は強制労働だ」
「それって緩やかな死ってことですか? こっちもエグイですね」
「イヤなら犯罪するなって被害者の怒りが法律の基になっているよ」
「わかりやすいですね。それで前ギルドマスターはどうなりますか?」
「無論、死刑だ。彼女の名前は・・・」
「あ! 名前はおっしゃらなくても結構です」
「・・・そうだな。知っても仕方ないな・・・それで明日の朝に時計塔の下の広場で執行される。ギロチンの公開処刑に決定した。立場を利用しての犯罪ばかり。あまりにも悪質過ぎるんで見せしめと、我ら冒険者ギルド全職員への戒めのための公開処刑を国と冒険者ギルドの話し合いで決定した。死刑はすぐに決まっていたんだが、ギロチンの公開処刑執行に国から意見が入ってな。その後の話し合いで決定された。その決定命令書をもって俺がここのギルドマスターに就任したんだ」
「そうだったんですね。わかりました」
「それともう一つ君に御礼を言わないと。昨日君が受付で問題を起こした職員とここの全ギルド職員に説教をしたコイツ『ケンジ・ミールハイト』から聞いた。本当にありがとう。緩んでた空気が一変したとケンジに聞いてるよ」
そういって自分の横に座るいつもの幹部職員に指を差す。
「今回は前任のギルドマスターの責任とはいえ、ここのヨークル支部全体がルールに対する認識が甘過ぎる。とケンジからの意見書が首都シーパラにあるシーパラ連合国ギルド本部に届いていて、俺が就任早々に動けるようにギルド職員指導員も引き連れてきたからな。まだ今日は職員を会議室に1人ずつ呼んで面接している最中なんだ。あまりにも緩んでた人間は再指導になる。受付は緩み過ぎていたんで今日から再教育に入る」
「早乙女様には何度も嫌な思いをさせてしまって誠に申し訳ございません。しかし再指導専門教育者のラザニード様がギルドマスターに就任されたんですから、今後は全くかわってくると思います。早乙女様、今後ともよろしくお願いします」
「ラザニードさんって再指導の専門家なんですか?」
「ああ、俺とゾリオン支部でギルドマスターをしているアクセル・ビッタートは9年前の冒険者ギルドのクーデターの主要メンバーなんだ。それで今は2人とも正義感を買われて指導員になってるんだよ」
そうだったんだ。どうりでゾリオン村は職員から警備の人間にいたるまで教育が行き届いてるんだな。
バカ貴族がいたけど・・・ヨークルと比べると教育レベルが高いと思っていた。
「ゾリオン村は開拓村の失敗と討伐部隊の敗走で、ギルド職員のモラルまでが低下しているとゾリオン氏からの相談された冒険者ギルドが、再教育のためにアクセルを派遣しているんだよ」
「どうりで・・・ゾリオン村のレベルの高さが理解できました。ビッタート卿も教育者だったんですね」
「あいつは女性職員の指導・教育は俺以上だよ。ゾリオン村は女性職員しかいなかったんでアクセルが選ばれてる。それでアクセルのゾリオン村ギルド職員の再教育も終わったと終了報告があってあいつは来月は本部に戻ることが決定している。一昨日の終了報告を俺も聞いていてな・・・君の事は少し聞いている」
「そうなっちゃいますよね。盗賊退治とかクマ退治とか色々やっちゃってますからね」
「まぁ、悲観しないでくれ。そこでのギルド本部の会議の決定事項がもう一つあって、それも君に関係があるから聞いて欲しい」
「冒険者ギルド本部の会議で決定されたことで俺に関係することがあるんですか?」
「謝罪とお詫びの方でだな。一昨日の早朝の会議で早乙女君の冒険者ギルドへの貢献度と謝罪の意味も含めて4億Gが冒険者ギルドから君へ支払われることに決定した」
「はぁ? なんで4億Gも?」
「簡単な話にすると早乙女君が前ギルドマスターと会議室での会話中に賭けをしたとケンジの報告書にもあったんだが・・・あってるよな?」
「ああ、あれですか。あれは売り言葉に買い言葉でしょ?」
「それはそうなんだが、君は賭けに勝ったんだから迷惑をかけ続けたギルドが早乙女君へ支払おうってことが決定したんだ」
「・・・良いんですか? そんなんで?」
「ああ、間違いなく君のおかげで冒険者ギルドは前進することになるよ。各支部のギルドマスターの権限が今まで意外と強かったおかげで地方で好き勝手にやっていたバカな連中が、今回の事件ですべて明るみになって、これから徹底的に絞り上げられるだろうからな。もうすでに4つほどの町や村のギルドマスターは拘束されている。指導員も向かっている最中だよ。それのお礼も含んであるんだから今回はできれば受け取って欲しい」
ここで受け取る受け取らないは時間の無駄と判断して素直に受け取ることにする。
「わかりました。受け取らさせていただきます」
「話が早くて助かるよ。・・・そういえは今日は忙しいって話だったな。ではさっそく入金手続きに入るが・・・入金はどっちにする?」
そういえば早乙女遊撃隊というチームを結成するって時にアイリとミーから言われてたな。
「今回は金額が多いんで全額をチームの方にお願いします」
「ではギルドカードをこちらの魔水晶に当ててくれ」
今回の入金はチームに入るのでいつものステータスカードではなく、冒険者ギルドカードをアイテムボックスから取り出して魔水晶に当てるとピピって音がして入金された。
ギルドカードにチーム早乙女遊撃隊の所持金が表示できるようになった。
表示される金額を確認して金額表示を消しておく。
「確認できたかな? これで君のチームの人間・・・いや違うな。君はゴーレムも所持してるという話だな。これでチームのゴーレムも使えるようになったはずだよ」
「え? ゴーレムも買い物できるんですか?」
「早乙女君は知らなかったのか。ゴーレムの持つネームプレートもこのギルドカードと同じだから、チームに所属したゴーレムはネームプレートを使って買い物が可能だよ。だからネームプレートの盗難には気をつけた方がいいよ」
「わかりました気をつけます」
「ギルドからの君への報告は以上だ。時間を取らせてしまい申し訳ない。ついでだから何か言いたいことや聞きたいことってあるかな?」
「それじゃあ、ケンジさんに。職員への説教は裏でやってほしいですね。冒険者の前でやられるのはちょっと・・・不愉快な気分になりますんで」
「それは気がつかなくてすみませんでした」
「俺も承知した。今後の教育するさいの指導要綱に入れておくよ。貴重な意見をありがとう」
「俺の言いたいことは今のところそれだけです。聞きたいことは今はありません」
最後にラザニードさんとケンジさんの2人と握手をして終了した。
ギルドマスター室を出て、みんなのところに足早に行く。
みんなが心配していたが、ざっと簡単に説明すると納得してくれた。
ギルドカードをみんなが更新して入金額に驚いていた。
マリアからるびのを受け取ると、見張りをマリアとセバスチャンに交代してもらいセバスチャンのネームプレートも更新しておく。
みんなで更新しまくっていたらすでにチームのお金として入っているので更新をいちいちしなくても大丈夫ですとギルド職員がこっそり教えてくれた。
嫁達に森林モンキーの依頼があったか聞いたら、まだまだ森林モンキーの数が多くてしばらく討伐依頼は続くってさ。
それでチーム早乙女遊撃隊に指名依頼が入ってるから、俺の意見が聞きたいとミーに言われたのでギルド職員に詳しい話を聞きに行く。
「では最初から話をさせていただきます。まずは今回の指名依頼相手はゾリオン・シーズ・ガルディアです。依頼内容は開拓村への村民の先発隊の護衛依頼と、それにともなう物資の輸送依頼だです」
「報酬は? 俺こういう相場も知らないんだけど・・・」
「依頼達成報酬金額は要相談となっております。一度ガルディア商会のヨークル支部にて話がしたいということなのでそちらで対応をお願いしますが、こういう指名依頼に早乙女さんは慣れておられない様なので参考までですが、こういう指名の護衛依頼の場合は1人1日100万から500万Gが相場になっております。あまりに安い金額や高額な金額で契約してしまうと混乱とトラブルの元になりますので気をつけてください」
「なるほど勉強になります。金額はみんなで話し合って決めさせてもらいます」
「アイリさんやミネルバさんは護衛依頼の経験も豊富なのでガルディア商会での話に参加された方が良いと私は思います」
「わかりました」
「仕事の内容ですがヨークルからゾリオン村に、ゾリオン村から開拓村への荷馬車での移動ですね。開拓村の警備隊はすでに先発してゾリオン村に今日出発したと聞いております。それでゾリオンにいる開拓村から逃れてきた人たちと、今回の募集で集まった村民の移動の護衛依頼ですね。その移動時の物資の輸送も頼みたいって依頼になってます」
「うーん、ランク的には大丈夫なのかな?」
「私もそれが心配。クラリーナはまだFランクだし。クラリーナが参加した場合って昇格試験依頼になるの」
今まで黙って話を聞いていたアイリが疑問をぶつけてきた。
「ヨークルからゾリオン村へはDランク相当。ゾリオン村から開拓村へはCランク相当となっております。クラリーナさんが参加されますとのCランクまでの昇格試験も兼ねることが出来ます」
クラリーナがCランクになる為に必要な森林モンキー討伐数は・・・525匹か?
・・・今夜中にいっとくか。
どうせ森林モンキーは活動時間は夕方以降だし、今からガルディア商会に行って話を聞いてきますかね。
今からガルディア商会にみんなで行くと言うと契約にはギルド職員も同行して、その場で契約書を発行してくれるらしい。
どうせここから近いしってことで、みんなで歩いていく。
これは美味しい依頼かも。
あそこの魔獣は全部俺の部下だし。
敵がいるとしたら盗賊の生き残りぐらいだろ。