買い物中に接近してきた新たなる敵の影! 主人公と3人の嫁は、この後いったいどうなってしまうのだろうか! っす。悪党どもは浄化だぁ~! いえ、ムリっす冗談っす。
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「おー! とうちゃん。すっごい、オレンジでキレイになってる!」
るびのも大興奮だな。
俺もるびのが騒がしくなかったら、もっと長時間見とれてたと思う。
それだけの素晴らしい風景だった。
気になっていることがある。
移動しようとすると自然にアイリ・俺・クラリーナ・ミーの順番になってる。
チーム『早乙女遊撃隊』のフォーメンションの練習なのか?
ってぐらい自然にこの形となってる。
別にいいんだけれど、なんか身長の関係でアイリとミーが俺とクラリーナの護衛みたいになってるって言ったら嫁が3人とも笑ってた。
そんなことを話しながらも雨はすでにやんでるので、歩いて買い物に行く。
まずはクラリーナの服からだな。
ついでにアイリとミーにも一緒に好きなもの欲しかったものを買うように言って衣料品店に入って行く。
俺は男性服を見て回るが、嫁3人はキャッキャしながら服を選んでる。
ふふふっ嫁たちが楽しそうで何よりだ。
下着と替えの服、触り心地のいいクッションとかも売っていたので、ついでに購入してしまう。
寝室のソファーに色合いが合いそうだったので数種類の大きさのクッションを買う。
アイリ・ミーも俺と同じようで下着を数品買っていた。
2人は家から服や生活用品を持ってきてるし、以前も買いに来てたから服は余り必要ないだろうが・・・クラリーナはそんな訳にはいかない。
防具はコートなので中に着る服が必要になるし、普段着もパジャマだって必要なものは多い。
靴も今のおかみさんがサービスしてくれた冒険者用のブーツしかクラリーナは持っていない。
全部買うので時間がかかるが、時間なんて忘れてみんなで手伝って忘れ物のないように何度か確認しながら購入していく。
俺もクラリーナに似合いそうなエメラルドグリーンのワンピース(クラリーナの瞳の色に近かった)を選んで渡した。
そういえば俺って生地さえあればいつでも作れるじゃん!
ってことで生地も糸も何種類も大量に購入していく。
だって、3人の嫁のエロチャイナ服とかナース服とかセーラーでもいけるんだぜ?
スク水でもどんとこいだ・・・そりゃ男なら買うっしょ?
勢いだけで100万G以上使ってしまった・・・生地だけで半分以上だし、反省も後悔もない。
そもそも金に困ってないし。
歯ブラシとか色々な雑貨も必要だから雑貨屋にも行く。
櫛や髪留めなんかも必要。
クラリーナは腰まで届きそうな長い髪の毛だから・・・リボンやカチューシャ、かんざしみたいなのも買ってた。
この雑貨屋にも時計が一切売られていない・・・そういえばみんな『時計』って持ってないよね?
どうやって時間がわかるの?
ってきいたら・・・ギルドカードやステータスカードに表示されてた。
知らんかったよ俺。
俺は時間を脳内にMAPと一緒に表示させてるんで知らなかったよ。
俺が寝室にどこかの神様に投げられた赤い目覚まし時計を置いたときに不思議な顔で俺を見てるから何でだろうと疑問に思っていたし、どこの店にもどこのギルドにも置いてもいなかったし壁に取り付けてもなかった。
みんな時間を知りたいときは毎回外に出てヨークルの中心にある時計塔を見てるのかと思ってたよ。
雑貨屋の後は以前も行った食料品市場の方にみんなで行くことにした。
様々な食材を買って次々にアイテムボックスに詰めていく。
ただ周囲に雑多な人が増えた為にめんどくさそうな視線を送ってくるヤツラが大胆に近寄ってきた。
俺も最近はもう自重しないで好きなことを好きなだけ作って、ヨークルの中をうろついていたからな。
見たこともないゴーレム馬車に乗って、ゴーレムとは思えないほど滑らかに動くクマのゴーレムを連れて歩いてるんだからな。
可愛い嫁も増えてるし・・・変なヤツラも増えてくるだろう。
もちろん俺の気配探知と魔力探知から逃れられるはずもなくすぐにわかる。
何度か交代して見張ってるのまでわかってる。
全ての人間には魔力パターンがマーキングされて俺の脳内MAPには全部表示されているので彼らの動きはわかっている。
どこで待ち合わせてどこで立ち止まりなども・・・全部わかってる。
俺がじーーっと近づく男を見てると俺に接触をしてきた。
「早乙女真一って名前のガキだな?」
「もう調べてから来てるのに・・・いちいち聞かないでくれますか? 答える必要もないですし」
「肝が据わったガキだな。まぁいい、ちょっと話がしたいと依頼人がおっしゃってるんでついて来いよ」
「いやですね。子供の時に習わなかったんですか? 知らないオッサンに付いて行くと変態の慰み者にされるって。もう嫁もいますし、オッサンには興味もないんで」
「本当にいい度胸したガキだな。ただ、変な動きをしたら俺の仲間が黙ってないぞ?」
「仲間って・・・あそことそっちの建物の屋上で見てる覗きのオッサンですか? それと俺の後ろのあちらから近づいてくる10人のオッサンですか? 俺の嫁の背後の3人のオッサンも仲間なんですよね? ・・・つまり、お前らは俺と俺の家族に害をなそうとする・・・俺に『戦争』仕掛けてきてるんだな?」
ここで俺は大声を出す。バカ相手に遠慮も躊躇もない。
「クソジジィ・・・アントローグ商会は俺に戦争を仕掛けてきた! と認識してもいいんだよな?」
俺に近づいてきていた10人・嫁の背後に回っていた3人・上から監視していた2人を革紐でグルグル巻きにした状態で瞬時に目の前に転がる。
賢者ともなれば魔法の呪文の詠唱も必要ないし手をかざしたりも必要ない。
声を出す必要ない。
俺も今まではなんとなくの雰囲気でやってただけだ。
人ごみの中でカタナを振り回さないだろう・・そういう敵の油断を逆に利用させてもらった。
人海戦術で女を人質にすれば何とでもなると思ってたんだろう・・・安全な場所での人と人との駆け引きならともかく、戦いに関してはコイツらはド素人だな・・・所詮は指揮してるのが商人関係者だ。
俺は魔法で即座に対応する。
戦争だったら何も遠慮は要らない『やられる前にヤレ』
「な!」
目の前のオッサンを逃げられないように手で掴んで捕まえておく。
走っていた複数の人間が消えた! って思ったら、いきなり15人もの人間が革紐グルグルで転がってるんだから市場はパニックだ。
「え? なになに? は?」
嫁3人もキョトンとしてる。
「テキがきたー、グルグルにー、つかまったー、きゃははは!」
るびのは頭の上で歌ってる。何か音程が独特すぎてちょっとホンワカしてしまう。だけどちゃんと敵と認識して気配もすでに察知していたようなので、流石は聖獣だな。
「さぁ、あそこの路上でゴーレム馬車に乗りこちらの様子を窺ってる、アントローグ商会の執事と幹部に話を聞きましょう! おら! クソジジィ、お前が案内しろよ・・・おっと? もしかしてオッサン、お前は俺から逃げられるとでも思ってるのか?」
オッサンの手を握る趣味はないので、オッサンの手を引っ張ってケツに蹴りをいれた。
3mほど転がったオッサンは立ち上がって走り出そうとしたら、目の前にの俺にぶつかって尻餅をついたまま恐怖で驚愕してる。
「それとオッサンの仲間の15人を縛っている紐・・・あれは俺が魔法で封印したから誰にも外せないぞ? オッサンもあそこで仲間になって転がっとくか? あの15人の誰でもいいしな『案内するだけの人間』なんて」
15人のオッサン達が俺が俺がと口紐の隙間から自己アピールしてる。
俺は15人をさらに紐で縛りズリズリと引っ張ってゴーレム馬車の方に嫁3人を連れて歩いていく。
魚釣りの仕掛けのように1本の紐に15人が縛られているので少し面白かった。
石ゴカイが15もついてる。
モゾモゾ動いてるし・・・キスの投げ釣り? カレイもいけるか?
くだらないことを考えてちょっと微笑んでしまいながら、ゴーレム馬車に歩いていく。
「ずーるずる! それっ! ずーるずる! そいさっ! ずーるずる!」
頭上のるびのの歌も絶好調だ。
合間の合いの手の掛け声が日本人っぽいのは俺の知識からだろう。
全く重さを感じさせずに15人を引きずって歩く俺に、恐怖でガクガクしながらも後ろからついてくるオッサン。
「クソジジィ! 案内する気はねぇーのか? 前を歩け! 俺の前を!!」
俺が命令するとガクガクしながら馬車まで走るオッサン。
ゴーレム馬車は動いていない。
戦争状態に突入して魔法を使った時についでにゴーレム馬車の動力を伝えるためのシャフトを粉砕しておいた。
動いていないではなくて『動けない』だな。
馬車のドアは封印したので、出て逃げ出すことも出来ない。
馬車の窓から見えるのは中のフルプレートアーマーを着た護衛がドアに体当たりを繰り返しているところだな。
封印したのでドアを触ることも出来ないから壊して脱出することもできない。
うん。威張って接触してきた割にはこいつらは滑稽だ。
なんか必死になってドアに体当たりを繰り返すフルプレートーアーマーのヤツラを見ていたら、ちょっとだけ可哀想になってきた。
許す気も逃がすつもりも全くないけど。
封印を解除してやるとフルプレートアーマーを着た護衛のオッサンが転がり落ちてくる。
無様だな。
後ろにいっぱいいるギャラリーにも聞こえるように笑ってやった。
ギャラリーの人たちも笑ってる。
「何だ貴様ら! なんのようだ!」
「何でって、あんた達の後ろに隠れてるメガネ君が俺を呼んだからでしょうが! なぁ、オッサン」
俺を呼びにきたおっさんがクビをブンブン上下に振ってる。
後ろのギャラリーにも聞こえるように全部が大声で会話をしている。
実際、5mぐらい離れているから大きな声じゃないと会話できない。
俺は耳が良過ぎて護衛の影に隠れてコソコソ話してるメガネと幹部の話声まで聞こえてるが。
「それで俺の嫁を人質にしようとしてまで、アントローグ商会の執事さんと幹部さんはどんな話を俺としたいんですか?」
「そんなヤツラは知らん! 見たこともない!」
「こんな事言ってますけど?」
「ふ、ふざけるな! お前が俺を雇ったんだろうが! 女共々さらって来いって! なぁ早乙女さんこれは事実だから真偽官を呼んで証言してもいい」
「くそっ! こうなったら、みんなやってしまえ!」
「ハッ」
4人の護衛が動いた。3人が俺に切りかかる。1人はクラリーナのほうに駆け出した。
3人のロングソードは俺に当たったところで止まる。
1人は俺の右手を横から切りつけてる。
1人は俺の腹の真ん中に突きを入れてる。
もう1人は俺の足を切りつけている。意外と護衛のみんなが慣れているようだな。
無駄な動きがなく、俺への攻撃もかなり鋭かった。
俺は切れないし刺さらないけど。
俺は今、旅人の服を装備しているので腰のベルトには拾った飾りの短剣しか差していない。
服が切れた。
今日は朝からフル装備をしていたが衣料品店でクラリーナが試着をする時に、ついでにみんなで装備を外していたから。
「ぎゃひゃぁ~」
って叫び声がして後ろを見ると、斬られた俺を驚愕で目を見開いて見つめる嫁3人と・・・クラリーナを捕まえようとして伸ばした指先が、アイリに間に入られてアイリのアイテムボックスから瞬時に取り出した盾で曲がってはいけない角度で曲げさせられている。
指のそんなところに関節なんてないよって箇所からも折れ曲がってる。
複雑骨折ですね。
手を伸ばした先にアイリの盾が割り込んできて指が正面衝突して骨折。
こうしている間にも俺は護衛3人に何度も切られたり突かれたりしているが、全く気にする様子もなく全ての攻撃を受けてる。
ギャラリー達が呼んだ警備兵が来るまで攻撃は続いた。
服はボロボロになって護衛の猛攻をうかがわせるが、傷ついていない動くこともない。
嫁3人が・・・後ろに背負ったギャラリーが・・・全身を切られているのに身じろぐことも無く血も出ない俺を呆然と見ていた。
馬鹿共の全員が警備隊に現行犯で取り押さえられるまで続いた。
警備隊と一緒に近くの警備隊詰め所に向かう。
俺がオッサンに声をかけられた時に隣にいて、一部始終を目撃していたオバちゃんも目撃者代表として自ら名乗り出て一緒に行ってくれた。
「俺たちは何も関係ない」
「化け物が近づいてきたから切りかかっただけ」
「こんな盗賊みたいなヤツラに依頼?俺たちは関係ない」
「うちの商会は被害者だ! お前達警備兵を訴えるぞ!」
「用がないから帰らせろ! 俺たちは無関係だ!」
なんてことを繰り返し何度も逃げようとするが、ここまでの大騒ぎでそれはムリって思っていたら、警備隊の責任者が来てニヤリと笑いながらメガネと幹部に最後通牒を突きつける。
「今まではそれで逃げられたのかもしれないが、今回は現行犯だからな。もうお前等アントローグ商会は終わりだよ。真偽官が来てからお前たちの尋問開始だぞ? 今までみたいに言い逃れられるなんて甘い考えは捨てた方がいい。ここにお前らの仲間はいないし、もうすでにお前らの本拠地も警備隊が取り囲んで今頃は中に突入しているよ。もう逃げ道なんてないよお前等全員」
そういって警備隊の責任者が俺の方を向いて俺に頭を下げた。
「早乙女さん、申し訳ない。こいつらアントローグ商会は何人も君達のように才能のある若者を誘拐して奴隷にして売っていたんだ。中々しっぽが掴めずに時間がかかっていましたが、明日にでも一斉に抜き打ちで本拠に突入しての捜査ができるぐらいに証拠が集まってきてたので、早朝に踏み込む予定で動いていたのですが・・・結局手遅れになってしまいましたね。明日の突入準備のために今日は人を集めるのに時間がかかってしまい対応が遅れてしまいました。申し訳ないです」
ここで警備隊と同じ鎧を着ている3人が廊下を引き摺られて地下の牢屋へと続く階段を下りていったので、ビックリしていると責任者が教えてくれた。
「彼らはこのヨークル警備隊に所属しながらアントローグ商会に雇われてる人間です。あの市場の警備の所属なのであそこでいつも誘拐をする手助けをしていたのです。騒ぎになったら彼らが駆けつけて結局さらわれる。まったく酷い話ですよ。彼らがフラフラしていたのは魔法を使った尋問の影響ですね・・・おい! 次はこいつらだ! 尋問室に連れて行け!」
責任者が指示してアントローグ商会のメガネと幹部が連れて行かれる。
「早乙女さんと奥様方、そして証人の方もこちらの応接室にお越しください」
俺・嫁3人・オバちゃんの5人は別の方向にある応接室に通される。
警備隊の詰め所の応接室だから豪華ではないが落ち着いた雰囲気の部屋で証人のオバちゃんがホッとしていた。
ソファーに座ると紅茶・コーヒー・お茶の注文を聞かれたので俺はお茶を選び・・・ずずずっとすする。
クッキーの箱もテーブルに置かれてご自由にどうぞと言われる。
応接室にも警備隊の人はいたが俺たちの座るソファーと出入り口のドアの真ん中に立って、ドア側を向いているので威圧感はほとんど感じない。
30分ぐらい待ってるとドアが開いて真偽官と司祭が入ってきた。
アイリの母親のカタリナ・クリストハーグを助けに行った時のイケメンナイスミドルコンビだった。
ドミニアン司祭とローグ真偽官だ。
ホテルでの騒動解決パーティーでも俺が何度も『真偽官さん』と呼んで、名前で呼ばなかったら怒ってたけど理由を言ったら大笑いした人物だ。
「俺には『ローグランド・ペスカトーレ』という立派な名前がある! 真偽官は俺の職業だ。名前じゃない! ・・・はぁ? 『ローグランド真偽官さん』って名前が長くて呼びづらいって? アッハッハッハ! じゃあ『ローグ』って呼べ」
って俺の肩をバシバシ叩くイケメンだ。
その真偽官さんが俺に声をかけてくる。
「おぅ、早乙女・・・また厄介ごとに巻き込まれてるなみたいだな? アッハッハッハ」
笑い方まで爽やかイケメン系のナイスミドルでちょっとムカつく。
「俺が厄介ごとに巻き込まれるのは神様のせいです。俺に厄介ごとを押し付けて解決させようと企んでいるんです」
どこかで【ギクッ】って声が聞こえたがもう気にしていない。
アマテラス・・・声に出して『ギクッ』って言うネタはどこから拾ってきてるんだ?
みんなが笑ってた。
ドミニアン司祭まで笑ってるのには少しムカついた。
お前・・・司祭だろ?
お前が敬愛する神を俺が笑いものにしてるんだぞ?
少しは怒れよ。