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ウェルヅリステルでの魔獣掃討戦っす。

「しんちゃん、遺跡はどうだった?」

休憩に入ってからミーに聞かれたので全部正直に答えた。


「残念な遺跡に残念過ぎる成功報酬と・・・」


ミーも絶句してしまった。


「まぁ、今現在どこにいるかよく分からない勇者専用の武器としては及第点なのかもな。」

「でも、中級までって?」

「ヘルプさんの計算では中級以上になる頃には、ほぼ意味ない武器となってしまうらしい。攻撃力が頭打ちになる武器は頭打ちになる頃にはもっと別な武器の方が使いやすいだろうってさ。」

「だからしんちゃんが説明したように期間限定なんだね。トラップはそんなにショボかったの?」

「簡単な攻略法があるしな。攻略するための難しさもそれほどでもないし。だからダンジョンではなくて、遺跡にしてクリアしやすくして初級勇者に渡す為の簡易な練習用の施設にしているんだと思う。」

「ふーん、まぁ私達の誰も使えない武器に興味は無いわね。しん君でも使えないの?」

「俺が装備した瞬間に木っ端微塵だろうね。俺の力を押さえ付けるほどの能力も頑丈さも何もかもが足りない武器だし。勇者専用とはいえ頭打ちにならない普通の武器だったら俺はたぶん装備可能なんだけど、頭打ちにさせるには俺の能力を押さえ付ける必要があるからなぁ。あの武器では一瞬たりとももたないと思うね。」


それからはキャンピングバスの中に移動して雑談。

明日は更に線路跡沿いの魔獣退治を進める予定で、早朝から開始する予定でいるので今日は早めに寝る。




明けて5月20日の朝は少し曇っている。

湿度は高めなのでちょいと蒸し暑い感じだな。

だけど早朝はまだまだ涼しい。

皆で早起きして装備に着替えて、キャンピングバスの運転をセバスチャンに任せて俺達は移動中の朝食。

俺は湯引きして黒胡椒で味付けしたチキンを挟んだクロワッサンサンドを頬張る。

長年放置されていた街道は所々が少し痛んでいるが、キャンピングバスだとそれなりのスピードが出せる程度の街道が残されてる。

これだけで過去に施された建設魔法技術の高さがうかがえるな。


今日は流石にアイリも目覚めは早かった。

キャンピングバス内とはいえ自宅ではなく大森林の中で目覚めたのが大きいのだろう。

ある程度進んだ所でキャンピングバスを停車させて歩いてウェルヅリステルに戻るように狩りを始めるとする。


るびの達は今日はフォクサの故郷の温泉巡りをするそうだ。

カント達も同行して狐魔獣達と交流を深めたいらしい。


今日も俺とセバスチャンが回収係で、マリアは嫁達のフォロー。

オークはオークソルジャーまでしか大森林には棲息してない。

オークが大量発生して暴走(スタンピード)した時はオークジェネラル以上の種が出てきて、凄くわかりやすいので簡単に区別できる。


まぁ、気付いた時には早急に対処する必要はあるんだけど。


今の大森林にはスタンピードの兆しは感じないな。


なんて事を考えながらも狩りはスタートしている。

嫁達が狩ったオークをアイテムボックスに入れて、横合いから突撃してくるオークの集団には逆に斜め後方から突撃して陣形を崩して嫁達をフォロー。


1つの魔獣の群れの退治を終えると、毎回休憩しながら嫁達の反省会を見守って、求められた時にはアドバイスを送ったりしている。


今回は何もアドバイスすることはない。

カレンは常に全体を見ていて的確な指示を出していたし、クラリーナは魔法による攻撃と守備をカレンの指示に遅れる事無く最適に行っていた。

ミーとアイリは流石の幼なじみコンビ。

長年の付き合いからアイコンタクトも無く、身体が勝手に反応してお互いを補っているので危ない場面が無い。


休憩を終えると次の魔獣の群れへ。

次のオークの群れはそれほど多くない。

今度は全体のコンビネーションに重点を置いて戦っているようだ。

カレンがアイリとミーにも指示を出し始めてる。

アイリとミーもカレンとの付き合いが長いから、短い指示を的確にこなしているのでより効果的にダメージを与え、今まで以上の短時間で狩りを終えている。


ますます俺の仕事が無くなってくるな。


嫁達の連携は大幅にレベルアップしてるので、指示をだすカレンの統率力は頼もしい限りだな。

冒険者活動の履歴が段違いだし、元々自分の冒険者チームを率いてまとめていたから、視点が敵の群れの動きを的確に捉えていて、どんな形でも対応出来るように余裕を持たせた対応をしてる。

トラップまみれの盗賊の隠れ家に少数チームで突撃して殲滅を繰り返していたカレンからすれば・・・低レベル魔獣の群れは練習相手にも成らないから、後ろに引いた状態でチームに全部任せているんだろう。


今日も夕方までにかなりのオークとトロールの群れを狩った。

これだけ間引けば充分だろう。


キャンピングバスをアイテムボックスから取り出して、運転はセバスチャンに任せてウェルヅリステルの港へ。

運転サポートはマリアに任せた。


キャンピングバスに乗り込むと俺のステータスから全員を普段着に着替えを済ませて(くつろ)ぐ。


街道に飛び出てくる魔獣などの生物は、運転サポートのマリアが魔法で吹き飛ばして終わらせている。

なので大森林の街道を普通の馬車では考えられない猛スピードで疾走するキャンピングバス。


今夜の晩御飯はシーパラのどこにしようかと盛り上がっている。


カレンが海鮮系が食べたくなったとのリクエストが採用されて、俺も以前に一度入った事がある海鮮丼で超有名な店『新鮮海鮮至上主義宣言』に行くことになった。

ここの海鮮丼は並ぶ価値があるし。

1杯3000Gとそれなりの値段と並ぶ労力を考えてもお得感が凄い店。


カレンは初めての『新鮮海鮮至上主義宣言』の海鮮丼らしく、また舟盛りも一緒に頼もうとアイリの発言を聞いて大興奮してて可愛い。


猛スピードでキャンピングバスを爆走させたお陰で、日が沈みきる前にウェルヅリステルの港に到着した。

キャンピングバスをアイテムボックスに入れて、係留してあるハウスボートに皆で乗り込んでから出発。


対岸の首都シーパラの契約してあるマリーナまではそれほどの時間は掛からない。


今日の運転は全てセバスチャンに任せた。


マリーナに到着するとまたキャンピングバスで『新鮮海鮮至上主義宣言』のお店までシーパラを疾走・・・制限速度下なので小走りで走った方が早い速度の疾走なんだけど。


ゴーレム馬車駐車場に停車すると見張りをマリアとセバスチャンに任せて俺達は行列に並ぶ。

行列に並んでいると有名人のカレンがいるチームなので注目度は高い。

俺は徐々に顔を知られてきているけど、噂がたつようになったのはまだまだ最近なので顔まではあまり知られていないし。


アイリとミーは通り掛かりの冒険者に話し掛けられている。

カレンを見てビックリした後に俺を見てフリーズするパターンもある。


少しは顔が知られてきてるのかもな。


並んでいるけど大きな店だし回転はなかなか早い。

個室が空くまで待ってたので待機列の途中から個室待ちの列に別れたから、思ってた以上に時間は掛かったけど、夫婦で雑談してたら時間はそんなに気にならなかった。

空腹もそこまで気にならないぐらいに雑談で盛り上がってたし。


漸く個室に入れた。

既に待機中に注文は済ませていたので手早く料理が運ばれてくる。

海鮮丼の大盛り5つと5人前の舟盛り。

以前食べた時とネタが違うのはこの店の特徴。

朝仕入れたネタによって毎日のようにネタが変わるとのこと。


大満足だったな。

この店はのんびりする場所じゃないので、まだ待っている人がいるし食べ終えると早々に店を出る。


次はカレンおすすめの焼き鳥屋。

タレも塩も旨いらしい。


カレンがキャンピングバスを運転して焼き鳥屋に向かう。

程近い場所だったのですぐに到着。

第一陣の団体客がちょうど店を出てきたところだったので大きめのテーブル席を確保出来た。


「おぅ! カレンさん、いらっしゃい!」

「ども! 大将、今日は家族連れ。おまかせでジャンジャン焼いて持ってきて!」

「おうよ!」


まずはビールで乾杯。

それからは次から次へと焼き鳥が運ばれてくる。


冒険者だけでなくお店の常連達が次から次へと挨拶に訪れてくる。

老若男女問わずに気のいい連中ばかり。

俺も楽しくてはしゃいでしまう。

隣に座る冒険者とバカな話で盛り上がる。

カレンとクラリーナは笑いが止まらなくなってるし、ミーはアイリや他のお客と一緒に肩を組んで歌ってる。

焼き鳥がめちゃくちゃ美味しい。

口当たりが良くて飲みやすいビールが進む。


ふと見るとカレンが大柄な冒険者をブン殴っていた。

隣で酔ってヘラヘラしてるクラリーナの身体に振れようとしていたらしい。

ブン殴られて倒れた後、しばらくして酔いが覚めた冒険者が土下座して謝罪。

酔っぱらっているクラリーナが許したので、事なきを得たがカレンは相変わらず手が早いとミーが笑っている。

プリプリしてるカレンをアイリがなだめている。


俺はまったく動いていない。


カレンが殴らなかったらマリアが止めてただろうし、俺が動くと手加減をミスってやり過ぎる可能性があるしな。


カレンは冒険者を殴り『慣れてる』から任せてしまった。


『今夜は俺の奢りだ! 皆で楽しんでくれ!』

と、大声で叫ぶと大歓声が上がる。

ブン殴られた冒険者が半分払いますと言ってきたけど、二度とするなよと言って脅すけどお金は払わせない。


嫁達が上機嫌になって酔っぱらうまで宴会は続く。


終わった後は皆をクッションに乗せて魔力で浮かばせると、結構な金額になっていた料金を支払いそのままキャンピングバスに乗り込む。


キャンピングバスはセバスチャンに任せて、俺はマリアと嫁達を連れて転移魔法で帰宅する。



今夜はこれでおしまい。




翌日の5月21日は朝から晴天。


ベッドから起き上がるのは俺だけ。

嫁達はまだ寝足りないようだ。

洗面台に向かい歩いていくと、セバスチャンが転移魔法で、巣に帰って寝ていたカント達を呼び寄せてくれた。

散歩に行こうと俺の足元に纏わりついてくるけど、まずは顔を洗って全身に3点セット魔法を掛けてさっぱりとする。


カントとバッキンガムとワシントンを引き連れて、都市ヨークルの自宅周りにある郊外の田園風景を歩く。


大型犬と大型猫のサイズで俺と一緒にのんびりと歩く。

カントは飛び回っている。

るびのとフォクサも目覚めたようで、俺との散歩を楽しみたいと追っかけてきた。

るびのも大型犬のサイズの虎となっているし、フォクサも同じような大きさになって小走りにやって来た。


皆で朝の郊外農地での散歩を楽しむ。

既に田植えが始まっていて、田んぼは二度目の耕しの後に水が張られているので、後は稲を植えるだけの田植えの順番待ちという場所が多いね。


ヨークル郊外側の田植えは人海戦術で集中的に行っている。


今朝は涼しい風が吹いているのだけど、晴天なので日中は暑くなりそうだから、かなりの早朝から田植えをしてたみたい。


暑くなってきたら休憩するんだろう。

田植えは手伝わないけど、俺もご近所さんのよしみで彼らの休憩中に、冷たいドリンクの差し入れを入れるようにユーロンドに指示を出す。


カントが降りてきて隼ほどの大きさに小さくなってから俺の右肩に止まる。

俺の右顔にスリスリと頭を擦り付けてきて可愛い。


のんびりした散歩を終えると自宅に帰って朝食。

今日は俺がリクエストして自宅メイドゴーレムのクロに用意してもらった朝食は王道ブレックファースト。

焼きたてのロールパンにクロワッサン。

スクランブルエッグと豆の煮物などなど。

超定番の朝食を美味しくいただく。

サクサクのクロワッサンとフワフワのロールパンにはバターをたっぷり落としていただく。


オレンジを潰して作ったフレッシュオレンジジュースは苦味と酸味と甘味の絶妙なハーモニーで堪らなく美味しい。


リンゴジュースも皮を剥いたリンゴをすりおろして作ってるので、噛むようにして飲む新鮮なリンゴジュースの美味しさは格別だな。


家族で楽しく会話しながらの朝食は至福の時間。


ヘルプさんからの朝の連絡事項として『漸くビッタート卿が冒険者ギルド理事会会議から解放された』とのこと。

丸2日近く半軟禁状態から漸く解放されて、流石の温厚なビッタート卿が腹を立てて報復宣言したと冒険者ギルドが沸き立っているらしい。


『あそこまで冷静沈着な人物を怒らせる冒険者ギルド理事会のメンバーとは?』

と名だたる記者連中まで暗躍し始めたとヘルプさんが教えてくれる。


ヘルプさんは信用できる記者に情報提供を俺に提案してきた。


ヘルプさんが動いて集めた情報は既に膨大な量となっていて、俺から記事にしやすい理事会メンバーの裏情報を流したら面白くなりそうだしな。

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