大森林の遺跡を調査してみたっす。
カント達は張り切っている。
るびのとフォクサは嫁達のサポートに回り、敵を牽制するだけの俺と同じように立ち回るつもりらしい。
それとは真逆にカントとバッキンガムとワシントンは滅茶苦茶張り切っている。
ヤル気満々でテンション爆アゲみたいだね。
案の定、セバスチャンにちょっとおちつきなさいと怒られていて、ほんの少しだけ凹んでいるように見えるけど・・・余り反省はしてなさそうだ。
まぁ、ケガするような敵ではないからそんなに気にしてない。
味方が増えたので大きな群れも狙えるな。
少し先にいるトロールの300頭を越える巨大な群れを狙う。
まずは目の前にいた23頭のオークの集団を蹴散らしてから。
嫁達のフォローはるびのとフォクサに任せて、カント達のお目付け役としてセバスチャンに頼んだ。
カント達が張り切り過ぎてるのが一抹の不安が残るしな。
セバスチャンが監視していればやり過ぎることはないだろう。
俺とマリアは・・・
マリアが以前の嫁達との狩りの時に発見した古代の遺跡に向かう。
昨夜に4人の神達が残した遺跡を調査したばかりだったので、大森林に来たからにはついでに調査する事にした。
あの4人のクソ共はろくなことしてないし、消滅してる癖に置き土産みたいなゴミをあちこちに置いてかれてもね。
今後処理するのも俺に丸投げされそうだし・・・どうせならついでに処理しといた方が良さそうだ。
マリアの転移魔法で一気に飛ぶ。
すでに数百年前から放置されてそうな石碑。
蔦が絡んでよく見えない。
魔法で蔦を燃焼させて一気に露出させると・・・何じゃこりゃ。
メッセージらしきものが描かれているけど・・・まったく読めんな。
象形文字? 絵文字?
さっぱりわからない。
「ご主人様、もしかして文字らしきものを解読されようとしてます?」
「無理っぽいね。全く読めんわ。」
「関係性や規則性が一切無いので・・・たぶんこれは『雰囲気を出す為にそれらしく仕上げた絵の羅列』ですね。」
「マジかよ・・・何じゃそりゃ。だけど、あの4人のクソ共ならやりそうだな。」
「色んな解読をヘルプの方で行ったのですが、どの言語にも該当しないという結論です。」
「ヘルプさんが計算し尽くした結論なら、そうなんだろうね。」
「なので、それらしく仕上げた絵ということになりました。」
「もう、この時点でウザ過ぎて全部消滅させたくなるな。」
「ご主人様ならそうおっしゃるだろうとヘルプから言われてますが・・・どうなされますか?」
「うーーーん、悩ましいな。速攻で消しちゃいたい気持ちもあるし。逆にどんな結末が待っているのか知りたい気持ちもある。」
「・・・」
「まぁ、とりあえずは探ってみよう。
」
石碑の封印を魔法で無理矢理解除すると石碑が後ろにグインと倒れて下に降りる階段が現れた。
俺が何も気にしないで一歩踏み出そうとしたらマリアに止められた。
「え? 私に確認もさせずに自ら降りられますか?」
「大丈夫でしょ。逆にトラップだったら喰らってみたいわ。あのクソ共がわざわざこんなん作っといて、しょーもない罠なら滅茶苦茶笑えるし。」
「ご主人様の場合なら掛かる罠はないのですが・・・そうなっちゃいますよね。ヘルプの予想通りですね。」
「ま、俺の性格なんてヘルプさんにはお見通しでしょ。じゃあ、行きますか。」
ずんずんと階段を降りていく。
階段を下りた場所は何もない空間内。
トラップハウスっぽい作りだな。
「ご主人様、これは・・・トラップハウスですかね?」
「それっぽいね。ほいっと。」
「あっ、ここに何か文字が・・・箸? って端のことですかね?」
「ん? マリアは指示に従って進んでくれ。俺は全てのトラップに掛かってやるわ。」
「はい? ってど真ん中から?」
階段を下りてこのフロアの最初の一歩目からマリアは端を歩いていく。
俺は次の石畳に足を踏み出した瞬間にバチンという音と共に紫電が走る。
魔法のトラップはレベルが高いと俺にも引っ掛かるんだな。
魔力を吸収して何事もなく終わるんだけども。
次の石畳は床が抜けた。
石畳が奈落の底に落ちていく。
だけど俺の足が石畳を落とした瞬間に剣客スキルが発動して足場が出来るので何事もない。
次の石畳を踏んだら火柱が俺を包み込むが・・・これも吸収。
次の石畳は何もないと思ったら天井から金だらいが落ちてきた。
流石にこれはニヤリとちょっと笑ってしまう。
・・・ド○フかよ。
ガンと直撃したけど金だらいが俺の頭の形に凹んだだけ。
意外と衝撃があったし、ちょっと面白かったので金だらいを頭に乗せたまま次の石畳へ。
と、消滅した4人の神が見てたら逆ギレしそうなぐらいに、全ての罠の方にあえて突入してる。
水が降ってきたと思った次の石畳には下から小麦粉が吹き上げてくるし。
ちょいちょいギャグを混ぜ混んでる辺りがクソみたいな性格を表現してんな。
そのままフロア反対側の終点まで様々な罠の全てを踏破してやる。
もはや意地だな。
指示通りにクリアしたマリアが生暖かい目でゴールから見てる。
気にしないで遊んできたが。
「ご満足されましたか?」
「一番面白くて笑えたのは結局・・・金だらいだな。後はまぁ、普通すぎでツマンナイわ。」
「・・・」
「じゃあ、次のフロアに行きますか。」
それからもマリアは変な謎かけ問題でもヘルプさんと共同で攻略していくのに対して、俺はわざわざ罠の方を選んで突撃していく。
このフロアは落とし穴が多いな。
剣客スキルが発動するので俺には何も影響が無い。
トラップが動いた瞬間に天井に浮かび上がった魔法陣が発動して悪魔召喚された。
黒いモヤモヤが吹き出てきて黒い塊に収縮されていく。
出てきた悪魔は低位の悪魔なので俺と目が合った瞬間に平伏してしまう。
そのまま魔界に強制送還して終了。
全てのトラップを踏破していくが真新しさは無くなって、既にありきたりになったド定番な罠ばかりになってきている。
悪魔が召喚されたのがこのフロアのトラップの中では唯一の罠だった。
その他はありきたりの罠しかなかった。
「もうちょいヒネリが欲しいよなぁ。」
「そんなものなんですか?」
「金だらい連発の後に悪魔召喚とかな。1つだけ違うトラップってのが工夫がないよな。」
「確かにご主人様のおっしゃる通り、工夫もないですしセンスすら感じられないんですが・・・ここまで全ての罠を踏破していく挑戦者がいるとは想定してなかったのでは?」
「うーーーん、それにしてもなぁ。」
「ご主人様のお気に召さないと・・・」
「そういう意味でもヒネリがあれば少しは楽しめたんかなと。」
「・・・」
「これ以上楽しむのは無理そうだな。やっつけ仕事感が強くてすでに面白味はないんだけど、今さら止めたくないしな・・・マリアを待たせても意味ないしな。さて、どうしたもんかな。」
「私だけで先行しますか?」
「それもありだな。俺は俺でのんびりと罠を全て潰して行くよ。」
「ではご主人様、私は今から先行させていただきます。」
マリアからの提案もあったので先行させる事にする。
俺は気楽に罠を潰して行きますか。
次のフロアは下に降りる階段の途中から想像がついてしまってる。
びちゃびちゃに濡れていて・・・案の定水没したフロアのようだ。
マリアはすでに突破してる?
いや、フロアのあちこちを回っているな。
・・・ここのフロアは罠はないけど、水棲魔獣や水棲怪物の住処となっている。
自分自身に水魔法の『水共存』を使用してザブザブと歩いていく。
全身を水の中に入れた直後にカジキマグロみたいな先端に槍のような刃をつけた魚の魔獣が突撃してきた。
上半身を左に傾けて突撃をかわした流れで左手の貫手を、下から上に突き上げて魔獣の目玉の横から脳ミソに突き刺して終了。
魔獣の突撃スピードも貫手で受け止めて完全に停止させた。
俺の文字通りの桁外れパワーをもってすれば何て事ない。
魔獣の遺体をアイテムボックスに入れる。
目の前に表示されたデータではコイツはかなり旨いらしい。
少しテンションが上がる。
この遺跡はダンジョンと違って魔獣の遺体が洞窟に吸収されないしね。
新鮮さが肝心らしいので即刻アイテムボックスに入れた。
中トロの炙りとか食べたいな・・・何て考えたら腹減ってきたわ。
今は時間を掛けてる余裕はないかな。
遺跡が思ってた以上に深いので計算以上に時間掛かってるからな。
マリアはこのフロアをクリアーして次の階層に行ってしまった。
俺は下に行く階段を探すが、階段らしきものはない。
マリアが次の階層に行く前の最後の場所が下に降りる場所なんだろう。
少し小走りで向かう。
次々に襲われるが一撃で全てを退治。
表示される情報は『美味』ばかりなので少し浮かれながらアイテムボックスに放り込む。
このフロアは違う意味で美味しいのかもしれん。
小走りで向かいながらも挑発スキルで敵を集めてる俺の姑息な生き方にはちょっと考えるものがあるが、これも俺の人間的な小ささだと諦めて水生魔獣を狩りまくる。
次のフロアに向かう為には何かしらのアイテムを集める必要がある、みたいな石碑に文字が書かれているけど、ガン無視して転移魔法で次のフロアに突撃する。
あの4人の神達の思惑をガン無視して、トラップに突撃するから楽しいんだからな。
次のフロアは入口横に床の石畳の進み方が書いてあったけど、全てを逆方向に突撃するのがこの遺跡の破壊活動として罠を全部踏んでいく。
爆発した石畳が4つ。
落とし穴が4つ。
魔法攻撃の火・水・土・風・雷・氷・木(竹槍が飛び出てきた。)などが多数。
ここら辺は定番だな。
金だらいが4連続で落ちてきたのは笑えた。
しかもマトリョーシカのように少しずつ小さくなったので、乗せたまま行動していた俺の頭に4つ重なったので爆笑してしまったわ。
爆笑させられて少し悔しい気持ちもあったけどね。
4連続金だらいの直後に鉄球が落ちてきたのは、なかなか考えられてるような殺傷能力の高さで感心した。
俺にはまったく効かないけど。
だけどそろそろマジで飽きてきたなと思った次のフロアは終点だったみたいで、階段を降りたところにマリアが待っていた。
「ご主人様、そろそろ本格的に飽きてきたと思いますが、ここでこの遺跡は終了ですね。」
「クリアーの報酬とかあった?」
「これです。」
マリアから手渡されたのは鑑識魔法で『勇者の槍』と表示されるシロモノだった。
勇者のジョブを持つ者が装備すると攻撃力が3倍まで引き上げられる。
ただし999まで。
というめちゃくちゃ微妙な数値だった。
自分自身の攻撃力を上げないと攻撃力は引き上げられないし、無条件で3倍になるわけではなく頭打ちとなるのが微妙過ぎる。
「しかも勇者専用・・・微妙だな。」
「ですね。ヘルプの考察でも『序盤戦から中盤に掛けては無双できるが、それ以降はアイテムボックスの肥やしとなる運命の槍』とのことです。」
「うーん。」
「この程度の遺跡ではこの程度の武器や防具が手に入るのでは?」
「そりゃそうだな。水中フロア以外は手順通りにクリアーすれば、ノーダメで通れるからなぁ。」
「で、どうされます?」
「こんなんいらないから元に戻しておいて。」
「了解しました。」
このフロアの中心にある石碑の根元に槍の石突きを突き刺すと下からライトアップされて勇者の槍が光輝く。
演出は凄いね。
「ライトの魔法でこれでもかってぐらいに照らされてると、物凄い武器なんじゃないかと勘違いしそうな演出だな。」
「そうですね。鑑定するまでは物凄い武器なのかと思えます。」
「じゃあ、戻るか。」
マリアを連れて皆が戦っている場所に転移。
オークの群れと戦闘中で俺とマリアも別の角度から参戦する。
オークには恨みはないけど素手で暴れてストレス発散させて貰う。
マリアに回収を任せて俺はまず単身で突撃。
先頭で殴りかかってきたオークを前蹴りて吹き飛ばしてから戦闘開始。
右側から右手を振り回してきた腕を掴んで背負い投げで左側のオークに投げつける。
後ろに回り込んできたオークの前蹴りを両手で掴んでから、オークを3周ほど振り回して俺を取り囲みつつあったオークを一掃する。
転がっただけのオークをサッカーボールキックで頭部を吹き飛ばした。
手をついて立ち上がろうとするオークの頭に踵落とし。
俺の後ろから頭から突撃してきたオークの頭を掴んで膝蹴り。
文字通り暴れまわる。
俺の頭より大きな岩が飛んできたが、狙いが外れていて俺の上を通過しそうな時にバレーボールのアタックをして、岩を投げつけたオークの頭にブチ当てる。
手を振り回して突撃してきたオークの腕をダッキングで避けながら、目の前にあるオークの膝にショートフックでへし折って動きを停止させ、そのまま足を抱えて少し離れたところにいるオークに投げつけて両者を退治。
ストレス発散出来てきたな・・・
そう感じた頃に見渡すとオークの群れは全滅していて狩りは終了していた。