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大森林でのトロール&オーク狩りっす。

「お疲れさん。皆の経験になるように、俺はなるべく手を出さないようにしてたよ。もう少し休憩したら次のオークの群れを狩って、それが終わり次第遅めの昼御飯かな。」

「そうね。もう少し休憩したいのですが、あまり休みすぎると身体が冷えちゃいますからね。しん殿に従いますわ。」


カレンの言葉に皆が頷く。


息を整えてからキャンピングバスを取り出して、トイレを済ませると次のオークの群れに向かって歩き出す。


「皆も知っての通り自由気ままなトロールとは違い、オークはいくつかのチームに別れて襲撃してくる集団戦になるだろう。この群れも100頭以上いる。群れの大きさを考えると『オークソルジャー』ぐらいの上位種がいると想定しておいた方が良いだろうな。上位種が率いる集団戦はダンジョンで経験してるだろううから、注意事項は同じだとクラリーナは想定しておいてくれ。アイリとミーとカレンはキャリアが違うから自由に動いてくれてかまわない。オークの死体処理はセバスチャンとマリアと俺に任せてくれ。」

「わかりました。」

「まぁ、クラリーナは固くならなくて良いわよ。カレンさんもしん君もいるから。しっかり狙ってね。オークの急所はダンジョンと変わらないから。」

「頑張ります。」


などとクラリーナに注意事項をあらかじめ伝えておく。

アイリ達はキャリアが違うので何も心配ないし、さっきと同じようにカレンはクラリーナを上手くフォローして指導もしてくれるだろう。


「さぁ、第2ラウンドの開始だ!」


俺の言葉に合わせてミーが突入。

アイリは大剣を振り回してミーが囲まれないように立ち回る。

クラリーナはさっきよりも落ち着いてオークの急所を狙っている。


・・・良いね。


どんどんと急所の目玉や耳などを狙い撃ちして、脳に直接ダメージを与えて一撃必殺となってきてる。

カレンは絶えずクラリーナの周囲で立ち回り、迫りくるオークを一切近づかせないようにして、クラリーナを射撃に集中させているな。


カレンはカレンで楽しそうだな。

笑顔でオークを薙ぎ払っている。

薙刀の切れ味と使いやすさに大満足してるみたい。

クラリーナは魔法は一切使わずに弓に集中しているので、少しずつだが弓のレベルを上げている。

オークやトロールは素早く動けないパワー系の魔獣なので、当てやすさは格別だろうからな。

その中で急所にピンポイント攻撃をして一撃必殺を狙っているのが、弓スキルに好影響を与えているんだろう。


俺はセバスチャンとマリアに回収を任せて、オークの動向を探っている。

アイリとミーが縦横無尽に暴れまわっているので、組織だった反撃がオークは出来ないでいる。

アイリとミーは自由に暴れまわっているように見せながら、幼馴染のアイコンタクトで連携して動いているので、オーク側からは読みにくい動きで暴れまわっている。


こっちの回収はセバスチャンが担当。

邪魔するオークを蹴り飛ばしながらの回収なのでさらに混乱が広がっている。

俺のサポートは全く必要無さそうだ。

俺は暇を見つけて草木を採取して植生を研究してる。

大森林といえど、場所によって植生は大きく様変わりしている。

この植生を求めて魔獣達は大移動してるんだろう。

この辺はみかみの影響は植物には無い。

大森林でもまだまだウェルズリステル寄りだしね。


皆に声をかける。

「残りのオークは少なくなったけど、気を抜かないでもう少し頑張って!」

「「「はい!」」」


クラリーナの弓の腕がさらに上がってる。

魔弓から放たれたニードルを少し変化させて、攻撃を避けようとするオークの動きをよく観察して、急所にピンポイント攻撃が少しずつ出来るようになってきてる。

まだ3分の1ほどは少しずれているけど、許容範囲内なので魔弓にもっと慣れてくれば大丈夫だな。


そんなズレがオークの動きを正確に把握していない証拠となっている。

そうクラリーナに説明すると、クラリーナなりにオークの習性や動きを予測して魔弓を射ち始めた。

魔弓を始めた頃はズレを必死に修正しようとしていたが、俺がアドバイスした『動きを予測する』事に集中し始めるとズレに変化が出てくる。


予測が合うとピンポイント攻撃となり、外れると大きく外してしまう。

予測に正確性が出てくるとピンポイント攻撃が増えていく。

オークは複雑な動きをしないので予測しやすい魔獣。

ズレがほぼ無くなってきてピンポイント攻撃が連チャンし始めた。


大丈夫だな。


カレンもクラリーナの腕が上がった事に喜んでいる。

最後に残ったオークソルジャーは耳穴から撃ち込まれたニードル魔弓の矢で即死。


皆で手を叩いてクラリーナを称える。

クラリーナも嬉しそう。


ここで休憩だな。

キャンピングバスを出すと全員が自分のシートに座り寛ぐ。

俺は普段着にステータスから着替えると、嫁達全員からもリクエストされたので、皆も普段着に着替えて寛ぐ。


裸足なのが格別だな。


皆で冷たい麦茶を一気に飲んでリフレッシュ。

遅めの昼御飯はラーメン&チャーハン。

食べ終えた後は各々(おのおの)がアイスクリームを食べたり、アイスコーヒーを飲んだりして小一時間ほど寛いでた。

俺は睡眠。

魔物が活性化する夕方にまた狩りを開始するので、それまでは自由時間としている。


夕方の4時を回った頃に活動再開。

装備に着替えてからキャンピングバスを出る。

アイテムボックスにキャンピングバスを入れてから再び狩りを始める。

夕方からは探索も嫁達に練習させる。

カレンも黙ってアイリ・ミー・クラリーナの成長を促す。


クラリーナの反応が早いな。

クラリーナの魔力感知に引っ掛かったと、トロールの集団がいる方向を指差す。

・・・なかなか良い反応だな。

魔力探索スキルはクラリーナがずば抜けているしね。

クラリーナの示した方向をアイリとミーが気配を探り納得の表情になる。

漸く2人も感知できたようだ。

気配を隠して皆でトロールの集団に立ち向かう。


先制攻撃はこちらから。

クラリーナの魔弓からの一撃。

首と後頭部の境目ぐらいに突き刺さる。

一声も出せずに崩れ落ちる。

2撃目も必中。

耳の穴から脳に突き刺さりトロールは崩れ落ちた。

しかし倒れながら必死に掴まった枝をへし折ったので大きな音が鳴り、周囲にいたトロールに気付かれてしまったな。

「グオー」

と周囲のトロールが鳴きながら敵の存在を探し始めたので、無音の襲撃はここら辺で終わりを迎えた。


「また、トロールは周辺に広がって展開中なので不正規遭遇戦の開始だ。皆、油断するなよ。敵を探索しながらの狩りを!」

「「「はい!」」」


もう少し倒せるかと思ったけど、これは仕方がないだろう。

クラリーナの弓攻撃は上手くいっていたから、ただついてなかっただけだろうな。


アイリは大剣を振り回すだけでなく、合気を使ってトロールの攻撃を受け流してから攻撃するようにしてる。

ついでに合気道の練習をし始めているな。

ミーは薙刀を流れるように使って舞うようにトロールを攻撃している。

俺とは流派が違うのはカレン譲りの薙刀の動きだな。

カレンの動きとよく似てるし。

しかも俺の動きも取り入れているようで、ハイブリッドな動きで俺ともカレンとも違う動きでトロールを倒しまくっている。


2人共に新たな動きを模索してる最中のようだ。

俺は薙刀でも独特な動きをしてるしね。

剣客の動きが少し混じっていて、敵の攻撃を受け流さずにただ避けてから攻撃に移行している。


なので・・・カレンはどっしりと構えた下半身をあまり使わずに敵の攻撃を薙刀で受け流して、敵の動きが流れた隙に攻撃しているのがカレンのスタイル。

俺は剣客スタイルと同じように独特の摺り足ステップで敵の攻撃を避けてから攻撃していくスタイル。

敵に隙を作らせてから攻撃を加えていくスタイルなのは薙刀独特の動きなんだが、そこに至るまでの前段階の動きが全然違っているのが両者のスタイルだね。


ミーは俺とカレンのハイブリッドで受け流したり避けたりと、俺ともカレンとも違って更に複雑な動きをしているが、元々槍使いのミーなのでステップワークはマスターしてるしね。


何よりミーが楽しそうに薙刀を振り回しているのが良いよな。


カレンを見てみると俺の剣客の摺り足ステップを真似し始めている。

元々のカレンのセンスの良さはミー以上なので、カレンも新たな動きを使いこなそうとして実験してるね。


トロールなら攻撃力は凄いけど、動きは鈍いし変なフェイントもないから・・・読みやすい動きからのっそりと攻撃されるので、早乙女遊撃隊のメンバーなら後衛のクラリーナ以外は余裕で避けられる。

だから実験を繰り返して勉強中のスキルのレベルアップを狙っているようだ。


時々少し離脱して水を飲んだり一服してから、戦線復帰してるので長時間の不正規遭遇戦を維持してる。


とはいえ、1時間も掛からずに戦闘を終えた。


椅子を取り出して座って休憩しながら皆で反省会。

俺も率直な意見を嫁達に告げる。

トロール回収はセバスチャンがやってくれているので、マリアは俺達にドリンクを渡したりしてメイド仕事をしている。


少し大きめのグラスに入った冷たい水を一気飲みしてから、マリアに手渡されたアイスレモンティーを味わって飲む。

アイスレモンティーが滅茶苦茶冷えていて火照った身体に染み込むようで滅茶苦茶美味しい。


ゴブリン砦の地下から湧いている天然水。

みかみの涙の影響が(かす)かに残っている湧き水。

セバスチャンがゴブリン砦の湧き水を使って作物を育てている時に発見したんだけど、魔素と栄養分が豊富な湧き水だったようだ。

植物に撒くだけではもったいないので我が家の飲み水としても利用している。


この湧き水から作ったお茶やコーヒーや紅茶は凄く美味しくなる。


一服を終えるとキャンピングバスを取り出して、線路跡と平行して走る街道跡をキャンピングバスで移動する。

30分ほど走るとトロールの違う群れを発見。


キャンピングバスを停めて皆で歩いてトロールの群れに挑む。


トロールの群れは休憩中らしくて、一塊(ひとかたまり)になってエサを食べていた。

ゴブリンの群れを襲撃してゴブリンを何頭かを狩ったみたい。

周囲に自然に自生している野菜や果物と一緒に(むさぼ)っている。


元々この辺はゴブリンと森林モンキーの天国だったが、みかみの影響で本来はもっと奥地にいたトロールやオークが、みかみへの恐怖と豊富なエサを求めて移動してきたんだよな。

森林モンキーはほとんど姿を消しているし、ゴブリンも少数のオークやトロールならば数の暴力で返り討ちに出来るが、多くのトロールとオークの群れがやって来てる以上、住む場所を変えざるを得ないと群れで引っ越しの最中なんだろう。


皆で食事中のトロールの群れを囲み一斉に襲撃する。


俺はクラリーナと一緒に転移して群れの裏側に回り、カレンも忍者スキルを使い無音の高速移動で群れの奥側へ。

セバスチャンとマリアも展開させてトロールの群れを全て一網打尽とする。

回収やサポートはアイテムボックスから取り出した忍に任せる。


念輪で確認しながら襲撃のタイミングを合わせる。

『では、行くぞ!』

俺の合図で襲撃開始。

俺はクラリーナの前に入り前衛として敵を牽制。

周囲にやって来たトロールもクラリーナにトドメを任せるので牽制してヘイトを溜めてクラリーナに攻撃が向かわないように調整。

クラリーナの攻撃は一撃毎に正確性が増している。

弓のスキルが爆上がり中。

クラリーナの後ろ側と倒したトロールの回収は忍に任せてるので、俺も気にしないで牽制だけに集中している。

武器も薙刀ではなく棍に変更した。

近付くトロールの膝などを壊して動きを鈍らせるだけで終わらせている。

トドメはクラリーナの急所への一撃。


これぐらいの魔獣は申し訳ないが、皆のストレス発散には最適なのかも。

アイリやミーやカレン達は狩り慣れた敵なので、忍のサポートだけで全く危なげなく狩り続けている。

念輪で時々冗談も交えながら雑談しながらの一方的な襲撃。

この群れは80頭に満たない数の群れだったんで、30分も掛からずに狩り終えた。


夕陽がオレンジ色に大森林を塗り替えている。

明日は少し曇りそうだな。

雲がけっこう出てきてる。


狩りを終えると少し早めの晩御飯。

今夜はキャンピングバスの中でうな丼を貪る。

皆でおかわり。

珍しくクラリーナまでおかわりしたのは、今日は移動と狩りとで一日中動き回ってお腹が空いていたようだ。


晩御飯の後に少し仮眠して夜間の狩りを開始する。

夜の狩りにはるびのとフォクサ、カント達まで加わる。

るびの達は馬狩りを早めに終えると、皆で大草原北側に行って温泉三昧でのんびりしていたんだと。

俺達が今夜も狩りを続けると聞いて参戦してきた。


戦力の増強は大歓迎。

夜間の狩りは注意事項が多くなるしね。

まぁ、俺とるびの達の索敵能力を越える敵は存在しないけど。

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