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はじめてのだんじょん。オーガがデカ過ぎてカタナが届きにくいっす。

8・27修正しました。

アゼット迷宮に一歩足を踏み入れる。ダンジョン初体験だ。


暗いのでライトの魔法を唱え直径5cmほどの明かりのボールを2mほど離れたところに飛ばし浮かべる。前後左右に合計4つだ。

ゆっくりと階段を下りていく。

階段の横に何個も並んでいる扉からぞろぞろ人が出てくる。

ダンジョンから帰還する為の部屋が各階にあり、そこの部屋の床に描かれてる魔法陣の上に乗って『帰還する』と脳内で唱えればここの扉に繋がって戻ってこられるとミーが教えてくれた。


まずは地下1階。

地下1階はグネグネ曲がってはいるが1本道だ。魔獣部屋や宝箱部屋があるが部屋の扉の前は順番待ちのチームがいくつか並んでる。

魔獣部屋は部屋の魔獣を倒すと魔石とアイテムが必ずドロップする。地下1階のこの部屋はポーションが必ず出るらしいので低レベル者たちに大人気だ。

宝箱部屋は部屋の魔獣を倒すと武器や防具が必ず入った宝箱が出る。

どちらの部屋も入ってから部屋の中央に描かれた魔法陣にポップアップする魔獣を倒さないとドロップしないし、宝箱も出てこない。地下1階では宝箱にトラップは仕掛けられていないから大人気なのだ。


魔結晶の欲しい俺達には今は無縁だな。アイリ・俺・ミーの並びで歩いていく。


地下1階では部屋のように広くなったところにしか敵の魔獣は出てこないので暇すぎる。

出てきてもアイリが盾で殴って瞬殺してしまうし、1度だけ広間を出ようとした時にバックアタックをされたが、これもミーが瞬殺してしまった。

俺にはすることがなかった。

地下1階にはトラップもないし。

暇だったので『迷宮探査』と闇・風・土の融合魔法を使ったら、地下20階までが脳内のMAPに入力されてしまった。


なんで地下20階まで? と疑問に思ったのでアイリとミーに聞いたら、アゼット迷宮は地下20階以上の場所は魔方陣で飛ばされてしまうらしい。

地下40階でも同じと言うことで20階毎に魔方陣で飛ばされるタイプのダンジョンみたいだ。

アイリとミーは40階のボスを倒し41階に行ったところで行き詰っているみたいだ。


41階からはゴースト系の敵が多く直接攻撃が効き難い。

だからそこから攻略できずに魔法属性が付与された武器や防具を購入しようとしていたらしい。

ゴースト系は火と光属性が効果的に効くので捜していたんだと。

アマテラスからもらった祝福でもう2人とも必要ないけどな。


そういえば・・・アゼット迷宮はまだ一度も攻略されていない。


最高到達地点は『地下105階』までだ。

5人ものSランク保持者がいる20人のチームで、105階のボス(アゼット迷宮は5階ごとに必ずボスがいる)に挑んだが、戦闘が始まってすぐの敵の一撃が即死の全員攻撃でほぼ全員死亡。

持っていた『身代わり石』で生き残れた3人は、即座に攻略を諦め逃げることを選択、転送石を使いボス部屋から階段横の帰還部屋に何とか帰ってこれた。

生き残った3人はほぼ無傷だったが17人は死体しか帰還できなかった。

最強のチームはそれで完全崩壊。

ダンジョン攻略はそこから進んでいない。


階段にたどり着き地下2階へ行く。

地下1階では結局一度も戦闘させてもらえなかったので、流石に文句を言った。

「俺はダンジョンに散歩しにきたんじゃない!」

暇すぎるぞ戦わせてくれって切実に訴えて何とか地下2階では先頭を歩けるようになった。

だってさぁ、俺がアゼット迷宮にきてからまだ魔獣を見てないんだよ。

強くて優秀なのに可愛い嫁2人は確かに自慢なんだけど・・・過保護はイカン。

2人とも俺との性で若返り、物凄く体調が良くて嬉しい気持ちは分かるが・・・サクサク倒しすぎで、俺が魔獣を見られないんだよ。

戦いたいよ俺も。

まだこのカタナで魔獣を切ってないんだよ。

地下1階では気配しか見れていない。

でてくる敵はゴブリンらしい・・・このらしいってのが流石に悲しくて文句を言ってしまった。


俺・ミー・アイリの身長順で進む。

地下2階は『オーク』が出るらしい。らしいと言うのはまだ戦闘していない。

さっき気配を感じたら向こうも感じたらしく・・・走って逃げていった。


おいおい、オークちょっと待ったらんかい!

魔獣が逃げだすってなんやねん!

魔獣やったら後先考えずに堂々と突っ込んでこんかい!


って関西弁で流石に叫んだ! 

切実なる叫びだ!

その怒りのままにガスガス音を立てて歩いていったら、曲がり角の隅っこの壁でオークがプギープギー言いながら、持っていた棍棒を放り捨てて頭を抱えてガクブルしてた。

2mぐらいの大きさのオークがガクブル。

流石にこれを殺す勇気は俺にはない。これを殺したら人でなくなってしまう。


ガクブルするオークを呆然と見下ろす俺に、アイリとミーが『ないわぁ、流石にそれはないわぁ』とでも言いたそうな生暖かい半目で俺を見てる。

2人にこんな目で見られて悲しくなってしまった。

心が折れそうだ。

そのまま何もできずに通り過ぎて歩いていく。

ちょっと悲しくてトボトボと音が鳴りそうな歩き方だった。先ほどまでの怒りは霧散した。


俺って何も悪くないよな・・・あ!

俺自分の魔力や気配を隠蔽してなかったな。自分の致命的なミスに初めて気が付いた。初ダンジョンではしゃぎ過ぎてたな。

自分を弱々しいレベルまで隠す。完全に消してしまうと気付いてもらえなくなるからな。

人っていうものは、こうして間違えて傷ついて成長していく生き物だからな! (本人はまだ人間のの範囲の中にいると思いこんでる)

しかしそこからと言うもの、次から次へと襲ってくる。

オーク祭りの開催だ。


棍棒で上から殴りかかってきたオークの棍棒を左に上半身を捻って傾ける動きだけでかわしてから、居合いでオークの棍棒を持った両手の手首から切り落とす。

さらに体を左に流すように一歩分ほど飛ぶ。

それから一歩前に踏み出してオークの眉間に突きを入れて瞬殺。

そこに俺の左側からオークがハンマーを振りかぶって攻撃してこようとしたので、眉間に刺さる刀を瞬時に引き抜きオークの左側に抜けるようにして、スキだらけな腹を背骨ごと切る。

ここで俺の右から襲ってきたオークが俺に向かってプギャーと大口を空けて叫んでいるので、一歩踏み出しクチから後頭部に抜ける突きをぶち込む。

俺に突進してきたオークを飛び越えながら頭蓋骨をかぶっていた鉄製の兜ごと叩ききる。

着地した俺を掴もうと腕を伸ばしたオークを、俺は掴まれる前に横っ飛びでかわしながら右ひざを切り飛ばしオークは転げまわる。

転げまわるオークの上に飛び乗り顔面にカタナで突きを出して殺し、そのオークを踏み台にして飛び上がり残っていたオークの首を切り落とす。


すげぇ・・・こうやってオークを切って突いて、オークの装備している汚い鉄製の防具ごと頭蓋骨や背骨を叩ききってるのに、刃こぼれ一つなく切れ味もまったく落ちないこの『天乃村正』ってすげぇ。

と感動していた。感動しながらも襲い掛かるオークの攻撃をかわして殺す。敵の攻撃の隙間に踏み込み飛び込んで殺しまくっていた。


オークの通常ドロップアイテムは『豚バラ肉』

レアドロップアイテムは『豚トロ』

まぁ・・・オークだしな。

俺の後ろからオークが落とした『豚バラ肉』と『豚トロ』と魔石を拾いながらアイリとミーは話してる。

「なんか今日はレアドロップが多いなぁ。魔石も質が良いのが多いし」


地下2階以降にはセーフティーゾーンとなってる『休憩室』がある。ここが空いていたので休憩をとることにした。


肉が大量に手に入った今夜の晩ご飯は『焼肉』にした。焼肉のタレはないがポン酢があったので大根おろしをつけておろしポン酢でいただく。

魔石を使った魔道コンロに鉄板を乗せてジュージュー焼いて食べる。

さきほど捕った豚バラ肉や豚トロも切って焼く。クマ肉も出したしウサギ肉も焼く。

こうなってくると焼肉のタレがほしいな。


ヨークルでは魚介類がまだ少ないので製造が難しい。


面倒だから焼肉のタレもレアドロップでいいから、ダンジョンから出てこないかな? なんてことを考えてた。


食事が終わり30分ほどの仮眠をして、起きてから疲れが残っていないかチェック。

コーヒーを飲んで、土魔法で囲いを作ったトイレ(おまる)を済ませてからダンジョン攻略に戻る。

MAPで場所が分かってるので苦労もなく階段を見つけ地下3階に来た。


3階に出てくる敵は『オーガ』。

いわゆる西洋版の赤鬼さん&青鬼さんだな。

ここはオーガがいるにふさわしく身長が2.5m以上のオーガが飛んだり跳ねたりできるように天井が高く10mぐらいの高さがありそうだ。

3階は通路がない。

部屋が扉で繋がっているタイプのダンジョンだ。オーガ用だな。

ここでまた並び替えが。アイリ、ミー・俺の順番だった。


「オーガの攻撃」

「オーガはアイリを傷つけることができない」

「ミーの槍攻撃! オーガの頭を粉砕した」

「オーガは死んだ」

「俺はドロップアイテムと魔石を拾う」


これが10回以上も繰り返させられた。


オーガの通常ドロップアイテムが『オーガの角』『オーガの牙』。

この二つは漢方薬のように乾燥させてから削って粉にして、溶かした鋼と混ぜて鍛えると『オーガ鋼』となる。

これは『酸化しない鋼』となり、錆びなくなるので重宝されてる。

このオーガ鋼は鍛冶職人の登竜門的な存在で上手く鍛えればプラチナの硬さと鋼の強靭さと鉄の粘り強さが得られるが、下手だと鉄以下のゴミとなってしまう。

このオーガ鋼を鍛えて武器や防具にできるようになったら師匠に独り立ちを許してもらえると言われてる。

オーガ鋼で作られた武器や防具は信頼が高く中堅クラスの冒険者はこのオーガ鋼の武器や防具を、コーティング材などにミスリルを混ぜたり、盾の表面に魔獣の皮をつけたりして見た目を変えて使っている者が多い。アイリとミーもこのオーガ鋼を基礎部分にしている防具を使っていると言ってた。


オーガのレアドロップは『オーガの肝臓』。

これはMPハイポーションの材料になる。

だけどこの3つのアイテムがともにドロップ率が悪すぎて、金稼ぎの連戦には向いていない。

俺は主神の祝福(天運)があるからドロップしまくってるけどな。

オーガは意外なスピードでこちらの攻撃を避けたりするのだ。

攻撃も速いくせに、たまにフェイントまで使ってくるから厄介な敵。

だから、盾職を練習しているメンバーがいる冒険者チーム以外は足早に去ってクリアーしていく。

前列の盾職が上手く挑発して自分に攻撃が向くようにコントロールし続けないと、いきなり飛び上がって後列に攻撃してくることもあるからだ。


オーガは盾職の練習相手に最適だとも言われてる。

シーパラ連合国内で『ヨークルは盾職の名産地』と呼ばれているのは、このダンジョンの浅い階層でオーガがソロで出てくるというのが理由だろう。

まだ経験が浅い盾職の人間が経験を積むのに最適だからだ。

シーパラ連合国内の冒険者の盾職はヨークルに必ず鍛えに来る。

アイリの父親の『モルガン・クリストハーグ』もその1人だった。


3階に入ってから1度だけバックアタックされてキターーって思っていたら、アイリがスキル『挑発』で、『こっちに来い!』と叫びオーガを誘いオーガは俺を飛び越えて行ってしまった。


俺が少し気落ちして歩いてる時、前方で『ギャーー』と叫び声が聞こえたんで、三人でそちらに走って行く。

10匹以上のオーガがすでに死体となっている複数の人間の体を踏んだり蹴ったりしていた。

俺は走りながら不謹慎なことを考えてた。

「おっ! オーガが集団でいるってことは俺にも出番が!」


ミーが走りながら大声で叫ぶ。

「間に合わないわね。もうすでに死んでる。だけど・・・アゼット迷宮地下3階でオーガの集団?」

「亜種がいるかも。しん君も気をつけて!」

アイリも走りながら叫んでる。

「クソッ、時間がない。奥にデカイ魔力のオーガが4体いる。3体はオーガナイト。一番デカイのがたぶんオーガナイトロードだ」

俺は気配察知と魔力察知で知り得た情報を2人に話し、矢継ぎ早に早乙女遊撃隊に命令をくだす。

「間に合わん! アイリはここから挑発してオーガをこっちに誘導しろ。ミーはアイリの後ろから各個撃破。俺は引っ掻き回す。アイリが拠点確保のために挑発を繰り返せ!」

「「わかった」」

アイリが足を止めてから、スキル『挑発』を叫びながら連続使用する。

「このクソヤロウども! どっち向いてんだ! こっちにかかってこいやぁ!!」

あいりの大声とスキル『挑発』によってオーガが11体、オーガナイト3体、ボスのオーガナイトロードが全員がこちらに走って向かってくる。

アイリは今まで装備していた小型の丸い盾を左右の腰に戻し、上から手を回して背中にマントのように吊るしてあった細長いホームベース型の盾を両手に一つずつ装備する。


アイリのシールダーとしての本気モードだな。


左右の手に持ってる盾で片手は相手の攻撃を受け流して反対側の盾で殴る。それを繰り返しながら挑発を続ける。

「おらおらおらおら! それでお終いか? どんどん来いやぁ!」

ミーもいつもの短槍をアイテムボックスに入れて十文字長槍を取り出す。

その十文字槍はミーが振るった瞬間に風の刃を飛ばす。オーガの頭を吹き飛ばした。アイリの後ろでミーの十文字槍が縦横無尽に走りぬけ、オーガの頭を破壊していく。


俺は後ろ一歩引いて、引いた瞬間に気配を完全に絶ち、横へ走り抜ける時に通りすがりで1体のオーガの顔面を切り飛ばす。

オーガ軍団の後ろに回りこんで、一番後ろにいた3m以上もありそうで強大なオーガナイトロードの左の膝をカタナの横薙ぎの一撃で断ち切る。

左足を膝から切り落とされて崩れ落ちるオーガナイトロードの首を下から切って落とす。

オーガナイトロードの死体を蹴り飛ばし、前を守っているオーガナイトの背中にブチ当てる。

前に吹き飛ぶオーガナイト2体、今になって俺の存在に気付いた1体。振り向く1体のオーガナイトの胸の心臓に正確にカタナを突き入れる。

アイリとミーが正面から敵のオーガ軍団を引き付けている間に俺が後ろから攻める。

俺がカタナを振るいオーガ軍団を一方的に蹂躙する。

オーガナイトロードを殺してから1分もかからずにオーガ軍団は殲滅した。

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