表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
209/214

マティアスとガスと3人で飲んだっす。

徒影とのトレーニングは彼ら自身のレベルアップに最適だと、かなり評判が良くてアピールポイントの一つだとヘルプさんに教えてもらうまで知らなかった。


そういえば何気にガスもレベルアップしてるしな。

ガスが物凄く小さな声で・・・

『自分は更に強くなったはずなのにボスの背中も見えない』

とボソッと呟いてたのを地獄耳が拾ってた。


まぁ、ガスは人間の範疇だからな(涙)


すでに人の範疇からかなり遠くはなれてしまっている俺との距離を感じる事が出来たのがガスの成長だろう。


徒影は時間をかけて個別に懇切丁寧に教えてくれるので、徒影とのトレーニングというだけでも人気が高いとヘルプさんが教えてくれた。


誰もがめきめきと力を付けた実感を得られるトレーニングは人気になるだろう。

こういう動きを滑らかにするためには、ここの筋肉を鍛える必要がある。

その筋肉を増強するためには、こんな運動とストレッチ、負荷を掛けるためには……などと、事細かな指導をしてくれるので大人気なんだと。


確かにそこまで指導してくれる職場なんて理想以上だろうね。


任侠ギルドはシグチスの夜の世界へ殴り込みをかけたというわけではない。

夜の世界を牛耳っていた組織は俺が潰しまくったから、隙間が空いてるってレベルではなく・・・ガラガラ。


そこにスルッと入り込んだ組織。


任侠ギルドのシグチス支部はそうして入り込んで、元奴隷闘士で今は任侠ギルドのサブギルドマスター『マティアス・ゲンズブール』を筆頭に200名以上の闘士が在籍している。

彼らはトレーニングついでに敵対して攻撃してくる闇の組織の粛清もしていて、文字通り力ずくでまとめて叩き潰している。


マティアスをサポートしている徒影からの情報では、大きな組織は俺が潰しまくった後なので張り合いがないと愚痴をこぼしているとの事。


今やシグチスの裏組織のほとんどは任侠ギルドに吸収されてしまっているので、敵対するような組織も無くなってしまったと報告を受けている。


その上でローションマッサージ店を開業させるから、娼婦達もこぞって任侠ギルド所属となっている。


まぁ、俺からすれば『ご自由にどうぞ』だね。


任侠ギルドは暴力装置であることはその他の組織と比べても何も変わらないが、任侠ギルドの暴力の向く方向は同じ暴力装置の裏組織や犯罪者集団となっていて、普通の一般人にはそう簡単には動かないという明確な組織となっているので、むしろ一般人からの人気はとても高く頼られている。


俺が組織改革をする前から『任侠』と銘打った組織なだけあり、マヅゲーラの街の中だけという狭い範囲でしか活動してなかったが、任侠の組織としてマヅゲーラの街の住民からは慕われていた。


俺が組織拡大路線に踏み切り強引に拡大して有能な人物のみをスカウトして吸収したおかげもあって、急拡大して急成長した組織にも関わらず、任侠ギルドの組織は『任侠』を強く色づけた組織のまま拡大できた。


ヘルプさんが任侠ギルド組織を監視しているから、ゲスな人物は徒影が裏で動いて強制退場させてる。

俺は任侠ギルドの事案の大半は事後報告しか受けてないから『数字』でしか見ていない。


何人抹殺して敵の組織を吸収。

何人をスカウトして何人を奴隷処分とした。

何処其処(どこそこ)の土地を接収して何かのお店を移動させたなどなどの、報告書にある数字しか見てない。


ヘルプさんが全てを把握していて任侠ギルドにも指示を出しているので、全部丸投げ状態となっている。


ローションマッサージの店は何処にオープンしてるのもよく覚えていない。


ローションマッサージの店では若さのみで勝負できなくなってきた娼婦の、ベテランの味わいやテクニックが若者にかなりウケている様子なのが、任侠ギルドに所属する御姉様方からの評判の良さに現れている。


実際に売り上げはかなり高いレベルを維持していて、空いている御姉様を探すのは至難の技だとも言われているからこそ、立て続けにオープンをしている状態らしいし。


風俗に通いなれたベテラン客には食事の評判が凄い事になっていると聞いている。


高額な金額を払ってでも毎日のように食べたいという問い合わせが殺到している。

あくまでもサービスの一環であることのスタンスを崩すつもりもないからこそ、通常では考えられない程の高価な金額を取っているし、モフモフ天国以上の飲食店はオープンするつもりもない。


任侠ギルドの強面さん達が現役を引退して立ち上げた飲食店にアドバイスを求められて、多少の指導をすることはあっても自分で店は開かない。

任侠ギルドでは食材の取引すらしてないしな。


来月には徒影が出場する格闘トーナメント開催に向けて、任侠ギルド内は忙し過ぎでドタバタしている。

あちこちから俺のゴーレムに挑戦したいが、出来れば表舞台の上でやりたいという問い合わせが後を裁たないからだ。


徒影が闇討ちされる事案はすでに無い。

徒影の絶望的なまでの強さと、情け容赦の無さに名のある暗殺者は躊躇して断っているとのこと。

戦闘モードになると闇夜に光らせる赤い眼は、マヅゲーラだけでなくすでに進出している『シーパラ』と『ドルガーブ』では恐怖の対象となっている。


あくまでも対象が犯罪者組織と犯罪者のみなので一般市民には『正義の執行官 早乙女真一の代理人(ゴーレム)』として、かなり評判は高く犯罪者組織から受けた被害などの相談が増えている。


警備隊が動きづらい『ぼったくり店』の被害などか大半なんだけど。


シグチスでは徒影の影響はほとんど無い。

マティアスが前面に出て任侠ギルドシグチス支部を引っ張っていっているから、徒影や忍は裏にまわって影からの情報収集がメインとなっている。


後はマティアスをはじめとする闘士達のトレーニング相手。

少々の怪我だとマッサージゴーレムから回復魔法で治して貰えると、普通より過激なトレーニングをする闘士が出てきたので・・・

『怪我をするような過激なトレーニング禁止令』

を俺が出さないといけない事案にまで発展している。


・・・闘士の『強くなりたい欲求』を甘く見てたわ。

強くなりたい欲求の塊が闘士なんだと実感した。


シグチスの執務室で寛いで雑談していると、ガスやマティアスからそろそろ晩御飯を一緒にどうですかと食事に誘われた。


嫁達はトレーニングを終えた後にマリアとユーロンドを引き連れてヨークルの中央部へ買い物に行っていて、俺が晩御飯はガス達と食べてくると言うと、そのまま外食すると決定したみたい。

美味しいという噂がある店を試して自分達に合うお店を探すんだそうだ。


俺はガスとマティアスに連れられてシグチスの街を歩いてお店に向かう。


本来はワイン専門店らしいのだが・・・料理がかなり本格的でアクアパッツァや煮込みオーク肉などは絶品らしい。

到着したがお店の前には行列が並んでいたので店の前に並べてある椅子に座って30分ほど待たされた。


自分達の順番がきて店内に入るとブロックで小分けされているビアホールのような雰囲気で騒がしいが、この雑多な雰囲気は俺の好きなお店だな。


メニューはガスとマティアスに任せる。

俺の奢りなんだからたくさん食べてくれと言ったら、ホントに遠慮無しに注文しまくる2人。

ワインも含めて全てを2人に任せる。


ワインはガスのオススメとマティアスのオススメが違っているので、2人のオススメの違う味を楽しむ事にする。



ガスはフルーティーなワインが好みのようで、オススメされたワインは軽い味わいでフルーティーなワインだった。

マティアスは正反対。

渋くて重めなワインをオススメしてきた。

もちろん断る事なく両方味わう。


うーん、どっちも美味しいので甲乙つけがたいな。


ツマミはまず最初に運ばれてきたのは『トマトとモッツァレラチーズのカプレーゼ バジルソースがけ』

だったので、トマトとモッツァレラチーズを一緒に口の中に放り込む。



これは美味しい……マティアスおすすめの重めのワインと相性が良いね。

トマトの酸味とまろやかなチーズの味わいが、重めのワインの味を引き立てているようだ。

味を高める相乗効果にガスも唸っている。

マティアスは少し得意顔。


・・・マティアスは誰が見てもイケメンなのだが、物心つく前からの奴隷生活が表情の変化を奪い取ってたみたいで、表情の変化の乏しさを気に掛けていたんだけど、気心知れた仲間達と一緒に任侠ギルドの活動をしていく上で、少しずつ表情の変化が現れてきてる。


数日でこれならもう少し時間を掛ければ普通になれるかもしれない。


マティアスはもう俺にとって仲間の1人だからこれは嬉しいな。


如実に嬉しい変化が現れてる事は本人には伝えてない。

イケメンが気をつかってぎこちなく笑う姿なんて見たくもないから。

誰もマティアスには言ってないらしいし。


マティアスに良い影響を与えているのなら、俺も任侠ギルドにスカウトした甲斐があったのだろう。


ガスは悔しくなったのかメニューを眺めて『スズキと舞茸のレモンバターソテー』を注文。

これはガスがオススメしてきたフルーティーな白ワインにピッタリ。

俺が絶賛するとガスが得意気な顔で喜ぶ。

マティアスは逆に少し悔しそうにしてる。


・・・子供のケンカかよ。

思わず笑ってしまった。


次は店員オススメのパキッと辛口のワインにオーク肉のビーフシチューをバターを塗って焼いたバケットに乗せて食べる。


サクサクのバケットにホロホロに煮込まれたオーク肉とビーフシチューの組み合わせが最高。

これが辛口の赤ワインと組合わさると至福の時を味わえる。


俺とガスとマティアスは無言になって食べる。

これはエグいな。

余りの美味しさに脳ミソから思考能力が消える。


辛口の白ワインにはアクアパッツァが良く合った。


ある程度満腹になったので生ハムやナッツやドライフルーツなどの軽いおつまみを注文して雑談しながら飲む。


周囲がかなり騒がしいので秘密の会談をするには最適な場所だろう。


マティアスとガスは今後の任侠ギルドの展望などを、自分の理想も交えながら真剣に語っている。

順調に発展してるからこその問題点なども教えてくれた。


俺も任侠ギルドの気になる点などを2人に話して相談。

俺の問い掛けが答えの出ない問題なので2人共に頭を抱えそうになるほど悩んでるようだ。

俺もすぐには解決出来ない問題なのでどうしても頭に引っ掛かってしまい悩んでる。


どうにもならない問題は残しておくしかないので、時間も時間だしそろそろお開き。


俺は早乙女商会シグチス支部の執務室へ。

マティアスとガスはもう一軒飲みに行くそうだ。

そこはキャバクラみたいに女性が接待してくれる店なので、俺は同行を断るけど領収書を任侠ギルドに回しておけば経費として俺が落としておくと言ったらガスは喜んでいた。


暴れて任侠ギルドに泥を付けないようにと大きめな釘だけ刺して2人とは別れた。


2人がストレスを発散してくれて、任侠ギルドの大幹部が仲良くなれるのなら経費なんて安いものだろう。


手遅れにならないように忍が影ながら監視はしてるけどね。


俺はそのままヨークルの自宅に転移魔法で帰還。


嫁達は食事から帰ってきてから酒盛りの真っ最中。


酔っ払っているカレンが俺を見つけると抱き付いて甘えてきた。

猫のように頭を俺の肩や胸に擦り付けてくるが彼女は犬獣人だったはず。

右腕に巨大なマシュマロを押し付けてくるのはワザとだろう。

尻尾がブンブン左右に振られているのでご機嫌みたいだな。

アイリとミーは肩を組んで歌ってる。

さすがは幼い頃からの幼馴染。

自然とハモってるのは絆の深さ故にだね。


椅子に座るクラリーナの前には仲良しのカントテーブルの上にいて、何か真剣な会話をしてるようだけど……念話スキルを持たないカントとクラリーナは会話できないはずなんだけどな。

念輪を使えば普通に会話できるんだけど、使ってないのに会話が成立してるのは異様な光景。

カントはピャーピャー言ってるだけなんだけど、クラリーナは『もう冗談ばかり言って』と笑っている。

実際にカントは冗談ばかり言ってるので……逆にちょっと怖いな。


なんでクラリーナとカントが言語も使わず、魔法も使用しないで通じ会えるのか不思議過ぎて理解できないからね。


まぁ、仲の良い彼女達は何かで通じ合っているんだろうと考えるのを放棄した。


カレンに抱えられているまま寝室に向かい寝室のソファーに座る。

皆もキッチン横のダイニングで飲んでいたが、自分のお酒を入れてあるコップを持って、ツマミを片手にぞろぞろとついてくる。


後片付けはクロがササっと。

三点セット魔法でピカピカとしている。


るびのとフォクサは俺といくつか話があったようで、寝室のソファーで10分ほどの会話を終えるとお風呂に入りに行った。

俺が帰ってくるのを待っててくれたようだ。


お風呂にはセバスチャンが同行してくれてる。


俺に抱きついていたカレンも漸く離れた。

今日はカルツ王子をぶちのめしに行こうと殺意を撒き散らして興奮してたようだし、笑顔で帰ってきた俺に抱き付いて落ち着いてくれたのならもう大丈夫だろう。

不定期投稿が続いてごめんなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙です!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ