早乙女遊撃隊が結成。クマ2体も入ったっす。そして異世界初のダンジョン行きが決まったっす。
8・20修正しました。
ベッドを作り終え2階の別の部屋へ。
部屋にシングルベッドを2つ置き衣装も置ける大きめのタンスなどを設置していく。
2つの部屋とも夫婦が宿泊できるように家具をセットしていく。
庭は雑草が伸び放題になっていたので全て土魔法で根っこごと飛び出させる。
雑草の中には香草として使えるものや、薬草類もあったので仕分けして庭の一部分に花壇を作り植えていく。残りの雑草は肥料として魔法で加工し花壇に植える。
花壇の隣には畑も作っておく。
田んぼで作業する農家の人が早乙女邸で忙しげに働くセバスチャンとマリアを見て、かなり驚いていたので話しかけてみると・・・都市ヨークルではゴーレムは誰の持ち物か分かるようにネームプレートをつけないといけないらしい。
ネームプレートは所属するギルドで発行してもらえるんだと。
それは一刻も早く登録しないと。
それで、今からみんなで冒険者ギルドに行くことになった。
倉庫街の駅馬車の駅まで行って時刻表を見ると、あと30分以上待たなきゃいけないので、空いてるゴーレム駅馬車をレンタルして冒険者ギルドまで走ってもらう事にする。
金は掛かるが直接ギルドまで行けるので楽だ。
冒険者ギルドは昨日の喧騒がなくなっていて、もう落ち着きを取り戻しているみたいだった。
ババァは罪を認めている。隠していた罪も全て自供してる。
問題が厄介なのはギルドマスターが罪を犯していたことだ。
それを解決するためには首都シーパラにある冒険者ギルドシーパラ連合国本部の裁定が必要なのだ。だから今はギルド本部からの人間がくるまで待つしかないのだ。
まぁ、俺にとっては終わった問題だけどね。はげしくどうでもいい。
ギルドで冒険者ギルドカードを出してセバスチャンとマリアを登録する。
愛くるしいクマのゴーレムは冒険者ギルド内で物凄く目立ってた。
ネームプレートをもらいセバスチャンたちの首からチェーンでさげる。
チェーンは駅馬車内で暇だったので作った。ミスリル銀製の高級品だったりする。
2人は銀大熊の毛皮で作ってあっるのでミスリル銀だと目立たないし見にくいからなと、チェーンをヒヒイロカネでコーティングする。
銀色の毛皮の上に緋色が目立つようになったな。
さらに高級品のチェーンになった。セバスチャンたちの愛くるしさも倍増。
俺がセバスチャンやマリアの首からさげるチェーンを調整してる間に、アイリとミーが冒険者ギルドカードの名義変更手続きをおこなってる。
チェーンの調整が終わったので俺もチーム結成手続きに窓口に向かう。
『早乙女遊撃隊』の結成だ。
メンバーは俺とアイリとミー。ここにゴーレムでセバスチャンとマリアも登録される。ゴーレムにギルドランクはない。
・・・まぁ、ロボだから。
実力的にはSランクぐらいはありそうだけどな。
手続きも終了して、アイリの実家に行くことになった。新居が決まったので実家に置きっぱなしにしていた荷物を取ってきたいんだと。
2人ともアイテムボックスが広がって全ての服や装備品なども持ち運べるようになったからな。
アイリの実家に帰って、アイリたちは部屋に。2人を待つ間は俺はカタリナと話す。
カタリナにクマ2人を引き合わせる。
はじめは滑らかに動くクマゴーレムに驚くが、2人の愛くるしさにカタリナも頬が緩んでる。
カタリナに新居の報告、地図を紙に書いて場所を説明する。
カタリナは早乙女邸の近くの倉庫に何度か行った事があったみたいなので、場所の知識があって説明は簡単だった。
家には使用人は誰も置かない。
ゴーレムが屋敷を管理することになると説明しておく。
オスのセバスチャンが執事でマリアがメイドとの説明にビックリしていた。
ここまで優秀なゴーレムはヨークルには存在しないって言われて、ちょっと製作者として誇らしい気持ちになる。
カタリナが言うにはここまで優秀だと外を歩かせてると盗難されるかもしれないと心配していたので、彼らを誘拐するにはAランクの冒険者チームが20人ぐらいは最低でも必要だと説明しておく。
信じてないようなので、庭でセバスチャンとマリアに無手の技の乱捕りをさせる。
はじめはゆっくりと動いてもらい、徐々にスピードアップさせる。途中からアイリとミーも見ていたが、途中からまったく見れなくなったようで3人とも呆然としていた。開いた口が塞がらなくなったようだ。セバスチャンたちに乱捕りをやめさせて説明終了。信じてもらえたようだ。
ゴーレム製作依頼が殺到するかもと言われたが、俺はゴーレム職人でもないので自分のため以外に作る気はないって言っといた。
また遊びに来ますと言ってカタリナと別れアイリの実家を後にする。
テクテク5人で歩く。クマがいるので目立つが、もう気にしないようにするしかないとあきらめた。
このヨークルの人たちにもマリアとセバスチャンになれてもらわないとな。
そういえばおやっさんに全身鎧をリクエストしたが、ゴーレムを作るために核になる魔結晶を持ってないな。
持っている魔結晶では質が悪い。
セバスチャンとマリアに入ってる魔結晶はシルバードの持っていた魔結晶なので、かなりの良質な物だったのだが。
大きくて質の良い魔結晶は売ってないかなぁとアイリとミーに聞いてみたが・・・
「冒険者にとって魔結晶は取ってきて冒険者ギルドに売るものだから、どこに売ってるのかも知らないよ」
ミーに言われてしまった。確かにそのとおりだ。
じゃあこれからの予定をきめた!
「今日依頼を受けるのはもう時間的にムリだけど、明日受けれて質の良い魔結晶が取れそうなのをギルドに行って捜そうよ!」
冒険者ギルドに戻って掲示板だけじゃなく、壁や柱に貼られている依頼書を3人で手分けして眺めているが良いのがないな。
俺のギルドランクがE。アイリとミーがC。
3人のチーム『早乙女遊撃隊』のチームリーダーは俺になってるのでチームのギルドランクはDとなっている。こういう場合CランクのアイリかミーがチームリーダーをしてCランクのチームにするのに、アイリもミーも2人とも絶対に譲らなかったのだ。
「俺が早乙女家の当主だからリーダーは俺以外にはありえない」
俺がDランクに上がればCランクのチームになるのだからって言われてちょっと凹んだ。
俺ががんばるしかないな。
ゾリオン村のビッタート卿が言っていたのだが、俺は盗賊殲滅(148人)とクマ退治でCランクになるまでのギルド貢献ポイントが溜まってるはずだから、Cランクまでなら無試験でいけるらしい。
なおさら頑張らないといけないな。
依頼よりもダンジョンに行って魔結晶を探したほうが早いかも。
今の俺の目的はランクを上げることではなくて、質の良い魔結晶が3つ欲しい。だからダンジョンなら亜種で強力な魔獣が時々出ることがあるから、それを狙った方が早いかもってアイリが言い出した。
夜間は夜間しか出現しない強力な魔獣が出る。それを狙って金を稼いでるチームもいる。
本来、夕方から夜間はDランク以上しかダンジョンに入ることはできなくなるが、俺はチームランクがDになるので行ける。それなら今から行こう。
と、話はまとまった。今は普段着だがアイテムボックスの中に防具も武器も全部が入ってるし、時間も丁度いいので今からでも大丈夫だ。
そうと決まればさっそく移動開始だ。
冒険者ギルドの更衣室を使いフル装備に着替える。
アイリとミーはヨークルを出てから頭装備を装備するいつものスタイルのようだ。
この冒険者ギルドから大森林内部にあるダンジョン『アゼット』までは徒歩だと2時間強ぐらいだ。歩きながら暇なのでいろいろな話を3人でしながら、道にある屋台で何かを買ってつまみながら、美味しいものがあれば何十個も買ってアイテムボックスに入れる。
フルーツの乗ったクッキーが美味しかったのでkg単位で購入した。
ダンジョンの名前は発見者が命名することができる。
これがイーデスハリスの世界のルールだ。
それでダンジョン『アゼット』の名は発見者の名前がつけられている。
自分の名前だけじゃなくて自由に命名できる。他のダンジョン名は地名が入っていたりする。ダンジョン名は地名か発見者の名前のパターンが多いそうだ。
ダンジョンが発生する条件・理由などはまだ解明されていないが、地中に埋まる魔結晶に入っている魔力が何かのきっかけで暴走しダンジョンが生まれるのではないか・・・というのが今の研究結果だそうだ。
だからダンジョンの1番奥には巨大に成長した魔結晶がある。ダンジョンの大きさによって大きさや純度や内蔵魔力・魔結晶の色などに違いはあるが、最奥には必ずある。
そしてその魔結晶がある最奥の部屋の手前にダンジョンの大ボスがいる・・・まぁ当たり前だな。
大ボスを倒し最奥の部屋に行って魔結晶を外に持ち出すとダンジョンは徐々に消滅していく。
だけど・・・
『最奥の部屋の魔結晶を取り出しても、その魔結晶の場所に質が悪くても大きさは小さくても良いので、替わりの魔結晶を置いておくとダンジョンは消滅しないでそのまま残る』
・・・という神託を受けたチームが実施してみたら、見事ダンジョンの維持に成功した。
じゃあ魔結晶が何度も取れるじゃん! と思うが、替わりに置いた魔結晶が元々あった大きさの魔結晶に成長するまでは最奥の部屋には誰も入れなくなる。魔結晶の成長の速度はよく分かっていない。
魔結晶が成長した後も一度クリアした人間は最奥の魔結晶の部屋には2度と入れなくなる。
・・・うーん。あの4人の神が創ったルールっぽいな。ダンジョンが消えたら作った意味がなくなるから新たに設定したっぽい。
しかし、何もでないな。アゼット迷宮に向かいながら思っていたことだ。
もう早乙女遊撃隊のメンバーは大森林の中に入ってる。
セバスチャンとマリアには大森林の探索を命じたので二人とも今は大森林のどこかで探索しているだろう。俺達がダンジョンを出た時に合流できるように合流場所を決めておいた。
早乙女邸には出かけてくる時に結界を張っておいたので今は、俺・アイリ・ミー・クマ2人・おやっさん夫婦・カタリナ・司祭などの親しいメンツで魔力パターンが登録された以外の人は門にも触れないほどの結界が張り巡らされてる。
『出かけてます。御用の方はお名前とご用件の書いた紙を、こちらのポストに入れて置いてください』
門にはこう書かれたプレートとポストを設置してきた。
ポストは俺のアイテムボックスの入り口が設置してあるので、俺にはいつでも確認できるし紙が入った時には俺にだけ聞こえる音が鳴るように設定してある。
まったく何も敵が出てこないからアイリたちに聞いてみたら、ここはダンジョンに向かう唯一の道で冒険者達が数多く時間帯も問わずに行き来している。だからここの大森林の道には魔獣も出ない。大森林内の一種のセーフティーゾーンになっているんだって。
確かに言われて冷静に考えてみればそのとおりだな。
さっきから何人もの冒険者がすれ違ってるし、アイリとミーにいたっては知り合いと何回か挨拶と会話までしてる。俺も何人かと挨拶と握手をさせてもらったし。
俺がアイリとミーと結婚したと言ったら・・・。
「若い男のエキスを吸いすぎるなよ。アイリもミーも若返りすぎだ」
2人はなぜか注意を受けてた。
少し笑えたな。アイリもミーも顔を真っ赤にして照れまくっていて可愛かったし。
アゼット迷宮にたどり着いた。ダンジョン攻略開始だ!
少し胸が踊る。興奮しているのを感じる。
『これぞ異世界』『これぞファンタジー』って感じだな。