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3本の大薙刀を作ったっす。

次の沈没船は歩いて数分のところにあるので、海底を歩きながら自分の周囲にライトの魔法を4つ浮かべて明るくさせてから巴空斬の仕上げをする。


巴空斬の柄に内臓されている魔結晶にいろんなスキルを封入していく。

まずは槍と薙刀のマスタースキルを封入。

刃に纏う『空元斬』は基本形にして何も纏わせてない時は魔法を魔素に返還して敵の魔力を吸収出来る様に仕上げた。

最終仕上げは薙刀の『巴型』仕様から『巴』という名前がついてるので柄の部分には双龍が絡みつく様な筋彫りを施して滑り止めとした。

刃の根元の鍔の部分は・・・龍の頭部の装飾を施して、反対側の石突の部分は珠を咥えた龍の頭部の装飾で仕上げる。

大薙刀の名称が変わって『巴龍空斬』という名前がついた。

最後に魔結晶に俺から魔力を込められるだけ封入して完了。


隣にあった沈没船に到着したが・・・今までで一番大きな沈没船が3つも重なるようにして鎮座していた。


内部には探査に引っかかる様な魔力反応も気配も何もないので、内部に入っていって探索する。

沈没船の内部は武器と防具が山ほど積まれていて・・・これは海蜥蜴たちが集めてきたモノだだろう。

漁で使う様な網・銛・ロープなども数多く蓄えられているのだが、生活感は全く感じないところから推察すると・・・ここは海蜥蜴たちの前線基地としてここに沈没船3隻を集めてきて、物資の集積場所としたんだろう。

どおりでさっきは全軍で一気に襲撃できた・・・いや、俺がドンドン近づいてきたって事だな。

すぐ傍まで俺が来たんで全軍出動の襲撃になったのかもしれない。

物資は大量の金属やロープなどがあって、素材としてもいろんな使い道がありそうなので全部アイテムボックスに入れて貰っていく事にした。

30分ほどかけて海底砦の中身を俺のアイテムボックスに放り込んだところで、時刻は18時・・・嫁達に確認を取ると、嫁達は相談の結果・・・今日は早乙女邸で猪魔手醉チョ・マテヨのステーキを食べる事に決定したので帰宅して今はリビングからダイニングに移動したところだと教えてくれた。


俺も腹が減ってきてたし、みんなと一緒に晩御飯を食べたかったので、早乙女邸のガレージに転移して帰宅。

自宅の玄関でステータスから普段着に着替えてみんなのいるダイニングテーブルに歩いていった。

ダイニングでは肉の焼ける良い匂いが充満している。

普通のステーキ肉150gが1枚とロースト肉風に煮汁に漬けたロースト肉150g1枚を食べる。

同じ肉なのに食感も味も全く違って飽きない美味しさだった。

付け合せのきゅうりの浅漬けも美味しかったし、スープも美味しかった。

食事中に今日のワイバーン狩りを終えた、るびのとフォクサも加わって早乙女一家団欒の図になる。

るびの達は早朝と夕方のワイバーン狩りで200頭以上ものワイバーンを間引いてきたようで、同行したセバスチャンからワイバーンの素材が大量に俺のアイテムボックスへ送られてきている。

今回のワイバーン狩り遠征ではワイバーン以外にも大鹿魔獣の毛皮や角、高山植物の種なども多く送られてきてるし、岩石・鉱石・魔石・魔結晶・魔水晶なども大量に俺のアイテムボックスに送られてきた。

ワイバーンの巣に直接出向いての狩りなのでワイバーンが持ち帰ってきた馬具や馬車などもあり、馬車の中にいたらしき人族の武具や防具なども散乱していたので、セバスチャンが全部を回収してきてくれた。


それとセバスチャン情報だが・・・ワイバーンが住処にしてる洞窟の奥に岩塩の鉱山を発見したとの報告があった。

セバスチャンが探査魔法で調べると物凄く膨大な量の岩塩鉱山でワイバーンの住処の洞窟とは別方向の洞窟も発見して、そちらには大鹿魔獣達や草食の獣たちが舐めに来てるらしい。

セバスチャンから俺の脳内MAPに岩塩鉱山の情報を送ってもらう・・・これは想像していた以上に広い。

岩塩の埋蔵量も想像以上で膨大な量と言える。

大草原の北東にある岩山部分でワイバーンの住処に近いので人間はここまで入ってきてなかったんだろう。

もう少し西側には俺が発見したミスリル鉱山もあるんだけど・・・ここまで来れて自由に採掘できるのは俺と俺の作ったゴーレムのみだから仕方がない。

シーパラ連合国になる前の世界最強レベルの魔法帝国だった『ウェルズ帝国』の時でも、この辺りまでは探査できずに手付かずになっていたんだろう・・・鉱物が豊富な鉱山があちこちにあるのに、人間達が進出していた形跡すら見当たらないからな。


セバスチャンからもらった情報を元にいろいろ考えながら、るびのとフォクサと嫁達と食後もリビングに移動して和気あいあいと一家団欒を過ごす。

るびのとフォクサは明日はダラダラ過ごして体を休めるんだと言ってる。

嫁達は明日は首都シーパラで買い物を楽しむそうだ。

カレンが10年も首都シーパラには行ってなくてどう変わってるのか見てみたい様で、相談の結果明日の予定に決まったらしい。

アイリ達に言わせると・・・シーパラはそこまで変化がなかったという話だが、アイリ達とは違ってカレンはシーパラでもSクラスの冒険者として指名依頼を受けて活動していたから、自分の目で見てきた事と10年経過して久しぶりにシーパラに直接行って感じる事は違うんだろう。

それにある程度定期的に訪れてるアイリ・ミーとクラリーナは小さい時の微かな記憶しか残ってない状態だった。

俺の場合はどこに行っても初めての場所だし、貰った知識や記憶の大半ははシーパラ連合国ではなくてウェルヅ帝国時代の知識や記憶なので、区画すら大幅に変わってる・・・というよりも、首都の場所すら違ってるしな。

首都はシーパラ大河を挟んで対岸のウェルヅリステルで・・・シーパラは商業ギルドとシーパラ教会大聖堂を中心とした商業都市となっていた。

シーパラも俺の貰った知識とは500年以上もの時を経ているので区画まで大幅に変更されて様変わりしている。

5人ともが首都シーパラに対して違う印象を持ってるんだろう・・・これは夫婦とか関係なしに全員が同じ印象なんてありえないわな。


るびのとフォクサは朝が早かったので眠くなってきたから先にお風呂に行くと言って、露天風呂に入りに行ってしまった。

そういえばクラリーナに渡すものがあったのを忘れていた事を思い出した。

シグチスに進出してきた麻薬組織を壊滅させた時に敵から奪い取った中級者用のニードル系の魔法の矢を飛ばす『ニードル魔弓』だった。

みんなで地下練習場に下りていってクラリーナにニードル魔弓の使い方を簡単に教えてあげると、すぐにある程度は使えるようになった・・・さすが”魔法の申し子”だな。

魔弓系も簡単に使いこなせるのは少し驚いたが、実戦練習で問題なさそうならBR魔弓を任せられる日も遠くないだろう。


「ねぇ、しんちゃん・・・私も欲しい武器が決まったんだけどいいかな?」

「良いよ。ミー欲しい武器を具体的に教えてくれたら、その通りに作ってあげるよ」

「カレンさんに依然教えてもらった大薙刀をマスターしてみたいんだ!」

「良いよ・・・って、俺も自分専用の大薙刀を作ったばかりなんだ。見てみる?」

「「「見せて!!」」」


アイリとカレンまで話に食いついてきたので俺が先ほどつく行った巴龍空斬を見せてあげる。

流石にこれは魔力をほとんど持たないミーでは刃を出す事すら出来ないし、魔力をある程度持ってる転生者のカレンですら刃を維持できるのは数分が限界だろう。

そもそも空元斬という魔法が空間すら断絶させる切れ味を持ってるが、魔力消費が凄く大きい魔法だ。

その空元斬を維持させ続けるというこの巴龍空斬を使い続けるには・・・MPの隠し数値が10億を超えていて毎秒10万以上が回復できる俺の規格外ステータスがないとこの武器は維持できない。

という事を簡単に説明するとミーは残念がっていた・・・デザインが凄く気に入ってくれたみたいだった。

・・・ついでにカレンまでも。

よくよく聞いたら・・・カレンも以前から使ってる薙刀が少しヘタレていて新しい薙刀を欲しがっていたようだった。

なので俺の巴龍空斬と全く一緒のデザインの大薙刀を2人の為に作ってあげる事にする。

見た目はオリハルコン製の同じような大薙刀だが、ミーはアマテラスからの祝福で『属性攻撃』が使いこなすことができるので、両端の刃の部分と石突の部分の近くの柄の中に魔結晶と魔水晶が埋め込み、属性攻撃用の威力が上がっても武器には影響が出ない様に改良してある。

それと俺の巴龍空斬は重さも一切変えずに製作したので10kg以上の重さがあるが、ミーとカレンの大薙刀は本人たちが使用してる時でも軽くなり過ぎないように本人たちの希望の重さにしてあげた。

本人以外が持つと逆に50kg以上の重さが掛かるように重力魔法を内蔵された魔結晶に封入した。

名前は『早乙女・トモエ龍壱リュウイチ”』がミーの大薙刀の名前で、カレンのは『早乙女・トモエ龍侍リュウジ”』となってる。


ミーもカレンも凄く喜んでくれたので、作った俺としても嬉しくなってくる。

地下練習場にいるので思う存分振り回してもらって重量バランスを使い易いように最終仕上げをした。

カレンは俺と流派は違うが転生する前から薙刀はマスタークラスの域に達してるし、ミーもカレンと知り合った頃に薙刀の手ほどきは受けているので初級の型までは使いこなせると聞いている。

2人とも長い髪の毛をポニーテールのようにして無造作に後頭部で結んでいる。

お互いに向き合い凛として薙刀を構えた体勢から流れる様な動きの中で薙刀の型を演じていく姿は美しいという一言では言い尽くせないほどの美を感じてしまうな。

クラリーナも師匠ゴーレムが放り投げた的に魔弓の矢を当てる訓練をしていて・・・美しい。

隣にいるアイリと一緒に俺も見惚みとれるようにして3人の動きを見つめている。

3人とも10分ほど動いて満足できたようだ。

ミーとクラリーナは次回のアゼットダンジョンアタックで実戦練習をすると張り切っている。


嫁達とはここでおやすみの挨拶をして、俺はヘルプさんからの緊急連絡が入ったので首都シーパラにある早乙女工房に向かう事にした。

ヘルプさんからの報告によると、明日俺が首都シーパラへ帰還したあとで、シーパラ大聖堂内で俺の冒険者ギルドSランクへの昇格の記念式典が、明後日に急遽行われる事が決定したという情報が”あえて”最高評議会から流されているらしい。


それで式典を妨害しようとした敵を浮かび上がらせようという計略らしいのだが・・・ヘルプさんに言わせると色々とすでに計略は破綻してるらしく・・・厳重警備が予想される記念式典をあえて避けて、明日の俺の上陸時に襲撃を掛けようという組織と記念式典の最中を狙って早乙女工房の方に襲撃を掛けようという組織に分かれているようだ。


マリーナに襲撃を掛けるのではなくて中型の高速船舶2艘を使って、入港前の魔力パワーボートに襲撃を掛けようと計画してる2つの商会が絡んでいる。

さらに忍の探り取った情報によると・・・俺の魔力パワーボートの航跡も残さずに超高速で移動できちゃう技術を狙っている商会で、2つともならず者を大量に使って裏では海賊行為をして船舶関連の業者らしい。

面倒臭そうなんで今日中に潰しておいた方が良さそうだな。

この後で2つの商会に殴り込みをかける事にする。


明日の記念式典の最中にシーパラの早乙女工房に襲撃を掛けに来る組織はまだ調査中だが・・・俺が叩き潰したいくつかの組織で、本拠が他国にある組織が合同で俺の首に賞金を賭けたたとの情報があって、首都シーパラの賞金首ギルドが本格的に俺を狩りに来るようだ。

こちらは俺が記念式典に出席中を狙って賞金首ギルドの腕利きが挨拶がてらにゴーレムを狩りに来るらしいが、忍の探り取った情報では・・・賞金首狩りを専門に扱ってる賞金首ギルドの腕利きとは言っても俺の作ったゴーレム達の足元にも及ばない。

ユーロンド達に任せておいても大丈夫だろう。


時刻は夜9時を回って、首都シーパラでは大通りを歩く人の数も大幅に減ってきている。

2つの商会・・・面倒なんでA商会とB商会でいいか。

A商会はすでに全員集合している様なんで先に襲撃しに行く。

アマテラスほっとラインで連絡を取り、2つの商会の場所を説明して俺が襲撃を終了させた後に、2つの組織の捜査を聖騎士団に任せる。

シグチスに聖騎士団の応援で500名もの団員を送ってはいるが、シーパラ教会の聖騎士団にはまだ余裕はあるので、いきなりの捜査でも人員不足という事はないようだ。

今回は襲撃でつくった重症者治療は教会の儲けにしていいとアマテラスに言ってあるので、2つの商会で俺はブルボッコで治療は無し。

サービスで捜査用の資料を作り易いように、証拠物などを添付文書付きで分かり易く置いておけばいいだろう。


真っ黒の深夜襲撃専用で製作した闇甲殻鎧にステータスから一瞬で着替えをして、シーパラ南部の海に面した倉庫街の中にある、A商会の本部上空に転移魔法で跳んで空中で敷地全域の監視を行う。

敷地全域を探査魔法で探り取った後にいつもの襲撃用の特製の封印結界を張り、トラップを解除して鍵を掛けられない様に封印を施してからA商会の襲撃準備を開始する。


ここには270名のクズと42名の奴隷、18名の幹部と5名の副代表と1名の代表がいる。

シーパラ教会の大聖堂内の礼拝堂にはアマテラスの神託を受けた司祭が治療と精神的なケアを施すために、複数集められて待機してるので、俺は奴隷42名ををショック魔法で全員を失神させて転送魔法で送って仕事終了。

代表たち24名の幹部連中の知識を『情報複製魔法』でヘルプさんに送り情報整理をお願いした。

準備完了したので襲撃を始める。

いつもの襲撃のように正門真ん前の内側に転移魔法で移動すると、突如として浮かび上がった俺に警笛を吹き鳴らしながら門番が遅い掛かってくる。

鑑識の魔眼で敵の罪状を確認しながら敵の重症度を決めて怪我をさせていくんだけど・・・軽症で済ませて良いような罪の軽い敵が存在しないことが、ここの商会のクズっぷりを物語ってるな。

俺が姿を現したと同時にこのA商会本部&倉庫に内偵で入れさせていた忍と徒影が、あちこちで同時に姿を現して暴れはじめる。


俺も殺さない様に手加減しながら・・・イヤ、殺す時も結構気を使って手加減してるんだけどな。

敵のHPを確認しながらオーバーキルにならない様に手加減して何ヶ所か骨折させて重症にさせて、蠢くだけしかできない”イモムシ”を大量に作りながら敵を殲滅していく。

忍や徒影も殺さない様に調節して重症のイモムシを作る。

ついでに隠されている犯罪の証拠を並べて添付文書もヘルプさんの指示に従いながらアイテムボックスの中で作成して、蠢くだけしかできなくなったカスと一緒の場所に置いて、後でやってきて捜査する聖騎士団の手間を簡単にしておく。

忍からの緊急連絡で敵のA商会の幹部がゴーリク夫妻が作ったと思われる犬魔獣型ゴーレム『クラッシャーハウンド』が3体も出してきた。

俺はビーストテイムマスターのスキル魔法を使用してクラッシャーハウンドを俺の所属に書き換えて、転送魔法で強引に俺の手元まで引き寄せてから、アイテムボックスに片付ける。

アイテムボックス内に入れた後で所属を空欄に戻す。


ゴーレムがあっさりと消えた事に敵たちはパニックになってるようだが、まぁ敵の事情なんて俺の知った事じゃないし、ゴーリク夫妻には発見したら壊さないで返すと約束したからな。


それに俺の目の前にも知らないゴーレムが登場した。

ゴーレムというか魔力を使ったパワードスーツの様なモノで、頑丈で巨大な鎧に魔力の補助装置を取り付けてある・・・イーデスハリスの世界では『魔動まどう機構きこうよろい』と呼ばれる類いのモノだ。

作成者は外国の人の様で・・・見た事も聞いたこともない名前が書いてある。

2mを超える鬼獣人が操縦して俺を狙って攻撃してくるのを注視してるんだけど・・・攻撃のスピードも上がっているように思える。

結構鋭い攻撃で俺のゆったりとした回避には、攻撃の途中で軌道を変化させてくる。

こちらも対応でスピードを徐々に上げていくが、けっこうな数値まで対応できてるので・・・これ以上は使用者の”視力”が限界なのか? ってところだろう。

俺の動きに目の動きがついて行けなくなった時点から、俺への攻撃が中途半端になってきたのがハッキリと分かった。

それでも通常の鬼獣人の反応速度を凌駕するレベルの攻撃をしてくるのを冷静に観察しながら、魔動機構鎧の手の部分や足先に取り付けてあるショートソードを優雅に躱し続ける。


鑑識の魔眼を出しっぱなしにしてるので、素材も魔力の流れも判明した。

素材は特別なモノは使用してないようで、ごく普通のダマスカス鋼のフルプレートアーマーにミスリルコーティングがしてある骨格の鎧部分に対して、全身の関節の部分には森林モンキーの尻尾を組み込んで動きを補助させているようだ。

魔力の流れは背中部分にランドセルのような箱型のモノが取り付けてあり、ここに仕込んである複数の大型の魔結晶で魔力を蓄えるバッテリーになっており、ここから魔力を全身の森林モンキーの尻尾を伸縮させてパワーとスピードを得ている。

素材も魔力の流れも掴めたのでこれ以上この魔動機構鎧から得られる情報はないだろうな。

俺の貰った知識の中にある太古の時代・・・1000年以上前からごく当たり前に存在していた魔動機構鎧の基本的なモノとそんなに進化はしてない様に見受けられるし、能力も何かしらの魔法が使える訳でもないようで・・・どこにも特別な部分がなさそうだった。


5分ほど敵の攻撃を観察していたが変化もないようなので俺から反撃にうつることにした。

俺が軽くバックステップして後ろに下がった誘いの動きに簡単に引っかかって、真正面から突っ込んできて下から蹴り上げてきた足を躱す事もなく左手で振り払うかのようにして足先の剣をへし折り、右手で魔動機構鎧の足のかかとを掴んで持つとグルングルンと頭上で2周振り回して、魔動機構鎧の背中の部分を地面に叩きつけて魔結晶を砕いた瞬間に鎧は動きを終了させた。

ここは肝心な部分なんだからもっと頑丈に作ればいいのに・・・背中のボックスが弱点というのは変わってないようだ。

ついでに鎧の腰のパーツを強引に剥ぎ取って骨盤と左右の大腿骨を骨折させて重症患者イモムシの生産を続行した。

襲撃はまだ終わってないからな。

が、しかし・・・俺が魔動機構鎧の攻撃を傷つくことなく躱し続け、攻撃し始めたと思ったら一瞬で破壊したところを見ていた敵たちは、俺とのあまりのレベル差に気付いて逃げ惑い始める。

所詮まぁ海賊紛いな連中なので忠誠心とか結束力なんてものも存在しないし、いままでよく頑張った方だろう・・・逃がしはしないけど。


敵が逃げた方向の先に回り込んで、向かってきた敵にラリアートとかアックスボンバーなど、懐かしのプロレス技を次々に仕掛けてイモムシを量産。

破れかぶれで攻撃してきた敵の横薙ぎのハンマーを、大きく踏み込んでスタンスを広げて体勢を低くして躱してから、エメラルドフロウジョンで敵の背骨を砕いたりして・・・いつものように少し楽しくなってきたので遊び始める。

敵の蹴り足を掴んでキャプチュードにいったり、頭から突っ込んできた敵をブレーンバスターをしたりとやりたい放題。

俺の規格外ステータスからすると殺さない様に手加減する方が難しいだけで、120kgを超える様な大型獣人を投げるのは、棒の浮き輪を掴んで投げる事より簡単だったのでいろんなスープレックスを試してみたりした。

地球にいる時だと危険すぎて使えない様な技も、このイーデスハリスでならHPの減り具合を確認しながら使用できるし、やり過ぎてもエクストラヒールで即全快だから・・・生かすも殺すも自由自在『活殺自在』『生殺与奪』とは、まさにこのことだろう。

逃げ惑う悪党どもを片っ端からプロレス技の実験台になってもらうことになったのは、悪人の末路としては典型的なモノだから仕方がない。

技の問題でヤバ過ぎて死ぬ寸前にエクストラヒールを使ったのは2回あった。

垂直落下式ブレーンバスターとノーザンライトボムは脳天から落す技だけに、下が敷石の部分で使っていい技ではないな・・・反省。

古典的で危険な技のジャーマンスープレックスは、頭から落さない様に殺さない様に調節するのが難しかったのだが、上手く背中から落ちる用に調節して技をくりだす様にした事で使える技となった。


270名の海賊戦闘要員と24名の幹部全員を身動きできないほどの重症患者に仕立て上げ各種犯罪の証拠を添えて放置させ、聖騎士団がやってくるまで敷地の監視を5体の忍に任せて、敷地に掛けた封印結界を解除してから俺はそろそろ次の襲撃場所に向かう事にする。


次の襲撃場所と言っても・・・隣の倉庫なんだけどな。

俺の封印結界では音も光も遮断されてるので隣の倉庫と言えど俺の襲撃に気付く事も出来ない。

それに例え直接見ていたとしても俺の特別製の結界には『幻影』の魔法の効果も混ぜてあるので、今までと全く同じ風景しか見えない様になっている。

隣の倉庫&本部にもここと同じように300名近い戦闘要員と30名ほどの幹部と50名近い奴隷が働かされているならず者達の集団。

奴隷たちをショック魔法で気絶させた後に解放して、彼らもシーパラ教会の大聖堂に転生魔法で送った後で、ここでも襲撃を開始させる。


ここの敷地全域にも同じように特別製の封印結界を仕掛けてから襲撃を開始するが、忍の報告によるとここには虎の子とされてる『魔獣戦闘部隊』と『魔法戦闘部隊』があると聞いていたので期待していたんだが・・・期待外れだったようだ。

魔獣戦闘部隊は6頭のオーガがいるだけだった。

俺に向かって襲い掛かってきた・・・オーガは泳ぎも得意なので海賊行為を行う組織にとっては使いやすい魔獣なんだろう。


が・・・俺のビーストテイムマスターのスキルから逃れる術もなく、テイマーの欄に俺の名前を上書きされて俺のテイム魔獣になる。

今まで装備していた粗末な武器と防具をステータスから着替えさせて、俺の手作りの武器と防具に変更させた。

武器はそれぞれに合うモノを装備させて、防具は早乙女軍団の定番の防具『ワイバーンの革鎧』にした。

オーガ達に戦わせる・・・イヤ、俺とゴーレム達の邪魔はしない様にとだけ指示して、けっこう自由に暴れさせる事にした。

俺のテイム魔獣になったとたんにレベルアップして優秀なオーガに変貌を遂げているのはゴブリン・一郎たちと同じようだけど、俺の言葉をある程度は理解できてもさすがに言葉を話せるまでレベルアップはできなかったみたいだな。

少し命令をして反応を確かめたのだけど・・・『ウガ=うなづき=YES』『ガウ=首ふり=NO』というのはなんとなく理解してもらえたので、最低限の意思疎通ができる事は判明したのはありがたい。


戦闘能力はスピードと跳躍力が凄いのはオーガ特有のモノなのだけど、レベルアップした事でオーガの最高クラス『オーガエンペラー』並みの身体能力を身につけたようだ。

それと・・・鑑識の魔眼が出しっぱなしになってるので分かったのだが彼らは3組の夫婦らしい。

オーガは元々群れで生きる生き物ではなく夫婦や家族などのグループで生きる魔獣なので、3組が少しギクシャクしてる様子がうかがえる。


それと・・・オーガはシーパラ連合国のフィールドに暮らす魔獣ではない。

西方大陸のウェルヅ大陸の中央を南北に走るウェルヅ山脈の西側の国家がシーパラ連合国で、ウェルヅ山脈の東側にある丘と草原と河の国家群『東ウェルヅ王国連合』に多く住む魔獣。

ウェルズ大河北部の『ウェルヅ大草原』のさらに北部で、今は銀大熊の天下となってる丘陵地帯はオーガの生息区域だった。

しかし3500年以上前の古代龍達が引き起こした魔獣戦争でオーガの種族は白虎の率いる魔獣達と違って、滅ぼされた側の古代龍王側に付いたために、白虎と眷属の『銀大熊』と『グリフォン』によって全滅した種族だという事が鑑識魔法から得られた情報だった。


新たにテイムマスターとなった俺の指示によって6頭のオーガが自由に暴れはじめたのを見て愕然とするテイマー達を尻目に、俺は次の魔法戦闘部隊戦へと向かって移動を開始する。

先行して探っていた忍たちの調べによって魔法兵団はどこで何をしているのかは、当然ながら知っていたんだけど・・・コッチはガッカリ極まりない。

海賊行為を行う上で有効な『氷魔法』の得意な魔法兵団らしいのだが、俺に『氷結』なんて効きもしない。

アイテムボックスから出した雪切ゆきり正宗まさむねを構えてるだけで、全部魔素に変化させられて吸収されてしまう。

雪切正宗の輝きが少し増した程度でしかない・・・えらく魔法のレベルが低いんだけど、海賊行為にはこの程度で充分なのかな?

『な、なんだと! 氷属性の神器の小太刀だと!』

と、魔法兵団40名の隊長らしき魔族が叫んでるみたいだが、気にもしないで飛んでくるアイスジャベリンも地面から突き出てくる氷柱も全部が雪切正宗に吸収されるだけなので、左手一本で雪切正宗を構えながら左右の足と右手で敵に攻撃をしていく。

雪切正宗で攻撃しちゃうとすぐに死んじゃいそうだし、手足も簡単に切り落とせるので刃物での手加減は難しいから仕方がないな。

全く俺に魔法の効果がないので途中から魔法兵団は崩壊して逃げ惑い始めたのは仕方がない事だろう。

彼らも軍隊ではなくただの海賊紛いのならず者の集団でしかないので、攻めてる時には良いが守りには向いていない組織。

戦線を維持したまま引くこともできずに、ただ崩壊して逃げ惑ってるのみ。

俺が攻撃するだけでなくオーガが縦横無尽に暴れまわってる中を一切の魔法攻撃も効かない状態で、魔法兵団の戦線の維持できるような訓練なんてした事もないのだろう。


ここの倉庫&本部にいたクズ共も全員が重症患者イモムシになるのに1時間も掛からなかった。

2月から作者の就職が決まりまして、働き始めましたので・・・今後の更新は大幅に遅れる事になりそうです。

楽しみに待っていただいている読者様にはご迷惑をおかけしますが、作者も生きていくためには色々なモノが必要となってきますので、なにとぞご了承ください。

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