カレンさんは間違いなく美人さんなんですが・・・っす。
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襲い掛かってくる敵を次々と捌いて殺しながら後ろに並んでるグリーンウルフに声をかける。
「グリーンウルフ、敵と味方の区別はつくよな?」
「はい。ご主人様の匂いが鎧からします」
「じゃあ、味方の邪魔をしないように敵を殺せ! スピードを生かして敵の集団をかく乱しろ!」
「はっ」
俺の後ろで待機していたグリーンウルフが散開してグリーンウルフの持つスピードで敵の集団となってる場所をかく乱し始めた。
それによって敵の集団はグループとしての攻撃が維持できなくなった。
圧倒的な人数の差からマティアス率いるBチームは徐々に押され始めていたが、グリーンウルフのかく乱で若干の余裕が生まれ少しずつ守勢に回っていたのを立て直してから、マティアスの指示で一気に攻勢をかける。
俺は正面から顔面に狙って突かれてきた槍を右に体をひねらせて避けると同時に、左手で槍を掴むと敵の体を引き寄せて敵の顔面に右ストレートを叩き込み殺害。
頭部を消失させた敵の体を踏み込んだ左のミドルキックで蹴り飛ばして後ろに群がってる敵まで殺す。
奪い取った槍の穂先の反対側の石突を右手で掴み直してから頭上で3周ほど振り回し、周囲に群がっていた敵を粉砕すると、そのままの勢いで回転させたままの槍を回しながら味方のいない方向に投げ飛ばした。
斜めに回転したまま槍は飛んで行って周囲の敵を皆殺しにする。
俺は右から飛んできた斧を掴んで飛んできた方向へと投げ返したり、死亡して下に転がってる敵の死体を掴んで投げたり、死体を乗り越えて向かってくる敵にサッカーボールのように下に転がっている死体を蹴り飛ばしたりと様々な方法で敵を殺しまくる。
周囲にいた敵を粉砕したので、今度はアイテムボックスから早乙女強弓を取り出して、庭に出てきてた敵を皆殺しにした。
盾職の持つシールドを貫いて飛んでくる早乙女強弓の矢を止める術のない敵には死あるのみだった。
後は本拠地となってる建物の中に隠れてるヤツラだけだな。
突入前に建物内にあるすべてのトラップを解除して鍵も開錠してから施錠できないように封印を施した。
徒影3体を先頭にしてマティアスとBチームが建物の中に侵入していく。
俺は返り血で汚れてるグリーンウルフを3点セット魔法で浄化してから、焼いた馬肉の骨付きの塊を30kgずつ与えて食べさせる。
5頭のグリーンウルフがお座りをして美味しそうにガツガツバリバリと食ってる間に、ガウリスクに念輪連絡をして仲間の受け入れを確認してみるが断るはずもなくOKが出たので、5頭のグリーンウルフに説明して食べてる体勢のままエサごとグリーンウルフダンジョンに転送した。
転送中に5頭のグリーンウルフのステータスにあるテイマーの名前欄を白紙状態にするのも忘れずおこなう。
建物の地下にある隠し通路で逃げようとしてる麻薬組織のボスと秘書2人と幹部3人の10mほど前に転移魔法で移動した。
即座に6人の知識と経験をコピーして情報整理をヘルプさんに任す。
「よぅ、ワザワザ外国から麻薬販売しに来て半年程度で崩壊させちゃうなんて、とんだ無能だな?」
「貴様は早乙女・・・」
「カスが俺の名前を気安く名前呼ぶなよ。それで、味方を置いてどこに行くの? えーっと大幹部様(?)だったっけ・・・ご自慢の武器で戦わないのかな?」
「貴様、もう許さん・・・これで八つ裂きにして殺してやる。ハァ~~~・・・『ガン!』ガピャ」
大幹部が右腰に差してあったクリスタル棒を引き抜くと左八相の構えになり、気合を込めると手首の大きな腕輪に仕込まれたいくつかの魔結晶が反応がして輝き始めてクリスタル棒が白い輝きを纏っていく。
魔剣という括りになるんだろうけど正確には『魔力剣』だろうな・・・イーデスハリスの世界においては”セディーサー”と言われる魔力剣で使用者自身の持つ魔力を刃にする剣。
剣の柄に仕込んだ魔結晶に溜めた魔力を剣の芯の部分に加工された魔水晶が増幅させて魔力の刃としてる。
利点は・・・込める魔力によって切れ味に大きな変化があって金属でもなんでも切れるようになる。
欠点は・・・魔力の放出量が尋常な量ではないので魔力の制御に熟練の技を要する。
ここから見てたら腕輪の魔結晶が使用者が魔力使用する時の補助をしてくれてた感じだった。
始めは輝きが安定せずに瞬いていたが次第に安定を見せて魔力剣が輝き始めたところで、手をした魔剣を上段に振りかぶりながら俺の目の前に走って攻撃してきて、俺の2m手前で空気の壁にぶち当たったように顔面をぶつけて弾かれて後ろに倒れて・・・そのままの状態で首の骨が折れて死んだ。
使用者が死んだことで魔力剣はゆっくりと輝きを減らしていく。
「ブーー、ワーッハッハッハ・・・悪い悪い封印結界したままだったわ・・・って死んでるし! アーッハッハッハ」
「うそっ・・・」
「俺の前で一番惨めな死に方をした敵だなあ、クックック」
「・・・」
「ほらほら、大幹部様後2名もいますよ! 俺は一人です。次はどうしますか?」
「ぐっ・・・これでも喰らえ!」
幹部の一人が前に走り出てアイテムボックスから杖を出すと俺に向かって魔法を唱える。
『轟炎放射』
「そりゃ~! ってごわぁ~~・・・」
もちろん封印結界はまだ解除して・・・(以下略)
ワンドの先端に取り付けられた大きな魔結晶から轟炎と言える量の炎が吹き出て俺に向かってくるが・・・炎が俺まで届くことはなく、逆に反射して自分が炎を全身に浴びて焼死してしまった。
「ブゥワーッハッハッハ、だから勝手に自殺するなよって言ってんの! あーダメだって・・・腹筋崩壊する! ガッハッハッハ」
「貴様、卑怯な真似して恥ずかしくないのか!」
「今まで好き勝手にやってきた悪党が卑怯って! アッハッハッハ、死んじゃうって・・・笑い過ぎて死んじゃうって・・・アッハッハッハッハ」
「クソがぁ~! これでも喰らえ!」
最後は残った幹部がアイテムボックスから魔弓を取り出して俺に向かって乱射し始めた。
もちろん封印結界・・・(以下略)
乱射された矢は全部跳ね返されて、秘書2名とボスに矢が刺さり、秘書は2名とも数本の矢が刺さって死亡、ボスは全身5か所に矢が刺さって身動きができない瀕死状態。
周囲の状況も見ずに魔弓から矢を連射していた幹部自身は、最後の一本が額に突き刺さって死亡した。
こんなの目の前で見せられて俺はすでに立てない。
膝から崩れ落ちて地面の上を転げまわりながら大爆笑中だ。
「だ・・か・・・・ら、まだ・・・解・除・・し、てない・・って。死・・・ぬ。笑い・・・過ぎて、しんじゃう」
5分ほど地面を転げまわって悶絶させられてしまった。
俺の規格外のステータスによる生命力がなかったら、笑い過ぎて呼吸できなくて笑い死にしてたと思う。
こんな惨めな敵は記念写真撮りたくなるな・・・イーデスハリスの世界にきて俺が戦闘で死にかかった初めての経験だし。
手ごわい敵だったな・・・って手も下さずに見てただけだったけど。
生き残ってたはずのボスも俺が悶絶して転げまわってる間に死んでしまった。
俺は死体のアイテムボックスの中身を俺のアイテムボックスに全部移動させる。
前回のゴッデスのアップデートで死体のアイテムボックスの中身の移動がステータスからできるようになってて楽に確認しながらできる。
大量の麻薬があったが・・・化学変化させて違う物質にしてからアイテムボックス内に保管する。
6人の持ち物から珍しいものはないか調べたら、ボスのアイテムボックスの中から凄く珍しいアイテムがあった。
『空中舞踏輪具』
2個が1セットとなったアンクレットリングで左右の足首にハメて装備する。
剣客スキルのマスタースキルと同じように空中を足場にして移動することができるようになるアンクレットリングだった。
歩数は剣客と同じ10歩だ。
これも同じように敵の体とかを足場にすればまた10歩だけ歩けるようになる。
それと剣客スキルとの大きな違いは、空中舞踏輪具だと空中で停まってると下まで下降していくのに1m10秒ほど時間かかり、剣客スキルの様な瞬時の落下ではなく『舞い降りていく』ところからこの名前が付けられている。
逆に言えば空中に上がりすぎると下に降りてくるまでに時間が掛かり過ぎる事となるし、10歩歩いた後の降下中は空中では身動きが取れなくなって、無防備状態が長く続く事になってしまうという欠点がある。
戦闘で使う際にはかなりの注意が必要で、周囲の状況を確認するだけでなく・・・状況の先を読む力が絶対に必要になる。
この特性から・・・周囲を囲まれたダンジョン・闘技場・大森林の様なジャングルなどの足場となるものが多い場所の戦闘では無類の強さを発揮するアイテムだ。
これは癖の強いアイテムだけど使い方によっては凄い威力を持つだろう。
良いもの貰ったなと死体を見ると武器と防具も素材の良いモノを使ってたので、全部ステータスから剥ぎ取って・・・この装備剥ぎ取りは楽でいいな。
死体に触れなくてもいい・・・アイテムボックス内ではぎ取ったものを3点セット魔法で浄化した。
コイツラの防具は素材にしかならないが武器はそこそこの武器だった。
杖はミスリル製のワンドとありきたりのモノなんだが先端に取り付けてある魔結晶が大型で質も良いモノだったからありがたく頂く。
同じように幹部が魔力剣を使う時に魔力の補助をしていた大きな腕輪も魔結晶を多く使ってあり、魔石もいくつか施されていて実用できる高級品という装備品で、そのままサイズ調整だけすればすぐに使える品なので、これもありがたく頂いておく。
もう一つが魔弓だったな・・・調べたけど中級者用の魔弓で『BR魔弓』の魔力増幅タイプではなく青木勘十郎の持ってる魔弓『巌落』の廉価版という魔弓で、魔力の弦を使って飛ばす矢は各魔法属性のニードル系の矢だった。
跳ばせる魔法の種類は多いがニードル系のみなのでそこまでの威力は期待できない。
アイテムボックスから取り出して試射してみたが、様々の量の魔力を籠めても一定数の攻撃力しか持たないなコレは・・・だけどある程度は矢の軌道を変えて撃てるので曲射が可能な魔弓になってる。
それと試射した時に確かめてみたがニードルを螺旋回転運動させて飛ばす事が出来る様なので貫通力は増やす事が可能。
中級者の練習用としては最適かもしれない。
そろそろ初心者用の弓からクラリーナも卒業できる時期になってきただろうから、これはありがたいレベルの魔弓を得る事が出来たな。
魔弓の試射を終えてアイテムボックスに片付けると死体を放置してみんなのところに転移魔法で戻る。
俺が戻る前には外国から来た麻薬組織の皆殺しはすべて終わっていた。
腕利きがここまで揃ってるとあっという間だな。
マティアスとBチームのみんなに労いの言葉をかけてから転移魔法で任侠ギルドシグチス支部の会議室に戻る。
コピーした情報でも外国から来てまだ1ヶ月ほどの組織なので下部組織はまだいないし、組織の連中で外に出てた者達もいなかった。
なのであとは先に潰した組織の下部組織が2つ残ってるだけなので、まとめた敵の情報を会議で確認した後に1つを潰しにマティアスとBチームが徒影の転移魔法で跳んで行った。
後は俺がいなくても任侠ギルドで抹殺できるだろう。
マティアスとマナガルムに後始末を任せたと念輪連絡をして俺は早乙女商会シグチス支部の執務室に転移した。
夜の11時過ぎの深夜。
3時間以上も仮眠してあるので眠気は全くないが、ホットコーヒーが飲みたくなったのでアイテムボックスからマグカップとホットコーヒーの入ったポットを取り出してコップに注ぎ味わいながら飲み始める。
仕事の途中の休憩時間のコーヒーは格別だな・・・と、アイテムボックス内で今作ったばかりのチョコチップ入りドーナッツを取り出してかじる。
これだけ変な時間に甘いものを食いまくっているのに太る傾向が見られないのは素直にうれしいな。
日本にいた時にこんな甘いモノの暴飲暴食を、こんな時間にしてたらヤバかっただろう。
そんなくだらない事を考えていたところにミーから念輪連絡が入った。
「しんちゃん、今いいかな? 明日の予定ってどうなってるの?」
「俺はもうしばらくシグチスで暴れないといけないからみんなは自由にしてていいよ」
「私達は、るびのとフォクサも連れてアゼットダンジョンに行く予定なんだけど・・・明日ヒマなカレンさんも一緒に行きたいんだって!」
「そういえば明日みんなでアゼット迷宮アタックに行くと言ってたな。カレンさんもちろんOKだし、俺は行けないけどみんなでダンジョンアタックを楽しんできてよ」
「そっか~、それならしんちゃんにお願いがあるの。以前言ってた私専用に武器をしんちゃんが作ってくれるって言ってたことなんだけど、私の武器の代わりにカレンさんの双剣を作ってあげて欲しいの」
「は? どういう事なのか詳しく教えて!」
ミーの話ではカレンは今回捕まった時に装備して大事に使用していた双剣を売られてしまっているようだ。
警備隊に捜してもらったら双剣はすでに次の奴に売られてて、そいつに交渉しに行ったら足元見られて10億G出してくれるなら返してあげてもいいと言ってるそうだ。
何だそりゃ・・・ムカつく奴だな。
なのでどこの誰だか教えてもらって遠見魔法でカレンの双剣を調べたら御大層に金庫にしまってやがるな。
しかもご丁寧にレプリカを用意中だと言って仲間たちと宴会してやがる。
けっこうムカついたので双剣の鞘に『カレンにしか抜くことができない』呪いをかけた。
これで今後の転売は不可能だ・・・そのうちコイツからカレンに接触して何とか買い取らせようとしてくるだろう。
ミーはそんなケチのついた武器より俺が作った渾身の双剣をプレゼントして欲しいと教えてくれた。
カレンにも確認したらクラリーナの早乙女バラ杖とアイリの早乙女大剣という2つの伝説級の武器を見せてもらって欲しくなったと正直に教えてくれた。
大事にしていた双剣は愛着はあるけどそろそろガタが来てたので買い直そうとしていたところなんだと。
可愛い女の子の頼みと愛する嫁のお願いを聞かされて俺が黙ってるわけがない。
何種類もの武器を持ってるミーの欲しい武器はまだ決まってない様なので後日でいいとして、カレンの武器はすぐに必要になる。
襲撃用のサイラスの闇属性甲殻鎧からサマーセーターとチノパンにステータスから着替えて、みんなのいるリビングに転移魔法で移動した。
早乙女邸のリビングでは俺を待っててくれたみたいだ。
早速カレンの為の双剣を作る。
好みのサイズ・形・デザインを聞きながら仕上げていって、少し振り回してもらって重量バランスも完璧に仕上げた。
出来上がったのは二振りのグラディウスで刃渡りが50cm程の直刀。
刃の幅は6cmあるのに素材が特殊なので重さは1本が600g程しかないので、伝説級のグラディウスとしては最軽量クラスだな。
素材は剣の芯の部分にMS鋼材で作って表面をオリハルコンで覆ってある。
鞘は魔石を仕込んだオークキングの革製で鞘の表面を龍糸繊維でコーティングしてあるので、女性でも装備したまま冒険出来るようにと、少しでも負担を減らす為に軽くする仕上げをした。
鞘には再生の魔法が仕込んであるので切れ味が落ちても鞘に戻せば元通りになる。
剣の鍔の部分には薔薇の茨が何重にも巻かれたようなデザインにした。
細部にこだわって仕上げてる間にカレンには防具を装備してきてもらう。
最後の最終調整で防具の左腰と背中に背負って装備できるようにベルトのホルダーをピッタリサイズに作ってあげて取付と取り外しを一人で出来るか確かめてもらい完了。
名前は双剣の柄頭の部分の小さな薔薇の装飾品に加工したの宝石の色から『早乙女双剣・ブルーサファイア』と『早乙女双剣・ルビー』になってる。
剣の鍔の部分の内部には魔石が仕込んであって防御力アップとスタミナ消費軽減が持ち主にのみ掛かるようにしてある。
カレンがリビングの少し離れたところで本気で振り回そうとしだしたので、地下練習場にみんなで移動する事にした。
師匠ゴーレムの盾職に守護者に装備を変更させて組み手をしてもらってる。
カレンも師匠ゴーレムの反応の速さに驚きながらも徐々に攻撃スピードを加速させていって、途中からは本気になって挑んでいるようだが、双剣スキルを自力でマスターしたカレンでも忍者スキルの消えてしまった今のカレンでは、流石に師匠ゴーレムの本気のスピードを上回ることはできない・・・いや、忍者スキルがあったとしても守護者バージョンの師匠ゴーレムには通用しないな。
それがわかってても本気で動いてトレーニング出来る相手がいるというのは嬉しい事なのか、凄いスピードで動きながらも途中からニヤニヤして笑ってるカレンがいる・・・嫁達にはカレンの表情までは見えてないようだが。
ヒマそうなミーたちに今日仕入れた『空中舞踏輪具』を渡して遊ばせると、みんな楽しそうに笑って遊びだした。
るびのや俺のように空中を歩けるようになれる魔法のアイテムだからな。
アイテムボックスに入れた事で素材も成分も仕込まれてる魔法も全部調べつくす事が出来たので、コピー品はすぐに製造することが可能になったので、全員分をコピーして渡しみんなで空中散歩を楽しんでる。
一歩一歩頭の中で空中に足場をイメージしながら・・・じゃないとゆっくりと降りてきてしまうこのアイテムは、アイリとクラリーナは苦戦中だった。
しかしミーは簡単に説明しただけで即座に使いこなして、より実践的な動きをし始めたので、俺が剣客スキルを使いながら空中での姿勢制御と反転なども実際にミーに見せながら教えていくとグングン吸収して自分のモノにしていく。
足場にするのは下だけでなく横でも自分の頭の上でも足場をイメージして踏み込めば、そこが足場になるから反転も空中で加速することも方向変換も10歩以内なら自由自在となる。
ミーは10年以上も槍使いをしていたので直線的にではあるが一歩で踏み込める距離は5mを超える。
それにプラスして空中舞踏輪具を使いこなし始めると、変幻自在な動きになり空中を飛びまわって反転して地面を蹴りまた空中へと・・・凄い応用力だな。
アイリとクラリーナにもわかりやすく教えるがさすがにすぐに使いこなすレベルには行けない。
だけど5分ほど動いてるとアイリは徐々に使いこなし始める。
やはりアイリは体を動かすことは習得が早いようだな・・・コツを掴みだしたら動きがすぐに良くなった。
クラリーナはステータスが魔法系に極振りされてるから、体を使う系はアイリとミーがズバ抜けてて習得が遅く感じるけど、一般人に比べたら倍以上だろうってレベルだと思う。
ステータスの違いがここに出てきたようだ。
そこに10分ほど動いて満足してくれたカレンから声をかけられてお礼を言われた。
「早乙女様、本当に素晴らしい武器をありがとうございます」
「いえいえ、カレンさんが満足してくれたんだったら作った甲斐はありましたね」
「それでこの剣って何か魔法を仕込まれましたか?」
「さすがにすぐにわかっちゃいましたか。剣には2つの魔法が仕込まれてます。『防御力アップ』『スタミナ消費半減』ですね。それと鞘の方にも1つ仕込みました・・・再生の魔法です。例え折れても鞘に戻せば元通りですね。なのでこの剣は研ぐ必要は全くないです」
「それは凄すぎますね・・・このお礼はどうすれば・・・」
「気にしなくていいですよ・・・それとカレンさんもすぐに使いこなせるでしょうから、これをどうぞ」
カレンが時自由に空中を駆け回ってるミーを見て少し羨ましそうな顔をしたので、カレンにもアイテムボックスから取り出した空中舞踏輪具を渡すと早速装備してカレンも空中を自在に駆け回り始める。
忍者スキルにも似たような技があるのでカレンの場合は、より実践的な動きで元々持ってるステータスも相まって分身の術の様な技になってきた。
『おおお~~!』
立ち止まって見ていた俺とアイリとクラリーナの3人で思わず歓声を上げる。
ミーも途中で気付いたようで空中で立ち止まってゆっくりと下降していきながら、カレンの素晴らしい技の冴えに見惚れているようだ。
ここまで出来るならカレンも含めた4人全員の防具のブーツに空中舞踏輪具を仕込んであげることにした。
クラリーナは実戦で使いこなすには無理があるけど緊急回避ぐらいには使えるし、アイリは使ってるうちににモノになっていくだろう。
ミーとカレンは実戦でも充分に使いこなせることがわかったので、これで早乙女遊撃隊も攻撃力アップしたな。
遊び終わったカレンが地上に戻ってきて俺の前に立って俺に話しかけてきた。
「またもや良いモノを貰ってしまいましたね。ではもう一つお願いがあります・・・私と結婚してください」
「結婚って・・・俺とカレンさんが結婚ですか? マジで?」
「ハイ。一目惚れなんです。早乙女様と結婚したいのです!」
あまりの急展開に脳みそも体もフリーズしてしまった。
「やっぱカレンさんの性格を考えるとそうなるよねぇ。しんちゃんは鈍感だし、カレンさんは自分から積極的に行くタイプだったもんね」
「でもカレンさんがしん君に一目惚れをしてたのは念輪で聞いてたけど、いきなり結婚とは思わなかったわ」
「アイリさん、それって私達も人の事を言えないんじゃ・・・」
「それ以上言わないでクラリーナ! 知っててアイリも言ってるんだから」
「だけど・・・カレンさんが男を振ったシーンは何十回も見て来たし、付き合ってくださいって2度ぐらい言ってるのも見たけど・・・結婚してって言ってるのは初めて聞いたわね」
「お風呂の中では前世のお殿様に似てるって言ってましたね。絶対モノにするってのも力説してました」
「でもそれってさぁ、冗談だと思ったのよ私は。カレンさんって酔っぱらって時々変な事力説しちゃう人だったし・・・それにしてもカレンさんが転生者だって長い付き合いだったけど、さっき初めて知ったよ」
「そうよね。私も知らなかったわ。15年ぐらい前になるのかな私とミーがドミニアンさんに紹介してもらったのは」
「アイリさんもミーさんも、カレンさんとはそこまで長い付き合いになるのですか?」
「そうねぇ、冒険者に成りたいと言ってる私達にドミニアンさんがSクラスの凄腕が知り合いにいると言ってるのを聞いて、そんなわけないだろ! って思ってたけど本当に知り合いですぐに紹介してくれたから、驚愕し過ぎて今のしんちゃんみたいに固まっちゃった記憶があるよ」
「カレンさんってそんなにすごい冒険者なんですか?」
「シーパラ連合国所属の冒険者で伝説の冒険者って言ったら・・・今は青木勘十郎さんだけど、15年前までは違ってて『劉・ステファニア・カレン』さんだったの。今から20年前に突如現れて盗賊に囲まれていたシャテルさんを救いだし、イニエスタ町近辺に巣食っていた盗賊80名をそのまま全員捕縛した。その後シーパラ連合国内で捕縛した盗賊は1000人以上、殺害した盗賊も同じぐらいいると言われてる『伝説の盗賊キラー』なの」
「それも盗賊討伐依頼も出せない様な村ばかりを回って金も取らずに盗賊を退治しまくってたから、正確な数字はカレンさん自身も覚えていないって言ってたわね。冒険者ギルドに登録した3年後の今から17年前には史上最短でSクラスにまで駆け上がった伝説の女性なのよ」
「あっ! 私もそれなら聞いたことがあります。悪人から物凄い賞金が掛けられてる伝説の冒険者がいて、Sクラス就任の記念式典で100人以上の賞金稼ぎに襲撃されて、式典が中断して大混乱になったって・・・」
「そう、それがカレンさんの伝説の中の1つよ。カレンさんに直接聞いたけど、誰が敵で誰が味方か全くわからない中での戦いは思い出すのも嫌なほど疲れたって言ってたわね」
「でもその伝説の人は10年前に死んだって聞きましたけど・・・」
「10年前に突然第一線から引退するって宣言してイニエスタ町に引っこんじゃったのよ。なんか親友にシャテルさんが結婚したから『これから私はみんなを幸運にするアイテムを作ります!』って」
「幸運のアイテムですか?」
「そうよ、こんなアイテムを私もミーもカレンさんの引退記念(?)で頂いたの」
アイリとミーがアイテムボックスから取り出したのは鈍く黄色に輝くメダルがついたネックレスだった。
「これはラッキーメダルって言って他国のダンジョンでとれるドロップアイテムなの。幸運が1だけあがるってありきたりなモノね。でもこれはカレンさんの作ったネックレスだから幸運は10上がってるの。装備しなくてもポケットに入れてても効果はあるしアイテムボックスに入れてるだけでも効果あるアイテムなんで、意外と人気商品だって一緒に添えられていた手紙に書いてあったけどね」
「確かにきれいですね。薄く光ってるのですか?」
「気に入った? カレンさんに頼めばタダでもらえるよ? 気に入らない奴が頼むとグーパンになるけど」
「な、殴られちゃうんですか?」
「クラリーナは殴られないから大丈夫よ。殴られるのは下心丸出しの奴と変態ね。カレンさんは昔から変態に好かれるオーラがあるみたいで、殴ると喜ぶ変態に好かれるっていつも酔っぱらって嘆いていたわね」
「・・・ねぇみんな、早乙女様が固まったままなんですけど、私はどうすればいいのでしょうか?」
「抱き着いてキスしちゃえば? しんちゃんって積極的な女の子は大好きよ」
「いきなり接吻ですか・・・まぁ私は凄くうれしいというか、むしろすぐしたいって思ってはいるのですが・・・いいのでしょうか?」
「カレンさんともあろう方が躊躇するなんて! チャンスですよ! いっちゃえいっちゃえ!」
「ミーさんは何で煽ってるですか! ちゃんと、しん様の許可を得ないとだめです!」
「でもクラリーナも1番最初は裸でお風呂に・・・」
「あぁー、アイリさん言わないでください!」
「早乙女様の裸・・・良いですね。じゅるり」
「それはもう、しん様の裸は最高です・・・んごきゅ」
「・・・って、はっ! すみません。意識が飛んでしまいました・・・ってカレンさんは、何で崩れ落ちてるんですか?」
「しんちゃん、それはねぇ・・・千載一遇のチャンスが今消えたからよ」
「チャンス?」
「まぁ過ぎてしまった事は忘れます。では改めて・・・早乙女様、私と結婚してください!」
「えぇっと・・・俺でもいいんですか?」
「早乙女様でも・・・ではなくて早乙女様だから結婚したいのでございます」
「ん~~っと、みんなは良いの?」
「しんちゃんもカレンさんの事が好きで、カレンさんもしんちゃんの事が好き。それだったら私が反対する理由はないわ」
「私もミーと同じね」
「私もミーさんと一緒の思いです。しん様が決めてください」
「俺ってすでに嫁さんが3人もいるんだけど、カレンさんはそれでもいいの?」
「”まだ三人しかいない”ですね。私の前世の旦那様は妻が7人いましたので、まだまだ大丈夫です」
「こんなきれいな人に求婚されるっていうのは嬉しいんだけど・・・ちょっと待ってね?」
「え?」
~ゴッデス、見てるんだろ? カレンと俺が結婚した場合の影響って計算できた?~
【フォフォフォ、相変わらず君はモテモテじゃのう】
~それは今はいいから。計算の結果を教えてくださいよ~
【ま、結論からだと劉・ステファニア・カレンが早乙女君と結婚して『早乙女に愛されし者』という祝福を受けた時の影響は、今とほとんど変わらんという結論じゃな】
~へ? 若返ったりとか成長したりとかはしないんですか?~
【年齢や外見的には変化はないじゃろうな。犬獣人という種族は15歳ぐらいまで人族と同じように成長していくのじゃが15歳から200歳ぐらいまでは外見は全く変わらんよ】
~あ、そうなんですか~
【彼女にでてくる変化は中身の方なんじゃな。彼女の場合はまずは忍者スキルが復活する事になりそうじゃ】
~まずはって・・・たくさんあるんですか?~
【彼女の場合は元々このイーデスハリスの世界に来る前から持ってるモノが違っておるからの。早乙女君たちの現代人とは違って強制的にスキルを習得させられておる。じゃから彼女の場合は転生して伸びてる部分と押さえつけられていた部分もあったようじゃな。それが早乙女君と結ばれる事で制限が解除される事となる】
~具体的に言うとどうなるのでしょうか?~
【まずは戦闘系のスキルだと二刀流・居合抜刀術・弓・空手のスキルのマスタークラスが覚醒する計算になるようじゃ。後は馬術スキル・料理スキルもマスターまではいかないが上級までは覚醒する。この辺は封印されていたモノが解放されるケースじゃな。それで魔眼は早乙女君と同じ全部の魔眼が覚醒することになりそうじゃ】
~全魔眼開放って忍者スキルマスターの特典じゃないのですか?~
【忍者スキルマスターの特典は探査力増強&空中闊歩であって、厳密には全魔眼の覚醒条件でしかないんじゃ・・・つまり忍者スキルの上に全魔眼覚醒がある】
~あ、なるほどそうなんですか。では俺は勘違いしてたみたいですね~
【そこの線引きは難しかったようじゃの。そこまでたどり着けたのは転生者以外には存在しないスキルじゃからのぅ。全魔眼覚醒は早乙女君と彼女を含めても、イーデスハリスの世界の歴史において5人しかいないからの。全員が転生者で全員が忍者スキルをマスターしておるんじゃから。忍者スキルマスターは過去にはそれだけの数しかいないし忍者スキルマスター=全魔眼解放と言う部分があるのも事実なんじゃ】
~分かりました。いろいろありがとうございます~
【礼を言うのはワシ達じゃな。シグチスの大掃除をしてくれてありがとう。早乙女君のおかげでシグチスの行政・警備・入管などの取り締まる側に巣食っていた悪人どもは一掃する事が出来たじゃろうて。感謝のしるしはこれになる】
脳内に浮かんでるゴッデスが俺のアイテムボックスに直接送ってきたのは『大海蛇の革』の極上素材を10tもくれたのだった。