深夜になっても襲撃者が後を絶たないっす。
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俺は警備隊を一切信用していないので、アイザックがシグチスに乗り込んできて警備隊シグチス支部内の粛清を終えるまでは、裏組織を焙り出すのに利用することはあるが信用はできない。
俺の徹底的な警備隊外しに警備隊内部でも混乱が起き始めてるという忍からの報告もあるようだ。
俺の捜査を補助してるのは聖騎士団で警備隊は聖騎士団からの通達があって初めて、俺が動いて裏組織が壊滅してる事に気付くぐらいだからな。
なので警備隊も点数を稼ごうとして警備隊のパトロール人員を強化してるようだが、今までそんなことは金で解決してたような些細な犯罪を急激に取り締まり始めて住民とのトラブルが発生して、国軍が出動するような騒ぎまでが起きてる。
そんなこともあってシグチスは1時半という時間にもかかわらずあちこちで喧騒が起きてる。
喧騒の中心には警備隊がいるという悪循環を巻き起こしてるな。
もともと自分達の都合だけ考えていたような警備隊隊員が多いのに、急に取締りを強化してどこかの組織を上げろ! と、上司にいきなり言われても情報がすぐに流れて、突入をおこなった先は誰もいなくて空振り・・・これを何度も繰り返してるようだ。
俺が分かりやすく放置しておいたヤクザ組織の本拠は通報を受けた警備隊が駆けつけてきたが、100を超える惨殺された死体と凄惨な現場で吐いてる隊員が多数いるようで捜査は全く進んでいない。
シグチスの副長官とその秘書2名の惨殺体を見て、その死体の目の前に犯罪履歴が詳しく書いてある資料を見てフラフラになってる隊員が応援を呼びに行ったようだ。
遠見魔法で監視してたが・・・これは忍に任せるとしよう。
ユーロンドからの報告があり早乙女商会シグチス支部のゴーレム馬車駐車場に正々堂々と警備隊マークの入ったゴーレム馬車が両端に2台も停車していて敷地内を監視しようとしているみたいだ。
ヘルプさんに尋ねてみると・・・シグチス警備隊の上層部は俺を監視して、襲撃場所に乗り込んで”俺を”現行犯逮捕するようにという通達を出したとの事だった。
クソだなコイツラ・・・他にやることあるだろうに。
まぁ後1日半しかもたない権力だからな大切に使え。
そういう時に限って門番のユーロンドを持っていこうとするバカや、襲撃をかけてくるバカグループが来て強制排除されている目撃者にさせられているのが笑える事実だ。
早乙女商会シグチス支部の正門の向かい側にある飲み屋はドアを開け放って見物しながら酒を飲んで盛り上がっている状態なのでユーロンドを不法逮捕する事すら出来ない。
治療費支払いの借金奴隷と犯罪者奴隷が増える一方で警備隊の牢屋は収容人数オーバーでパンクしそうになってる。
俺が聖騎士団に渡して捜査の終わった犯罪者たちが続々と警備隊に送られてきている状況だし・・・
『お前ら警備隊が今まで放置してこうなったんだ。街の犯罪者を取り締まるという警備隊としての仕事を全うしろ』
と聖騎士団に言われてしまうと、ぐうの音も出ない。
聖騎士団が渡すのは犯罪者の身柄だけで捜査情報はまだもらえてないので罪の軽い雑魚が続々と送られてきてるだけ。
罪の重い犯罪者はアマテラス様が首都シーパラに送られましたと聖騎士団に告げられて警備隊内部もいつ手入れがくるのかと戦々恐々としてる。
警備隊の半分以上の人間が捜査情報を売って金にして自分の懐を温めていた連中だ。
自分達が完全に蚊帳の外に置かれてる状況でパニックになってるのが、今の警備隊内部が混乱してる事の真相。
何人もの人間が警備隊から逃げ出して保護を求めて犯罪組織に行き、俺に犯罪組織の場所を教えてくれるありがたいほどのバカだ。
5つほどの裏組織にはすでに忍が入り込んで監視の目を光らせている。
ここまで計画通りに運ぶと逆に心配になってくるな。
警備隊の逃げ込んだ先の犯罪組織も下部組織なので自分達で判断できずに上部組織に連絡を取りにいって、俺に場所を教えてくれている。
100体の忍では手不足になりそうだったので追加で100体作ってシグチスの街に放つ事にした。
ドロドロに濁って底までどころか中身が全く見えなくなっていた池のど真ん中に、俺という溶岩をブチ込んで池の水を干上がらせてからの大掃除をゴッデスは計画していたんだろう。
シグチスの行政副長官から奪った知識に行政長官の不正に関与する情報があったので街の行政部も相当腐ってる。
アマテラスほっとラインを繋ぎ直接確認したが、シーパラ連合国の最強評議会側もシグチスの行政の中枢までもかなり腐ってるという事を知ってたみたいで、乗り込んでくる部隊の責任者『レオーン・ゲッペンスキー』に指令書をいくつか持たせて行政部の持つ全部の権限をレオーンが掌握する手筈になっているそうだ。
シグチス警備隊の権限は警備隊総長のアイザック・ゲッペンスキーが剥奪するし、シグチスに駐留してる国軍はマスカー・フレデリックに一任されるという指令書を持ってきた。
ゴッデスの神託に従ってシグチスの大掃除をする体制は出来上がっているな。
忍からの報告はまだまだあってアイザックから送り込まれた上桐係官は、今のシグチス警備隊の状況に嘆いているような信用できる人にだけ打ち明けて『鳴りを潜めるように』というものだ。
アマテラスの神託を聞いたダリル真偽官から上桐係官は一報を受けて情報収集を抑えて動かないようにする。
いくら混乱している状況でも目立つ行動をするとスパイだとばれやすくなるからな。
上桐係官からもらった旧紫村流道場の出身者で警備隊に所属する人間はすでにほぼ全員が、先ほどの早乙女商会シグチス支部の襲撃事件で、ユーロンドに撃退されているのでこのリストの意味が無くなっちゃったな・・・紫村流7代目とか言ってた人間も警備隊に所属する人間で、しかも勤務時間中だったようだ。
紫村流ってバカじゃないと入門できないのか?
入門したから馬鹿なのか?
おまえらはどっちなんだと正座させて小一時間問い詰めたい気分になる。
130人が逮捕されてそのうち現役警備隊の隊員17名って・・・衝撃の事実! ってよりアホかおまえら! って感じだ。
さすがに深夜になって街の騒動は落ち着くと思われるが必死に落ち着かせないと頑張ってる組織も警備隊だ。
いまだにあちこちで騒動の種をまいてる。
普段まともにパトロールなんてしてないくせに急に何してるんだと住民に文句を言われている。
普段は暴力事件で通報があり呼ばれてきても、警備隊側から金払いの良い方の味方をするぞというあらかさまな賄賂請求してくるくせに、今日は酔っぱらいが道に座って休憩してるだけで逮捕するという、ホントに犯罪の取り締まりを今まで全くした事すらないんじゃないのかと疑ってしまうレベル。
街中に放った忍から次々と情報がヘルプさんの元へ上がってくる。
忍を倍に増やしたので上がってくる情報量が増えて俺一人で処理していたら大変だっただろうが、今はヘルプさんが超有能になってくれたので俺はまとめられた報告を聞くだけ。
その、まとめられた報告で気になるものを発見した。
ミーが昔見た朝日を求めていたのは冒険者仲間の間では結構有名で、それがシグチスだったという事も詳しく調べれば分かる話なんだが、俺の知識を狙うとある商会グループ・・・複数の商会が絡んでいるらしく詳細はまだ捜査中・・・が、明日の早朝の山小屋を借りて30名以上の私兵を置いておく計画があり、すでに兵を入れて待機させてる。
ただ・・・俺が”一人で”シグチスに現れたのが不可解らしく今夜は何度も高級ホテルの会議室を借りて会談をしているらしい。
シグチスにおいて早乙女真一の妻3人の姿を見た者が1人としていないので疑心暗鬼になって必死に情報を集めようとして複数の密偵をあちこちに放ってるようだ。
その会談を忍が隠者スキルを発揮して中ですべて聞いている。
会談も何度も休憩とそれぞれの商会に戻って情報を集めてまた会談・・・継続して会議してるので少なくても4つの商会が合同で俺を奴隷にして知識を囲い込もうとしてるのが判明した。
それで俺一人なので・・・俺の魔力パワーボートの襲撃・早乙女商会の襲撃・山小屋での襲撃・・・3つを同時に行い全部、最低でもどれか1つは奪い取ろうという計画も持ち上がってる。
実際に早乙女商会シグチス支部の周囲には3人の密偵らしき人間が正門と通用門を注視してる。
ただ、先ほども報告があったように正門前には警備隊のマークが入ったゴーレム馬車が早乙女商会シグチス支部のゴーレム馬車駐車場に堂々と2台も停車しているので、引っ切り無しに連絡員が足しげく通って情報交換をおこなっている。
だから、全部バレバレなんだけど・・・隠れる気ないんだろうか。
毎回の事なんだが馬鹿達が考えてる事は理解に苦しむ。
忍からの追加情報があり、警備隊上層部と4つの商会は裏で手を握る可能性が出てきたようだ。
4つの商会が会談を行っている高級ホテルの会議室に警備隊上層部3名がゴーレム馬車を使って移動してる最中。
その会談をしてる会議室に意外な大物が出てきたという報告を受けて、俺も遠見魔法&地獄耳スキルで会談の様子を直接伺う事とした。
自己紹介で分かったのだがスパイギルド・シグチス支部ギルドマスター『服部山城守』と裏傭兵ギルドのギルドマスター『ゾラン・マッケイン』の2名。
商会の名前も判明した。
『リーエイー商会』『ハーパネン商会』『ギョムラン商会』『ヤンル商会』の4つの組織。
4つで『エルドラド・グループ』として活動をしている。
裏傭兵ギルドは問題を起こして追放された元冒険者・傭兵・スパイ・魔獣テイマーなどが集まって作った組織で、金さえもらえれば荒事は何でもこなすという裏組織だ。
それにしても、スパイギルドは毎回俺にケンカを売ってこないと気が済まないのかな・・・と思ったら会談は仲たがいで終わりそうだな。
「だから何で相手が早乙女真一だという事を教えてもらえなかったのですか? 契約違反ではないですか!」
「服部さん、我々エルドラドでは求めるのは『黄金』つまり金のみですぞ。金の匂いがする早乙女をこちらで管理させてもらうというのは当然の考えでしょう」
「ですな。ハーパネンさんも仰ったようにあれほどの黄金をよそに持っていかれるのは我々の悲願から遠ざかる行為ですよ」
「ですがハーパネンさんとヤンルさん、早乙女と敵対して無事で済んだ者がいまだかつていないという事実はどうするのですか?」
「フン! 服部、ひよったのならそうハッキリ言えばいい。たかが15才の冒険者1人にビビった情けないヤツめ」
「吾輩をひよったといっても構わんけどな・・・ではゾランに聞く、お前の知ってる人間で15歳のたかが冒険者が、登録から1ヶ月で冒険者ギルドAランクになれた人間はいるのか? お前は出来るのか? お前の部下にいるのか?」
「くっ・・・偶然だろ! たまたま運が良かっただけだ」
「運か・・・では角度を変えて質問する。我らスパイギルドが集めた情報によると・・・このシーパラ連合国に突如現れた早乙女が名前が出てきた瞬間がバイド村の解放事件だ。銀大熊『銀色の亡霊』と村を占拠していた盗賊『草原の暴風』148名を1晩のうちに全滅させて名前が突如として浮かび上がった」
「・・・」
「エクストラヒールを使いこなし、森林モンキーを一晩で600頭も狩ることできるゴーレムを作りだし、ワイバーン3頭を瞬殺する力をもって突如名前が出てきた事についてどう思う?」
「服部、もしかして・・・早乙女は転生者か?」
「しか考えられないだろうな。我々スパイギルドヨークル支部を襲撃した早乙女はどんなアイテムを使っても逃れられない結界を張り、こちら側の結界も封印も解除して、カギすら開錠させて全ての資料を持ち去ったんだぞ?」
「・・・だが、危険無くして儲けもない。魔獣の子を得るためには魔獣に挑む必要はある。転生者なればこそ我らの儲けは莫大なものとなる」
「ギョムランさんの言ってる事はわかる。けど、最近の情報で得た事なんだが・・・道場出身者は2000名以上を誇り一部では最強とまで噂されてた、あの紫村流侍道場を早乙女が道場破りした事は皆も知っておるだろうからここでは説明しないが・・・早乙女は紫村流侍道場の本部道場に”単身で”乗り込んで道場破りをおこない”傷一つ負うことなく”帰って行ったという情報がある」
「・・・え?」
「そうなんだよ。吾輩も驚愕したのだが深夜にゴーレムを率いて襲撃したという噂は元紫村流の道場生達が言っていた事で・・・詳しく調査して判明した事実は、紫村流侍道場の呼び出しに応じた早乙女が単身で道場に乗り込み、6代目紫村上総介をはじめとする高弟・道場生全員を金属棒で殴り殺して道場破りをしたんだ。生き残ったのは練習生だけだぞ? 練習生の目撃証言では早乙女は何度も刀で切りつけられてるはずなのに髪の毛一本すら切れてないという事だ」
「・・・ぐっ」
「紫村流侍道場の剣術をもってしても切れない相手に皆さんはどうやって勝つつもりなんだ?」
「それは・・・隷属魔法や魅了魔法も・・・」
「そういうと思ったよ。ではこっちの話も聞いてくれ。早乙女に魅了や隷属などの魔法は一切効果がないという情報もある。早乙女が我らスパイギルドヨークル支部に襲撃してきた際に『精神系の魔法は俺には通用しないから無駄だ』と言っていたという情報だ。本当に隷属などの精神系の魔法は全く効果がなかったそうだ。そもそも・・・魔法というのはここにいる皆さんもご存じな様に相手とのレベルが違いすぎると効果が何割か減ったり消されたりするんだよ・・・」
俺のしたことで盛り上がってるようで俺はここで遠見魔法&地獄耳スキルを打ち切った。
その後の報告としてスパイギルドはエルドラドとの関係を打ち切って傍観者にまわる事になった。
スパイギルドのしていた偵察任務は裏傭兵ギルドの元冒険者シーフチームと警備隊がする事となったらしい。
ヘルプさんの考察ではスパイギルドは情報収集がメインなので、このまま捕まっても罰金刑で済むだろうから、早めに関係を切れたのではないかという事だった。
4つの商会と裏傭兵ギルドは暗殺も襲撃も犯罪がテンコ盛りで警備隊上層部も今更引くに引けない状態で、俺を何とかしないと自らの命はないと・・・バカどもは集まって、どうやって俺を襲撃して表舞台から引きずりおろして自分達の思い通りにするという計画が実行できるのかと会議を重ねている様だった。
会議はどうしても堂々巡りになってる。
俺を倒すとか隷属させるとかの方法が誰も可能性が見えないかららしい。
なので早乙女を山小屋で待ち伏せする案は中止にして早乙女商会の襲撃と高級マリーナ襲撃に全力を注ぐという事に決定したみたいだな。
早乙女に勝てなくても足止めをしてる間に早乙女の嫁とボートを奪い取ることに全力を注げば突破口があるという、裏傭兵ギルドギルドマスターのゾランの言葉を信じようとするしか道がないという結論らしい。
早乙女商会シグチス支部には裏傭兵ギルドの全兵力500人を向かわせて待機させておく。
ただし深夜の為に魔獣テイマーが使う魔獣の準備は間に合わない。
ここにやってきた警備隊上層部3名が話に加わったので警備隊も仲間となった。
早乙女商会シグチス支部の襲撃場所に警備隊も向かわせ、たとえ裏傭兵ギルドがやられて撤退させられそうになったら、襲撃の捜査をする警備隊の立場を理由にして早乙女商会内部に侵入。
早乙女に難癖をつけて逮捕させるという2段構えで臨むようだ。
上手くいけば早乙女の嫁を確保できる可能性まである。
早乙女所有のボートは高級マリーナで護衛を表の傭兵ギルドと契約して常時10人以上雇っているが、こちらはゾラン自らが裏傭兵ギルドの直属の部下30名を直接率いて襲撃にあたる。
こちらにも同じように警備隊が同行、ゾランがもし撤退する事となっても警備隊の持つ捜査権力を利用してボートを没収するために警備隊隊員をバックアップさせると決定した。
ここにきてようやく行けそうだという自信が出てきたのだろう、先ほどまでの苦虫を噛み潰した顔から一転してニヤニヤし始めてるという報告が・・・単純な奴らだな。
俺もヘルプさんに話を聞いてもう一度遠見魔法で会談の様子を伺うが、自分達に勝利の道が見え始めたとニヤニヤと今後の話し合いに移行してる。
俺の嫁を捕まえていち早く隷属化、早乙女の持ってる知識を独占して・・・4つの商会・裏傭兵ギルド・警備隊の退職者を集めてエルドラド商会を立ち上げるんだそうだ。
警備隊上層部3名もすでに警備隊には居場所がなくなってるから、自分達は仲間たちと共に退職して後を継いだ部下たちに金を与えて影響力を残したままエルドラド商会に3人ともが副代表として加わると決まってニヤニヤしてる。
ゾランも自分の持ってる裏傭兵ギルドごとエルドラド商会に所属して、やっと表での名声を得られるとほくそ笑んでる。
4つの商会の代表も誰がエルドラド商会の代表をするのかと作戦が成功してからじゃんけんで決めようと言って会談は解散となり今からすべての準備にそれぞれが取り掛かるらしい。
さぁ・・・俺はどう対応しようかな。
それから時間は1時間以上経過し・・・深夜3時を回って早乙女商会シグチス支部の前の飲み屋も閉店している。
警備隊のマークの入ったゴーレム馬車は全部で5台停車している。
街の中で喧騒を起こしていたパトロール隊は続々と早乙女商会シグチス支部を目指して移動を開始し始めたので、シグチスの街には不気味なほどの静寂が戻りつつある。
それでもヨークルなどと比べると充分ウルサイけど。
裏傭兵ギルドの所有するビルからも続々とギルドに所属する奴らが徒歩で出発して早乙女商会シグチス支部を目指してる。
警備隊本部建物内で行われてる緊急会議でもかなり紛糾しているようだ。
高級ホテルでの会談をしていた3人の幹部が警備隊本部に戻ってきてから行われてる緊急幹部会議に、各支部の責任者まで呼ばれて早乙女を極悪人として生死を問わずに逮捕するという事が会議の議題。
警備隊内部にも早乙女と揉めてもメリットがないどころかデメリットしかないと言って、上層部内でも意見は真っ二つに分かれている。
現に何人かの警備隊の幹部隊員はもはやシグチス警備隊に未来はないと紛糾する会議で宣言して、自身が受け持ってる支部に部下を率いて戻っていったし、本部に勤めてる何人かの幹部隊員もそれに同行する事を宣言して自分達の部下を連れて会議室を出ていく。
本部での会議でいつも上層部の腐敗を問題視して会議のたびに突き上げをしていたから、上層部が疎ましく思い支部に左遷されている人々と中枢部から外されていた幹部達・・・彼らがカリスマ性をもって警備隊を真面目に憂いて警備隊としての職務をまっとうしていたから、シグチス警備隊という組織がここまで腐っていてもかろうじて成り立っていた。
さらに真夜中の緊急会議で残った上層部も金の関係で一枚岩でない事まで忍からの報告で確認されている。
各支部の責任者が支部に戻っていった後に警備隊本部の会議室に残る上層部たちは誰が早乙女を逮捕しに行くか、誰が魔力パワーボート捕獲作戦に加わるかでもめているからだ。
スパイギルド・ギルドマスター服部山城守がエルドラドからの離別を宣言して、会談を打ち切って帰って行ってから会談に出ていた3人はホテルに到着したので、服部の話していた内容の事は秘匿されていて早乙女が転生者という事も恐るべき能力を持っている事も伝えられていない。
だからこそ誰もが早乙女襲撃に加わって今後の栄華の中心になろうとして、全員が一緒に早乙女商会シグチス支部の襲撃に加わると言って揉めている。
結論は全員で早乙女商会シグチス支部襲撃に加わり部下10名だけを高級マリーナ襲撃に行かせる事が決定。
そういった報告をヘルプさんから聞きながら作戦を考える。
魔力パワーボートには徒影と忍だけで大丈夫だな。
高級マリーナ側の損害を考えると襲撃前に全滅させる方がベストなタイミングだろう。
10人のの警備隊員には眠っててもらえばいい。
裏傭兵ギルドの連中はギルドマスターのゾラン・マッケインを始めとして全員が犯罪者・・・皆殺しだな。
徒影に死体だけ残しておけばいいと指示を下す。
早乙女邸襲撃はエルドラドグループの私兵300人と裏傭兵ギルドの500人が襲撃をかけて来て、後で警備隊200名以上・・・詳細な数字は会議に出てこなかったの不明・・・が加わるようだ。
これは門を閉じた状態で全部撃退可能だろう。
警備隊に何をされてもユーロンドがどうにかできるとは思えないが・・・目撃者が欲しいな。
アマテラスに連絡を取り真偽官数人を早乙女商会シグチス支部の周辺に待機させて一部始終を目撃させれば警備隊の言い分は全部破壊可能だろう。
馬鹿な幹部連中も全員が早乙女商会シグチス支部襲撃に加わってくるようなので、皆殺しにすれば言い分どころか『死人に口なし』が出来そうだな。
シグチスの街の治安維持は警備隊各支部と聖騎士団達”だけ”で元々していたんだからそこまでの混乱はないだろうし、皆殺しの方が裁判などの面倒も逮捕後の留置所で維持の手間も省ける。
・・・それにしても敵もかなりバラけてきたようだ。
スパイギルドは早乙女商会シグチス支部から撤収させて鳴りを潜めた。
服部山城守は俺と敵対する意思はないようだし、服部がスパイギルド・シグチス支部うまく纏めている様で今のところはだが・・・裏切り者もいない。
警備隊の会議から抜け出た東西南北の4つの支部の責任者と本部を抜け出た幹部は別の場所で集合して取締りを各自でするのではなく、各支部で協力して行う事として情報交換の場を設けることに決定していた。
各支部に所属する警備隊30人の中からスパイで送り込まれているヤツラを合同で軟禁することも決め各支部と情報交換してる。
話し合いの最後に8人の連名で警備隊本部が行おうとしてる暴挙を文書でに早乙女商会シグチス支部に届ける事と聖騎士団にも情報を流すようにした方が良いとして、文書を作成して本部から出てきた幹部1人ずつが代表して早乙女商会シグチス支部とシグチス教会聖騎士団本部に走って向かっている。
旧紫村流侍道場の出身者もほぼ壊滅させたし、シグチスの街の行政部側の腐った中枢部分も副長官を殺害して何人かの情報をすでに見回りに来た聖騎士団にユーロンドから渡しているので、警備隊に渡った情報とどう変わってくるのかも見ものだし、聖騎士団は俺の渡した情報をもとに独自の捜査は始まってる。
まだ見えてこない裏組織も多くいるだろうが一晩でここまで浮かび上がったのも凄いな。
全部ゴッデスの目論見どおりなのだろう。
俺にとっての敵もまだまだいるだろう。
ゴッデスからの情報ではシグチスに逃れてきてる王侯貴族は何グループもいて、そいつらにとって俺はカモにしか見えないだろう。
俺を味方に付ければ国に帰って政権奪取も夢じゃない。
権力を奪い返したいと思ってる王侯貴族・亡命した独裁者にとって再クーデターも簡単にできる。
俺と組めば世界制覇も簡単。
俺を味方につけようというハニートラップならありがたいんだけどなぁ・・・無理だろうな。
こちらの方の組織は今のところ手付かず状態だ。
情報収集も一切していない。
どうせ明日には俺のしたことが街中に知れ渡って向こうから接触を図ってくるだろう、情報収集はその後でいい。
こんな今後の計画を考えてると警備隊の幹部が早乙女商会シグチス支部に到着した。
早乙女商会シグチス支部は今はゴーレム馬車駐車場の駐車スペースから溢れかえるほど人が集まってきてる。
聖騎士団の真偽官もあまりの人の多さに向かいの建物の2階から監視中。
親書を持ってやってきた幹部は周囲の状況を見てあまりのヤバすぎる状況に立ちすくんでいるようだ。
裏傭兵ギルドの500名以上のヤツラがビッシリと路上にまであふれかえってる。
その周辺に警備隊がいて野次馬を蹴散らせている状況なんだから、誰がどう見ても襲撃者多数と警備隊が同時に攻め込んできたとしか見えないだろう。
親書を持ってきた幹部は走って元いた場所に帰って行った。
どうにもこうにもできる状況じゃないと感じ取ったのだろう。
周囲の野次馬も周辺のビルや建物から見学する奴らが多数ではじめてるので上から丸見えだろう。
そんななかで裏傭兵ギルドのサブマスターらしき兵隊が叫んだ言葉ちょっと面白かった。
日本のとあるプロレスラーを思い出した・・・とりあえずユーロンドに応対させる。
「早乙女ぇ~~、出てこいやぁ~~」
「主人にどういったご用件でしょうか?」
「ゴーレムごときが俺に口をきくなぁー」
「ではお帰り下さい」
「うるせぇ、てめーは早くクソガキを連れてこい!」
「・・・」
「何か言え!」
「口を利くなと貴方がおっしゃいましたが?」
「うるせぇ、早くつれてこいやぁ~」
「ご用件は?」
以下ループ。
5分ほど同じ言葉の応酬が続きサブマスターが腰のサーベルを抜いて天に突き上げ号令を下して戦争が開始される。
「もういい! このガラクタが! コイツを壊せ! 門を破壊しろ!」
『おおおお~~~』
ガキンガキンとという金属音を立ててユーロンドが斬りつけられてユーロンドも最後通牒を告げて反撃が開始される。
「襲撃者全員を賊とみなし実力強制排除を実行いたします」
シグチス・ユーロンド1号は腰に備えられているシールドを両手にそれぞれ持ってシールダーとして動き始めると同時に、門を飛び越えて残りのユーロンドが姿を現し戦争が始まった。
襲撃者達の周囲を取り囲む警備隊との間にシグチス・マッサージメイドゴーレム達40体が姿を現して襲撃者達を後ろから攻撃始める。
門や塀にはユーロンドの最後通牒と同時に結界が発動して素手で触る事はできるのだが、攻撃しても当たらないという特別製の結界。
梯子をかけようとしても塀の上には忍が待機してるので倒される。
俺は襲撃者達と警備隊とに一緒にまとめて封印結界を張り、誰も逃げられないようにして警備隊隊員たちもゴーレムを後ろから攻撃してきたので全員の殺戮を開始した。
ゴーレム達は今回は一切の手加減をさせてないので・・・虐殺ショーだな。
ゴーレム達は一切刃物は持ってないけど、刃物が無くても素手で真っ二つにできるレベルだから全部を死体に替えるのに10分ほどで終了してしまった。
現場には目撃していた聖騎士団と真偽官が3人で現れて調書を作成して1000人を超す死体をどうするのか相談して・・・ユーロンドがシグチス教会にまでアイテムボックスに入れて運ぶことになった。
彼らにも護衛は必要だろう。
魔力パワーボートを襲撃したゾラン達も襲撃をした高級マリーナを守る傭兵にケガ人が出た時点で、魔力パワーボートに潜んでいた徒影が3体現れて襲撃者32人を瞬殺。
後ろからついてきていた警備隊は徒影達のあまりの早業に恐れをなして、傭兵達が立ち会う中で調書を作成。
ゾラン達の死体回収は応援を呼んできますと言って逃げて行った。
今頃アマテラスの神託の指示で聖騎士団からエルドラドグループの主要メンバーを逮捕するためにゴーレム馬車で向かっているだろう。