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シグチスに向かって移動を開始するっす。

今のところアマテラスからの連絡はないからフルコンボで襲撃者がやってくるのだろうか?

だからと言ってこっちから連絡して聞く気もないし。

さすがに深夜12時近くになって眠くなってきたし、明日は5時半起きなんでそろそろ眠ることにする。

おやすみなさい。




翌朝、転生してきて40日目のイーデスハリス歴5月10日の朝は予想通り薄曇りの冴えない天気。

風は微風ってところかな。

今日は曇ってるのに南からの暖かい風が入ってくるようなので少し蒸し暑くなりそうだ。

天気は午後からは回復に向かうだろうとの予想が立てられるわかりやすい天気だな。

今日は早朝6時にシグチスに向かって出発する予定なので5時半に起きた。

シグチスに向かって魔力パワーボートで移動するので外洋に出ることになるけども、波の高さは予想ではそれほどではないだろう。

嫁達は昨日と同じメンバーで今日も大森林で森林モンキーとオークを狩りに行くと聞いてて、俺は今日は基本的に魔力パワーボートに乗ってる事となる。

隣で寝てる嫁達を起こさないようにリビングに転移魔法で移動。

パジャマから普段着に着替えるとクロが朝食とコーヒーを出してくれた。

スモークサーモンを挟んだサンドイッチをパクつきながらコーヒーをすする。


朝食を済ませてから早乙女商会シーパラ支部の居住スペースに転移魔法で移動する。

玄関でスポーツシューズを履き外に出るが、この時期は日の出が早いので5時50分だと外はすでに明るくなってきてるのでライトの魔法は必要ないな。

ロンTとジーンズのみだと少し肌寒かったので上にチェックのシャツを羽織りホップボードに乗って契約してる高級マリーナの魔力パワーボートに移動した。

魔力パワーボートを係留してるロープを外してから船に乗りこんで、階段を昇って2階展望室にあるメイン操縦席に腰を下ろす。

俺が席に座ると同時に目の前の計器類を魔力パワーボートゴーレムが点灯させてくれる。


「ご主人様、今日はどちらまで行かれますか?」

「シーパラ連合国の南部都市シグチスまでだ」

「了解しました。右のパネルは上空からの遠見魔法による映像です。左のパネルは探査魔法による周辺形状です」

「ほいよ」


周囲を確認しながら魔力パワーボートを発進させる。

車の運転の同じような操縦方法にしたのでアクセルを踏み込むとスピードが上がるが、通った後に航跡も残らない異様な船だ。

向かい風・潮の流れ・波など魔力パワーボートは何からも影響されずに一直線に突き進んでいく。

周囲に船がいなくなるまで40ノットほどで進ませる。

目で見える範囲に船舶が見えなくなるとスピードがどこまで伸びるかテストしてみるが100ノットを超える時速200kmでも何の問題もない。

魔力の減りも問題ないレベルで速度を上げたからといって魔力が急激に失われていく様子もないな。

操縦席左側にあるレバーを前に押し込むと魔力パワーボートは急速潜航して海の中に入っていく。

目の前の魔道石英ガラスにはゲーム画面のような前方の映像が浮かび画面左端には深度計が表示される。

左のパネルには前方の地形の線が浮かびあがり、右のパネルには今までと同じように地形の線が赤い線で表示されている。

右のパネルの海底の様子は地図の等高線で浮かび上がっているので慣れないと見にくいかも。

左のパネルで立体的に表示されているので慣れればわかりやすい。


海底付近の地形を見て思うのが過去にあった幾多の戦争によって沈められた船の残骸があちこちに残ってる・・・ウェルヅ大陸はその豊富な食料品を生み出せる環境なので、外国からの侵略戦争に巻き込まれた事が何回もある。

そのつど撃退をしてきたが過去の通貨マネー統一戦争の時は逆に同盟国として世界中に侵略戦争を仕掛けた国の兵站を補っていたようだ。


操縦席左側のレバーを真ん中に戻す。

このレバーは姿勢制御レバーになっていて前に倒すと潜航、後ろに倒すと上昇、左に倒すと魔力パワーボートは左に真横に滑るようにしてステップ移動のように動き、右に倒すと右にステップする。

ハンドルの舵とは全く違う動きをレバーで出来る。

海中での動きのテストと練習を10分ほどすると自由自在に動けるようになった。

練習を終えると海底は邪魔な船の残骸があるので姿勢制御レバーを後ろに倒して海面へと浮かび上がり・・・そのまま空中に浮かび上がって上昇していく。

左側に表示されていた深度計は高度計に切り替わって、高度1000m付近まで一気に上昇して、姿勢制御レバーを真ん中に戻す。


やはり飛ぶことは可能だったな。


空中での動きのテストと練習も10分ほど繰り返すとこちらも自由自在に動けるようになった。

旋回する方法も姿勢制御レバーでのステップ移動も複合させると、地球では絶対にありえない変態的な動きも余裕で出来る。

空中では海上でも海中でも空中でも魔力パワーボートは風圧とか水圧とかの圧力を受けても、反対側に転送魔法で跳ばされるので動きを遮るものがないので音速のマッハを超えるスピードも余裕だった。

予想では海中も海上も空中も同じように時速1000kmを超えることは可能だな。


海上に戻り50ノットの巡航でシグチスに向かって移動を続ける。

この魔力パワーボートはゴーレムなので操縦は自動で任せて、俺は転移魔法でシーパラ連合国北部の岩場に跳んだ。


数百tを超える岩や砂を集めてくると同時に岩場の珍しい植物も採取しておいた。

魔獣もついでに狩る。大鹿魔獣はもちろんだが、ここには初めて見る魔獣もいた。

チョ魔手酔マテヨ

足の長い猪・短足で足の太い羊・・・猪と羊の中間のような姿をした魔獣で大きさは体長2m以上はある大型の雑食魔獣だ。

前頭部に手のひらを広げたような角を持ち突進して攻撃してくる。

その角を乾燥させて茶葉に混ぜてせんじて飲むと二日酔いに劇的に効果を表す。

乾燥した粉末を直接飲むと乗り物酔いにも効果があるという酔い止めの薬になってるのが名前の由来なんだが・・・俺にとっては日本のイケメン俳優の顔が浮かぶ名前だ・・・名付け親は転生者らしいし。

肉も結構おいしいという俺の貰った知識と経験の中にある。

見た目は全身の毛が長くて地球にいるバイソンをもう少し短足にした外見で長毛種なので、もふもふではなくフサフサって感じだ。


狩った猪魔手醉の毛皮をアイテムボックスの中で解体して、分離させた毛皮をなめしたモノをアイテムボックスから取り出すと猪魔手醉の毛皮はモフモフに生まれ変わってる。

なめすとなかなかいい手触りになるのでこれは使えるな。

猪魔手醉はハーレムを作り家族単位のグループで暮らしてる魔獣なのでいくつかのグループを狩り、毛皮と肉を集めておいた。

メインは岩の採集なのであちこちに飛翔魔法で飛び回ってたくさんの種類の岩石やついでにとれる鉱石・宝石等をアイテムボックスに入れていく。

異常なほどミスリル銀の多い場所に出くわしたので探査魔法で探るとミスリル銀鉱山を発見したようだ。

脳内MAPにミスリル鉱山として命名して入力、数分で1t近い量を掘り出した。

ここはミスリルのみでなく鉱石が異常なほど多い区域の様だ。

周囲には鉄鉱山であったりダマスカス鋼鉱山であったりが点在していて大量に産出する一帯となってる。

それぞれを脳内MAPに入力して今後はマヅゲーラにいるビルドゴーレムに鉱石と岩石を余った時間に採取をするように指令を出す。

ビルドゴーレムの送迎は転移魔法を使えるようにした徒影に任せる。

もちろん鉱石だけでなくて大小さまざまな岩石を採取しておいて貰えば、今後俺が岩石採取に来る事がほとんどなくなるだろう。


岩場には魔石・魔結晶・魔水晶なども数多く眠ってるので全部回収。


岩石・鉱石の採取を一通り終えると魔力パワーボートに転移魔法で帰還した。

猪魔手醉の肉は猪の肉に似ていてオーク肉よりも少し柔らかく味も濃いので肉好きな人間にはたまらない味だ。

逆に言えば獣系で肉嫌いの人には敬遠されるほど獣の臭みが少しだけ残ってしまう・・・慎重に処理をすれば旨味を残して獣の臭みを消すことができるので、料理人の腕が試される肉らしい。

料理スキルを持つ俺とゴーレム達には関係のない話だが。

早乙女邸専属メイドゴーレムのクロに猪魔手醉の肉をアイテムボックス経由で送って何かしらの料理に使えるのか研究してもらう。


朝の8時を過ぎ嫁達は大森林に昨日の狩りの続きに出かけた。

るびのとフォクサも帯同してるので心配することもない。

俺も魔力パワーボートに戻っては来たんだけれど、することもないのでウェルヅリステルの南側奥地にある地底湖で、聖獣のみかみを発見した場所に転移魔法で跳んだ。

俺の脳内MAPには大森林地底湖という名前で登録されてる。


地底湖の周りには池が点在していて植生が大きく育ってるのは以前から知っていたが、セバスチャンの報告で『サーモン・ウナギなどはここが1番魚影が濃い』というものだったので、セバスチャンが作った畑を壊さないように歩き回って自分の目で確認してみたかった。

大きめの池を見つけて中を鑑識魔法で探ってみるが・・・池の水は海水ではないので、これは地底湖とはつながっていても湧水が多くあって淡水の池になっているようだ。

確かにここは魚影が非常に濃いな。

探査魔法で探ってみても魚も小魚も非常に多くいて、それらの小魚を食べて生活してる魚もものすごく多い。


サーモン釣りをしてみることにする。

アイテムボックスから以前作ったルアー釣りセットを取り出して、ルアーはとりあえずスプーンにして第一投・・・さすがにすぐは釣れないな。

探査魔法で魚探のように池の中を探り大きい魚の反応がある場所にルアーを送り込むように投げるとすぐさま釣れた。

『おっしゃきた! アーハッハッハッハ・・・』

イーデスハリスの世界に来て初めての釣りに嬉しさがこみ上げてきて大笑いしてしまう。

それからは入れ食いだな。

サーモンもスレてないし50cmぐらいのサーモンは入れ食いだ。

50匹ちかく釣り終わって一息つくと、もっと奥に巨大な反応を見つけたので竿を変える。

今までの2mほどのスピニングのライトタックルではなくて、4mほどの投げ竿に大きなリールをつけたタックルを取り出してルアーは自作で10cmの大きさの巨大な川エビをつくって軽く投げる。

150mほどの投擲が軽く竿を振っただけで簡単にできてしまうのは、俺の規格外ステータスと自作の投げ竿の仕様だろう。


竿もリールもそれなりの重さがあるのだが俺には重さが関係ないから、手加減抜きに頑丈に作り込んであるし竿も龍糸繊維を含んでるので頑丈さは折り紙つきだろう。

川エビルアーをアクションをつけながらリールでラインを巻き取っていくとヒットした!

竿もラインも俺の力も規格外なので魚が起こす『逃れようとするアクション』を楽しみながら釣り上げると、2mを超す巨大なサーモンだった。

手早く〆てアイテムボックスに入れると嬉しくて拳を突き上げる。

こんなデカいの生まれて初めて釣ったし、異世界に来て初めての大物釣りに大満足だ。

それからは大物釣りに切り替えて5匹ほど釣り上げるが、サイズは1.5mほどで最初に釣り上げた大物のような感動はないが、自分で釣り上げた魚に不満などあるはずもなく楽しくてたまらない。


釣った魚は全部〆てすぐにアイテムボックスに入れて保存しておく。

みかみという聖獣がいたおかげで大森林地底湖周辺には一時的に魔獣達はいなくなってたけど、みかみが出ていってしまってからは続々と戻ってきてるようだ。

釣りを終わらせてから師匠ゴーレム達を転送魔法で早乙女邸から取り寄せて狩りをさせた。

師匠ゴーレムたちは更なるアップデートで転送魔法も使用可能になるように施した。

もはやゴーレムとしてセバスチャンとマリアと遜色がないレベルだな。

料理などのスキルは入ってないので解体をして回収してくるだけだが、アイテムボックスも大サイズに変更してあるので回収できる量も大きさも巨大だ。

オーク・トロール・昆虫魔獣などの狩りは師匠ゴーレムに任せて、俺は巨大化して野球のボールの大きさまで成長してるコーヒー豆など・・・植物を中心に採取していく。

カカオ豆なんて身長170cmの俺が小さくなって丸くなってるぐらいの大きさがあって見てるだけでもはや笑えてくる・・・けど、味は全く変化がなくてそのまま調理して使えるので採れる物は全部採取していくけどな。

小豆もピンポン玉ぐらいの大きさで小さくねぇし、大豆もテニスボールぐらいの大きさなので面白い。


果物も普通ではありえないほど巨大化してる。

ブドウはメロンが連なってるようで少し気味が悪いけど味は甘くて普通に食べられる。

一粒で腹一杯になるので何口か食べてアイテムボックスに戻す。

メロンやオレンジなども異常なほどの成長を遂げているので、みかみの流した涙の持ってる”植物を成長促進させる力”に感心してしまう。


2度ほどオークの巣を殲滅したとの師匠ゴーレムからの念輪連絡を受けて、巣の中のアイテム回収に俺も手伝いに向かうけど、それ以外の時間は植物の成長を楽しみながら確認している。

米が自生している場所を発見したけど、もち米・うるち米なども同じように周囲に自生していた。

1粒がピーナッツ豆ぐらいの大きさの米粒は味が同じだと言っても食欲が減るなぁ・・・加工用でなら使えるだろうから、加工して使いやすいモチ米とうるち米を大目に採取しておく方が良いだろう。

俺が嬉々として植物を観察して笑いながらアイテムボックスに入れてる姿を横目に、周囲では師匠ゴーレム達が魔獣を狩り続けているので、魔獣が大量に戻ってきてるはずの大森林に俺の周囲にだけ空白地帯ができあがっている。

ゴブリンアーチャーの流れ矢すら飛んでこない安全圏が出来上がってる。


採取と釣りを終えて師匠ゴーレム5体を早乙女邸に転送魔法で送って、自分は魔力パワーボートに帰還して午前10時半・・・暇になったな。

50ノット巡航の自動運転で走ってきたので距離は結構進んでいる。

アマテラスに貰った釣りのポイントMAPにはこの辺は潮の流れも良くて大物が期待できるようだ。

俺の探査魔法で探ってみたがイワシの群れが浮き上がってきて鳥山ができている場所を発見したので急行する。

後部デッキを開放してルアー釣りを始める。

初めのルアーはホッパー。

ポコンポコンと音と水しぶきでアピールしてると早速ヒットした。

トップウォーターの醍醐味は魚が食いついてくるのが視認できる事だ。

バガッと食いついてくるのが目で見えるので釣れた時の興奮度は他に類を見ないほど楽しくなる。

手元に釣り上げると1mほどの大きさのマグロで重さは40kg近いな。

すぐに〆てアイテムボックスに入れる。

海上に鳥山ができるのは大型の回遊魚に追われてイワシやアジなどの小魚の群れが海面まで逃げてきてるからだ。


マグロだけでなく1mほどのカンパチやカツオなど簡単に釣れるので短時間でも釣果は凄い。

10匹ほど釣れたころには鳥山が消えたので鳥たちは移動したようだ。

俺は釣果に満足して今度は8ノットほどの速度にしてからトローリングをすることにした。

エサはアイテムボックスに入っているアジの形を参考にルアーを作る事にした。

2本の竿を立てて魔道リールで流しながら探査魔法で周辺探査をしながら魔力パワーボートが最適な速度で大型回遊魚のいる海域へと移動し始める。

念輪で指示をするだけで魔力パワーボートが全部操縦して誘導してくれるので、俺はデッキに取り付けてあるイスに座ってアタリを待ってるだけ。

10分後ぐらいに1本の竿にアタリがありヒットしたのでヒットしてない方の魔道リールを巻き邪魔にならないように準備をしてから・・・魚との戦いの開始する。

かなりの大型の魚なんだが竿にもリールにもそして俺の力とスタミナにも不安がないので、強引にガリガリとリールを巻き短時間で釣り上げてしまう・・・俺のステータスからするとこれも戦いと言えるものではなくなってしまった。

魚は新鮮さが大事なので寄ってきた魚にショック魔法の強力版で〆た。

釣れた魚はクロマグロの3mクラスで重量は350kgをオーバーしてる。

手で持ち上げる事は簡単だが魚が傷まないように飛翔魔法でクロマグロを浮かせるとその大きさがハッキリと分かるな。

眺めててもしょうがないのでアイテムボックスの中に入れてから解体する。


今日の昼はマグロの赤身を漬けた鉄火の上に山芋をかけた『山かけ鉄火丼』を昼食で食べる事にする。

解体したマグロの赤身をクロに送って漬けておくように指示した。

魔力パワーボートの後部デッキを閉めてから、50ノット巡航で目的地に向かって進ませるように命令しておく。

嫁達に念輪で連絡を取ると一緒に昼食を食べようと言う話になったので、今度は嫁達が付近にいる大森林大石に転移魔法で跳ぶ。

俺が大森林大岩上空に到着してみると大森林大岩周辺には1000頭以上の大量のオークの大軍団がいて、その大軍団を攻め立てる炎虎と森林タイガーの混成魔獣軍団と早乙女遊撃隊(俺抜き)だった。

目の前に現れたのは上空から魔獣軍団を指揮しているフォクサだった。


「フォクサどうしたんだコレ」

「私共にもわかんないっすが・・・つい先ほど集合場所に来たらオークが軍団を形成してたっす」

「最近トロールを大量に狩ったからオークが増えてこっちにやってきたのか? それとも・・・上位種が生まれたのかな?」

「それはどちらも考えられるっすね。そんでオーク肉が大好きな炎虎と森林タイガーに号令をかけて私の転送魔法でここまで応援に来てもらったっす」

「なるほどな。それでこの混成の魔獣軍団なんだな・・・ん? あそこにオークファントムの群れの中にオークジェネラルがいないか?」

「・・・あっ、なるほど・・・確かにいますね。あれが前線指揮官っぽいっすね」


るびのが俺の気配を感じて空中を走って近くまでやってきた。

嫁達はセバスチャン・マリア・ユーロンド1号のサポートで周囲のオークを狩りまくっている。

さすがに実戦練習してる余裕はなくクラリーナは早乙女バラ杖を装備して魔法をぶっ放してるし、アイリは大剣、ミーは槍でオークを退治しまくりだな。


「るびの聞いてただろ?」

「うん、聞いてたよとうちゃん。アイツを潰しに行った方が良い?」

「あぁ、フォクサと一緒にまずはあの指揮官の集団を潰してくれ。るびのがオークジェネラルを潰したら組織だった攻撃は出来なくなるので、オーク軍団は退却に移るだろう。俺は向こうにいるオークキングを叩き潰してくるから後は各個撃破で行こう」

「うんー、わかったぁー」

「フォクサはオークジェネラルを退治した後はまた上空で指揮してくれ。全部残さず殲滅するぞ!」

「ハイっす」


俺はオーク軍団の後方で指示を出してるらしき笛を吹いてる集団に向かって一直線に飛んでいく。

BRブランディックス・ローズ魔弓を取り出して瞬時に展開させて、空中から魔力で作られた矢を雨霰あめあられと降らせてオーク軍団司令部にバラの華が次々と咲き乱れ・・・オークの命を奪っていく。

さすがに組織だった攻撃は出来なくなったオークだが総勢1500頭近い群れを殲滅するのは30分以上かかった。

全部を殲滅処理してから付近一帯に光魔法の神聖浄化をして、魔獣を1度に大量に殺したためによどんでしまった空気を浄化しておく。

空気が澱んだままだと魔獣の上位種が生まれやすい環境になってしまうから、前もって浄化して対処しておけば普段の大森林と変わらなくなる。


俺は途中からオークの死体回収に回っていたから時間が掛かるのは仕方がないだろう。

時折、群れから離れたオークをBR魔弓で狩るだけ。

ダンジョンの魔獣と違ってフィールドの魔獣は体内に必ず1つ以上の魔石を持ってる。

強力な個体は魔結晶を持ってるし、上位種になると魔水晶を持つ個体もいる。

俺が最初に退治したオークキングは魔結晶を3つと魔水晶を5個、魔石を8個持っていた。

ダンジョンと違ってドロップアイテムが手に入らない代わりに肉体という素材が手に入る。

オークの場合は血液まで料理素材として使えるので新鮮な血液は貴重品だ。

俺のアイテムボックスに一度入れて今日の狩りの成果は解体してまとめておく。

以前捕った骨付きオーク肉を焼いて、手伝いに来てくれた炎虎達と森林タイガーたちに振る舞う。


るびのはたまには生肉が食べたいと言うので普通の生骨付き肉を渡す。

フォクサは自分で焼いて食ってる。

このまま流れ的に昼食に移行したので俺はテーブルとイスを取り出して嫁達に先程クロに作らせておいた山かけ鉄火丼を出してあげるとガツガツと食べ始める。

俺は昨日も海鮮丼を昼食で食べたけど美味しいものは何度食べても美味しいし、日本にいるときも2日間カレーのみってのを何度か経験してる。

後、釣りに行った翌日からは魚地獄になることもあるしな。

自分の食える分だけを釣って持って帰るってのはアイテムボックスのない地球では無理があるし、冷蔵庫の冷凍室も限界があるし普通に難しい。

俺が食事中は食事休憩の必要のないゴーレムのセバスチャン達に魔獣達の食事の世話を頼んだ。

食材は山ほどあるので料理スキルで焼いて渡すだけなんだけど。

炎虎と森林タイガーは満足してくれたようなので食後にマッタリと休憩した後に、俺がお土産を持たせて転送魔法でそれぞれの縄張りまで送ってあげた。


嫁達はキャンピングバスをセバスチャンに出してもらって中で昼寝をするようだ。

クラリーナが魔法を使いまくったから魔力の補充をするために、装備を早乙女バラ杖から火精霊の召喚本の持ち替えて精霊を呼び出してる。

嫁達に別れを告げて俺は魔力パワーボートに帰還する。

50ノットで巡航する魔力パワーボートでこの時間の船内は異常なほど眠くて、魔力パワーボートの1階寝室で昼寝をすることに。

30分ほどまどろむだけでスッキリしたので2階の展望室操縦席に移動する。

午前中は厚かった雲も薄く細切れになってきて日差しが当たって暑くなってきたな・・・上着として羽織っていたチェックのシャツを脱いでアイテムボックスに仕舞ってロンT1枚になった。


アイスコーヒーが飲みたくなったのでドリンクホルダーに入るタンブラーを自作して、中のドリンクがいつでも冷たくなるように魔石に魔法を封入。

ミスリルでコーティングしたタンブラーにコーヒーを注ぎ蓋を閉める。

500ccは入れられる大きなタンブラーは開ボタンで飲み口が開くし、反対の閉ボタンを押すとパチンと飲み口が閉まる親切設計にしておいた。

もう一つのドリンクホルダーにフライドポテトホルダーを自作してセットする。

フライドポテトのお持ち帰り用の紙皿がそのままセットできるようにサイズを調節したのでピッタリ。

操縦は自動操縦なので俺は周囲の景色を眺めてるだけだ。

左側はウェルヅ大陸、右側はシーパラ半島・・・海と言っても海峡の様で幅は20kmほどだな。

南側からの海流が入ってきてシーパラ大河から流れ込む淡水とぶつかってる場所なので貝類や小魚が多く住んでいて、それを狙った大型回遊魚や大型の根魚も育ちやすくシーパラ半島側には漁港があちこちに点在している。


ウェルヅ大陸側には塩田が数多く存在して世界中にシーパラ連合国産の塩は輸出されている。

小型の漁船があちこちに見られる様になったので魔力パワーボートには認識阻害の結界を出させた。

マリーナを出発すると同時に幻影の魔法を展開させてごく普通の目立たない高速船に見えるようにしてあるのだが、周囲の船と明らかに違う次元の速度で走る高速船は目立ちそうだから認識阻害の結界を出しておく方が良いだろう。

ポテトをツマミながらアイスコーヒーを飲んで周囲ののどかな風景を眺めながら、アイテムボックス内のアイテムを整理整頓する。

オークの小腸を使ってフランクフルトを作ったり、狩ったばかりの猪魔手醉の小腸が細くてソーセージに最適なサイズだったので自作で作る。

オーク肉は大量にあるし生ハムも自作で作る。

料理スキルだとすぐに作れるので簡単極まりなくてありがたい。

生ハムと一緒にトロール肉・大鹿魔獣の肉・サーモンなども燻製にしておいた。

それぞれ製法は違うはずだが料理スキルでは時間も製法も必要ないし、美味しく出来上がるので非常にありがたいスキルだ。

何でこんな便利なスキルを廃れさせたのか・・・独占しようとしたバカどもの罪は重い。


今日は時間に余裕があるので様々なモノをアイテムボックス内で作り置きしておく。

愛玩ゴーレムセットも何セットか補充しておき徒影・忍・ユーロンドも数セット作ってメイドゴーレムも、マッサージメイドゴーレムもいつでも何店舗でも出来るように蓄えておく。

ゴーレムを作り終えてからもアイテムボックスの整理を続ける。


さっき捕獲したオークキングの革は最高級品と言ってもいいような滑らかさと頑丈さが融合してる。

BR魔弓の『命を吸い取る』という力によって肉体へのダメージは最小限に抑えられてるので、素材の状態は最上級で保たれているんだろう。

魔結晶もサイラスの希少種からドロップした魔結晶と遜色ないレベルの魔結晶が3つ入っていた。

昨日と今日の嫁達の森林モンキー・オーク・ゴブリンの狩りで魔石・魔結晶・魔水晶がセバスチャンとマリアのアイテムボックス経由で大量に俺のアイテムボックスに送られてきてる。

るびの達のトロール討伐大森林遠征などでも大量に送られてきてるので魔石はすでに万に近い数の在庫があり、魔結晶も最小のクズ魔結晶は同じぐらいあるのでゴーレムを大量に作っても在庫に困ることもない。


そういえば・・・ドルガーブで元紫村流のヤツラから日本式の鎧を奪い取ったんだったな。

素材を調べたが漆が大量に使われていたので作れないな・・・俺は漆そのものを持ってないので無理だ。

セバスチャンとマリアに念輪を繋いで漆を探す様に指示を出した。

フォクサにも聞いてみたが大森林の中に漆の木はあちこちに生えてるらしい。

セバスチャンからすぐに発見できたとの報告を受けたので今後は定期的に採取しておくように命令を下した。

日本式の鎧の構造は何種類かの鎧を分解して分かったので今度作ってみることにする。


振動も揺れも波を突っ切る衝撃も一切感じる事なく魔力パワーボートの速度を抑えて40ノットほどで航行してみたり、100ノット以上のぶっ飛んだスピードで海中を驀進してみたりして遊ぶ。

海中をこんなスピードで走り回ったりしたら凄い事になりそうだが、異次元の世界に存在するかのような魔力パワーボートは空間をくりぬいて進むので航跡もないし波もおこらない。

音もないし衝撃波とかも無縁だ。

元の海上航行に戻って自動運転に任せて50ノットで巡航させる。

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