メンドーサファミリーと会食したっす。
ガルディア商会の本部に来たのは2回目。
ユマキ商会より高さは低い高層ビルだが、建物の奥行きや幅はガルディア商会の方があるので・・・広さは倍近いだろうな。
ゴーレム馬車の専用入口からゴーレム馬車ごと侵入していって内部のゴーレム馬車駐車場で馬車を降り、案内に立つ秘書の後に付いていって応接室に通される。
ソファーに座ると別の女性秘書が入ってきてコーヒーとハーブクッキーを出された。
早速契約をするのかと思ったらゾリオンが長男のギル・シーズ・ガルディアを連れて入ってきた。
「こんにちわ、ガルディアさん。それにお久しぶりですねギルさん」
「早乙女君、こんにちわ」
「早乙女さん、お久しぶりですね」
俺は立ち上がってゾリオンと握手をしてからギルとも握手を交わす。
ギルはヨークルで経営を学んでいたはずだったが・・・聞いてみる事にする。
「ギルさんは・・・珍しい所で会いますね。ヨークルはいいのですか?」
「それが早乙女さん、妻の妊娠が発覚しましてね・・・3ヶ月になったようです。なのでこれから1年近くは父上の補佐としてガルディア商会の引き継ぎになります」
「それはおめでとうございます」
「これで私もシーズを卒業して最高評議会入りとなったよ。まぁまぁ、立ち話もなんだしみんなで座って話をしよう」
ゾリオンに促されてソファーに座り直した。
俺がここに来た理由を説明されて早速雑談をしながら契約書を交わす。
今日の最高評議会でバイドにあった事を話すと、バイドがシーパラに来てるのは知っているのだが忙しすぎて親子・兄弟と言えどノンビリ話してる暇はないようだった。
それとゾリオン村で採れた薬草とハーブを大量に持ち込んだので、明日からおにぎりの具を増やして俺が作った『薬草とハーブの塩揉み』を出すことに決定したみたい。
ゾリオン村の中で独自のアイデアでおにぎり販売をしていた屋台の人達は全員とプロ契約して、おにぎり販売の具のアイデアを買い取って独占販売する形式になったそうだ。
売り上げの何%かを提案者に渡すプロ契約で・・・俺が以前雑談で話していた事をそのまま採用したみたいだな。
それの第一弾販売がおにぎりをゾリオン村にもたらした具の『薬草とハーブの塩揉み』になった経緯があると教えてもらった。
俺が教えた御者さん達だな。
彼らが頑張ってゾリオン村からおにぎりブームをもたらしたんだから報われるべきだろう。
第二弾は『爆走鳥の香草焼き』になってる事まで決定してるようだ。
本来であれば爆走鳥ではなくデカウサギ肉のはずなのだが、デカウサギ肉はレアものでそこまでの流通量がない。
なので数も多くて捕りやすい爆走鳥の肉に具を変更して商品を再開発した苦労を教えてもらった。
・・・頑張ってるなぁ。
ゴーレム馬車駐車場の使用許可契約はすぐに終わったんだけど、雑談はなかなか終わらなかった。
早乙女式馬車が完成できてなかったので計画は少し遅れるそうだ。
まぁすでに解決策を教えてあげたから今日にでも出来上がるだろうという事を教えてあげると、後でゾリオンとギルとでユマキ商会に行って自分の目で確認してくるそうだ。
おにぎりで薬草とハーブの需要が今以上に高まればゾリオン村もバイド村も経済的に潤って住民が増えていくだろうという話で盛り上がる。
ワイバーン以外の魔獣の恐怖がほぼなくなったってのはかなり大きいようだ。
街道を移動中も深夜の大草原の移動中も魔獣は手を出さなければ襲われないって事に、ゾリオン村住民もバイド村住民も気付いたようで今では敵という認識がほとんどないようだ。
爆走鳥・デカウサギなどのエサとなる草食魔獣も多すぎて困るレベルで存在してるので、奪い合いにすらならない。
ガウリスクが管理していないグリーンウルフの群れもたくさんいたけどガウリスクが、るびのの眷属として正式に契約した事でグリーンウルフの頂点に立ったらしく、俺の通達『人族は襲うな』が隅々にまで浸透していってるようで嬉しい。
炎虎・銀大熊・森林タイガー・大黒豹・狐魔獣・グリフォンなど、るびのの配下は日々増えていてさらについでに俺の通達もシーパラ連合国に住む魔獣達に浸透していってるので・・・このまま魔獣と人が共存できる社会になると有難い事なんだけどな。
もふもふは正義だし。
雑談を終えて早乙女工房に戻った時には16時を超えていた。
ゾリオン達との雑談中に、今日は朝から大森林で狩りをしていて休憩中のミーから連絡があったので俺は今夜はシーズのメンドーサ家に夕食を招待されたので、みんなには自由に過ごしててもらう。
帰ってくる時間も不明なのでいつものように過ごしててとお願いした。
アイリの提案で今夜は首都シーパラで焼き鳥を食べに行くことに決定したと教えてもらった。
帰りに俺の分のお土産を買ってきてもらうように頼んだ。
以前食べた焼き鳥がメチャクチャ美味しかったからな。
時間が余ってるので主都シーパラの契約してあるマリーナに魔力パワーボートを係留することにした。
対岸のウェルヅリステルに転移魔法で跳んでアイテムボックスから取り出した魔力パワーボートに乗り込んでシーパラまで渡ってから契約した高級マリーナに係留する。
忍を3体作って魔力パワーボートを護衛させる。
色々な形の船が停泊してる首都シーパラの高級マリーナの中でも俺の魔力パワーボートは真っ白で美しく、気品のある形をしてるので少々目立つ。
それに波の中でも全く揺れずに、そしてチャプチャプと波音を立てることもなく停泊してるのでよく見ると異様な船でもある。
ロープで係留しているのだがロープも固定されてるかのように動いてないし。
まだ時間があったので魔力パワーボートの魔水晶を大きな魔水晶に換装してアップデートした。
それでも時間が余ってるので転移魔法ではなくホップボードに乗って早乙女工房まで戻った。
早乙女工房の執務室に戻ってきた頃には17時50分・・・ちょうどいい時間だな。
アイテムボックスの中を整理していると使ってなかった愛玩ゴーレム達が見つかった・・・シーパラに向かってハウスボートでの移動中に作った愛玩ゴーレムで2セット作ったのに忘れてしまってたようだ。
シグチスのもふもふ天国で使う事にする。
ついでにシグチスメイドゴーレムもクマ型で3体製作、モフモフマッサージ天国のマッサージゴーレムも男タイプ20体と女タイプ20体を製作した。
アイテムボックス整理中に気付いたが石材が結構減ってきてるな。
明日の移動中の暇な時間にまた石材を取りに行った方が良いだろう。
シグチスで登録すればすぐにでも開店できるように準備をし終えたところでメンドーサ家からの迎えが時間ピッタリにやってきた。
腰から外し執務室のイス肘おきに立てかけていた早乙女儀剣を、イスから立ち上がりながら腰の金具で固定して装備した。
服装は今日は朝からずっと儀礼に出席できる少し豪華な旅人の服を装備しっぱなし。
さすがに儀礼用の剣まで外せと言われる間柄ではないし、初めだけでも一応は用心してますよというスタンスだけでも見せておかないと。
メイドゴーレムの紺が商業ギルドカードでメンドーサ商会職員の幹部だという事を確認している時に、俺も歩いて転送室まで行って時間通りに1階に降りて受付に現れた。
挨拶を交わして幹部の後ろについて迎えに来たゴーレム馬車に乗り込んでメンドーサ家本宅に移動を開始する・・・とはいっても早乙女工房からほど近い場所にある。
ゴーレム馬車に乗り込んで移動を開始してから数分で到着してしまう。
邸内はユマキ家本宅とほぼ同じ大きさでフォンマイ家に行った時と違って正門で停車されることもなく玄関にたどり着く。
馬車の席から立ち上がる時に座っている時は手に持っていた早乙女儀剣を腰に戻す。
迎えに来た幹部がドアを開けて降りて俺は後について階段を下りていくと玄関の前でデュークが出迎えてくれた・・・超VIP待遇だな。
「早乙女さん、本日はお越しいただき誠にありがとうございます」
「こちらこそ、本日はお招きいただき誠にありがとうございます・・・まぁ堅苦しい挨拶は無しにしましょうよ。これでずっと会話をするのは話辛いですし、せっかくの美味しい食事が不味くなりそうなんで」
「それはそうですね。ではこちらにお越しください」
まずはゲストルームに通されてメンドーサファミリーと挨拶をする。
デュークの息子で現メンドーサ家の当主『ランパート・シーズ・メンドーサ』35歳で髭のないサンタクロース・・・デュークにメッチャ似てる。
デュークの孫でランパートの息子が長女・長男がいて、あとは女性陣でデュークの正妻1名と側室2名、ランパートの正妻1名と側室1名がいた。
最後にデュークの末弟で4男だった『スペンサー・メンドーサ』・・・彼が新しい結界師ギルドの本部ギルドマスターだ。
早速デュークとランパートとスペンサーの3人から謝罪を受けるが、最初に一回で謝罪は全部終わりにしてもらう。
怪しい気配も微塵もなく誰かが俺を監視する事もないようなので、腰の早乙女儀剣は邪魔になったからアイテムボックスの中に仕舞い腰のベルトのホルダーに白扇子のみにした。
食事を始める前に全員で雑談をする。
雑談し始めると俺の知らない結界師ギルドの歴史を教えてもらった。
途中から食事をしながらの雑談になったが、今日の食事は何人かの寿司職人を招いての寿司となっていたので手掴みでの食事・・・江戸前になってるな。
注文形式ではなくてコース料理のように出されてくる寿司を食べ続けて行く感じ。
美味しかったものはおかわりを頼むとその場でまた作ってもらえるようだ。
スペンサーはランパートと同い年で35歳、一昨日まではメンドーサ商会でランパートの補佐をしていた商人だった。
スペンサーはデューク・ランパート親子の親戚だとは思えないほどの優男でうだつの上がらない平凡な男のようで・・・つまり簡単に言うと俺に結構似てる。
メンドーサ家の特徴で結界師としての素質を持って生まれてきて簡単な結界魔法は使いこなせるが、だからといって特別優れていたわけではなくごく普通レベルの結界師だったと笑って話してる。
実は3年前あたりからデューク・ランパート・スペンサーは結界師としての素質がメンドーサ家には代々受け継がれてはいるものの、今後の未来に不安を多く抱えていたようだ。
今現在はいいがこれからもしかして何かのキッカケで結界師ギルドが崩壊しそうな・・・言いようもない焦りと不安を、結界師ギルド内で働く結界師達は抱いていた。
過去の結界師ギルドが起こした全世界的な主導権争いという醜い内輪もめで、人材も技術も知恵も知識も全部・・・情熱までも消えていた。
本来であれば発達してるはずの技術は暗殺・知識の奪い合い・独占などで殺す技術のみを発達させて良識ある人達が抹殺されてしまうと歯止めが利かなくなり消滅していった。
技術と知識は消滅してしまってるのに殺し合いは今なお、現在進行形の形のまま続いている。
今でも世界中の結界師ギルドで簡単な技術があれば楽に稼ぐことができるという、殿様商売システムのおかげで研究家達の数は少なくなってて、今は結界の研究がしたいと言って出世街道から外れた人達は結界師ギルドの主導権争いから500年前から外れてしまったシーパラ連合国に世界中から集まってる。
るびのの引き起こした『白虎戦争』でシーパラ連合国の結界師ギルドの知識の中枢が消滅してしまってるので、シーパラの場合はウェルヅ帝国滅亡も結界師ギルドの技術の伝承失敗に拍車をかけている。
500年前は当時世界最高水準へと発展を遂げていた結界師の技術は、るびのの怒りを買ったことで何もかもがほとんど消滅してしまった。
生き残った僅かな結界師たちが集まってメンドーサ商会の初代が資金援助をおこない、結界師ギルド再興へ尽力して何とか復活させた経緯がある。
イーデスハリスの世界ではウェルヅ帝国で発展した結界師の最高技術は世界中に散らばっていた高弟達によって残っていたはずなのだが、シーパラには技術が戻ってくることもなく世界中の結界師ギルドで主導権争いが起こって・・・消滅した。
俺が最高評議会で言ったように『自分達の手で結界の基礎研究からやり直そう』というのが、目の前を漠然と覆っていた不安を消し去ったと言ってスペンサーは寿司を食いながら力説してる。
幸いなことに世界中で仲間外れになってシーパラ連合国に流れてきた結界の研究家達は、逮捕されたシーパラ連合国の結界師ギルド本部ギルドマスターにも迫害されていて独自に研究を進めていたのだが、今回の大騒動で一つにまとまってきたという。
さらに今日の俺の発言を聞いたデュークの呼びかけで今は、結界師ギルドの本部内に集合して気炎を上げているようだ。
それぞれが独自に研究していたことも今日の午後から本部で緊急会議から結界師ギルド本部内に結界研究所が設立されて研究者の大半は今日から本部の寮で寝泊まりをするという事まで決まり・・・多分今のこの時間でも各自の研究発表会が行われているだろうと教えてもらった。
食事を終えて俺・デューク・ランパート・スペンサーはゲルトルームに移動して酒を飲むことになった。
子供たちと女性陣はダイニングテーブルに残ってデザートを楽しんでる。
デュークに促されてゲストルームに戻っていく。
デューク達は葉巻を吸って紫煙をくゆらせながらブランデーのロックを舐めている。
俺はワインを貰うがかなりの年代物のワインようだな・・・芳醇な香りとまろやかな味を楽しむ。
ツマミはテーブル中央に出されたチーズの盛り合わせと大鹿魔獣の燻製肉。
チーズの盛り合わせは蒸気機関高速列車内で食べたものと同じようだな。
大鹿魔獣の燻製肉は脂身が少ない部分を時間をかけて熟成させてからスモークしているようで、柔らかくて噛めば噛むほど味が出てきて味わい深い味だった。
雑談話は核心の部分に迫ってきたようだ。
デュークから結界師ギルドに新設された結界研究所の臨時顧問をお願いされた。
さすがにそれは断ると臨時の講師でもと懇願されてしまうがそれも断った。
ただ断るだけだとまた何かお願いされそうなので結界師ギルドに宿題を出すことにした。
『ありとあらゆる結界の中で遮断できないモノが1つだけある。それは何?』
というものだ。
これが答えられるようであれば俺が特別にレッスンしてあげれば結界師スキルマスターという最高水準まで到達できるだろう事を条件としてやった。
ヒントもあげない・・・自分達で研究していって答えを見つける事でレベルが上がるんだと教える。
これにはデューク・ランパート・スペンサーの3人は頭を抱える。
正直に言ってこの質問の答えが分かるようになった人は俺がワザワザ教えるまでもなく、独学のみでも結界師のマスタースキルにまで到達できるだろう。
・・・答えは『影もしくは闇』だからな。
影や闇は元々光の当たってない部分を指すので遮るには光を当てるしかない。
結界では影や闇を遮ることができないのは当たり前。
魔法学においても光属性と闇属性はありとあらゆる属性とは別に存在している。
結界で光は遮ることはできる・・・光もエネルギーの移動だからな。
でも影や闇は光の当たってない部分を指す事なのでこれを遮ることはできない。
結界師のスキルは魔法属性の分類別で考えると『闇属性』に分類されているし空間魔法の派生形の独立したスキルでもある。
そんな難しい事が俺にわかるのは賢者のマスタースキルを持っているから。
同じ賢者のマスタースキルを持つフォクサも上手く説明できるかどうかは分からないが理解はしてる。
こんな難しい宿題を出したのは俺が面倒だからという事もあるが・・・ここで俺がでしゃばってしまったら同じことの繰り返しになるだろう。
自力で頑張れと言う隠れたメッセージでしかない。
メンドーサ家の3人に断って帰ることにする。
さすがに夜8時を回ってしまったので客はそろそろ帰る時間だろう。
ゴーレム馬車で送ると言われたが自分の足で帰ることにした。
外に出て自分の周囲にライトの魔法を浮かべて歩いていって周囲が暗くなりメンドーサ家から離れて数分たつと俺に念輪連絡が入る。
俺の周囲を警戒してついてきてる徒影と忍だ。
「ご主人様、闇討ちに来た奴隷商ギルド所属の戦闘奴隷はいかがなさいますか?」
「早速やってきやがったか・・・今日の会議で少しだけおちょくってやったから角館家は配下の戦闘奴隷を使って仕掛けてくるとは想像していたが・・・当日の夜だとはな。俺の予想以上にアホなようだ」
「ご主人様の想像以上でしたね。奴隷商が2人戦闘奴隷が13人の計15人ですが、どういたしましょうか?」
「任侠ギルド送りだな。戦闘奴隷の素性は?」
「ごく普通の借金奴隷で元冒険者のギャンブル好きのヤツラです」
「任侠ギルドで買い取った形でいいだろう。奴隷商に隷属の首輪をさせて総取りでいい。奴隷商は任侠ギルドのギャンブルで借金を背負わせてやれ! 1Gも動かす必要はないな」
「了解しました」
「15人の中で使えそうな奴らは教育して任侠ギルドでスカウトしておけ。ではあとは任す」
「はっ」
俺は奴隷商の2人も奴隷商の連れてきた戦闘奴隷13名も一切見ることなく徒影達によってマヅゲーラの街に運ばれていく。
15人ぐらいいれば使えそうな人間は1人ぐらいはいるだろう。
任侠ギルドの進出が遅れてるのは明らかに人材不足だから、ここらで組織増強を図る事にした。
今後はモフモフマッサージ天国に深夜の襲撃をしてきたヤツラも強引に奴隷にしてマヅゲーラ送りにする手筈を整える。
マヅゲーラ周辺の農地に奴隷として格安で貸出しすれば奴隷が増えすぎて困ることはないだろう。
マヅゲーラの街周辺に住む農民の数はそこまで多くなくて女性や子供用の宿屋も人手不足が続いているようだし、奴隷の貸出先に困らないどころか喜んで借りに来るので上手くいくと住民を増やすことが可能になるかもしれん。
まぁ、その辺のサジ加減は任侠ギルドのサブマスター『マナガルム・ブラム・アバルニア』と幹部職員『ガスタード・ウェイド』達に任せる。
早乙女工房に到着して最上階の居住区に転送室で移動してからサイラスの甲殻鎧に装備を着替える。
今日の嫁達の狩りで仕留めた森林モンキーやオークやゴブリンの巣に今から移動して、巣の中に蓄えていたアイテムを運び出してくる仕事が残ってる。
セバスチャンは嫁3人を連れてモフモフマッサージ天国シーパラ店に転移して嫁達に全身マッサージを受けさせてるようだ。
マリアから今日の狩りで殲滅させた魔獣の巣の場所はすでに報告を受けて俺の脳内MAPに入力されてるので、俺一人だと時間が掛かりそうなだから師匠ゴーレム5体を連れて行く。
森林モンキーの巣が3つ・オークの巣が2つ・ゴブリンの巣も2つが今日の成果。
アイテムや鉱石などを回収して回るのにユックリしてると時間が掛かり過ぎるのでサクサク進ませる。
アイテムはさすがに以前ほどは集まってなかったし、オークの巣の中とゴブリンの巣の中は何もいない状態だったのですぐに終わった。
だがしかし、森林モンキーの巣の回収時に嫁達が殲滅させた群れとは違う群れの森林モンキーが入り込んできてたので・・・3つの巣で200匹ほどの森林モンキーを狩る。
以前森林モンキーが異常発生した原因は取り除いたのだが、だからと言ってすぐさま森林モンキーが壊滅するわけではない。
いまだに大森林の中には大量に森林モンキーがいる。
深夜は散らばっていて普段は気配を探れないと狩りにくいのだが空き家となった巣を発見して引越し最中だと群れがまとまって巣に入り込んでいるので日中の巣の中のように狩りはしやすくなってる。
探索の為に大森林の中を広範囲を歩き回らなくていいんだけど・・・どっちにしても巨大な巣穴を歩き回る必要があるので、五十歩百歩で大きな違いはない。
今夜の武器は巣穴の中での狩りなのでオークウイップの二刀流にした。
隠者スキルで貧弱な存在にまで存在感も魔力も消している中であえて盾職の挑発スキルを使うと次から次へと森林モンキーが襲い掛かってきた。
それを俺が迎え撃ってオークウィップで次々に退治していく。
オークウィップは魔力で最大10mまで伸ばすことができるので半径10mの切り裂き暴風の渦が出来上がり飛び掛かって襲ってくる森林モンキーを八つ裂きにしていく。
師匠ゴーレムたちも別ルートから巣の中も殲滅していってる。
全部の回収が終わったのは嫁達は当然寝てる時間の深夜11時近かった。
早乙女邸のガレージにみんなで転移してからサイラスの甲殻ブーツをを脱ぐと先にお風呂だな。
今日も天気はあまり好くないので露天風呂には行かずに内風呂で温まって終了。
体を洗うのは3点セット魔法で済ませた。
風呂から上がるとパジャマに着替える。
リビングに歩いていって自分のソファーに座り寛いでいると、メイドゴーレムのクロが注文を聞いてきたのでハーブティーを頼む。
今夜も寝る前にゴーレムからの報告を聞いて指示を出す。
もふもふ天国ヨークル店1・2号店は2店舗とも昨日ぐらいから空いてる時間を狙って客が分散し始める傾向が見られるそうだ。
今まで比較的に空いていた9時から14時の間の比較的店舗が空いていた時間に仲間同士でお茶会のような事を3日に1度とかの周期で開催しているらしい。
それとこれはもふもふ天国シーパラ店に限ってなのだが店舗内で出会って交際するカップルが出てきてる。
初めはもふもふ目当てで店に通い始めていたのだが『同じ趣味を持つもの』としてお店の中で知り合って仲良くなって・・・というパターンのようだ。
店の経営者として店で知り合って店で仲良くなってデートも店でってのは大変ありがたいお客様だ。
カップル用にクッキーやカットフルーツをハート形のモノを出す様にサービスさせる事にする。
恋人同士や夫婦でもOKという隠しアイテム的なサービスも金が掛からないサービスは受ける側にとってはありがたいサービスだ。
子供向けに愛玩ゴーレムの形のクッキーとかも作らせて準備させておく。
モフモフマッサージ天国シーパラ店は襲撃してくるアホや監視してくるアホもマヅゲーラに送るようにしたけど、まだこれは先ほど始めたばかりなので成果は上がってない。
逆に今日の襲撃は1度だけで治療費は後日シーパラ連合国から早乙女商会に振り込まれるだろう。
偵察者はまだ来ていないようだ。
モフモフマッサージ天国の店舗の営業としてはシーパラ店は固定客がつき始めたところらしい。
持病を持ってる人やケガ人が治療とマッサージの目的で通ってきてる。
もふもふ天国ドルガーブ店はまだ開店させたばかりだし何の宣伝もできてないので・・・未知数だな。
少しずつ増やしていければいいだろう。
モフモフマッサージ天国ドルガーブ店は10分のクイックマッサージが好評らしい。
役所関係に勤めてる人達や建築業のなどの肉体労働者が休憩時間中にこっそりやってきてマッサージして、残りの仕事を頑張ったりするのにちょうどいいようだ。
お客が猛烈な勢いで増えていってる。
出入り口のぬいぐるみ看板に待ち時間が出た場合は何分待ちですと言わせるようにした。
ドルガーブの街は肉体労働者がものすごく多いからな。
敷地の裏庭にモフモフマッサージ天国の店舗を増設する必要があるかもしれん。
各場所を偵察している忍からの報告ではヨークルはほぼ安全になったという報告を受ける。
マヅゲーラも任侠ギルドが制圧したので情報収集も街の中で流れている噂の検証になってきて非人道的組織の撲滅に任務が変化していってる。
シーパラは100万人以上の人間が住む大都市なので情報収集することも多く、裏の世界は異常なほどに広がってるので、忍の絶対数が圧倒的に足りないという報告を受けて100体ほど増強させる。
素材になるワイバーンは1体が全長8mほどの大きさがあるのに、るびのが炎虎達との狩りで100体以上も狩って俺のアイテムボックスの中に入れてあるので、革・骨・牙・角・爪と素材が大量に余ってる。
使いたい放題どころか使わないと消費できない。
魔結晶は複数の魔石を融合させて作成してるので大量に作ることが可能になった。
アイテムボックスの中で100体の忍を一気に作り上げて転送魔法でモフモフマッサージ天国シーパラ店の裏庭に送り込み、首都シーパラの情報収集任務に就くことになった。
ドルガーブの裏社会情報は少しずつ上がってきてる・・・が、ここの街はギャンブルと闘技場での格闘技が盛んで政府直轄の『賭博ギルド』が格闘場に所属する闘士を数多く抱えて力で抑え込んでる。
なので裏組織は逆に地下のさらに闇の中に隠れて活動しているようだ。
ドルガーブも外国への玄関口となっているので裏の世界は広いが大半は賭博ギルドが抑え込んでるから・・・マヅゲーラにおける任侠ギルドと同じような存在といえるだろう。
逆に言えば任侠ギルドが入り込んでも旨味は少ないと言える。
なので任侠ギルドはドルガーブに進出するのはローションマッサージの店だけに限定した方が美味しそうだな。
相手は国直営の賭博ギルドなので対立しても旨味はない。
むろん、どこの街でも非人道的な活動をしている裏組織は全部叩き潰す方針には変わりはない。
方針変更は任侠ギルドにいる徒影からギルドに伝えられる。
逆に明日から向かうシグチスはシーパラ連合国南部最大級の歓楽街があるので、フォンマイ家が所有するカジノだけでなく大小様々な賭博場もあり働く女性達も数が多い。
マヅゲーラのように歓楽街のみで成り立ってる街ではないので住民は多い。
南側の玄関口としても栄えている。
南部で作られた綿花やサトウキビによる砂糖作りもシグチスが集積地となって世界中に輸出もされている。
外洋にも直面してるのでシグチス周囲の村では盛んに塩田が作られて塩の名産地でもある。
色々なモノが集まってくる場所でドルガーブの賭博ギルド、マヅゲーラの任侠ギルドのような非人道的組織に対する締め付けもないので悪人天国のような様相らしい。
警備隊・都市防衛軍・役所関係にもスパイのような人間が入り込んでいて、中で働く職員は仕事で手に入れた情報を平気で売っている。
海外からの犯罪者もこのシグチスから入り込んでると教えてもらった。
・・・アマテラスからの仕事依頼が多そうな街だな。




