舐められてる様なので方針を変換するっす。
商業ギルドドルガーブ支部に到着したんだけど・・・ここの建物は相当にヤバイな。
街の発展と共に増築増築で作られた年代がバラバラの建物が敷地内にビッシリと立てられて、全部が渡り廊下の様なモノで繋がっている。
・・・日本で以前に問題になった火災の時に避難経路が正しく作られていなくて、まるでダンジョンのような作りの老舗旅館などの”増築物件”のような造りになっている。
外から見ただけでもヤバさが伝わってくるな。
入り口で身分証で商業ギルドカードを見せて中に入っていく。
受付窓口で同じように商業ギルドカードを見せながら、会議室を借りてゴーレムの登録と新店舗の届け出を提出しに来たと告げる。
受付窓口の女性は俺の名前と用件を聞いて自分の上司に聞いてきますと言って足早に去っていってしまった。
受付窓口のイスにポツ~ンと残される俺。
ヒマだなぁ・・・と思う暇もなく受付の女性職員が上司らしきイケメン幹部を連れて戻ってきた。
メガネをかけて線の細いイケメンで少し神経質そうに見えるのだが、なぜだか直感で信用が置けるタイプだと思った。
イケメンに案内されて小会議室にまで歩いていく。
複雑怪奇な内部構造になってるな・・・敷地が広く設定してあった分、増築するスペースはたくさんあっただろうが、小さな建物の増築を繰り返して渡り廊下の様なモノで結んで・・・失敗したパターンだな。
分かりやすい様にと案内標識板をたくさん出してあるのが原因で、内部案内板にまでカオス度がより加速してる印象しか残らない程だ。
別の建物にある2階の小会議室に到着してまずは自己紹介からの挨拶をする。
「初めまして、今日はお忙しいところを申し訳ございません。早乙女真一と申しまして、早乙女とお呼びください」
「ご丁寧な挨拶をありがとうございます。私の名前は『ユーガ・デルポルテ』と言います。ユーガとお呼びください」
握手を交わしてから席につくときに部屋全体に封印結界を掛ける。
俺の封印結界を見て『ほぅ』感心した声を出しながらユーガは話を進めてきた。
「今日のご用件というのをもう一度お聞きしてもよろしいですか?」
「俺の方が年下ですし・・・お堅い敬語は抜きにして普通でいいですよ」
「分かりました。ありがとうございます」
「それで今日の用件はゴーレムの登録と新店舗の届け出の提出のために来ました」
俺は説明しながら愛玩ゴーレム達を出して登録、メイドゴーレム3体を出して登録した。
愛玩ゴーレム達のネームプレートはギルドマネーの使用を停止してもらうのを忘れずに登録して終了。
ユーロンドとマッサージメイドゴーレムはシーパラですでに登録を済ませてきてるから、ここで登録する必要はない。
全部のゴーレムのネームプレートを装備させ終えると、次はもふもふ天国ドルガーブ店とモフモフマッサージ天国ドルガーブ店の営業届を提出する。
以前提出した営業届を思い出しながら書類を作成して完了。
ユーガから出されたいくつかの質問に答えてから、ユーガがサインして届け出を受理してもらったのでこの商業ギルドドルガーブ支部での用事は終了したな。
色々と雑談をしながらの届け出を作成していたのだが、商業ギルドは早乙女真一氏に対して今後は失礼のない様にという通達がきたようだ。
各支部に対しても早乙女真一氏の信頼を得られそうな口の堅い人員のみを担当者とするように! という通告がシーパラ本部から”厳命”としてきてると教えてもらった。
俺は直感でユーガは信用できると感じたので今後は専属窓口契約をさせてもらう事にした。
ユーガから専属窓口契約カードを受け取って店舗の内容などの雑談を15分ほどして早乙女商会ドルガーブ支部に歩いて帰る。
通用門から中に入ってまずは2階に上がってモフモフマッサージ天国の開店準備。
マッサージメイドゴーレム20体をアイテムボックスから取り出して、イスや診察台の準備はマッサージメイドゴーレムのアイテムボックスにそれぞれ送り開店準備は任せる。
マッサージの時に敷いて使用するラグマットやクッションも一緒に送った。
1階に降りていって今度はもふもふ天国の開店準備。
メイドゴーレム3体と愛玩ゴーレム15体をアイテムボックスから取り出して完了。
俺のアイテムボックス内に既に大量にストックしてあるコーヒーや紅茶などのドリンク類や、フライドポテトやカットフルーツなどの軽食類もメイドゴーレムのアイテムボックスに送る。
店内の開店準備や掃除はメイドゴーレムに任せて俺は通用門でいつもの『巨大ぬいぐるみ付き看板』を設置する。
今回は通用門の外に・・・もふもふ天国の白虎型ぬいぐるみタイプの看板と、モフモフマッサージ天国の白い犬型ぬいぐるみタイプの看板を左右に設置した。
どちらのタイプのぬいぐるみも色は白で、お尻から頭のてっぺんまでの高さは1.5m。
4本の足で看板にしがみついてる様な体勢となってる。
今はまだ夕方6時で夕陽の途中なので明るいが、陽が沈んで暗くなる間にはユーロンドが来てぬいぐるみの頭上にライトの魔法を浮かべる。
後はゴーレム馬車駐車場の整備だな。
俺は空中に浮かべていた魔石付きのミスリル棒を転送魔法で回収して幻影の魔法を止めた。
ゴーレム馬車駐車場の敷石の破損してる部分を修復したり雑草を引き抜いたり輪留めを固定魔法で強化したりと・・・外側は外側でやることは意外と多い。
外で整備してると通行人から何のお店か聞かれることも多くて、説明しながらの作業となるので時間はどうしても長引いてしまう。
もふもふ天国にも入っていくお客さんも多いし、モフモフマッサージ天国に興味を示してクイックマッサージを受けに行くお客さんもかなりいた。
大通りに面してるし周囲には行政府や各種ギルドの支部などといったところに働いている人達の往来は、早乙女商会の営業店舗の中でも抜群に多い立地条件だな。
敷地内はまだ半分ほどしか使ってなくて裏側は空き地になってるから、もし客が多くなったら建物を倍に広げることも可能にしてある。
街の中に放った忍からの報告で早乙女商会ドルガーブ支部の襲撃を計画してる紫村流道場の出身者の冒険者チームがあるみたいだが・・・すでに俺の全部の情報が筒抜けになってるのは惨めでしかないな。
今夜に仕掛けてくるみたいなんでユーロンドに後処理を任せて全身の骨の何か所かを骨折させて警備隊に後で突き出すように指示を出しておいた。
ついでに俺の動きを監視しに来た偵察は彼らの仲間みたいなんで一緒に突き出させる。
この都市ドルガーブだけでも紫村流の出身者が100人以上は存在してるという情報もあるので、今後もお客様の迷惑にならないように要注意だな。
忍の情報収集と捜索、ユーロンドの防衛時の実力行使で潰していくしかないだろう。
俺は建物2階のモフモフマッサージ天国へと上がっていく階段の下のデッドスペースに小さな転送部屋を作成した。
3階の早乙女商会ドルガーブ支部の応接室の隣に直通の転送部屋を作成する。
転送魔法陣を描いたタイプの転送部屋は今でも技術は残ってる。
魔石の粉末を使用して魔法陣を描き、中心部分に魔結晶1つと魔水晶1つを使用する簡易タイプの転送魔法陣であれば、魔法陣を描く技術だけなので専門職の職人であればすぐにでも製作できる。
同一建物内であれば使用時の魔力は魔水晶と魔結晶で補えるので使用者の魔力は必要ない。
直線距離10km以内の同一都市内であれば魔法陣の中心に魔結晶と魔水晶を10個ずつ組み合わせて作った円柱を立てて作成した転送魔法陣で移動が可能だが、こちらは使用者の魔力が少なからず必要になるので伝令の移動ぐらいにしか使えそうもないらしい。
魔力を蓄えた魔結晶をもっていれば移動は可能になるが、都市防衛などの緊急時以外では訓練でしか使えないから、国軍や警備隊で厳重に管理されていると聞いた。
俺には貰った知識も経験もあるので転送魔法陣程度なら簡単に作れる。
セキュリティーの関係上、早乙女商会ドルガーブ支部には階段を作らないようにしたかったので今回は転送魔法陣で移動できるように使用した。
何度か移動して転送魔法陣の状態を確かめてみるが何も問題ないようだな。
首都シーパラの早乙女工房には今日だけで俺宛に3通ほどの決闘状が来てるらしい。
ユーロンドから俺のアイテムボックスに送られてきてる。
俺は早乙女商会ドルガーブ支部の早乙女家専用の執務室の方に移動して肘掛椅子に座り決闘状を読み始める。
この執務室は早乙女工房の2階執務室とほぼ同じ造りになってて違うのはこちらの方が壁に設置された窓が多いことぐらいだな。
決闘状の中身はあまりにもくだらない内容だった。
送られてきた決闘状3通は紫村流と交流があった道場から出されたもので、紫村流道場を道場破りで潰して土地と建物などの資産をぶんどって、その後に俺が道場を開かないのは卑怯極まりない行為なんだそうだ。
だから全財産をかけて決闘しろっていうくだらない内容だな。
俺が行くとまた決闘になってしまいそうだし・・・ここまで舐められてさすがにムカついたので・・・ここらで大きく方向変換することを決定する。
今までは早乙女邸などの監視が多かったので、なるべくミノムシにして排除していた。
が・・・今後は暴力で向かってくるクソどもに対しては実力行使で俺のゴーレムの実力を見せつけることにする。
大怪我をさせて徹底排除する方針に方向変換だな。
決闘状を出した3つの道場には俺の手書きの手紙『俺の作ったゴーレムにすら勝てない雑魚がデカい口を叩くなよカス』って書いた返事を持たせて、今から早乙女工房のユーロンド3体を向かわせる事にした。
まぁこんな手紙をみたら逆上してユーロンドを襲ってくると思うが、道場ごとぶっ壊させるように指令を出して道場に向かわせた。
方向変換に伴い各地の施設を守るユーロンドにも新たな指令を通達する。
『監視する奴はスリープで栄養失調にまで追い込んでから教会の前に捨てに行く』
『暴力で向かってくるカスは何ヶ所かの骨折をする大怪我をさせて警備隊に引き渡す』
『もふもふ天国・モフモフマッサージ天国・おにぎり販売などのお客様の安全を第一』
『おにぎり販売の販売員も安全を確保するように』
などの通達を出した。
これからは忍が探って情報収集で各施設の周囲も警戒。
監視者に対してスリープで栄養失調寸前まで追い込んでから教会の前に放置させる事に。
ユーロンドは暴漢に対しては両手足と骨盤や背骨などを骨折させて大金を治療に使わせることとする。
ミノムシ作りはやめて逃げることも出来ない様な『イモムシ』を作ることにさせた。
決闘状のようなヤカラにはワザと逆上するような手紙を持たせて、道場ごと叩き壊させる事となった。
早乙女に決闘状を出したらゴーレムに瞬殺されるという屈辱と、数分で壊滅される恐怖を刻み込んでやることにする。
時間はかかるだろうが・・・これを続ければユーロンドの情け容赦ない恐怖がシーパラ連合国中に鳴り響く事になるだろう。
俺に敵対する勢力に対しての恐怖だから一般人には何も迷惑は掛からないし、ユーロンドは普段防衛任務についてる時は気配も魔力も薄くしてるので、よほど察知能力に長けた人でないと存在にすら気づかない。
ユーロンドはまだ薄くしてるだけだが忍は俺の隠者スキルで完全に気配も魔力も断ってるので、誰にも気付く事は出来ない・・・俺ですらほんの微かにしか感じられないレベルなのが隠者のスキル。
全ゴーレムに新たな指令を出し終えてから、そろそろ晩御飯の時間になったので早乙女邸に帰宅する。
1階の裏の転送部屋に移動してガレージへと簡易ゲートを使って帰宅。
玄関から帰宅してリビングの方に移動していくが、まだ嫁達は地下の訓練場から戻ってきていない。
汗をたくさんかいたからシャワーを浴びてるんだそうだ。
俺は今日の晩御飯のメニューを考える。
久しぶりにカレーが食いたくなって嫁達に聞いたら、OKがとれたので今日は俺の神の創り手スキルで作るカレー・・・早乙女邸ではすでにキノコの収穫が始まってて、キノコが多くあったのでキノコカレーにしてみる。
キノコだけだと味気なくなりそうだったのでオーク肉をサイコロ状のステーキにして、オーク肉のサイコロステーキ入りのキノコカレーが出来上がった。
他のメニューの田楽風の焼きナス・サラダなどをダイニングテーブルの上にクロと一緒に並べてると3人の嫁達がダイニングに現れたので晩御飯を開始する。
みんなでご飯を食べてると、るびのがフォクサに連れられて帰ってきた。
一緒に食事をすることにしたので一家団欒だな。
みんなで今日は何をして過ごしたのかの話でワイワイと話しながらの食事になる。
俺は道場破りでもらった土地と建物を使ってモフモフマッサージ天国を開業した事。
ドルガーブにも拠点を作ったこと。
ドルガーブの警備隊と揉めて全部潰したことなどを話す。
るびのはフォクサと狐魔獣とグリフォン達と共にシプラコーンと大鹿魔獣の狩りをしてきたようだった。
シプラコーンの毛皮と大鹿魔獣の毛皮がグリフォンの巣の周辺に大量に廃棄されていて、るびのの腕輪のアイテムボックス経由で俺のアイテムボックスに大量に送られてきてる。
グリフォンから抜けた羽も大量に入ってるな。
大鹿魔獣の肉やシプラコーンの肉まで何頭分も入ってきてるので羊肉も鹿肉も大量だ・・・家族で消費できないかも・・・大食いのフォクサ・るびのがいるから消費できそうなはずなんだけど、消費量以上に狩りをしてきているから増える一方だ。
アイリとミーは合気道の練習をほぼ丸一日していたと話してくれた。
独特のリズムの取り方と足さばきに苦労をしているようだが一日の訓練でも目に見えて成長できてる自分に大満足なようだ。
クラリーナも弓のスキルが発現して初心者を超えて初級者になったことで、ハッキリと手ごたえを感じられるぐらいに命中するようになったと、弓の訓練が楽しくてたまらないとニコニコ笑顔で教えてくれる。
食後は全員でリビングへ移動して雑談を続けてると、早乙女工房に手紙が届いて早乙女工房全族メイドゴーレム空からの念輪報告と一緒に手紙が送られてきた。
るびのの『明日はみんなで狩りがしたい!』という声で、どこに狩りに行こうかと盛り上がってるみんなに断りを入れて・・・隣の客間に移動して俺は手紙を読みだす。
手紙はシーズの家『ウォーカー家』の当主ナディーネ・シーズ・ウォーカーからだった。
情報が漏れてしまった事へのお詫びと今後の対応での話、そして正式にウェルヅリステルからシグチスへの鉄道事業がシーパラ連合国の国家事業としてスタートすることになった報告。
予定していた国軍の魔獣兵団はすでに正式に発足していて、テイマーギルドで冷遇されていた幹部7名をすでに引き抜いて国軍に迎えいれた事まで書いてある。
明日の9時に早乙女工房に迎えに来るので魔石への情報転送の事で詳しい話が最高評議会の方で聞かせてもらいたいというお願いで締めくくられいていた。
俺は手紙を読みながらアイテムボックス内で魔石付きのミスリル棒が10本入れられるアタッシュケース型の専用転送器を製作した。
魔力を持たない人間でも俺特製の結界や魔法が魔石とミスリル棒に封入できる機械だ。
ただ決められた場所に魔石付きのミスリル棒をセットして出来上がるまで待ってるだけでいい。
魔石に魔力を込めたり情報複製魔法を使用したりと魔力を結構消費するので、1日24時間使用すると魔力を補充するのに3日72時間は水力などを利用した魔力補充器の中で魔力を補充しなければならない。
アイテムボックスから取り出して実験で魔石付きミスリル棒が出来上がるまでに掛かる時間は1時間弱、57分ほどだった。出来上がったら地球の電子レンジのようにピーピーと電子音が鳴るように分かりやすくしてある。
専用転送器を40台製作。
これは1日のうちで6時間使用して結界棒を製作し、残りの18時間は魔力補充に当てれば永久に同じ結界棒が作り出せるだろう。
1時間で10本、24時間で240本これが10台で2400本。日産2400本なら上手く使えば市場に流して販売することも可能になるだろう。
労働も単純なので女や老人の奴隷にさせればいい。
リビングに戻り明日は予定が出来た事を伝えると、嫁達は明日は全員の練習がてらに久しぶりに大森林の森林モンキー&ゴブリン狩りに行く事に決定したと教えてもらった。
日中は森林モンキーは巣の中で過ごしていて外にはほとんど出てこない魔獣なのだが、今までの狩りでいくつかの巣の場所は判明してるのでそこを中心に狩りをするようだ。
巣から巣へ移動しながら周辺のゴブリンやオークの巣も叩きに行くようだ。
どの種族も巣の場所は今までの狩りですでに判明していて1度は殲滅してる。
俺のMAPには入力されているのでみんなで襲撃するだけだ。
森林モンキーもゴブリンもアイリやミーの無手の技の練習になるほど弱い魔獣だし、森林モンキーもゴブリンも2種類の魔獣は防御力はほとんどなくスピードだけなのでクラリーナの弓の練習にも最適だろうという結論からの選択だった。
るびのとフォクサもサポートしてくれることになってるが・・・俺の意見でユーロンド1号とセバスチャンとマリアも同行するようにした。
大所帯になるが回収係も必要だろう。
明日の予定が決まったので、るびのはフォクサを連れて露天風呂に入りに行った。
俺達夫婦は酒を飲み始める。
俺は嫁達と雑談を交わしながらゴーレム達の報告を聞く。
決闘状を送ってきた3つの道場は俺の返答を持ってきたユーロンドに斬りかかってきて正当防衛が成立してから壊滅させた。
道場破りではなく全員を壊滅状態の大怪我で止めてそのまま放置して帰ってきた。
ユーロンドが出てきた時に近所の道場の人間が道場破りかどうか聞いてきたようなので、今頃は近所の道場によって正式な道場破り扱いにされているだろう。
俺はそこまで道場なんかいらないし、近所の道場は喜ぶだろう・・・半死半生の道場生たちに今までの恨みを仕返しできるし、労せずに道場の土地と建物まで手に入る。
その後は戦国時代に突入するだろうから上手く近所付き合いをしていかないと明日は我が身だってことは理解しているのかは不明だと周辺を情報収集している忍から報告を受けた。
任侠ギルドは今夜に首都シーパラに向かって行動を開始するようだ。
マフィアギルドの生き残った3つの下部組織の内定が終わり、任侠ギルドのサブマスター『マナガルム・ブラム・アバルニア』が率いる先発隊はこれからマヅゲーラを出発して明日の朝に到着する予定。
攻撃部隊は今から徒影と忍と合同で3つとも全員の組織員を奴隷にする計画。
それで明日の早朝に到着するマナガルムに土地・建物・人員の全部を、任侠ギルドの表向き用に組織する『ローションマッサージ商会』に吸収させることになった。
ローションマッサージ商会の立ち上げも明日の早朝に商業ギルドで登録してくる事まで決定済み。
商会を立ち上げた後に奪い取った土地と建物を隷属の腕輪を付けた奴隷から商業ギルドを通して商会に販売させる計画なので税金は掛かるが正式にローションマッサージ商会の所有となる。
2つの組織の土地と建物は主都シーパラの西地区と東地区に分かれているので都合が良いらしい。
ローションマッサージ商会で働く女性の人員は募集を掛けたら、今日だけで40人以上の申し込みが既にあって、これから面接して技能を教習させて徐々に営業を開始する手順まで決まってる。
俺は出資金も任侠ギルド経由で送ってるので後は待ってるだけだな。
ローションマッサージの店舗を作成するために、俺が毎回乗り込まなくてむ済むように建築・解体・改築をこなせるゴーレムを作ることにする。
『ビルドゴーレム』と名付けて・・・俺のアイテムボックスに中に大量に余ってるワイバーンの骨と皮を使って製作する。
全身の表面にはオークロードの革を張り見た目はハゲ親父っぽく仕上げた。
身長は俺とほとんど変わらない170cmぐらいだが、筋肉ムッキムキのハゲ親父仕様。
上は作業服、下は地下足袋とニッカポッカ・・・日本の建築現場のトビ職のような服装を龍布で製作して装備させた。
・・・異常なほど似合ってるな。
武器はハンマー・ノミ・ノコギリ・スコップ・つるはしなどの土方系で決まりだな。
大型の魔水晶を3つほど内蔵させて周囲に複数の魔水晶と魔石で魔力を増幅できるように組み上げる。
大型の魔結晶を複数の魔水晶で魔力を増幅しておかないと建築スキル魔法は魔力を大量に使用するから仕方がない。
魔結晶の2つは魔力タンクとして使用できるようにした。
普段は複数の魔石で魔結晶タンクに魔力を蓄えておいてブーストして使用できるようにする。
その他のスキルは別の場所に搭載した魔結晶にスキルを封入しておく。
周囲に迷惑をかけないためにも結界のスキルは忘れずに封入。
ビルドゴーレムは任侠ギルドで登録してローションマッサージ店製作だけでなく、マヅゲーラの街を再開発させることにしようと計画して作った。
なので2体のビルドゴーレムを製作してビルドゴーレム1・2号として登録。
マヅゲーラの街の混沌とした影の中の闇の部分に多数の店が存在していて、違法な奴隷売買や薬物の販売などの行為が数多く隠れている。
マニアが通う隠れた名店などのアンダーグラウンドな性行為やマニアの趣味だけで営業してる様な部分は上手く残しつつ、違法奴隷売買と違法薬物の売買は全力で叩き潰す。
そのためにビルドゴーレムのする仕事は多いだろう。
ローションマッサージ店も続々増やす予定なので俺の仕事が減るのはありがたい。
仕上がったビルドゴーレム2体はマヅゲーラの任侠ギルド本部で待機中の徒影1号のアイテムボックスに送って俺の作業は終了だな。
意識をリビングに戻して嫁達との話をツマミに酒を飲む。
今日は俺が何もネタを振らなくてもアイリとミーの過去に付き合った男の話で盛り上がってた。
以前、冒険者ギルドシーパラ支部で見たミーに絡んでた男みたいなストーカー被害はアイリにもあったようだった。
パニックになるとアワアワしてしまうアイリだが・・・ミー曰く、普段はおっとりしながら傷口を直接えぐる様なキツイ事も平気で言ってくるので、興味のない男をフルときは一刀両断するタイプらしいんだけど、それで逆にマニアックな趣味に目覚めちゃう男も中にはいるらしい。
なので、アイリの場合のストーカー被害はほぼないけど変態さん製造機となってるようだ。
街中で薄気味悪い変な男にちょいちょい話しかけられるとか、意味不明な手紙を渡される程度にしか本人の自覚がないってのが凄いな。
雑談で盛り上がってるところに早乙女商会ドルガーブ支部に襲撃計画を立てていた紫村流出身者の冒険者チームに動きがあったと偵察任務を続けている忍から連絡があった。
俺の持つ資産に目がくらんだ人達で紫村流出身者を集めて早乙女商会に近づいてきてる。
総勢64名という大所帯で急遽チームを組んでいるようだ。
「でもなんで、俺に念輪連絡してきたんだ? 事後報告でも構わないのに」
「襲撃者チームの中にテイマーがいましてグリーンウルフが2頭います。オスとメスのつがいですね。ひそかに念輪でコンタクトを取ったのですが・・・メスのおなかの中には子供がいて身重なので・・・ご主人様に報告させていただきました」
「身重って・・・すぐにでも生まれそうって事なのか?」
「いえ、そこまでではありません。グリーンウルフの妊娠期間は受精から約2ヶ月です。今は妊娠1ヶ月を超えていますので安定期でしょう。出産までにはあと10日以上は掛かると思います」
「なるほどにそういう事での報告か・・・わかった。襲撃者が早乙女商会に到着する予想時間は?」
「あと15分後だと思われます」
「意外と時間い余裕があるな・・・了解。今回は俺が出向いてグリーンウルフを奪い取るよ。襲撃者に関してはユーロンドに任せる。忍は引き続き偵察を頼む」
「はっ」
俺は矢継ぎ早にゴーレム達に指示を下してから立ち上がる。
嫁達に状況を説明しながら、グリーンウルフのつがいを助けるために俺が直接出向くことになったと伝える。
3人の嫁になるべく早く帰ってくるけど警備隊へ連絡すると調書を取られることになるから戻ってこれる時間が分からないから先に寝ててねと言って、全員とディープキスをしてから転移魔法で早乙女商会ドルガーブ支部に跳んだ。
ガウリスクに念輪で連絡を取ると・・・
『待ってますのでいつでも連れてきてください。逃走してきたグリーンウルフの扱いも慣れてますし大歓迎でお迎えします』
との事なので少し計画を練ることにする。
俺は表に出ないで、あくまでグリーンウルフだけを奪い取ることにする。
なので襲撃者からは見えない暗がりで隠者スキルで気配も魔力も断って待機した。
ガチャガチャうるさい集団が”徒歩”でやってきた。
なるほどね・・・だから出発してから20分以上も掛かってるんだ。
トボトボと後ろを歩くグリーンウルフを見てるがメスは確実におなかが膨らんでるってのが外から見ても誰でもわかるのにな。
夜の9時過ぎにこんな場所まで連れ出しやがって。
でもこいつらみたいな小悪党は俺がグリーンウルフが妊娠しているのに気付いて躊躇する・・・それすらも狙いで連れてきてるんだろう・・・ムカついてきた。
遠慮はいらないから叩き潰せと『死なない様な地獄のフルコース』をユーロンドに指示を出す。
つがいのグリーンウルフのステータスの中にある所有者の欄を白紙にしてテーマーとの契約を破棄させてから、2頭をグリーンウルフダンジョンに転送魔法で強引に送った。
襲撃し始めた矢先にテイムしているグリーンウルフが消えてテイマーは右往左往してるが、そんなの俺の知ったことじゃない。
俺も後はユーロンドに任せて転移魔法で後を追った。
つがいはいきなり転送魔法でグリーンウルフダンジョンに送られてビックリしていたようだが、跳ばされた先にいるのは同種族のグリーンウルフで、るびのの眷属の証を目の周りのクマドリにしているガウリスク。
挨拶し終えたところに俺もあとから追ってきた。
つがいの2頭は突如現れた俺に警戒して唸り声をあげるが、ガウリスクから俺との関係を説明されて頭を下げて謝ってくる。
とりあえず襲撃の時は朝から飯抜きになってると大黒豹のアラン達も言ってたので、俺のアイテムボックスの中で大量に余ってる森林モンキーの骨付き肉をこんがり焼いて出してあげた。
つがいのグリーンウルフがガツガツと美味しそうに食べてるのを見ながら、ガウリスクにあとは全部任せて俺は早乙女商会ドルガーブ支部の執務室に転移魔法で跳んだ。