貰った土地建物で早乙女商会のドルガーブ進出が決定したっす。
11・20修正しました。
「貴様たち、本気の様だな・・・わかった。ではこの書類にサインして今すぐその支給されてる剣と革鎧を脱いで返却しろ! その格好で死んでもらうとワシだけでなく全世界の警備隊隊員が厄介なことになる可能性があるんだ。その後でワシが立ち会ってやるから殺し合いの決闘をしろ!」
「やめてやるよクソジジィ! このクソガキ殺したら次はジジィの番だからな?」
「そんな心配しなくていいよ。俺がキッチリ全員殺してやるから・・・つーか、俺と決闘したいのはたったこれだけでいいのか? 自由に参加していいぞ」
「お前等、早くこの書類にサインして着替えてこい! 自分の荷物をもって帰ってから、さっさと支給品を返せ! 早乙女さんには悪いがこれは警備隊の話だからちょっとだけ待っててくれ」
「ほいよ。じゃあ、俺は外で待っててやんよ。お前等逃げんなよ?」
俺は警備隊ドルガーブ本部のゴーレム馬車駐車場で早乙女木刀を左手で肩に担ぐようにして持っている。
やがて自分の持ってる武者鎧に着替えた23人がやってくる。
本部長が後からやってきて決闘のルール決めがされていく。
賭けるモノは命を含めたすべてという事になった。
つってもコイツ等は何の資産もない。
俺の鑑識魔法で詳しく調べたが23人全員で現金は800万Gもないし、住んでる部屋も昨日までは全員が道場にある寮に住んでいたらしい。
武器も防具もせいぜい一級品のモノなので・・・素材にしかならないな。
俺は時折『プークスクス』と笑いながら終始ニヤつきながら決闘ルールを取り決めていたので、23人だけでなく本部長までブチ切れてるようだ。
だって仕方がないだろ・・・23人は日本式の武者鎧装備で兜をしてるんだけど、兜の前立てが『侍』って文字になってる上に特攻って書いた鉢巻を締めてるんだぜ?
ご丁寧に特攻の特と攻の文字の間に旭日旗まであったら笑うって。
誰だよこんなこと教えた転生者は・・・それにお前達、特攻の意味わかってるのか?
先程まで俺の心の中を渦巻いていたムカつきは完全に消滅したけど、まさか『お笑い』攻撃をされるとは思わなかった。
大笑いを必死にこらえてると、どうしてもニヤニヤしてしまうんだが・・・それが相手の怒りの炎に油を注いでるってのは俺もわかってる。
時々我慢できなくて顔をそらして肩を震わせてるのもワザとじゃない。
こいつらが怒って額に血管浮いてるとさらに滑稽差が増してる。
何故か立会人&司会者になった本部長まで怒りで顔が真っ赤になってると・・・何のイジメだよ、これ。
物凄く息が苦しいんですけど。
「では・・・はじめ!」
本部長の掛け声に23人は後ろに下がって隊列を組む。
1列目6人2列目7人3列目6人4列目4人という6・7・6・4っていう密集したフォーメーションらしいのは俺が剣客だという情報を持っているからだろう。
意味ないんだけどな・・・
『影縫い』
カタナを中段に構えたフル武装の侍が胸まで自分の陰の中に沈み込まれていった。
忍者スキルのスキル魔法を言葉も発さずに使うと、こんなもんだな。
ここで俺は我慢するのをやめて転げまわって爆笑した。
「アーッハッハッハッハ・・・かんべんしてくれ、死んじゃう! アッハッハ・・・」
「卑怯者め! こうやって師匠たちを殺したのか! 正々堂々と勝負しろ!」
「卑怯者って何が? お前らの言う殺し合いって何? 正々堂々の殺し合いってルールあんの? アーッハッハッハ」
「ぐぬぬ・・・」
「俺は冒険者なんだよ。道場の中の平和な世界と違って、油断した瞬間に魔獣に逆襲されて食われてしまう冒険者なんだよ。魔獣の毛皮が欲しけりゃ罠にハメて殺すことも平気だし、それを人間相手に使う事に何のためらいもないけど・・・クックック」
「ふ、ふん、卑怯者め!」
「アーッハッハッハ・・・だから卑怯って何の事? 『俺はこれから貴方達にこんな攻撃しますけど良いですか?』って許可を得ないと卑怯なの? それじゃあ、最初のルールを決めるときに言えよカス」
「ぐ・・・」
「お前らの正々堂々って23人で1人をボコボコにするのが正々堂々なの? なら初めにそういえよ・・・自分勝手だなぁ。で、自分が都合が悪くなってくると敵を卑怯者呼ばわり? 殺し合いのなんたるかも知らないクズが『卑怯だ! 卑怯だ!』って言ってるの?」
「・・・」
「殺し合うのにルールがあるなら初めに言えよ。この決闘の最初にルールを決めたのはお前達だろ。それとも俺だけが一方的に決めたのか? 俺は何も言ってないだろーが。ワザワザお前たちの土俵で戦ってやろうとしてたのにお前らがそれを放棄したんだろ?」
「ぐぬぅ・・・」
「命のやり取りをしない道場だけの棒振り剣術になってないかおまえら。それでよくもまぁ殺すだなんて気軽に言えちゃうな。殺される覚悟もないのに殺し合いを望むなよ」
「クソッ・・・ここから出せ!」
「アッハッハ、出して下さいだろ? 殺し合いの最中だぞ? 出たけりゃ自分で出ろよ。何で殺し合いをしてる敵のいう事を聞いてあげなきゃならんの?」
「・・・」
「さぁ笑いも収まってきたし、そろそろ処分しますか」
「ま、待て・・・待ってくれ!」
「待ちませーーーん。師匠と同じ武器で殺してやるんだから感謝しろよ?」
俺は今まで会話していたリーダー格の男の兜を外してやってから、上段から振りかぶった早乙女木刀を脳天に叩きおろして頭部を消滅させた。
俺が死体から影縫いを解放させたので浮き上がってきた。
鎧一式装備を外して鉢巻したままの兜と一緒にアイテムボックスに入れた。
日本式鎧などの構造がよく分からなかったのでアイテムボックス内で分解して一度すべての構造も調べて見たかったので、殺す前にワザワザ兜を外しただけだったりする。
ワーとかギャーとかワーギャー五月蠅い大騒ぎの中、22回早乙女木刀を振り下ろして決闘を終了させた。
卑怯だのなんだのってうるさいのでコイツらが大騒ぎしそうなほど卑怯っぽい手であえて虐殺をする。
死体を全部アイテムボックスに入れておくことにする。
合法的な死体は売れたはずだしな。そのうち冒険者ギルドに売りに行こう。
今までワガママを数の力で押し通してきた武闘派お笑い芸人の末路としては上出来だろう。
俺は立会人をしていた本部長の青ざめる顔に向き直って聞いてみた。
「先ほど怒ってましたけど・・・参加されますか? どうします?」
「いや・・・ワシには決闘するつもりは全くないよ。君にケンカを売るつもりもない」
「それならいいんですけどね。ではこの辺で・・・」
ゴーレム馬車駐車場で繰り広げられた決闘の飛び散った血しぶきを、いつもの3点セット魔法で処理し終えたので再び警備隊本部に入っていと、後ろから本部長の声がかけられる。
「早乙女さん、そっちは警備隊ドルガーブ本部だ。まだ何かあったのかな?」
「何かあるって・・・本部長は全く状況が分からないようですね」
面倒臭そうに俺が口を開いて説明しようとしたら俺の受付をしていて騒動の渦中にいた受付にいた窓口職員が4人のバカを呼んできた同僚を捕まええて全部の説明をさせた。
この本部長って喧嘩を止めるそぶりはほぼなかったし、かなりの能無しだ。
こんな事を天下の往来で大声で話すことじゃないってのが理解できてないのだろうか?
案の定、説明が終わったら周囲にいた野次馬からヒートアップしたヤジが入る。
『警備隊本部に行ったらAクラスの冒険者ですらケンカ売られるんだろ? 警備隊の仕事って何なんだ?』
『街の治安維持部隊が正義のヒーローとまで呼ばれてる人にこの仕打ち・・・普通じゃありえないなぁ』
『え? 決闘のときは辞めた後だって? ケンカ売ったのはいつ? 誰から?』
『警備隊が守ってるのってなんだ? 自分達の組織だけか?』
今や野次馬の方がブチ切れて怒号になってきてる。
本来であれば暴動を鎮圧するための組織でもあるのが警備隊なんだが相手は自分達の失態で怒っていて説明を求めてる”住民”だからな。
なにしろ大騒ぎをしている住民の中には俺が受付してもらっていた窓口の俺のすぐ後ろに並んでいて、すべての一部始終を見て聞いてた人までいる。
警備隊本部の中にいた人も1人や2人じゃない。
見てた住民達は俺が理不尽にけんかを売られてるのを見て怒ってる。
これは決闘の話じゃない、喧嘩を売ってきた4人の警備隊隊員が警備隊ドルガーブ支部にいるって事が問題なのだ。
さらに俺も途中から不審に思ってたことまで怒号の中から噴出してくる。
『本部長は警備隊を辞めさせるって事に異常なまでに拘ってたけど、ケンカをやめさせようという事は考えてなかっただろ? むしろ煽ってたよな?』
って事。
これについては俺も本部長を不信感の塊とさせた行動だったので・・・聞きたかった事の1つだな。
コイツは最初っから止めようだなんて感じなかった。
理由すらよく分かってないのに決闘も煽ってたし俺に睨みつける事もしてたので、俺としては敵の一味だという設定で話をしていたのだが・・・違うのか?
俺の立場はすでに傍観者となってる。
返事に言いよどむ警備隊の本部長の態度に野次馬だった通りすがりの一般人までも激昂して大騒ぎに発展してしまってる。
もしも会議室などで俺が怒って聞いていたとしてもここまでの醜態にならなかっただろうが、ここはドルガーブの街の大通りに面する警備隊ドルガーブ本部のゴーレム馬車駐車場で、周囲には普通の職人さんたちも往来してる場所。
こんなところで大声で話して良い事とダメな事との区別もつかないようだから、かなりレベルが高い能無しのようで住民との受け答えもまるでできてないし・・・これは時間がかかりそうだな。
本来は騒動が起こった時に駆けつけてきて収拾させる役目の警備隊なのだが、今回は本部長が騒動の中心人物になってるので収拾不能になってるな。
というより、周囲にいる警備隊の隊員も職員も全員俺のようにニヤニヤしながら眺めてるだけで誰一人助けようとか、騒動を収束させようとかという行動を取ってる人間がいない。
警備隊本部の出入り口で警備をしてる完全防備の隊員ですら眺めてるだけだ。
・・・もしかしてコイツって好き勝手なことをして嫌われていたパターンかな。
次第に住民が詰め寄ってくるので俺は輪の中から追い出されてしまった。
同じように追い出されたのは俺の受付をしてくれた窓口の人だったのだが、俺の顔を見て少しニヤッとしたのでこの状況を作り出したのは彼だな。
俺もニヤッとして話しかける。
「早乙女さん申し訳ないです。変な状況に巻き込んでしまって・・・」
「もしかして・・・狙っちゃいましたか?」
「そんなぁ・・・偶然ですよ偶然。今から考えると外で話すことではなかったかなぁとは思いますけどね」
「どっちにしても気付かない本部長の責任で自業自得ってヤツですよ。自分のしてる事を考えると外で話す内容じゃないって気付かないのは重症ですね。裏庭で決闘をさせればいいのにも係わらず、こんなところで決闘をさせて何が目的だったんでしょうかね」
「それは私にもわかりませんね。ただ、早乙女さんが成敗した4人は警備隊の幹部でして・・・本部長とは切っても切れない仲だという事は警備隊ドルガーブ本部の人間だったらみんな知ってます・・・腹心の部下ってヤツでしょう。住む場所を追い出された昨日は飲み屋でだいぶ暴れたという情報・・・苦情も今日はきてるんですよ」
「好き勝手にやってるなぁ」
「あの本部長が就任したのは2年前・・・以来、町の治安が悪化しているのは街の住民なら誰もが知っている事です。本部長を支えていたのが一緒にやってきた4人の幹部と紫村道場でした」
「もしかして紫村道場繋がりだったのか?」
「繋がりどころかずぶずぶですね。紫村流道場はOBも多いし紫村流の免許皆伝はこの町にも数多くいます。ですので早乙女さんには申し訳ないのですが、あの道場の土地建物は誰か別の方に売られた方がいい様に思います。道場を始めるにしても商売を始めるにしても嫌がらせをされる可能性を否定できないのですが・・・」
「それは気にしなくてもいいよ。営業妨害に対しては実力排除が認められてるシーパラ連合国なんだからな。地獄のフルコースをごちそうしてやんよ」
シーパラ連合国は商人が作った国。
営業妨害は力でねじ伏せていかないと商売なんてしてられないし・・・事実、力による排除(生きてさえいればOK)は認められている。
だからこそ嫌がらせにも覚悟がいるのだが・・・この調子だとユーロンドによる紫村流道場の出身者のケガ人は続出するだろう。
そんな雑談をしてるとドルガーブ行政府から役人が走ってきたようだ。
騒ぎを見ていた人たちからの苦情がきてチェック(監視?)と仲裁に来たみたいだな。
ここに来てやっともう一度警備隊本部の中に入っていって大きな会議室でドルガーブ行政府の役人の立会いの下で状況説明と騒動の検証が行われる事となった。
俺と職員の2人で説明しながら話を進めていくと俺の見ていない部分を見ていた住民から補足説明が入ってきて全体像が浮かび上がってくる。
話を聞いてると秘書なども完全に本部長を売ったような説明で、俺の真偽魔眼でも真実の話をしていることがわかるのだが・・・本部長の味方が誰もいなくて、4人のバカを呼びに行った窓口職員すら”脅迫を受けていた”と正直に話し始めてるので今回の騒動の背景が見えてきた・・・
昨日、紫村流道場から追い出された全員で”俺を殺害する事”に昨日の夜に飲みながら、全員で話し合って決定した。
その飲み屋には途中から本部長が合流して一緒になって飲んでいたことが住民の目撃情報から出てる。
窓口の人間を脅して俺がやってきたら即座に通報させて決闘システムを使って俺の全財産と命を奪う。
ルールでは警備隊は決闘が出来ないので4人は一時的にやめるだけの算段だったこと。
飲み屋で大騒ぎだったので全部の話が筒抜けだった。
それで朝から店側や近所住民からの苦情がいくつか来ていたという証言が窓口職員からもあったし、話をしていた内容まで職員に伝えられていた。
今日の朝まで飲んで大騒ぎして今日は仕事もしないで午前中いっぱいを使って本部長室で5人は寝ていたようだった。
さらに迎え酒をしてたようで行政府の人にまで『まだ酒の匂いがしますね』とまで言われてる・・・何やってるんだコイツらは・・・仕事もしてないのかよ。
4人の幹部と本部長は窓口職員を以前から暴力でガチのイジメをしていて脅迫行為を度々行っていて、窓口職員は同僚にすべてを愚痴っていた・・・俺の受付をした人が愚痴を聞いてる人だった。
今日も昼御飯中に本部長室に呼び出されて早乙女真一という奴が来たら教えてくれ、話し合いがしたいからと頼まれていて断れないし話し合いだけならいいかと了承していた事まで全部暴露されてしまってる。
一通りの説明が終わったところで報告書がまとめられて本部長は拘留される事となった。
度重なる警備隊規則違反が発覚したからだ。
今の時刻をもって本部長の役職を罷免され警備隊組織からも追放される事となった。
これから首都に連絡して明日の朝にはシーパラから本部長が送られてきて代わり、本部長だった男は犯罪者としてシーパラで裁判をされることになるだろう事が行政府から発表されて本部長は隷属の首輪が装備させられてアイテムボックスの中身を全部出されることとなった。
俺の隣にいた窓口の人の説明では・・・奴隷送りは決定だろうし、刑は4~5年は確実だと教えてもらった。
テンプレとして・・・こういうタイプの男は警備隊の資金を使い込みなんかしててもっと刑は長くなると予想してると俺が言ったら、『確かに不審な点がいくつか考えられますね』と言って・・・うーーんと考え込んでしまった窓口職員・・・いろいろ内部の人間にしかわからないことがあるようだな。
どっちにしても俺の関係する事はここまででいいだろう。
隣で考え込んでいるう受付窓口にいた人に話しかける。
「そろそろ紫村流道場跡地に行ってこっちも作業がしたいんだけど・・・」
「・・・失礼しました。それでは担当者を呼んでまいります」
ここまで俺のターンなし! ってぐらいに全く先に進む事が出来なかったが、これで先に進んでいく事が出来るようになった。
ドルガーブには来たことはあるけど早乙女商会としては初進出になるので情報収集も兼ねられるように、アイテムボックス内で忍を20体ほど製作しておいた。
後で道場を立て直してから街に放つ為の準備をしておくとしよう。
その他の準備もアイテムボックス内で済ませていく。
もふもふ天国ドルガーブ店も作る予定だったので、愛玩ゴーレム15体・メイドゴーレム3体・・・メイドゴーレムの名前は分かりやすくする為に『ドルガーブメイド1~3号』とした・・・などの製作もしておかないとな。
アイテムボックス内で製作しながら受付窓口の人が連れてきた封印解除の担当者に連れられて歩いて道場跡地に向かった。
徒歩10分で到着・・・これは馬鹿が意地になってでも取り返したくなる立地条件というのもわかる気がするな。
警備隊ドルガーブ本部から徒歩なら10分だけどゴーレム馬車であれば5分もかからない場所。
渡された地図によると敷地面積は早乙女邸以上。
ちょっと大きめ体育館ぐらいありそうな広めの道場と、その周囲をコの字型に取り囲む2階建ての独身寮らしきものまであり・・・これはデカい拾い物だな。
それと・・・不思議な事に道路に面したゴーレム馬車駐車場に警備隊ドルガーブ本部という文字の入ったゴーレム馬車が1台停車している。
「このゴーレム馬車ってどういう事なんでしょうか?」
「まぁ単刀直入に申しますと、本部長と4人の幹部が”私用”で勝手に使っていたモノです」
「ホントに好き勝手してたんだな・・・」
「ハイ。今は本部に停車中のもう2台とコレを完全に私用で使い回してましたね。それと、道場と寮には全部の私物が置きっぱなしになっていたと思います」
「はぁ? どういう事なんですか?」
「私が結界師ギルドの人間と封印しに来た時になぜか本部長が立会いに来まして”このままでいい”と言われてそのままになってるんです。警備隊シーパラ本部の問い合わせにも”何も残ってなかった”と本部長が回答してます」
「本気で取り返せると思ってたんだなぁ・・・」
「道場のモノは道場破りによって早乙女さんのモノですし、寮の私物は先ほどの決闘で全部を賭けるという取り決めだったと伺ってます。勝利した早乙女さんのモノになりましたんで、ご自由にお使いください。負けた人間のアイテムボックス内のアイテムと現金は早乙女さんに、すでに渡ってると思いますのでそちらもご自由にどうぞ」
「エロ本とか変なモンばかりが俺のアイテムボックスに入ってきてるよ。超いらねぇ」
「私はこのゴーレム馬車に乗って帰りますので、こちらの書類にサインをしてください」
渡された引き渡し書を読んでからサインして担当者は封印を解除して魔石付きのミスリル棒を引き抜き、警備隊ゴーレム馬車に乗って帰っていった。
彼らが使用している魔石付きミスリル棒は俺の魔石付きミスリル棒とはハードは同じでも中身のソフトが違うので、10日ごとに魔力を補充しに来なければならない簡易なモノだ。
彼らが使用する魔石は乾電池と一緒で魔石には魔力のみが入ってる。
俺の使用する魔石付き結界用ミスリル棒には魔石の自然回復力を限界まで高める魔法と24時間でついたり消えたりする魔法まで封入されてるので、外観は同じでも中身が全く違ってる。
俺のは魔力を補充しなくても半永久的に2本で交互に結界を張り続ける。
俺が自分の敷地で立て替えの時に空中に浮かべて使用するミスリル棒はさらに幻影の魔法まで封入してあるし、効果範囲は敷地全部を覆えるほど広く強力となってる。
短時間だけ持てばいいからな。
立て替えが終わると今度は塀・門・屋根などに魔石入りミスリル棒を埋め込んで結界で雨水までコントロールしてる。
時間を大幅に無駄遣いしているのですでに時刻は夕方の4時近い、早速空中に魔石付きミスリル棒を浮かばせて幻影の結界を張り、敷地外からは俺の姿すら見えないようにした。
8台停車できるゴーレム馬車駐車場を通り過ぎて正門は閉じたまま通用門を開けて中に入っていく。
ユーロンド5体と忍を20体アイテムボックスから取り出して防衛任務と情報収集を開始させる。
道場の中に初めに入ったが畳まれた胴着・竹刀・木刀はそのまま置いてある。
道場正面に飾られてる看板もそのまま残ってる。
竹刀でやっと竹が少しだけ手に入った。
竹刀も胴着も木刀も建物も全部素材に戻して更地にした。
ここには地下室がないし隠し部屋みたいなのもなかったので道場破りはどうやって撃退していたんだろうか・・・集団の暴力だろうかな・・・どうでもいい事なんだけどふと気になった。
寮の方も全部の部屋をいろいろ回ってみたが、どの部屋もエロ本が異常に多いヤツラだな。
イーデスハリスの世界にはカメラも写真もないが、漫画は発達してるようでエロ本=エロ漫画という具合になってる。
今日の決闘で23人ぶち殺して一番多いのは服でその次はエロ漫画だろうってぐらいに多い。
集めるなよこんなの・・・結果的に俺の手元には200冊以上も集まってしまった・・・マニアックなのも多種多様にある。
俺がエロ本収集家みたいになってるのはちょっとハラ立つな。
エロ本は素材の植物繊維にまで戻してアイテムボックスに保管することにする。
寮の中身も寮の建物そのものもアイテムボックスに入れて全部素材に変換させた。
こうやって私物をそのまま残してたのは、すぐに取り返せるという自信があったんだろうけど・・・俺の本部の道場破りをなんだと思ってたんだろう。
警備隊のトップと幹部4人もいるんだからどうとでも出来ると思ってたんだろうか・・・
シグチスも同じようにケンカ売られるんかなぁと憂鬱になってくるな。
塀や門も全部を更地に戻してから全部をつくりなおした。
魔石付きミスリル棒を等間隔で塀の内部に埋めて敷地全部に結界を発動させる。
建物は今まであった寮や道場と雰囲気が似てる純和風の建築物ではあるが、レイアウトなども全く変えた。
寮と道場で別れていたのを1つの大きな建物にして1階のほとんどの部分を使って、もふもふ天国ドルガーブ店を作る。
紫村流道場はシーパラ本部もドルガーブ支部も塀も門も高いので道路や隣からは見え難いし、高層ビルからも角度的に見え難い場所となってるので、かなり大胆に建て替えができるってのは・・・利点と言ってもいいぐらいの収穫だな。
もふもふ天国の店舗レイアウトは他の店舗とほとんど同じにしてある・・・もうすでに俺に中では統一規格になってるので内装を仕上げるのは早い。
追加で別の入り口を2つ設けた。
1つは2階のモフモフマッサージ天国へ昇っていく階段で、もう一つは裏口にあって扉は早乙女家の関係者以外は壁にしか見えないように偽装されている。
部屋は転移魔法でドルガーブに跳んでくる為の転送部屋となってるので、玄関と部屋しかない。
3階は2部屋しかなく狭いが早乙女商会の執務室と応接室の事務所となってるので、こちらにも転移魔法で来ることはできる。
3階へは簡易ゲートをつけて1階の転送部屋に繋げる。
セキュリティの為に階段はつけない。
転送部屋にはもう一つ簡易ゲートを設置して、そちらの簡易ゲートは早乙女邸のガレージに設置して繋げる事に。
簡易ゲートの上に行き先を書いたプレートも、分かり辛かったので取り付けることにした。
最後の仕上げに2階のモフモフマッサージ天国ドルガーブ店の内装をつくって終了させた。
後は商業ギルドでメイドゴーレム・愛玩ゴーレムなどのゴーレムたちの登録と、もふもふ天国とモフモフマッサージ天国の2店舗の届け出を済ませれば両店舗の営業を開始させる事が可能となった。
脳内のMAPで商業ギルドを探してから登録をしに行ってくる。
商業ギルドドルガーブ支部には知り合いもいないし、紹介状もないので少し不安があるが今更どうにもならない。
ここから歩いて10分ぐらいのドルガーブの街の中心部の方に商業ギルドの支部があるので、ノンビリと歩いていく事にしよう。
さきほど街に放って情報収集任務中の忍からの念輪連絡があったのだが、この早乙女商会ドルガーブ支部はすでに周囲に人が2人きていて中の監視を始めているみたいだ。
俺狙い・・・だろうな。
面倒なんで忍からMAPで3人が監視してる場所を教えてもらってから、気配を探ってスリープ魔法で眠らせてやった。
忍に不審人物たちに応援や連絡をしに来た人間も全員を寝させて、周囲の通行人の死角に放置しておくようにと指示を出した。
2体の忍が不審者2名を暗がりに連れて行った。
人の家をこっそり監視しようだなんて奴に碌なヤツはいないだろうから、フォクサがブランディックスダンジョンでくらったエンドレス睡眠地獄のように老衰で死ぬまで寝させてやるのもいいな。
まぁ10日ぐらいは全員を睡眠地獄に招待してあげることに指示を出した。
馬鹿の処分はこれぐらいにして歩いて商業ギルドドルガーブ支部に歩いていく。