アゼット迷宮ソロ攻略、B16Fまで行けたっす。
1・8修正しました。
早乙女工房1Fの転送部屋の転送魔法陣で居住フロアに移動する。
俺のこの後の予定は嫁たちを追っかけることなので、まずはアイリたちに念輪で連絡を取ると既に昼食は食べ終わっていたみたいだったので、俺は早乙女邸に転移魔法で帰宅してから昼食もボッチで食事する。
セバスチャンは庭の畑の世話に行ってしまい、俺はリビングを掃除中のクロを邪魔しないようにダイニングで昼食を済ます。
昼食はうな丼・肝吸い・お漬物のセットにした。
手早く食事を済ませると俺はそのまま早乙女邸1Fの客間へと行って防具に着替える。
サイラスの甲殻鎧を着て左右の両腰に2本のカタナを装備してから、玄関に行くと玄関ではセバスチャンが既に待機中だった。
サイラスの甲殻ブーツを履いて玄関に降りてからセバスチャンを連れて転移魔法で大森林の中のアゼット迷宮に1番近くの場所のいつもの広間に移動する。
このまま嫁たちが今攻略中の地下16階の休憩室のところにそのまま転移魔法で追いかけて合流してもいいのだけど・・・と考えていたが変更する事にした。
嫁達に俺は別行動で攻略すると説明して今日の夕方4時に早乙女邸に待ち合わせ時間を伝えて、それまでセバスチャンと2人でアゼット迷宮を攻略する。
アゼット迷宮の入り口から降りていく階段の途中にある転送部屋からB11Fに移動する。
俺は自分一人では転送部屋からB11Fまでしかいけないしな。
B11Fに出てくる魔獣『マッチョゴブリン』は以前アイリがクラリーナに説明していたように、棍棒を持って振り回してくる脳筋バカで手に持つ棍棒を投げてくるという物理の遠距離攻撃まで仕掛けてくるので、守備力の無い魔法使い系やシーフなどは注意が必要だがまぁ・・・俺には必要ない。
セバスチャンを従えて歩いていくと早速飛んでくる棍棒、走ってくるマッチョゴブリン。
飛んできた棍棒を二本キャッチしてそのまま両手に握って装備して、走ってきた2頭のマッチョゴブリンに叩きつけると爆散した。
手に持った両方の棍棒も霧散して消えた。
俺はそのまま両足のスタンスを広げ腰を沈めるようにして襲い掛かってくるマッチョゴブリンに対して備える。
棍棒を上段に振りかぶって走り寄ってきたマッチョゴブリンが俺の間合いに飛び込んできた瞬間に、体を沈みこむようにした低い体勢から大きく踏み込んで飛び出し閃光の様な居合い斬り。
そのまま居合いの一の太刀から二の太刀へ移行して左右のマッチョゴブリン2頭を一刀両断にして、左の腰の鞘に天乃村正を納刀しないで構える。
マッチョゴブリンをドロップしたアイテム・魔石・魔結晶はセバスチャンが拾ってくれるので俺はマッチョゴブリンを狩り続ける。
左手で右腰の雪切正宗も抜いて二刀流で構え、今まで居合いの低く脚をくばった構えて落としていた腰を少し上げている。
剣客よりはどっしりとした体勢で立ち二刀流として自然体な立ち位置になる。
二刀流では剣客と違って足運びによって邸の攻撃を避けることだけでなく、敵の攻撃を迎え撃って1本のカタナで捌きもう1本のカタナで敵の体のどこかを切り裂く。
また先手必勝の言葉通り敵の攻撃を迎え撃つ前に攻撃前の一瞬の隙をついたりして攻撃を加えたりもするし、足も使って蹴りで攻撃も行う事もある超攻撃型戦闘スタイルなのが二刀流だ。
マッチョゴブリンがぶん投げた棍棒を切飛ばし、突っ込んでくるマッチョゴブリンも一刀両断、棍棒を振りかぶって飛び込んでくるマッチョゴブリンも二刀で切り伏せて、飛んできた棍棒を飛んでかわして回し蹴りをはなったりしていく。
敵は上位種とは言えゴブリンなんで手足を切り捨てるだけで死亡して消えてしまう。
マッチョゴブリンの通常ドロップアイテムは『ゴブリンリング』で重複不可ではあるのだが力を1だけ上げるリング。
メチャクチャありきたりなリングで素材はゴブリンの革で出来ている・・・まぁ、よくあるガッカリ防具がといえるんだろうな。所詮はダンジョンの序盤のゴブリンリングなので記念として持ってるという人のほうが多いアイテム品だろう。
指輪のサイズも所有者となった人の指のサイズに決定してしまうみたいだ。
それでマッチョゴブリンのレアドロップが『投げ斧』だ。
先端の部分が鋼製でグリップは樫の木製となってる。
地球だとアメリカの原住民が使っていた『トマホーク』ほどの大きさでグリップエンドに1mほどの長さの紐が付いてるので振り回して戦う事も可能だが、ある程度の距離から振り回して投げ敵に傷をつける投擲用となってる武器だろう。
マッチョゴブリンが装備している棍棒よりもよほど良い武器で、これは何かと使用・・・人によっては愛用している冒険者も数多くいる。
ブランディックスダンジョンでカマキリからのレアドロップアイテム『カマキリの片手鎌』とは違って金属製なので重量が1kgあり振り回して攻撃するには最適だろう。
重さのある武器なのでそれなりの腕力があれば短期間である程度は使いこなせるようになるし、殺傷力の高い遠距離武器としても使える武器なので人気も高い。
消耗品でもあるのでそこそこの高額で引き取ってもらえる武器だ。
レアなのに俺の場合は斧しか出ないってぐらいにドロップしているのには・・・毎回の事なんだが呆れてしまう。
そのまま進んで行くとマッチョゴブリンの上位種に出会う。
まだ夕方になってないのに上位種が簡単に出てくるあたりが俺の持ってる祝福・・・主神の祝福(天運)の力によるものだろう。
上位種『ゴブリン貴族』は1.5mほどの大きさの魔獣で全身を覆うフルプレートアーマーに身を包み、鉄製の鋲を打ちつけてある棍棒を二本両手に持って凄まじい速さで突撃してくる。
俺の前に現れたのは13頭のゴブリン貴族を2頭の『ゴブリン上級貴族』のペアが引き連れた合計15頭の群れだった。
最低限の右へのサイドステップで俺の頭に振り下ろされる棍棒を避けて、攻撃してきたゴブリン貴族の頭をフルフェイス兜ごと左手で持った雪切正宗で叩き切って、殺したゴブリン貴族の体が霧散する前に死体の体を前蹴りで吹き飛ばす。
俺が吹き飛ばしたゴブリン貴族の体を避けて2頭のゴブリン貴族が左右に分かれて迫ってくる。
俺は冷静に左右のゴブリン貴族の頭部に両手のカタナを突きを入れて殺害。
そのまま前に踏み込んで左側から飛んできた棍棒をかわし、目の前のゴブリン貴族が棍棒を振りかぶる瞬間に、右手の天乃村正でフルプレートアーマーの胴体ごと右から一閃し両断。
くるりと左に1回転した勢いのまま左の後ろ回し蹴りで右から飛び掛ってきたゴブリン貴族の体を蹴り飛ばして殺害。
俺が10秒も掛からずにゴブリン貴族の群れの1/3にあたる5頭を退治してしまったので、敵のゴブリン貴族が体制を整えようと1度後ろに下がろうとしたが、それ以上の超スピードでゴブリン貴族の後ろに回り込んで最奥にいたボスらしきゴブリン上級貴族の後ろから、踏み込んだ左手の雪切正宗の上段斬りで一刀両断。
真っ二つになったゴブリン上級貴族を左右に吹き飛ばしてそのまま真っ直ぐに踏み込んで走っていく。
無論走って通り過ぎるときに左右のゴブリン貴族4頭を切り捨てながら真っ直ぐつき進む。
群れのリーダーだったゴブリン上級貴族2頭を退治してしまったので、残りの5頭は恐怖で闇雲に両手の棍棒を振り回し続けるだけになった。
振り回す棍棒ごと一刀両断していって戦闘終了。
二本のカタナを左右の腰に納刀してドロップアイテムを拾いに行く。
俺1人の戦闘なので上位種とはいえ、たかがゴブリン15頭に20秒は掛からない。
流石にB11Fの上位種ともなると魔石も魔結晶も質が良い物がドロップしてるみたいだな。
ドロップアイテムはゴブリン貴族の通常ドロップアイテムが『ゴブリンリング+(プラス)』で、これは装備すると力が2アップするリング・・・が3個ドロップした。
これは効果の重複が可能となってる。
レアドロップアイテムは『トマホーク』が10本ドロップしている。
投げ斧よりも一回り大きくなってグリップエンドに縛り付けられた太い紐はゴブリンの革紐がより合わさって作られていて長さも1.5mにまで伸びてる。
トマホークはグリップまでの全てが金属のダマスカス鋼で作られている。
それなりの片手斧となってるが・・・10本のトマホークをアイテムボックスに入れてから、俺がミスリルとオリハルコンでコーティングすると『早乙女トマホーク』という名前になってしまった。
俺が手加減抜きで改良したので伝説級の武器になってしまった・・・まぁ売る気はないので良いんだけど。
2本を取り出してグリップエンドについている紐を手首に巻きつかせて振り回してみるが、1本の重さが3kg以上となった早乙女トマホークは相当な重量感があってパワー系の武器になってる。
試しに壁に向かって投げてみたらガキンと大きな音をたてて深く刺さる。
投擲用の武器として投げ槍のレベルの攻撃力があるだろう・・・壁に刺さった早乙女トマホークを調べてみたが、少し刃が欠けたぐらいで歪みはなかったので補修して2本のアイテムボックスに入れて片付ける。
最後にゴブリン上位貴族がドロップしたアイテムが・・・『ゴブリンガントレット』の両手分の2つ。
所有者が俺になってるからか俺の両手にピッタリ合ったサイズになっている。
これは5本指用となっていて肘の手前まであるサイズの篭手で握りこんで相手を攻撃するタイプ、つまり・・・これは防具ではなくて武器だ。
いま自分が装備しているサイラスの甲殻鎧の手の部分を取り外してから、ゴブリンガントレットを装備してみたら手に固定するための部分までが金具になっていてしっくり来ないので、1度アイテムボックスの中に入れて改造する。
ガントレットの内側に森林モンキーの尻尾を取り付けて引っ張ると簡単に手に装備できるように改良する。
構造はおやっさんの作った甲殻鎧と同じ。それと指を動かした時に音がならないように加工する。
取り外す時は1度引っ張ってから緩めると取り外せるので片手で楽々装備できて固定できる。
それと俺のサイラスの甲殻鎧とのサイズを合わせるためにガントレットの長さを延長して、肘まで覆うタイプにしてからオリハルコンでコーティングすると・・・こちらも『早乙女ガントレット』という名前の伝説級の武器になってしまった。
アイテムボックスから取り出して装備して無手の型を繰り出して技を使って不具合がある部分を修正してから、手から取り外してアイテムボックスに入れて装備をサイラスの甲殻鎧に戻す。
ここB11Fには投げ斧目的で数多くの冒険者のチームが来てるので俺が1人で回りの迷惑も考えず狩りをするわけにもいかないので足早に通り過ぎていく。
偶然だが俺が上位種のゴブリン貴族を15頭狩ったところや武器を改造しているところは、他の冒険者チームの誰にも見られずに済んだ。
すれ違った冒険者の中にアイリやミーを通じて知り合った顔見知りの冒険者の人達には出会わなかったので、軽く会釈だけして挨拶もなくサクサク進んでいく。
魔獣部屋はこのフロアーには2つあるのだが、集めてる人達も多いという理由もあってここには行列が出来ている。
俺は魔獣部屋にいくこともなくB12Fへ降りる階段を見つけて降りていく。
B12Fに出る魔獣はオークの上位種『オークロード』が出現するフロアだ。
B11Fのマッチョゴブリンはただ闇雲に突っ込んで攻撃してくるが、オークロードは組織だってチームで攻撃してくる。
それにオークロードが持っている武器もハンマー・棍棒・斧とパワー系のみだが種類があるし、2mほどの大きさがある巨大な盾を持つオークロードが時々混じってることがあるので、若干の注意が必要だとアイリとミーがクラリーナと俺に教えてくれた。
なので俺は腰に納刀してある2本のカタナをアイテムボックスに片付けて早乙女強弓を装備した。
早乙女強弓は俺の作った特別製の弓と矢で弦の音も矢が飛ぶ音も一切鳴らない。
100m以上も離れた場所へも無音で突き刺さる弓力300kgの伝説級の強弓ロングボウ。
矢の方もミスリルとオリハルコンを使って加工した特別製で空気抵抗による減速は一切受けない結界を持っている。
音がするときは敵を突き抜けて壁に刺さった時だろう。
ここのフロアーでもセバスチャンは回収係だ。
オークロードは通常ドロップアイテムが『豚モツ』でレアドロップアイテムが『オークロードの革』だった。オークロードの革はサイラスの皮と同じで普段は1部分しかドロップしないが・・・俺の場合は最初のドロップアイテムから全身分の革がドロップしてビビる。
相変わらず俺のゴッデスから貰った祝福はドロップ確立までもが大幅にアップしているな。
オークロードの革は通常のオークの皮よりも非常に薄くて加工がしやすくてしかも丈夫なので、こちらはかなりの高額取引されてるアイテムになってるが・・・俺の場合はオークの革はスポーツシューズや革製のベルトなどの私服の自作で使用しているし、アイテムの加工や補修用にも使用するつもりなので売る気は全く無い。
狩りを続けていくと・・・ここのフロアーでも上位種が出てきた。
アイリたちも一昨日討伐した『オークファントム』だった。
オークロード17頭・オークファントムが5頭の合計22頭の集団だったんだけど・・・ハッキリ見ていない。30m以上離れた場所から早乙女強弓の掃射で4・5秒で全滅させてしまい、近寄った時には魔石と魔結晶と魔水晶、それにドロップアイテムのみが転がっている状態だった。
オークロードの革が全身3つと1部分のみが6・豚モツが8。
オークファントムはレアのオークウィップが3本・通常ドロップアイテムは『豚ヒレ肉10kg』が2つだった。
このダンジョンの魔獣がドロップアイテム化をする時の法則っていうか、100kg以上あるオークが退治されてしまうと10kgの豚ヒレ肉にかわり、オークの革で包まれて地面を転がっている状況というのはいかがなものなんだろうか・・・『ファンタジーすげぇ』といっておくべきだろうか・・・
悩んでいても仕方がないのでドロップアイテムを拾ってアイテムボックスに入れて先に進むことにする。
ライトの魔法は俺の周囲に4つ俺の前後左右に2mほど離れて浮かんでいて俺の周囲を明るく照らしているのだが、早乙女強弓で狩りをしてる時は俺の目に触れることはなく俺の探査で引っかかったオークロードたちは瞬時に狩られていく中を、セバスチャンが走り回ってドロップアイテムや魔石などを拾い集めている。
ここのフロアーにある魔獣部屋や宝箱部屋には寄らずに終わらせてB12Fを終わらせてB13Fへと移動した。
B13Fはオーガナイト。このフロアーも弓だけだと楽しくなさそうだったので装備を変更する。
先程B11Fで拾ったドロップアイテムの改良版の早乙女トマホークの二刀流だ。
トマホークのグリップエンドにつけられたヒモを二の腕にまで手にグルグルと巻きつけるが、投げられなくなるので縛りつけはしない。
手に巻きつかせた1.5mの紐を自分でコントロールし調節して自由自在に振り回すことで、敵に武器の間合いを読みにくくさせてる。
まぁ俺の場合はチートで斧と片手鎌のスキルマスターになってるので自由自在なんだが、このトマホークは1本ならまだしも2本同時に使うには斧と鎌のスキルの両方共のマスターでないと、取り扱いが酷く難しい武器だ。
2本装備してる時はトマホークをずっと握り続けて歩くことになるので何も出来なくなるのが難点かな。
空中に飛び上がってオーガナイトが2頭襲ってきたが俺はそれ以上のスピードとジャンプ力で飛び上がり、オーガナイトの振りかぶった鋼鉄製の棍棒が振り降ろす事もさせずに、紐の長さを伸ばしきったトマホークを振り回して、オーガナイトの頭部を兜ごち下から叩き斬った。
ドロップするアイテムはセバスチャンが拾ってくれるので、そのまま着地と同時にオーガロードの7頭ほどの群れに低い体勢のまま走って躍りこむ。
巨大な鋼鉄製の棍棒をトマホークで受け止めたりステップで避けたりしながら、ブンまわしたトマホークでオーガナイトの足を切り体を切りつけて殺していき、倒れたオーガナイトの頭も蹴りで吹き飛ばしたりして戦闘はすぐに終わってしまった。
そろそろ15時なんで休憩室に入ってオヤツ休憩でもしようかと小さな休憩室に向かって歩いていると、前方で戦闘をしていた冒険者グループから叫び声があがったので走りながら声を掛ける。
「早乙女という冒険者です。助けは要りますか?」
「助けてください! お願いします」
その声と同時に俺は両手に持ったトマホークを走りながら2本を交互に投げる。
1本は声がした人を攻撃しようと振りかぶった棍棒を持ったオーガナイトロードの手首を断ち切り、もう一本はオーガナイトのボス『オーガナイトロード』1頭の頭部を粉砕した。
他にオーガナイトロードは4頭。オーガナイトの死体は既に14頭ほど転がっている・・・助けた彼らが討伐したのだろう。
そのままアイテムボックスから他のトマホークを取り出して飛び上がって空中から2本のトマホークをさらに投擲して2頭のオーガナイトロードを瞬殺。
着地と同時に前方に3m以上飛び込んで前回り受身をして立ち上がり生き残った2頭のオーガナイトロードに向き直ると大声と共に挑発スキルを叩き込む。
「どこ見とんじゃいコラ! こっちにこんかい!」
俺の挑発にブチ切れて突っ込んでくるオーガの横薙ぎの棍棒をしゃがんでかわして、そのまま上に飛び上がるようにジャンプしてオーガナイトロードの頭部を右ストレートで粉砕して殺す。
殺害したオーガナイトロードの体の鎧を掴むと、着地しながらしゃがんで死体を持ち上げて最後のオーガナイトロードに力を込めて投げつけた。
最後に生き残ったオーガナイトロードは飛んできた死体に吹き飛ばされ、自身の上に乗った死体が霧散してから態勢を整えて起き上がろうと顔を上げたのが最後の姿だった。
回り込んだ俺の左のサッカーボールキックがオーガナイトロードの頭部を木っ端微塵に粉砕させて戦闘終了。
「大丈夫ですか?」
「・・・Aランクの早乙女さんだ」
「・・・いでぇー」
爽やかに笑いながら話しかけたが全員が固まってる・・・俺に気付いたようだったのだが痛みには勝てないようだな。
話を詳しく聞くと10人の冒険者チームだったが前列の3人の盾職の人がロングソードを所持した騎士とシーフの2人の怪我が酷く骨折したみたいでそれを庇いながらの戦闘になってたと説明を聞いた。
チームの中にいるシスター2名が汗を流しながらハイヒールを何度か掛けて骨折箇所を治療を終えていた。
戦闘も始めはオーガナイト10頭と正面から戦闘をしていたが陣形の横からオーガナイトロードが左右から1頭ずつ攻撃をしてきてシーフと騎士はシスターを守るために怪我したんだと。
骨折も直ってるしこのまま歩いて転送室まで帰るらしいので俺はハイポーション2本とMPポーション2本渡したら、お礼にと今回の戦闘で俺は倒していないオーガナイトから得た魔石10個と魔結晶3個を俺に譲ってくれた。
他のドロップアイテムは全部普通のオーガの角10本だったので俺がいらないと言ったからだった。
魔結晶3つが質がかなり良かったので凄くうれしい。
オーガナイトロードのアイテムや魔結晶は俺が全部倒したんだし、傷つけることも出来なかった彼らにはドロップアイテムや魔結晶の優先権は無い。
銀色に光るオーガナイトの角や金色に光るオーガナイトロードの角はどちらも1本もなくて・・・オーガナイトロードの通常ドロップアイテムのオーガ鋼製の短槍が4本だった。
トマホーク4本を拾い集めてきたセバスチャンを連れて10人の冒険者チームと雑談しながら転送室まで送ってあげた。
送っていってあげたのだが何もでないので必要なかったかな、俺。
最後に冒険者チームのリーダーと握手をしてから転送室に入って行く彼らと別れる。
ダンジョン内で変なヤツラと関わりたくなかったので・・・気の良い人達だったので助かった。
それと・・・俺が途中から戦闘に加わった時はドロップアイテムや魔結晶の数は普通よりもちょっといいかな? 数も多くなってるかな? ラッキー・・・ってレベルらしいことが今回の件でわかったのでありがたい。
俺は休憩するのを止めて早乙女強弓を取り出してアゼット迷宮攻略を先へと進める事にした。
今度は右手が空いてるのでオヤツ代わりのチョコレートを取り出してかじる。
それから先は出てくる敵を見ることもなく矢で射殺して進んでいった。
B13Fを抜けてB14F。
このフロアーの魔獣はバクギュー・・・このフロアーは複数のバクギューが出ることがあるから注意が必要らしいのだが、早乙女強弓の攻撃範囲が異常なほど広いのでバクギューは最初に一回だけ見ただけで、その後は見る気もなく狩って進んでいく。
このフロアーはただ、だだっ広くてバクギューの攻撃のしやすいようになってるのだろうが早乙女強弓の前では的でしかない。
敵が俺の存在に気付く前に攻撃を加えてるデタラメさだから、狩りというよりも猟と言った方がいいのかもしれん。
ここのフロアーでは上位種は見かけなかったしドロップアイテムにも変化はなく、通常ドロップアイテムの牛革・・・これもレア度が高いのは全身分が出てくる。俺は何度も全身牛革が出てきてるようだ。
レアドロップアイテムが『バクギューの肝』だった。
こちらはMPハイポーションの材料になる素材で高額取引されているが、このシーパラ連合国においては魔法使いの数も少ないのでMPポーションは出回ってなくてさらに高額になってると、先程救助した冒険者チームのシスターに教えてもらった。
教会の収入源になっているアイテムで・・・このバクギューの肝はかなり高額な金額で引き取ってもらえるんだと。
下に降りる階段にたどり着いたのでB15Fへと降りていく。
B15Fはボス部屋。俺の前には誰もいなくて待たされる事なくすんなり中に入っていく。
とりあえずボス部屋に入る前に装備を早乙女強弓から今日拾った装備で自分で改良した『早乙女ガントレット』を試しに使ってみることにした。
B15Fのボス魔獣は灰色の『サイラスファイター』だったはずだが、ボス部屋の中にいるのは見覚えのあるマーブル模様のサイラスの希少魔獣が5頭だった。
時間ももったいないしサクッと狩ることに決めて真正面にいるサイラス希少魔獣に向かって超スピードで走りより、振り向こうとしたところを側頭部から抜き手を突き刺す。
側頭部からの抜き手で脳を完全に破壊して殺害するとそのまま手を抜いて3t以上あるサイラスの希少魔獣の死体を持ち上げてもう1頭に向かって投げつけてこちらも殺害した。
ここでようやく生き残り達が戦闘開始の吼え声をあげ始める。
初めに反応して吼えたサイラスの希少魔獣が体勢を低く構えたところに走りよって左のストレートで脳天を粉砕する。
そこに俺の右から突っ込んできたサイラスの希少魔獣の角が俺に当たる前に、俺が振り下ろした右手の手刀を叩き込んで角ごと顔面を粉砕させ殺害した。
その体勢から後ろに振り向いて伸ばした左手の掌で突撃してきた最後のサイラスの希少魔獣の角を掴み全ての衝撃を吸収して微動だにせずに体当たりを受け止める。
角を掴んだまま左に傾け右足のの回し蹴りで側頭部を粉砕。
ボス部屋の戦闘が10秒ほどで終了した。
サイラスの希少魔獣の通常ドロップアイテムはサイラス希少魔獣の甲殻で2頭分が角付きの全身甲殻で出てる・・・でけぇし、白黒のマーブル模様がちょっとキモい。
1つはマーブル模様の角だけだった。
ミーにあげた片鎌槍と同じものが2本・・・これはレアドロップアイテムだろう。
アイテムと魔結晶と魔水晶をセバスチャンと2人で拾い終えてからB16Fへ降りていく。
ここで15時45分となったので今日はダンジョン攻略を諦めて帰宅することにした。
B16Fの転送部屋からアゼット迷宮入り口階段横の転送部屋に戻って外に出て行く。
1度転送部屋を使わないと攻略したことにならないかもしれないと思って、転移魔法で直接早乙女邸に帰らないでワザワザこの方法で帰宅しておく。
そのまま大森林に向かって歩いていき、いつもの広間で早乙女邸の玄関に転移魔法で帰宅した。
丁度るびのから念輪があって炎虎たちの要請で今からフォクサと岩場のワイバーンを狩りに行ってくると連絡を受ける。
・・・るびのも忙しくなってきてるな。
俺達夫婦も今夜はパーティーに出席するので出かけると説明してから念輪を切った。
玄関で甲殻ブーツを脱いで1Fの客間で普段着に着替えてリビングでコーヒーを飲んで寛いでると嫁たちが帰ってきたみたいだ。ゾロゾロとリビングに装備をつけたまま入ってきた。
「みんなおかえり」
「ただいまーって、あれ? しんちゃんのほうが早かったみたいね」
「おぅミー、B16Fに到着したのが15時45分だったんで今日は早めに切り上げて帰ってきたんだ」
「しん様、ただいまです。あれ? ・・・普段着なんですか?」
「まだ約束の時間の18時までちょっと余裕があるから寛ぐためにな。17時半ぐらいまではノンビリできるからみんなも普段着で寛いだらどうだ?」
「しん君、ただいま・・・そうね私もまだドレスじゃなくて普段着にするわ」
嫁3人が客間に移動してそれぞれの普段着に着替えて型戻ってきて、リビングの自分のソファーに座って雑談を始めた。