ローグ真偽官の3人の子供がみんな神童だったっす。
商業ギルドヨークル支部に到着してリーチェを呼び出してもらう。
俺は先に会議室を借りて中でリーチェを待ってるとネコ獣人『リーチェル・ハナザワ』は小走りでやってきた。
「早乙女さん待ってましたよ。私を会議室に呼び出したということは、もふもふ天国ヨークル店の新店舗の話なんですよね?」
「あぁ、流石に1店舗で捌けないほどの客がこんなに早く集まるとは予想外だったよ。ちょっと慌しい開店で主婦の口コミというのを軽く考えてたことを痛感させられた。それにイーデスハリスの世界には意外とモフモフ好きな人が多いってことを発見できたよ」
「早乙女さんの欲しい物件と言うのは既に予想が付いてまして既に私が抑えておきました。『住宅街、もしくは住宅街近辺』『ヨークル1号店と同じような面積』でよろしいですよね?」
リーチェが押さえてある物件の地図と建物の図面を見せてもらう・・・コレは確かに良い物件だ。
良い物件で金額は1億2000万G。
元はレストランになっていた場所なので表の道と建物の間にゴーレム馬車駐車場があり6台が駐車可能。
敷地面積は1号店とほとんど変わらなくて、裏庭はなく店舗に出来るのは1階部分で2階3階は事務所とオーナーの住居なんだろう。外階段もあるので・・・この物件はもふもふ天国シーパラ店に似てる。
オーナー専用のゴーレム馬車駐車場まであるのはありがたいな。
住宅街の中のメイン道路の前にあって場所はアイリとミーの母親カタリナの住んでる実家に程近いし、周囲は閑静な住宅街・・・最高の物件だろう。
「えらく手回しが早いな・・・リーチェ、もしかしてシーパラのマリスと話をした?」
「は、はい」
「ってことは俺に除霊して欲しい物件があるって事なんだよな?」
「ダメですか?」
「ハァ~、やってくれるな・・・仕方がない。どうせ急いで除霊して欲しかったんだろう?」
「今回の物件は除霊と退魔です。上位悪魔と上級幽霊がいる物件でして・・・」
リーチェが物件の場所の地図と物件の図面を俺に見せながら、こんなワケワカメな状況になった物件の説明をしてくれた。
このやっかいな物件はヨークル南側のヨークル川に面した大きな面積を持つ倉庫で場所的には1等地で間違いなく、何もなければ高額で取引される物件だろう。
ヨークル川に面した部分も広くて倉庫の間取りも広く頑丈な建物なんで売り出せば5億G以上で売れる物件とリーチェから補足の説明があった。
だけど手付かずになっていた理由は今まで複数の霊媒師の除霊攻撃、退魔師の魔界返還攻撃、教会関係者の聖攻撃にも耐えてしまう『上位悪魔』と『上級幽霊』が住んで遊びまわっているからだった。
上位悪魔と上級幽霊が倉庫に住みはじめた理由はありきたりなパターンで・・・
大きな商会の当主が罠にハメられて莫大な借金を背負って家族を道連れに倉庫内で自殺。
家族を殺してから先祖から伝わる秘伝の本で上位悪魔を呼び出すことに成功。
家族の命と自分の命を差し出して上位悪魔と契約を結び、自分を罠にはめた人間を悪魔によって呪い殺すことが出来て当主の方の残存思念は昇華して消えた・・・が、呪いの対象があっさり自殺したことで悪魔は満足出来ずに魔界に帰らなかった。
元々霊力の強かった当主の娘は、自分が死ぬと同時に自身の持つ霊力が暴走して上級幽霊に転生させられてしまい無念を訴え続けることになってしまったのだった。
ムチャクチャカオスってる倉庫だな。
退魔と除霊の料金はもふもふ天国ヨークル2号店の税込み金額1億8000万Gに決まった。
倉庫を手に入れてから今までの無駄な除霊などで商業ギルドが使った金額を考えると6億Gで倉庫を販売しても儲けはそんなにない計算になっちゃうな。
今回は既に早めに除霊と退魔に成功すれば6億5000万Gを払っても良いから頼むから売ってほしいと言ってくれている商会があって商業ギルドも急いでいたらしい。来月だとまた経費が掛かるからな。
今まで10日毎に結界を張り続けてきた維持費を考えると儲けはほとんどなく、かなりのギリギリ。
リーチェが俺を連れて急いで除霊して欲しいみたいなんで、先に厄介な物件の浄化をしに行きますか。
商業ギルド所有のゴーレム馬車で移動中に話をして、今回の浄化で出てきたアイテム・魔石・魔結晶などは全部俺が貰うことになった。
上位悪魔と上級幽霊か・・・アイテムもドロップする魔結晶も美味しいのかも・・・期待していいのか?
物件の倉庫に到着。
リーチェと御者をゴーレム馬車の中に残したまま俺はアイテムボックスの中から天乃村正を取り出して右手に持ち、雪切正宗を左手に持って二刀流でカタナは2本とも既に抜刀して装備している。
倉庫の中にズガズガ入っていった。
ここの倉庫に出てくるのは手加減のいらない悪魔と幽霊しかいないし。
倉庫の中を歩いていくと俺の探知魔法で発見し補足していた2つの虚ろな存在が近づいてくる。
先に出てきて話しかけてきたのは美しい女性の姿をした上級幽霊だった。
「そちらのお方、助けてくださいまし」
「おおぉ、見た目はまるで人間だ、身長は俺と同じぐらい。でも魔力のパターンが歪で気配はほとんどなくて、霊力しか存在してないような・・・存在そのものが歪なのが幽霊なんだなっ『ガギン!』っと」
俺の左手から飛び込んで攻撃してきた・・・こちらは歪な霊力パターンをで気配もなく圧倒的な魔力だけの存在・・・上位悪魔だな。
俺の左手の雪切正宗で上位悪魔の大鎌の一薙ぎを軽々と弾き返してからじっくりと悪魔を眺める。
身長は小さくて150cmほどで、大鎌がメイン武器、白髪の少女のごとき細い体躯・・・上位悪魔『魔界貴族』だろうな。
「ほほぅ、人間ごときがこの攻撃を軽々と弾き返すか・・・面白いよな、人間・・・? お前の存在は何だ・・・なぜ我の呪いの力が効かないのだ? 何だと! 神力だと」
「おっ! さすが上位悪魔の魔界貴族だな。俺の隠蔽してある神力の存在に気付いたみたいだな」
「なぜ、なぜ、私の霊波動が効かないのだ・・・貴様は何者だ?」
「君はそろそろ霊界に行って反省文と人間に戻る修行から再スタートだな」
『神聖浄化』
俺が光らせた聖なる癒しの光が上級幽霊の周りを包み込み浄化されていって、薄くなって聖なる光の中に上級幽霊は消えていった。
その浄化の間も上位悪魔の魔法攻撃と大鎌の物理攻撃は続いている。
魔界貴族の繰り出す闇魔法は右手の天乃村正の一薙ぎで掻き消され雪切正宗の受けで吸収されてしまう。
全ての物理攻撃は左右のカタナのどちらでも魔力も威力も全部吸収している。
「神器のカタナを二振りも持っていて、神力を持って存在している貴様は神なのか?」
「ゴッデスの知り合いではあるんだけどね。主神の祝福『天運』は持ってるし」
「祝福も何もかも名前・年齢・性別以外の貴様のステータスが我の鑑定魔法でも見えないとは・・・」
「どうでもいいだろそんなこと。時間も勿体無いしそろそろ消滅してくれ」
「なに!」
今まで魔界貴族の攻撃を受けるだけだった俺が突然攻撃開始する。
大鎌を振りかぶった左右の手のヒジの部分を右手の天乃村正で切断させて、同時に左手の雪切正宗を魔界貴族の胸に根元まで突き込む。
雪切正宗の持つ闇特性が魔界貴族の魔力を完全吸収。
魔界貴族も上級幽霊も消滅してしまったので戦いはこれで終了する。
二振りのカタナをアイテムボックスの中の鞘に戻してから片付けて、上位悪魔と上級幽霊が落としたドロップアイテム・魔結晶・魔水晶を拾う。
魔界貴族と上級幽霊が落とした魔結晶は過去最大レベルの大きさだった。
地球の500ccのペットボトルほどの大きさの6角柱が7本もある。魔水晶は39個転がっている。魔石は黒い色をした闇属性の魔石が16個転がっていた。
上級幽霊がドロップしたアイテムは『霊拘束手錠』だった。
手錠ってより見た目は日本にあった結束バンドだな。ケースにバンドが入ってるので取り出そうとしたらコピー商品がケースの横から出てきた。
霊力を込めれば何本でも増やせるみたいだ。俺に掛かれば無限に増やせるってことになる。
上位悪魔がドロップしたアイテムは・・・日本のスーパーなどで販売されてるタケノコの水煮ほどの大きさと形をしている真っ黒な角が2本あって『魔界貴族の角』と鑑識魔法で文字が表示されている。
コレは既に乾燥しているのでこのまま粉末状にしてから金属などの加工時に混ぜると闇耐性を持つ防具・闇特性を持った武器を作ることが出来る『悪魔の角』の上位版だな。
武器に混ぜると攻撃時に闇魔法攻撃力が付与させることができるし、闇の生物の魔力や生命力を吸収することも可能になる。
サラマンディストの血と似たような感じで・・・上位版は『他の上位版の耐性アップと混ぜることが可能』ってのは凄いな。
サラマンディストの血と魔界貴族の角の効果は重複できるみたいだ。
また今度おやっさんに1本渡しにいこう。
倉庫の中にはクズ魔結晶が合計100個も転がっていた。
上位魔族と上級幽霊がここの倉庫内に閉じ込められていたので、澱んでいた魔力と霊力が結晶化して魔結晶を作り出していたんだろうと推測される。
最後に倉庫の敷地内全部を神聖浄化の光で埋め尽くし、全ての浄化が完了した。
まだ残っていた残留魔力と残存霊力で魔石が10個ほど転がり出てきたので遠慮なく全部貰っておく。
鑑識で調べたが既に悪魔と幽霊の痕跡すら消えて教会並みの神聖なる場所になってる。
倉庫の基礎部分と土台の部分が損傷していたのでサービスで修理・固定化魔法で補強しておいた。
この強化で後100年以上はこの倉庫は持つだろう。このまま販売できるレベルだな。
リーチェに確認してもらって俺の除霊・退魔・浄化の作業は完全に終了。
2枚の契約書にサインしてリーチェと俺の2人で1枚ずつもらい、アイテムボックスの中に仕舞う。
最後に倉庫から出てきてからリーチェが魔石が付いたミスリル棒を使って新しく敷地全部に封印を掛ける。
これからゴーレム馬車に乗って移動、それほど離れていないもふもふ天国ヨークル2号店の場所で購入と支払い契約をして、正式にこの敷地と建物は早乙女商会の持ち物となった。
リーチェはゴーレム馬車に乗って急いで帰っていった。
リーチェと別れる前の握手をした時に店舗の改築と改装を済ませた後に商業ギルドに、愛玩ゴーレムとメイドゴーレムの登録をしに行くよと伝えておく。
俺はこれから建物の中の全てを改装しないといけない。
いくら元レストランでもそのまま使える部分は少なく大幅に改装しないともふもふ天国は開店できない。
この敷地全てに隠蔽と幻影の魔法を施して外からは一切見えないようにしてから、先に建物と土台を補強する改築工事を始める。
まずは外観を変えないために建物を全ての角度から見て記憶してこのまま脳内の記憶に保存させた。
入念に下調べをしてついでに要らない部分は全部解体していく。
玄関はいつものように広げないといけないな。時間は13時をまわって腹が減って堪らないのでアイテムボックスに入っていたおにぎりやサンドイッチやホットドックをかじりながら改築作業を進める。
地下の食材保管室に使われていたであろう倉庫を見て土台部分に劣化が見られたので、解体して新しく作り直してから更に固定化魔法で強化、魔糸溶解液でコーディングまで済ませて、この土台部分と地下室は既に新築レベルにまで復活させた。
地上に上がり1階から3階まで見て劣化している場所や損傷している場所を解体してまわり、最後にスキル魔法『改築』で一気に作り上げて改築は外装も含めて完了させた。
店舗の間取りも既に決まっているので1度建物の外に出てからゴーレム馬車駐車場に素材を並べてスキル魔法『改築』で地下室から3階までの全部の階の内装を作り変え仕上げる。
これで・・・もふもふ天国ヨークル2号店が完成したな。
改装しながら店舗防衛用にユーロンド21号から25号までをアイテムボックス内でサクッと作っておく。
上空防衛用ゴーレムの忍も3体作り屋根の上で待機させる。
忍が3体もいるからここの店舗の防衛はユーロンド2体もいれば充分なんだが・・・もはやユーロンドは5体で1セットなので多くても邪魔にはならないし、早乙女工房が冒険者ギルド本部ギルドマスターの次期候補のキナ臭い動きに巻き込まれた感が強いので防衛力を今のうちに増強しておきたい。
ユーロンド24号と25号をここの防衛に使って残りの21・22・23号の3体は早乙女工房の防衛に回ってもらう事にする。
早乙女工房は防衛力も上がるけどゴーレムを早乙女工房の所属にもしないといけないので職人ギルドの方にも登録しに行かないといけないのは面倒だけど仕方がないが、先に早乙女工房の防衛力を上げに行ったほうがいいので、転移魔法でシーパラの早乙女工房に移動する。
外に出てホップボードに乗って職人ギルド本部でユーロンド3体を登録してネームプレートを装備させてササッと帰る。
何もなくてホッとしながらすぐに早乙女工房に帰還。早乙女工房の防衛をユーロンド16号から23号までの8体に任せて転移魔法で早乙女商会ヨークル第二支部に戻る。
俺はここには転移用の部屋が1部屋あればいいから・・・カタリナさんとドミニアン司祭の新婚夫婦にでも格安で貸し出そうか・・・どうせすぐにでも、もふもふ天国ヨークル2号店は開店してカタリナさんはここに入り浸るとだろうし。
それに転移部屋は上の住居部分でなくても地下1階の倉庫があるので、2・3階は誰かにまるっと貸し出す事が出来る。外階段もあるので生活に支障は無いだろう。
商業ギルドヨークル支部にホップボードに乗って移動。
リーチェを呼び出して会議室でアイテムボックスからゴーレムを全員取り出して登録をする。
メイドゴーレム3体・愛玩ゴーレム15体・ユーロンド2体の登録を素早く済ませる。
2号店は今から開店させるので出店届けを商業ギルドに提出して会計用の魔水晶を4個リーチェから貰う。
商業ギルドでの開店準備が終了したのでホップボードにまた乗って2号店に戻り、アイテムボックスから愛玩ゴーレムとメイドゴーレムとユーロンドを出して15体の愛玩ゴーレムに移動禁止の封印を掛ける。
ユーロンド24号と25号には忍と協力してすぐに防衛任務開始。
クッション・テーブル・会計用の魔水晶と、2号店の開店用にアイテムボックスに準備していたコーヒー・紅茶などのドリンク類のポット、フライドポテトやクッキーも全部メイドゴーレムに渡す。
もふもふ天国ヨークル2号店が完成したので、すぐに開店する。
外に出てゴーレム駐車場の整備で雑草を木魔法で全部飛び出させて処分、駐車場の床の石畳を補修してから固定化魔法で強化。
最後に外の道から見やすい位置の出入り口の近くに、もふもふ天国の恒例となった目印の『看板を持った巨大なぬいぐるみ』を設置して盗難防止に愛玩ゴーレムと同じ移動禁止の封印をぬいぐるみに掛けて・・・店舗の外側も完成した。
後はゴーレムに全部任せて近所に住むカタリナに2号店が開店できたことを知らせに行く。
実家にはドミニアンも今日は早く仕事が終わったみたいですでに帰宅しており、後でローグ真偽官も相談事でここに来るとのことだった。
念輪の使い方をドミニアンに直接教えて・・・カタリナは自分で使えても説明するのが苦手だと言うことだったので俺が教えたんだけど・・・カタリナって元教師だよな?
教えるのが下手って・・・大丈夫か?
ドミニアンとカタリナの夫婦にもふもふ天国ヨークル2号店の上に住まないかと尋ねると、カタリナは複雑そうな顔をして断ってきた・・・本音は住みたいんだけどこの実家には愛着も思い出もたくさん詰まっているのでちょっと無理だと言われてしまう。
ドミニアンが言うには・・・ローグ真偽官に3人目の子供が生まれて借りている部屋が手狭になって、引越しを真剣に考えていると言う相談の為にここに来るとのことだった。
なのでドミニアンからローグ真偽官に貸すって言うのはどうだろうかと聞かれる。
俺もローグ真偽官にだったら相場よりも安い金額で貸してもいいし、ローグ一家が住みやすいようにサービスで改造してあげるよと教えると、まずはローグと話し合って決めた後で念輪で連絡させてもらうと決まった。
その後はホップボードに乗って1号店に行き、店舗の前で並んで待っている人達に2号店の場所を教えたり、場所がわからない人には地図を渡して新店舗の方に誘う。
今から2号店に俺が先導して歩いていくから2号店まで案内するよと店舗の中の人にまで全員に言うと15人ほどが一緒に行くことになり、ゾロゾロとみんなを引き連れて歩いて案内する。
これで待ち時間が緩和されるとありがたいんだけど・・・今日はあっちこっちと慌しいな。
案内を終えてローグから念輪連絡がありカタリナとドミニアンが住んでいる実家に向かうと、ローグがいてすぐにでも物件が見たいと、妻も連れて来て見学しても良いかと興奮して聞いてきたので、なんだったら今から子供も連れてきて見学していいよと言うとゴーレム馬車に乗って出て行ってしまった。
奥さんから早く広いところに引越ししようと言われていたが、目ぼしい場所もなく不動産に詳しい友人もいなかったので途方にくれていて、今日もドミニアンに相談しにきてたんだと言い残して急いで帰っていってしまった。
もふもふ天国ヨークル2号店で待ち合わせをしたんだが、場所は口で説明してから地図まで渡したのですぐにわかるだろう。
俺はドミニアン司祭とカタリナに挨拶して2号店に行って、ローグとの待ち合わせ場所のゴーレム駐車場で待っていることにした。
待つこと20分でローグ一家の到着。
ゴーレム馬車をオーナー専用駐車場に誘導して駐車させた。
ローグの奥さんはネコ獣人で年齢はローグと同じだと言うが10代にしか見えないな。
ネコ獣人はリーチェのように小柄で童顔で長生きする種族なので子供のような容姿のまま年老いていくらしい。100歳を超えても200歳を超えてもこのまんまだ。
ロリコンには大人気の種族の獣人だ。
子供も3人連れて来ていた。
1番上が男の子で10歳、真ん中が7歳の男の子、一番下が生まれたばかりの2ヶ月の女の子と紹介してもらう。
外で立ち話もなんだしさっそく邸宅の中を案内する。
タンスは数えるほどしか設置してなくて大きめのクローゼットが各部屋に設置してある。
中は土足厳禁仕様にしてあるんだけど子供が床のじゅうたんが気持ちイイと言ってこのまま案内する。
奥さんは今賃貸で住んでいる場所の3倍の広さになる邸宅に圧倒されているようで言葉を失ってるし、子供は広くなった部屋で兄弟で『かくれんぼ』して遊んでる。
ローグが想像以上の広さなので家賃が払えないと俺に言ってきたが、今までの賃貸の金額の聞いて金額はそのままの月10万Gでいいよというと口を開けたまま黙ってしまった。
全ての部屋の案内を終えてからリビングで続きの話をする。
俺からすると是非今日からでも住んでほしいので1から全部説明する。
ヨークルの本宅があるし、ここに早乙女一家が住む予定が全くないこと。
俺のとばっちりでトラブルに巻き込まれる可能性があること・・・って、おやっさんに説明したようなことをローグ夫妻に説明した。
子供が小さいローグ家には最適な防衛力を持った物件だろう。
2人の子供が遊びつかれて喉が渇いたとリビングに戻ってきたのでミックスジュースを造ってあげた。
リビングのソファーに座って大人しくゴキュゴキュ飲んでる兄弟の姿にホッコリしてしまう。
奥さんも反対する理由もないのでさっそく賃貸契約を結ぶことにした。
俺が契約書を2枚書いてローグに確認してもらい、お互いがサインして契約完了。
子供がすぐにでも住みたいと言ってるのでさっそく引越しすることにした。
俺のアイテムボックスを使えば1回で全部終わるのでゴーレム馬車で一緒に元の家に行って、引越しするのも俺が手伝ったので1時間も掛からなかった。
キッチンに魔道コンロ・魔道冷蔵庫などを設置するのも俺からのサービスだ。
今までローグ家で使っていた魔道冷蔵庫は小さいサイズだったので俺が丁度の大きさに作りあえてあげる。
冷蔵庫の隣にワインボトルが20本ぐらい保管できるワインセラーの棚を作ってあげるとローグの奥さんのほうが大喜びだった。
奥さんの方がワイン好きだったみたい。
2人の子供部屋も兄弟それぞれのワガママを聞いてサービスで壁紙や勉強机など家具もセットで改装してあげた。ベッドも大人用の大きさで長年ここに住めるようにしておいた。
ローグ一家がそれぞれの個室を持てる6LDKの二階建てだからな。
夫婦の部屋もローグの執務室まであるという賃貸とは思えないほど贅沢な邸宅だろう。
ローグの執務室を作っているときに龍布の下着をフィアルカート防具店に行って、全て作り変えてもらうようにお願いした。
「何から何まで世話になったな、早乙女。下着の件は明日にでもフィアルカート防具店に家族で行って作ってもらうことにするよ。念輪で店の人に話しかければ良かったんだよな?」
「あぁ、そういうことなんでよろしくな。下着の料金としては倍の金額になってるから出費がかさむけどよろしく頼む」
「安全は金には替えられんことは理解してる・・・が、ここまで世話になりっぱなしでも俺には早乙女に返す物がなにもないぞ?」
「ま、そんなこと気にすんな。俺も『特別任命強制捜査執行官』の話とかローグから聞いてたおかげでスムーズに済んだ事もあるし、知識や情報も貰ってるから充分役にたってるよ。・・・それよりも、ローグの子供が凄いな! 先天的真偽魔眼を2ヶ月の娘が持ってるって凄過ぎるな。2代続けて魔眼持ちなのはタマにあるけど先天的真偽魔眼の親子って俺は聞いた事がないぞ」
「は? 早乙女もう1回言ってくれ」
上2人の男の子は既に調べていて魔眼を持っていないことはわかっていた。
娘は生まれた頃からローグが忙しくてまだ調べていなかったと言って、それからみんなで教会に行って大騒ぎになってしまった。
ローグの二ヶ月の娘が先天的真偽魔眼を持っていることが証明されたので娘は大至急、真偽官ギルドに加入手続きをしないといけない。
ローグ夫妻は二ヶ月の娘を連れて教会の一般人立ち入り禁止区域にある真偽官ギルドに行ってしまった。
俺はローグの息子2人の面倒を見てる。
俺が面倒をみようと思ったキッカケはこの兄弟のステータスを鑑識魔法で見たからだ。
兄弟は2人とも魔法の素養が非常に高い。
クラリーナには及ばないが一般人のレベルをはるかに凌駕するほどの素質を持ってる。
光と回復魔法はすぐにでも習得できるだろう。
俺が教えるとすぐにヒール魔法と光の簡易魔法『ライト』を2人の兄弟がいとも簡単に覚えてしまったので、俺が教えていたところを一緒に見学していた司祭が驚愕して大声を出してしまい、こっちはこっちで大騒ぎになった。
お兄ちゃんの方は30分ほど練習でハイヒールまで使えるようになったので、その才能は今後ヨークルだけでなくシーパラ連合国に鳴り響くことになる。
むろん俺が何度も魔力を補充しながらだから、2人の兄弟には教会以外で魔法をむやみに使わないように言い聞かせておく。
教会ではアマテラスの加護がありMP消費は半分で済むが、何しろまだ10歳と7歳の子供だからMPの総量が低い。外で遊んで魔法を使っていると倒れてしまうだろう。
1時間近い魔法の練習で精神的に疲れた表情の兄弟に頑張ったご褒美でおやつのチョコバーをあげると、並んで座ってポリポリと行儀よく食べてる兄弟は周囲にホッコリとした空気を広げている。
兄弟の魔法の素養なんて調べてなかったローグ夫妻は、娘の真偽官ギルド登録を済ませてから戻ってきてから、騒ぎを呆然と眺めていた。
俺がローグ一家の引越しを急いだのは、このローグ夫妻の3人の子供たちが将来は教会の中枢に関わるほどの輝く才能を持っているのがわかったから、金なんてどうでもいいので安全を最優先させた。
もふ天の上の住居なら俺のゴーレムと封印の防御力があるので、この国の最高レベルの防御力があるからな。バカが100人単位で襲撃してきても門を超える事すら出来ないだろう。
兄弟は教会の司祭が開いてる『魔法学校』に明日から通うことが決定した。
10歳と7歳だ・・・強烈な青田買いだろう。
弟君はスピード系の武器に向いてるので聖騎士団に向いてるよと俺が司祭に言うと、司祭はメモを取りながら12歳までまずは基礎訓練からにしますと言ってくれた。
俺も臨時で魔法の講師をして欲しいと頼まれたので時間の余裕があるのは今なので、今から魔法学校の臨時教師をすることになっってしまった。
今は夕方の休憩中のミーから念輪で連絡が来て話していたが、確認すると今日は夕方の5時までダンジョンアタックを続けるんだといってた。
今は15時過ぎなのでってことは晩ご飯は夜の7時だなとミーに確認して念輪を切る。
2時間ぐらいは魔法学校の生徒に教える時間がありそうだ。
ペコペコする司祭に案内されて教会から少し離れた場所にある魔法学校へと歩いていく。
露草桜が聖母になる前は、俺がエクストラヒールが唯一使える冒険者で数日後にはAランクに昇格するだろうと噂されてる人間で、ヨークルの救世主と言われてる男・・・というのは司祭は承知してるのだろう。
急遽2人の息子が明日から通うことになったローグ一家も見学をしについてきてる。
さぁどんな子供が出てくるのか・・・