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ギルドマスターがケンカ売ってくるんすけど・・・買ってもいいっすよね?

7・19修正しました。

「いったいお前は何をしたんじゃ!」

「何もしてねぇーよ! 俺は殴られただけだ!」

「うそをつけ! 10人も骨折させて!」

「そんなことは知らん。俺は何一つ動いちゃいないし、おおかた骨がもろくなってたんだろ」

「じゃから、聞いておろう! 何をしたんじゃ!」


後から入ってきた女性(ババァ?)が俺に怒鳴りつけてきた。

ギルドの職員達が入ってきて、事の一部始終を見ていた職員と冒険者を連れてきた。


それで彼らも証言する。

「彼いっさい何もしていない。殴られただけだ」

「散々人を犯罪者扱いしやがって、俺の犯罪の証拠はどこからでてくるんだ?」


「そんなはずない!」

と、怒鳴るババァに宣言する。

「よし! そこまで言うなら真偽官を連れてきてくれ。俺は全財産をかけて無罪を証明する。クソババァお前も俺を犯罪者だと言うなら、全財産をかけてそれを証明して見せろ」

「ワシの全財産かけてもいいぞ、お前もせめて半額ぐらいの金額をかけてもらうぞ! なかったら借金奴隷だがな!」

「わかった、賭け成立だな。俺はステータスカードに2億G近くある! だったらババァは4億か?」

「な! ワシはそんなに・・・」

「お前も無罪の人間を犯罪者扱いするんだからな! しかも自分から言い出した俺の全財産の2倍以上の金額をテーブルに置け!」

と言って、魔水晶を持ってきてもらい先ほど完了した依頼の報酬をもらいステータスカードに記載した金額を見せる。ついでに犯罪者履歴を見せて無罪を証明した。


で、クソババァに向き直って冷静に問いかける。

「さぁ、俺の犯罪を証明してくれよ」

完全にキレていた。部屋に後から入って来て名前も名乗らない、挨拶もしない、俺を始めから犯罪者扱い。それで本日2度目の監禁だ。


それにこのババァは俺との会話(怒鳴りあい?)中に何度も強烈な殺気をはなってきてた。

殺気で力ずくで俺を黙らせようとしたんだろう。


やり方がまったくもって気に食わん。


これ以上監禁するつもりならギルドの建物ごと破壊しようと考えて、今度は俺の方から濃厚で呼吸も苦しくなるような濃密な殺気を放出する。


あまりの状態に部屋にいた冒険者・ギルド職員は微動だにできなくなった。

ロックオン状態のババァは息苦しいほどの殺気に滝のような汗が停まる。


そもそも礼儀も何もない相手だ。相手が無礼なら礼儀はいらん。


「無罪の俺を犯罪者に仕立て上げようっていう冒険者ギルドのマスター様だ。さぁ、真偽官を呼んで俺に殴りかかってきた筋肉バカに尋問してもらいましょう。さぞかし面白い調書が取れるんでしょうね。では真偽官を呼んでください。あ、ついでに早く4億をテーブルに載せてください。賭け事はチップを載せて初めて成立しますから」

「・・・すまん」

「すまんだぁ? まぁ、俺が気に食わないならそれでいい。しかし言いがかりをつけるならそれ相応の覚悟でこいよ、クソババァ」


放出していた殺気をかなり抑えると、立っていた職員達が腰を抜かす。


「クソババァ、会話中に何度も俺に殺気を放ちやがって、自分の考えを押し通すためなら力ずくか? なんなら今すぐここで殺し合いするか?」

「・・・」


ババァが悔しそうに押し黙ってしまい、何も言えなくなってるのでギルド幹部に向かって問いかける。

「で、ギルドはどうしたいんだ? 俺を犯罪者に仕立て上げて筋肉バカたちの治療費を請求。俺を牢屋にぶち込むのか?」

「・・・それはできません」

「じゃあ、どうするんだ? 冒険者ギルドの無抵抗の人間に殴りかかって勝手に骨折。殴られたほうは慰謝料払うのか? ギルドのルールを教えてくれ」

「ギルド内での暴力行為は厳禁です。罰金になります。暴力行為をされて怪我を負った場合は治療費と慰謝料が請求できます。今回の早乙女様の場合は該当しません。MAXマッスルパーティーのチームの方達も早乙女様に請求する権利は存在しませんので・・・自己負担となりますね。それで暴力行為をしたものは犯罪として取り扱われ牢に監禁されます。規定では3日ほどですが」


あの筋肉バカたちってチームだったんだ。確かに似たようなバカがそろってた。


「じゃあ、質問を替える。俺を監禁して尋問しているこの場の理由は?」

「ギルド側からの理由はありませんとしか言えません。なぜ?と問われた場合は『ギルドマスターの独断と偏見によってこの場所で早乙女様を犯人に仕立て上げる為に』としか言えません」


このギルド幹部、人の良さそうな風貌をしてるのに中身は敏腕弁護士だったな。

俺に乗っかってギルドマスターを切りやがった。

普段からムカついてて相当我慢してたんだろう。

さらに俺もそれに乗っかって追い込むことにしよう。


「ギルドマスターが俺を犯人に仕立て上げる理由は?」

「・・・小遣い稼ぎと身内ビイキですかね。MAXマッスルパーティーのリーダーはギルドマスターの親戚です。好き勝手な行動をして顰蹙ひんしゅくをかってました。何度か高ランクのチームに説教されてるのを見ましたが、反省はいつもその場だけです。今回のことでも反省はしないでしょう。必ず逆恨みしてきます」

「じゃあ俺も徹底的にやるしかないな。まずは今回のギルドマスターの犯罪未遂行為について冒険者ギルドに抗議する。ギルドからの謝罪としてギルドマスターの罷免を要求する」

「ギルドでは被害者の要求と明確なルール違反の行為をする犯罪者に対して、ギルドルールに従いギルドマスターを拘束します」


・・・ギルドマスターが暴れるかと思ってたが、すんなり拘束されて連れられていった。

流石にこれ以上犯罪を重ねる気はなかったようだ。

今までの犯罪だけだったら罰金と首ぐらいだろう。

しかし、逆恨みしそうなタイプに見えたのでマーキングしておく。これで近くにきたらMAPに表示されるからな。

一度、強烈な殺気を送ってやって縮こまっていたが、ギルド幹部との会話中も何度かにらんでたからな。

本気で痛い目を見せても時間がたったら忘れて逆恨みしてそうなタイプだな。


・・・はぁ、しばらく冒険者ギルドに顔出さないほうがいいんかなぁ・・・冒険者なのに。


なんてことを考えながらホテルに帰る。

ホテルに帰って晩ご飯。

今夜はスキヤキだった。そうきたか・・・てのが感想。何か違う、何かがおかしい。


夜になって悶々としていることに気付く。

俺、溜まってきてたんだな。・・・イーデスハリスの世界にはどんなエッチな店があるんだろうな。明日こそはヨークルの中を散策したいな。散策でエッチな店を探せるかもなと変態大国の日本人っぽいことを考えながら風呂を出て眠りにつく。



朝目覚めたのはドアのノックで目覚めた。

ホテルの店員が来客を告げている。


ほぇ? 誰だろ? 店員が告げた名前はアイリとミネルバとウルスの親父の3人だった。

さっそくホテルのロビーに行き3人を確認、挨拶をしてから部屋に招き入れる。

迎えに行くときに店員に朝食を頼んでおいたのでさっそく運ばれてくる。

食べながら3人と話す。3人とだいぶ馴染めた様で少し嬉しい。


「早乙女おはよう。今朝2人が尋ねてきてお前の居場所が知りたいってことでな、早く来ないとお前が出て行ってるかもしれんから、すぐに案内してきたんだ。俺もこのホテルのスイートルームの中に入ってみたかったしな」

「朝早くからゴメンなさい。ちょっと家に居づらい理由ができちゃって・・・それと昨日はありがとう。母さんからも礼を言っておいてと頼まれたからね。それでこんな時間になっちゃって」

アイリの言葉に少し引っかかったので聞いてみる。

「家に居づらいってまた何かあったのか?」

「昨日、カタリナ母さんをドミニアン司祭が治療したからね。もうドミニアン司祭が朝から突撃してきちゃってるんです」

俺の質問にミネルバが答えるのだが、よく意味がわからなかったので説明をしてもらった。

カタリナ母さんと言うのはアイリの母親で『カタリナ・クリストハーグ』44歳。

カタリナは両親が首都シーパラの教会で教師だった。

14歳のときに両親がヨークルに異動。

その移動中に『モルガン・クリストハーグ』に助けられ、ベタぼれしての猛アタックの末に結婚。16歳でアイリを出産。

モルガンは身長2m以上のオーガみたいな大男だったらしい。

冒険者で『タンク』。ダンジョン攻略中の怪我が元で死亡。享年30歳。

アイリは盾の基本をモルガンに教えてもらった。


ミネルバは両親がモルガンと同じチームだったらしい。

26年前ミネルバが2歳のときにカタリナに預けて商人護衛の指名依頼任務で突然ワイバーンに襲われて両親がともに死亡。

護衛対象の商人を逃がす為に奮闘したらしい。

それからは『カタリナ母さん』『モルガン父さん』に育ててもらった。

同い年の2人は仲良く冒険者になってチームを組んでいる。

チーム名は『槍と盾』


ウルスとは家族ぐるみの知り合い。

モルガンの爺さんの頃からの付き合いらしい。

アイリがタンクでなくてシールダーになったのはウルスの影響。


それでカタリナは10年ほど前まで教会で教師をしていた。

ドミニアン・パルマ司祭はカタリナの教え子の1人で現在40歳。

ドミニアンはカタリナが初恋の相手で、ずっと恋してた。カタリナに少しでも近づきたくて教会で神父になった。


ドミニアンは回復魔法の適性が高く、現在メガヒールまで使える有能な人物。


10年前にカタリナは役所にお願いされて就職。

ここ10年はほとんど会ってなかったみたい。

それが10年ぶりの再会が昨日だ。恋に恋して恋焦がれてた理想の相手で初恋の人が死ぬ寸前だったんだ。

ドミニアンの恋心が絶賛炎上中らしい。


朝も早くから家に来て甲斐甲斐しく世話する押しかけ女房してる司祭って感じらしい。

以前からアイリもミネルバもドミニアン司祭を知ってるし、応援もしてるので気を使ってここに来たってのが真相だった。


「朝っぱらから盛ってて、仕事はいいのか司祭」

盛り過ぎだろ司祭。ストーカー予備軍か?

思わずつぶやいてしまった。

「今日は元々休みだから早朝から突撃してきたんだって」

「朝から元気すぎるだろう」

「だけど・・・上手くいくと私の家名が変わるのかな? アイリ・パルマ?」

「2人とも女だろ。年齢的にも『結婚』して家名が変わるんじゃないのか?」


グサッって俺にも音が聞こえた。2人にダメージが入ったみたいだな。

明らかに凹んでる。痛恨が入ったな。


「そりゃそうだ。じゃあ2人とも早乙女に結婚してもらって『早乙女』の家に入ればいいじゃん」


今朝の朝食のご飯・味噌汁・魚の干物・冷奴を食べ終わって、マッタリと番茶を飲んでる俺の頭をポンポンと叩きながら好き勝手なことを言うウルスの親父に即座に反応する女が2人。


「「いいの?」」

「ないない。知り合ったばっかじゃねーか」

ここはがっつかないようにしないとな。断っておく。

「・・・ボソッ(そうね、まだ知り合ったばっかだし、これからゆっくり・・・でも私達に時間は)」

「・・・ボソッ(ちっ、なかなか攻略が難しい・・・情報が欲しいわ。せめて好みのタイプでも)」

2人が小さな声でつぶやいてる事が聞こえてしまうが聞いてないことにする。


「ん? まいっか。それにしても家の状況がそんな感じじゃパーティーなんてできないよな」

「そうなんだよ早乙女。それも俺が聞きたかったことだ。カタリナの容態だけでなく家庭事情まで落ち着いてからパーティーしないか?」

「「パーティー?」」

アイリとミネルバの大きな声の疑問には俺が答えた。

「昨日の騒動が片付いた記念でみんなでパーティーしようぜって提案したんだよ。でもそこまでこのヨークルにいたいと思わないから、どうせだったら今夜ここでパーティーしないか?ここの防音設備は凄いって評判みたいだし」

「「「ここでいいのか? いいねぇ」」」

「聞いた話では、ここって持ち込みも自由だからな。それは最高だったと言えるパーティーにしよう!」

「「「いいねぇ! いいねぇ!」」」


これでこの3人と俺のパーティーが決定した。


「ヨークルに長く居たくないって言ってたけど何かあったの?」

「昨日ギルドマスターにケンカを売られたんだよ」

ミネルバの問いかけに俺が答えると3人が食いついてきた。

「「「なにそれ、どういうこと(だ)?」」」


俺は昨日3人と別れてからギルドで起こったことを話す。


「「「大至急ギルドに行こう。あのギルマスのババァはトドメを刺しておかないと」」」


「は?」

俺の疑問の声がむなしく響いてた。

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