今日の晩ご飯は中華風っす。
9・20修正しました。
キッチンから凄く良い匂いがしてきたので覗きに行く。
キッチンではマリアとクロが晩ご飯の準備をしていて、今日のメニューは中華だった。
チャーハン・餃子・春巻・卵スープ・青菜(?)炒め・エビチリなどなどでエビのマヨネーズ炒めまであった。
俺もダイニングに移動してつまみ用でトロール肉を小さく切って唐揚げを作ってから、少しアレンジして甘酢あんかけ風にしてお皿に並べて完成だな。
食前なのでビールを飲み始める。
一緒に手作りチャーシューも切って並べる。俺がつまみを食べながらビールをチビチビと飲んでると、シャワーを浴びてサッパリした嫁3人がアイリ・ミー・クラリーナの順番でダイニングにやってきた。
「しん君今日は早くから飲んでるわね。私もワイン飲もうかしら」
「しんちゃん、今日はもう飲んでるんだね。私も飲んじゃお」
「ミーさんもビール飲むのですか? では私もいただくことにします」
アイリがワインを飲み始めてミーもクラリーナも俺と一緒にビールを飲み始めるとクロとマリアがダイニングテーブルに中華料理を並べて今日の晩ご飯もスタートした。
嫁3人も生まれて初めて食べる中華料理に嬉しそうだ。
俺の持っている知識ではイーデスハリスの東の大陸には転生者が伝えた正統派の中華料理があるみたいだけど、流石に西の大陸のウェルヅ大陸には僅かにしか伝わってきてないみたいだな。
一部の高級料理店や高級ホテル、それに最高評議会の最上階にある展望レストランには伝わっていると聞いている。
俺にしても最高評議会の最上階展望レストランのメニューに中華料理のメニューが載っているのを見て中華料理の存在を思い出したぐらいだしな。
今度は食料品市場で中華系の酒を探してこよう。
シーパラ連合国の他の大陸との玄関口である都市『ドルガーブ』には他の大陸から輸入されてきた商品や食品が数多くあるって、ドルガーブに本拠を置くフォレストグリーン商会の代表『グレゴリオ・シーズ・フォレストグリーン』に直接聞いてるからドルガーブに行って探したほうが早いのかもしれないな。
並行する思考で食事を楽しみながら嫁達と雑談しながら考え事してる。
「それでしん様、フォクサは今後は私達早乙女一家と一緒に生活していくと言ってるんですか?」
「あぁ、そうなるだろうな。でも3500年以上生きてきた彼女の知恵はありがたいところもあるからな」
「それはそうね。私たちが知りえない知識はあると思われるわね。でもしん君、フォクサの言葉遣いって女の子っぽくないし、ちょっとおかしくないかな?」
「フォクサって生まれたばかりの頃に起こった魔獣戦争の孤児で、るびのに拾われて育てられたんだそうだ。それでフォクサがまだ幼い頃は、るびのは今のフォクサの様なしゃべり方をしていて、それが今なお抜けないのは実の親のように育ててくれた、るびのへの感謝の気持ちもあるから抜く気もないんだと」
「へぇ~、るびのってフォクサ以上生きていて3500歳以上なんて凄いんだねぇ。ところで明日のしんちゃんの予定は?」
「明日の事なんだけど、俺はヨークルでもふもふ天国ヨークル2号店を作ろうと計画してるんだってるんだ。もふもふ天国ヨークル店で働くメイドゴーレムのイエロー達の報告では今日は1時間待ち位の混雑さが出てて、早くこの店の2階でも作ってを店舗を広げるか2号店を出して欲しいと客からひっきりなしに言われてるそうだ」
「店を広げるって? しん様ならすぐにでも出来そうなんでしょうけど・・・いいのですか?」
「流石に今の店を2階建てにして広げるのはすぐにでもできるし、裏の早乙女商会の建物を潰して2号店を作ることもすぐにでもできるんだけど・・・でも敷地面積的に無理があるな。それに昼から夕方の込む時間は主婦が多いんで、住宅街に近い場所に2号店を作って欲しいというリクエストもかなり多いんだ。だから明日は商業ギルドヨークル支部に2号店の購入をするためにリーチェに会いに行ってくるよ。それで店舗を購入したらそのまま改装して2号店の開店準備に入るから・・・明日は一日掛かりになりそうだなぁ。みんなはどうする?」
「私は今日はほぼ半日トラップ解除で頭を使ってて体は余り動かせてないから、ストレスが溜まってて明日は単純明快に暴れまわりたいと思ってるんだ。行く場所はどこでもいい・・・アイリはどう?」
「ミーと一緒ね。私も暴れまわりたいからアゼットダンジョンに行きたいな。地下11階より下に行くとパワー系の魔獣が多くて暴れられるんだよね」
「アイリさん、地下11階だと何が出てくるんですか?」
「クラリーナ、アゼット迷宮地下11階は『マッチョゴブリン』よ。攻撃は棍棒もって振り回してくるだけの脳筋バカ。でも時々10匹以上で集団戦をしてくるし、棍棒を遠くから投げてくることもあるから注意は必要ね」
「それは面白そうですね。しん様、私もアゼット迷宮に行きたいです」
「了解。それじゃあ俺は行けないけどアイリとミーとクラリーナの3人で・・・それで明日の予定を聞くために今、るびのとフォクサに念輪で話をしたけど、るびのとフォクサの2人は明日はセバスチャンの転移魔法でガウリスクとかの大草原の魔獣達に挨拶回りをしてくるんだと。だから明日は・・・アイリ・ミー・クラリーナ・マリアだけのアゼットダンジョンアタック・・・うーん。練習中の武器の実戦練習込みだと地下11階以降は4人だけではちょっと不安があるから、壁代わりでシールダーのユーロンド1号を連れてアゼットダンジョンに行ってくれ。早乙女邸の防衛は師匠ゴーレム達もアップデートで手伝ってもらえるようになったからユーロンドが早乙女邸防衛任務から1体抜けても差し支えなくなったからな」
「うん。わかったわ。しん君、気を使ってくれてありがとう。ユーロンドがいるなら私は大剣の実戦練習が出来るわね」
「ユーロンドを連れて行くなら私はレイピアの実戦練習しても良い?」
「いいよ。だからクラリーナも魔法撃ちまくってストレスを発散しておいで。クラリーナの弓とアイリの双剣はもっともっと練習してからでないと実戦では無理だけどな」
「わかりました。でも先程の弓練習でわかったんですけど、弓って思っている以上に面白かったです」
ここで食事が終わったので全員でリビングに移動。
酒は俺は日本酒に切り替えてつまみは小魚の素揚げに変更する。
嫁たちも思い思いの酒に変更してつまみをマリアに出してもらってる。
「もう少し上手になって弓を実戦練習できるようになったら俺がクラリーナ専用の弓を作ってあげるから頑張って練習するといいよ。時間はたっぷりあるんだし」
「わかりました頑張ります」
こぶしを握って頑張りますと言ってるクラリーナを眺めてるとミーが羨ましいと声に出して言ってくる。
「いいなぁ、クラリーナが羨ましいよ。私もしんちゃんの手作りの武器が欲しい」
「いいよミーの欲しい武器を作ってあげる。何が欲しい?」
「いいの? 考えるからちょっと待って」
そういえばミーの装備品は・・・武器はサイラスの片鎌槍もロードクイーンのエストックもドロップアイテムの武器だし、装備している防具もサイラスの甲殻鎧でおやっさんのカスタムメイド防具だし、俺の手作りの武器ってミーだけ持ってないな。
森林モンキーを狩りに行ったときに作った棍はササッと作った簡易的なモノで、あれはむしろ威力を極力抑えるための防御用の武器だしな。
アイリやクラリーナと雑談しながら、ひたすらミーの答えを待つ。
10分以上も散々悩んでからミーの出した答えは・・・
「・・・しんちゃんに作って欲しい武器が決まらないよ。しんちゃん、私ってどんな武器がいいの?」
「その判断は俺には難しいよ。ミーは何でもすぐに使いこなすことが出来る・・・武器に関しては大剣や大斧のようなパワー系以外は、しっかりと教育できる師匠について訓練をすれば何でも数年でマスタークラスになれるぐらいに才能が溢れてるからな」
「え? そうなの?」
俺が鑑識でミーのステータスなどを見て確かめたけどミーのステータスは魔法系統の数値が異常なほど低い傾向だけで、その分の武器を取り扱う成長率が極端に高くて、武器のスキル習得率に偏ってる数値になってる。
アイリは無手武術やパワー系のほうが向いているのと対照的だな。
クラリーナは全くの正反対のステータスになってる。魔法系統の数値と成長率に数値が極振りされているので杖術以外の武器は一般人以下の才能しかない。
「うん、間違いないよ。無手やパワー系の武器はアイリのほうが才能あるけど、レイピア・エストック・槍・薙刀・カタナなどのスピード系の武器はミーはスバ抜けた才能を持ってるよ」
「カタナって・・・私は剣客も出来るの?」
「アイリが剣客ならすぐにでも出来るよ。剣客だと足捌きが最重要なんだけどミーの場合は長年ランサーとして冒険者で戦ってきた経験と最近はじめたレイピアの練習で、剣客の基礎になる体捌きは出来てるから上達も早いよ。ミー専用の俺の手作りカタナを作ってあげようか?」
「う~~ん。薙刀にしようか、カタナにしようか・・・って悩んでいるんだけど」
「ミーならどっちでも習得は早いからどっちを選んでもいいよ。別にすぐ決めなきゃいけないって訳でもないしミーのペースでいいからさ・・・しばらくじっくり考えたらどう?」
「そうだね・・・うん。ちょっと考えさせてね」
「了解。決心したら教えてね」
ミーの武器は保留になったけど酒盛りも雑談も楽しく続いてる。早乙女家の一家団欒の図だな。
俺の地球にいたときに経験した過去の失敗談でみんなで笑ってる時に早乙女工房に来客があった。
「ユーロンド18号です。ご主人様にお会いして話がしたいと、冒険者ギルドシーパラ本部より『ペスカト・ビッタート』と名乗る男が門に来ているのですがいかがいたしましょうか?」
「名乗る男だって? なんだそりゃ・・・冒険者ギルドカードかステータスカードで確認してないのか?」
「それが『俺と会えばわかる。ゴーレムごときが人間様に命令するな』とおっしゃってまして・・・」
「そんなふざけた事をペスカトは少々酔っ払っていても言いそうにないほど真面目人間だから強制排除してかまわんよ」
「了解です。これから実力排除します」
「あ、待った。どうせだったら俺が排除するよ。中に入れずに外でちょっと待たせておいてくれ・・・ついでに『おい、ペスカトのニセモノ! お前みたいなカスにご主人様が会ってくれるそうだ。正座して待っておけ』と言って、攻撃してきたらホントに強制的に土下座させといてくれ。あくまで正当防衛で迎え撃つという形を崩さずに頼む」
「わかりました」
俺は嫁達に早乙女工房に闖入してきた厄介者がいると説明して、最後に帰る時間も未定だと言って嫁達には俺を待たずに過ごしてもらう。あとは飲んでいた後片付けをマリアに任せて出かけることにした。
まずは玄関からガレージへ移動、ガレージに明日の嫁達が移動するためにキャンピングバスを俺のアイテムボックスから取り出して置いておく。帰ってくるのが何時になるのか今はわからないしな。
ヨークルの早乙女邸にいるんだからキャンピングバスがここにあれば好きな時間にアゼットダンジョンに行けるだろう。
ガレージからの階段で地下練習場に降りていって待機中の師匠ゴーレムを5体に魔獣ゴーレムを6体、合計11体をアイテムボックスに入れる。
せっかく首都シーパラの中央行政区にある早乙女工房に行くんだから、ついでに近くの冒険者ギルドシーパラ本部に行って、今までどこにも登録してこなかった師匠ゴーレム達も魔獣ゴーレム達もチーム早乙女遊撃隊に登録してこようと思ったので持っていくことにした。
更についでに明日のもふもふ天国ヨークル2号店で中で働くゴーレム達をアイテムボックス内で作り上げていく。
愛玩ゴーレムのいつもの『おーとま』『クマ』『コー』『ウルフ』『パンダ』『レッサーパンダ』『コアラ』『タヌキ』『キツネ』『ウサギ』『柴犬』『三毛猫』『リス』『オスライオン』『ペルシャネコ』15体セットだな。
それとメイドゴーレムを3体・・・サル型メイドゴーレムにして色は『橙』『褐色』『ブロンズ』にして名前もそのまま色の名前を使用するいつものパターンだな。
作りながら早乙女工房の最上階の居住区ではなくて今日は既にスニーカーを履いているので早乙女工房の1階の室内駐車場に転移した。
封印されている正門の門扉をメイドゴーレムの空が開けてくれる。
早乙女工房の1階正門から外に出て行くと正門の外のゴーレム馬車駐車場にライトの魔法が10個ほど浮かんで明るくなっている所で土下座をしているバカが8人もいるんだけど・・・どういうことだ?
隣に立って俺を出迎えてくれたユーロンドに話しかける。
「えっと・・・ユーロンド18号、なんで8人もいるんだ?」
「それはわかりません。ゴーレム馬車2台でここまで来ていたのですが、ご主人様の指示通りのセリフを言ったとたんにこちらの『ペスカト・ビッタート』を名乗る男が私に斬りかかってきました」
ユーロンド18号が指差す太った男が右手でショートソードを握り締めたまま土下座している。
「ペスカトはダークエルフで褐色の肌で銀髪、身長190cm以上ある長身の細マッチョでこんなデブじゃないし、ペスカトはイケメンだからこんなに不細工でもない・・・完全な他人だな・・・わかった。ユーロンド18号、すまんが話を続けてくれ」
「はっ。ニセモノの振るう剣を避けてから顎先にジャブでご主人様の指示通り土下座させました。するとゴーレム馬車の中から7人の男達が飛び出てきまして、それぞれの武器で攻撃してきましたが全部避けてジャブで土下座させる頃には、ゴーレム馬車は2台とも逃走してどこかに行ってしまいました。予想ですが仲間を呼びに行ったのではないかと思われます」
「報告ありがとう。ではユーロンド18号は警備隊シーパラ本部に行って警備隊を呼んできてくれ」
「警備隊へはユーロンド16号が既に向かっています。じきに警備隊を引き連れて戻ってくると思いますが警備隊が先に到着するのか、彼らの応援部隊が先に到着するのか・・・わかりませんね」
「ありがとう。じゃあどっちにしても待ってるしかないな」
待つ事数分・・・ゴーレム馬車の護送車2台と別のゴーレム馬車3台がやってきて、警備隊がきたと同時に馬鹿の応援部隊15人もきた・・・カオスの予感しかしないな。
警備隊と馬鹿の応援部隊のいざこざが怒鳴りあいに発展してるのを、通りすがりの見物人? 野次馬? のように俺は眺めながら自作のチョコバーをかじっていると警備隊の応援が続々と更に駆けつけてきて・・・結局、馬鹿が次々と集まってくる警備隊の隊員に恐れをなし逃走しようと警備隊に斬りかかったところを全員逮捕されて、イカレた馬鹿どもは全員警備隊本部に護送されることになった。
いまだに失神している馬鹿も含めて逮捕者全員をゴーレム護送車に乗せたら俺と警備員数名が乗れなくなっってしまったで、歩いて警備隊シーパラ本部に事情を説明しに行くことになった。
事情説明って・・・この馬鹿軍団がどこの何者かも俺は知らないんだけど。
身分証明で俺が冒険者ギルドカードを見せると警備隊本部の空気が一変する。高ランクの冒険者が今回の事件の中心にいるとは思ってなかったみたいだ。
俺の服装がパーカー・カーゴパンツ・スニーカーで見た目は15歳の子供・・・仕方がない、一流の冒険者には絶対見えないし。
警備隊の幹部の何人かがヒソヒソ話している声まで俺の耳は拾ってしまうのはツライな。
『早乙女執行官が来たんだって?』
『あれがヨークルの救世主での噂の正義のヒーロー?』
『強そうには全く見えない・・・つーか、まだ子供じゃん』
俺は被害者として被害届を書くときに真偽官を同席するようにお願いすると、今こちらに向かってるとのことだった。
逮捕された馬鹿達は取調室に、失神してる馬鹿は医務室へ、俺は被害者なので応接室に通される。
真偽官が到着するまでは応接室で1人でコーヒーをノホホンとすすっていた。
『ギャ~~』と言う叫び声が聞こえたので急いで応接室の外に飛び出すと、逮捕されていた馬鹿が全員が取調室の前でアイテムボックスからショートソードを取り出し、やたらめったら剣を振り回して大暴れしているのだ。
周りの警備隊は人質がいてうかつに手が出せないでいる。叫び声をあげたのは人質に取られている若い女性の真偽官だった。
しかも衣服を何箇所か斬られて体から血が出ていて服も床も血まみれになってる。
ショック魔法で全員を気絶させてから簡単に捕獲しようかとも一瞬だけ考えたが・・・時間は夜の9時をまわって既に10時近く・・・俺と嫁との夫婦の団欒タイムを邪魔されてムカついていたので暴れることにした。
まずは人質を解放させる。
真偽官の襟首を掴んでいる馬鹿の後ろに超スピードで回り込んで、ヒジを握って粉砕骨折させて人質を抱えて元の位置・・・応接室の扉の前に戻る。
真偽官にメガヒールをかけて傷を治してハイポーションを渡す。回復魔法では怪我は治せるが流れ出た血はは元には戻らない、流れ出た血を回復させるにはポーション系の薬が必要だ。
隣に立ってる警備隊の隊員にまだフラフラしている女性真偽官の保護を任せてまた馬鹿どもに向かって歩いていく。
「フッフッフ、バカタレ共がせっかくの夫婦の団欒を邪魔しくさりやがって・・・どっちにしても全財産没収のお前らに治療費で一生奴隷にさせてやんよクソバカが!」
「「「おおお~」」」
馬鹿が3人同時にショートソードで俺に向かって走って斬りかかって来た。
馬鹿Ⅰ(ワン)が俺の顔に突き込んできた剣を首と体を右に傾けてかわしてから左のショートフックで馬鹿の右ひじを粉砕。
馬鹿Ⅰが放したショートソードを下に落ちる前に背中に回した左手で奪い取り、右手で馬鹿Ⅰの鎧を掴んで俺の右側から斬りかかって来た馬鹿Ⅱ(ツー)に馬鹿Ⅰの体を片手で投げつける。
吹き飛ぶ馬鹿Ⅰと馬鹿Ⅱを見ることなく俺の左側から斬りかかって来た馬鹿Ⅲ(スリー)のショートソードを左手の奪い取ったショートソードで受け流した瞬間に、右のローキックで馬鹿Ⅲの左ひざを粉砕させた。
崩れ落ちる馬鹿Ⅲの体を前蹴りで馬鹿軍団の集団に蹴り飛ばした。
馬鹿Ⅰの吹き飛んできた体に押し倒されていた馬鹿Ⅱが馬鹿Ⅰの体を押しのけて立ち上がろうと膝立ちで右膝の上に右手が乗っているところに、馬鹿Ⅱに向き直っている俺の左のローキックが入って馬鹿Ⅱも右手と右ひざを粉砕骨折させてやる。
どうせ後で俺が治療費目的の回復魔法で完全回復させるんだから生きていれば問題ないだろう。
むしろ大怪我させた方が相場の倍の金額を国からもらえるって話だ。
左手で持っているショーとソードと馬鹿Ⅱが落としたショートソードを右手で拾い上げる。
左右の手で持つ2本の鋼製の片手剣を、ただの鋼の棒に作り変えて双剣ではなく双鞭スタイルになった。直径2cmの太さで長さ1mの鋼の棒は重力魔法で圧縮しているので密度が凄いことになってるな。
骨折ぐらいならメガヒールで何とかなるんだけど、敵がザコの場合は手足を切るとショックで死んじゃう可能性があるからな。
俺が向かってこないで逃げ出そうとしている馬鹿を小馬鹿にしたセリフと挑発スキルで俺に向かわせる。
「ハイ! 第一ラウンド終了です! お次の方、どうぞこちらに!」
「「ウガ~~!」」
2人がアイテムボックスから取り出したと見られる短槍を腰だめにしてヤケクソのようになって突き込んできた。恐怖でおかしくなっているのか攻撃が単純で芸もない。
突き込まれた短槍2本の連続攻撃を軽々と両手の双鞭でいなして隙をついて馬鹿Ⅳ(フォー)と馬鹿Ⅴ(ファイブ)の両膝を双鞭で砕く。
それから最後に逃げ出そうとした馬鹿Ⅹ(テン)の背中にケリを入れて背骨を砕いて戦闘終了するまでに、戦いが始まってから1分も掛からないのはチートのなせる力と技だな。
俺の暴れっぷりをポカーンと口を開けて眺めてる警備隊の複数の人間。恐怖で俺の前から逃げ出した馬鹿4人を逮捕するのが精一杯だったようだ。
怪我をした真偽官が医務室に運ばれていくのに対して馬鹿10人は地面に転がって呻いてる。
怪我をした真偽官と違う男の真偽官と医者の立会いの下に全員の馬鹿のカルテを作成してから完全治療。
総額で2億Gの治療契約書にサインして後日商業ギルド経由で早乙女商会に入金される手続きをする。・・・俺が大怪我させて相場の倍の金額で治療して・・・完全にボッタクリ商売だな。
まぁ、法律の中では俺はあくまで救出手伝いでしかないが。
警備隊シーパラ本部で傷害事件を起こしたりして、俺の不法侵入の被害届がどうでもよくなるほどになってるがついでに罪を重くするために被害届は出した。
俺が被害届を作成してる間に治療を終えた馬鹿達は気絶したまま隷属の首輪を装備させられて、タンカで地下牢に運ばれていく。
被害届の作成作業中に疑問だったのが・・・そもそもコイツラは何者なんだ? 俺に何の用があったのかすらしらないので、早乙女工房の住所を教えて馬鹿達の刑が確定した後で事件の報告書をもらえるようにお願いしておく。
馬鹿共の名前や所属する集団なんかは大して興味もないんだけど、どこの誰がどんな理由で俺のところに来たのかぐらいは知っておきたいし、俺とペスカト・ビッタートの関係を何で知ってるのかぐらいの興味はある。
被害届にンサインして提出すると警備隊シーパラ本部の用はなくなった。
警備隊の本部の建物を出て予定通り冒険者ギルドに歩いて向かっていく。




