530年も寝るだけってのはツライっす。
ブランディックスダンジョンの地下4階のトラップ解除が全部終わってから地下5階にむかった。
地下5階は『ゴブリン』でゴブリンが全員弓兵ばかりの『ゴブリンアーチャー』のみ。
装備を弓から変更してシールダーをすることにした。
攻撃はるびのに全部任せて俺はアイリが本気の時に使っているようなホームベース型でトンファーのような盾をアイテムボックスで急遽作成して左右に二枚使用している。
トラップ解除テクニックを学んでいる最中の嫁3人にそのまま頑張ってもらってるので、俺は邪魔させないように盾に当たる矢の音すらも吸収させて、るびのと雑談しながら時々飛んでくる矢を捌き続ける。
嫁たちの近くにポップアップしたゴブリンは俺が盾で殴って撲殺する。
ゴブリンアーチャーは通常ドロップアイテムが『矢』でレアドロップが『短弓』だった。
コレも非常に残念としか言いようがないほどの粗末なドロップアイテム。
短弓は子供が作ったオモチャみたいなレベルの弓だし、矢は先端に骨の鏃がついてる木製の矢ってぐらいで語ることすらない粗末な弓だった。
シーフの弓職は多いだろうし短弓の練習用でしか使えないな。
何かの素材になるかも知れないんで全部拾い集めてるだけで、地下5階まできて欲しいと思えるアイテムがほとんど出てこないダンジョンに戸惑ってる。
跳んでくる矢もアイテムボックスの中に入れられるので盾で捌いてアイテムボックスに入れているとドンドンと矢が溜まっていく。
クラリーナが練習用で欲しいというのでこの地下5階の階層をクリアーしてからまとめて全部クラリーナに渡した。
地下5階には『宝箱部屋』があったのでトラップ解除の練習の為に宝箱部屋に挑戦してみたら・・・ここでもポップアップして出てきた敵はゴブリン5匹で全員で瞬殺・・・まずはお手本代わりに俺が宝箱のトラップを説明しながら解除してみると宝箱の中身は刃渡り40cmのショートソードだった。
コレも子供の練習用でしかない程度の全部鉄製のショートソードで1本5kgと重さだけがやたらある。
『切れ味ってなに? 美味しいの?』という最低レベルの切れ味しかなくて、もはや鉄製の棒だな・・・ってところも練習用としては最適かもしれん。
嫁は3人いるので宝箱解除の練習で宝場部屋も後3回やってみた。
ここの宝箱で出てくるアイテムはショートソードしかないみたいだな、合計4本のショートソードはアイリが双剣の練習用で貰うと言っていたのでそのまま渡す。
このフロアーになって初めてこのダンジョンで魔石がドロップした。このダンジョンの特性なのか少し水色に光って水属性の魔石だった。
これはゴーレム船の動力はウォータージェット方式なので機関部分で使うと魔力効率がよく、パワーも得られるのでゴーレム高速船ではこの水特性を持つ魔石が大量に使用されている。
市場では高値で取引されているドロップアイテムがこのダンジョンで初めて出てきたな。
俺は魔石はたくさん使うので売らないけど。
このフロアーの魔獣部屋は必ず水属性の魔石が1つ以上は出てくるので、四六時中いつでも50人以上が並んでいるほどの大人気だ。
このダンジョンではほとんど稼げないから冒険者にとっては生きていくために、ここの魔獣部屋のようにある程度は安全で稼ぐ手段が必要になる。
だから夕方以降はこの地下5階のフロアーはムチャクチャ混んでくると、購入したMAPの解説に書いてあった。ゴブリンは初心者の冒険者ですら簡単に退治できる非力な魔獣だし、この地下5階には5匹以上は出てこないみたいだからな。
MAPの解説の中の但し書きでこの魔獣部屋は大人気なので中で休憩しないようにと書いてる。
大人数で効率的に部屋を使用するには仕方がないだろう。
隣にある休憩室(小)はトイレが設置してあるので『みんなできれいに使いましょう』と、MAPの解説にも休憩室の前の看板にも書いてあった。
魔獣部屋に並んでいてヒマを持て余している冒険者たちから、チーム早乙女遊撃隊の『女3人・俺・虎のテイム魔獣・クマ型ゴーレム2体』という特殊なチーム編成をジロジロ見られるのがイヤでサッサと地下6階に移動する。
地下6階で出てくる敵は『迷宮吸血蛾』だ。
攻撃は『幻覚鱗粉』を撒き散らして抵抗できないように幻覚の世界に連れて行き、口の部分が蛇のように自在に動かせる長いストローのような針になっていて、突き刺して血を吸い取る昆虫魔獣だと解説に書いてあるので、俺は装備していた盾をアイテムボックスに入れて白扇子を腹の前のホルダーに入れて装備。
『風精霊乱舞』
と、装備した白扇子を使って呼び出した直径2cmほどの小さな風の精霊を200ほどを周囲に舞わせて鱗粉から防御させることにする。チーム早乙女遊撃隊に幻覚にかかる者は誰もいないんだけど・・・気分の問題かな。
馬鹿デカイ蛾の鱗粉なんて吸い込みたくないしな。
攻撃は俺とるびのの雷魔法で80cmほどの大きさの迷宮吸血蛾を退治する。
探査魔法で気配を探り雷魔法で遠距離攻撃で一撃。近くにポップアップしても、るびのが叩き落して終了っていう簡単な作業だな。
迷宮吸血蛾の通常ドロップアイテムは『幻覚粉』で・・・武器加工用の素材だな。コーティング剤に混ぜて使用したり、剣の鞘の内側に仕掛けたり罠で使ったりと様々な用途があるみたいだ。
幻覚魔法効果を倍増させたりするのにも使用する。
レアドロップアイテムは『吸血鞭』だ。吸血鞭は鞭といっても革製ではなくて、迷宮吸血蛾のクチの部分が鞭になってる。
森林モンキーの尻尾のように伸び縮みする不思議な鞭で普段の長さは1mぐらいなのだが、おもいっきり伸ばすと5mぐらいにまで伸びる。
鞭の先端にはなぜか石製の針が付いていて針は注射針のように中心は空洞、そこには魔法加工されているのか突き刺した敵の血液を吸い出し、石針とチューブのツナギ目部分から放出し続けるから『吸血鞭』の名前の元なんだろう。
見た目は鞭というより地球で見た『点滴用のチューブと注射針』なので・・・・鞭ではなくて手のひらの中で隠して使って攻撃をする暗殺用の武器『暗器』に近いかもしれん。
幻覚粉も吸血鞭のどちらもそこそこ高価な値段で取引されているみたいなので、ここの地下6階のフロアーにも冒険者は多いと思っていたけど・・・誰もいない。
幻覚鱗粉は幻覚覚醒作用のある草の葉をガムのように噛み締めているだけで幻覚の効果は消せるのに・・・やはり覚醒作用のある草の葉がクソ不味いし、蛾の鱗粉を吸い続けるのって気分も良くないからだろうな。
ここまできて嫁たちのトラップ解除の腕は大幅に上がってきていたので地下6階をクリアーするのは早かった。ここには魔獣部屋も宝箱部屋もなかったし、時刻も16時を過ぎてそろそろ休憩したい時間になってきてるのでサクサク前に進んでいく。
このブランシックスダンジョンには他のダンジョンのような夕方以降の冒険者ギルドランクの制限はない。
ただフロアーに出てくる敵の数が増えるだけで亜種が全く出てこないからだ・・・今までは。
ボスが倒されて開放された地下30階のフロアー面積が9倍に広がった場所には今まで発見されていない昆虫魔獣の亜種がたくさんいるようなので、もしかしたらボスのいる地下10階・20階にも今後は出てくる可能性はある。
次の地下7階に降りる前に全員の装備を整える事にする。
ブランディックスダンジョンの地下7階はトラップは全くない特殊なフロアーになってる。
敵が2mぐらいの大きさの蜘蛛なので蜘蛛の巣全部がトラップに分類されているのかもしれんが。
蜘蛛の名前は『蔦蜘蛛』で木魔法を操り蔦で巣をつくり蔦で攻撃してくるし、どんぐりのような硬い木の実を飛ばして遠距離攻撃もしてくる変な蜘蛛だとMAPの解説に書いてあった。
なので俺は白扇子をアイテムボックスに戻して二刀流に戻り、アイリも大剣を装備して手に持つ。
ミーはロードクイーンのエストックからサイラスの片鎌槍に変更した。
クラリーナの防御はセバスチャンとマリアに任せる。
階段から降りて転送部屋の横まで行くと中から蔦が溢れ出んばかりにワサワサと蠢いている。
この地下7階は迷宮なのにボス部屋の様なワンフロアーになっている。
他の『魔獣部屋』『宝箱部屋』『休憩室(大・中・小)』の5部屋が扉で区切られているだけのフロアーだ。
巨大な空間には柱もなく蔦蜘蛛の木魔法によって蠢く蔦が冒険者の進行をひたすら邪魔するだけ。
まずはそろそろトイレ休憩だなと、降りてきた階段から1番近い休憩室(中)にチーム早乙女遊撃隊は向かい蔦を切り裂いて一直線に歩いていく。
蔦蜘蛛の通常ドロップアイテムは『接着液』で、レアアイテムが『強力接着液』と書いてある。
普通の接着液と”強力接着液”との違いは接着するのにかかる時間だけで接着力そのものに違いはない。
だけどこのブランディックスダンジョンの特性なのかこの接着剤も『熱に弱い』という性質を持っているので素材加工などで溶かして融合させる時のツナギの素材ぐらいにしか使い道がないという・・・これまた非常に残念なアイテムだ。
数匹討伐したところで休憩室にたどり着いた時に肌に感じた違和感。
蔦蜘蛛は捕らえた獲物を蔦で包んで溶解液を注入する。
殺害するのは木魔法の睡眠効果をつけた溶解液でドロドロに溶かした後に、液を飲んで食事をするのが蔦蜘蛛の習性になる。ドロドロの液体状に解けるまで毎日溶解液注入を繰り返す。
今、退治した蔦蜘蛛の巣の下にあって巣の蔦に絡まっている、かなり古ぼけた蔦球の中にかすかに生命力を感じる。
俺が目の前の休憩室にも行かずに蔦蜘蛛の巣の方に歩んでいくのに疑問を感じたクラリーナが話しかけてきた。
「しん様、どうかなさったのですか?」
「あぁ、あそこにある巣の中の蔦球の中にかすかな生命力を感じるんだ・・・ちょっと待っててくれ」
俺は生命力を感じる蔦球をみんなに指差してから、ピョンと跳んで蔦球を掴み取って蜘蛛の巣から引きちぎって、また元にいた位置に歩いて戻ってくる。
木魔法の『蔦解除』を使用して直径80cmほどの蔦球を開いて中身を取り出すと、出てきたのは体高60cmほどの3本の尻尾を持つ金色のキツネ・・・鑑識魔法で調べると『空狐』の幼生体だった。
空狐『フォクサ』
種族 妖狐(神獣)
年齢 3530歳
性別 メス♀
所属 早乙女真一
狐魔獣が1000年生きると妖狐に転生して天狐となる。天狐は9本の尻尾を持つ。
天狐となって3000歳を超えると尻尾は3本となって空狐に転生する。
白帝の従属神で神獣の部類にあたる。
500年前のウェルヅ帝国によって引き起こされた『白虎戦争』で人間によって討伐されていない唯一の白帝の従属神。転生した先がブランディックスダンジョンの地下7階の蔦蜘蛛の前だったのですぐに捕獲されて溶解液を注入されたが神獣が解けるはずもなく、ただひたすら530年間も蔦の中で寝てる。
俺はorzと崩れ落ちた。
またこのパターンかよ・・・530年間寝てるって・・・なんだそりゃ。
るびの・みかみと聖獣が続いてたけど今度は神獣かよ。
とりあえず蔦球の中でドロドロになっているフォクサの体を3点セット魔法でフカフカに浄化した。
さすが神獣だ・・・るびのと比べても遜色ないほどモフモフしてる・・・ってとりあえずそんなことは後回しにして、みんなに話しておかないとな。
嫁達に俺が鑑識魔法で調べたことを説明し終えた頃にフォクサが目を覚ます。
「・・・はりゃ? あぁ、白帝様おはようございます。わざわざワタシを起こしに来たってことは仕事っすか?」
「フォクサさん、おはようございます。早乙女るびのです」
「ムニャムニャ、ワタシまだ寝ぼけてるな。白帝様がワタシをフォクサさんって呼んでるっす・・・って白帝様に『るびの』って名前が付いてる!」
いきなり大きな声を出して飛び起きたフォクサに全員の挨拶もあわせて、目の前にある休憩室に入って自己紹介することにした。
休憩室で雑談交じりに休憩しながらフォクサを交えて話し合う。
530年間何も食ってなかったフォクサは相当腹が減っていたみたいだが、るびのに骨付きトロール肉の炙りを貰ってバリバリ食ってた。
『トロールって焼くとメチャクチャうめぇ!』と喜んで食ってる。
フォクサの食事中にアイテムボックスからキャンピングバスを取り出してトイレを交代で済ませてから雑談する。
キャンピングバスにフォクサが座るために専用クッションを作ってあげた。
「ワタシが寝てる間に色んなことがあったんすね。でもやっぱりワタシが睨んだとおりだったっす。ウェルヅ帝国の皇帝『エリギア・フォン・ウェルヅ3世』は有能であるがゆえに最後の望みは『不老不死』になると白帝様にお知らせできればよかったんすけど・・・まさか、連絡する前に強制的に転生させられてしまって、しかも転生した先で蔦蜘蛛魔獣に即効でつかまって眠らされるとは思ってもみなかったっす」
「エリギア皇帝って優秀だったんだ・・・俺たちには全く情報がなくて知らなかったよ。知ってるのは『10年でウェルヅ帝国を魔法超大国に作り変えて慢心し、聖獣の逆鱗に減れるほどの暴走をした最後の皇帝』ってぐらいの伝承が残ってる程度かな」
「ワタシが転生する前にエリギア3世を調べ上げた限りでは神話や古代からの伝承を調べていて、魔法やアイテムでの不老不死を直属の『魔導師アカデミー研究所』に研究させていたっす。それで伝承の中の話にある白帝様の噂に必ずたどり着くと思ってたっす」
「るびのの噂? 伝承ってどういうことなんだ?」
「ハイ、説明させてもらうっす早乙女さん。白帝様には人間の世界で噂されている伝承が2000年以上前の古代からいくつかありまして、白帝様を討伐すると『聖力の雫』がドロップアイテムで手に入って、それを飲むと永遠に生き不老不死になれるという伝説っす・・・ウソっぱちなんすけど。そもそも白帝様を討伐しても何もでないっす」
「・・・やっぱウソなんだ」
「100%ウソではなくて白帝様のような聖獣様の『眷属』になれば生命力が倍増して1000年生きられるようになります。魔獣のような生命体が1000年以上生きた後は従属神に転生してワタシと同じ立場になるだけっす。しかも従属神なんで転生先はランダムでどこに出てくるのかわからないし、従属神となっても『寿命がなくなる』ってだけで、自身の持つ生命力以上の攻撃を喰らうと死んで消滅するっす」
「でもフォクサは何でるびのを討伐しても何もでないって知ってるんだ?」
「白帝様に直接教えていただきましたし、ワタシと同じ立場の従属神だったアニキ達に聞いたっす・・・そういえば白帝様、アニキ達は?」
俺がるびのを拾った経緯を話し始めるとそろそろ夕方5時とダンジョンアタックを切り上げるのにいい時間になったので帰還することにした。
嫁3人とるびのの早乙女邸への帰還はマリアに任せて、俺はアイテムボックスにキャンピングバスを片付けてから、フォクサを連れてシーパラの早乙女工房ビルに転移する。
フォクサが俺たちと一緒に・・・というよりも、るびのと一緒に今後は行動したいと言ってるのでフォクサをチーム早乙女遊撃隊所属の魔獣登録をしに冒険者ギルドに行かないといけなくなってしまった。
セバスチャンにはシーパラの契約してる高級マリーナに停泊中のハウスボートに単独で転移してもらって、魔道石英ガラスの交換や動力部分の魔石を水属性の魔石へ交換、ウォータージェットの配管の内部にアリ甲殻板への変更とコーティングなどなど、全部をアップデートしてきてもらう。
フォクサと歩いて冒険者ギルドシーパラ本部に行って幹部の『ペスカト・ビッタート』を呼んでもらい、会議室でフォクサの魔獣登録を済ませる。
狐魔獣はウェルヅ大陸ではグリーンウルフの次にポピュラーなテイム魔獣で、フォクサは小さなサイズでいてくれてるいるし、子供のうちからテイムギルドでは販売されているので全く目立たないのでありがたい。
フォクサとの雑談中にわかったがフォクサも従属神になったので、るびのと同じように大きさは自在に変えられるみたいだな。
今はまだ腹が減って生命力が復活してないので、このまましばらくの間は大きくなる事は出来そうもないと言ってるけど。
魔獣登録を終えてフォクサに念輪機能付きの首輪を装備させてあげると、るびのとお揃いの色にしたんで仲間になれた気がして嬉しいっすと言ってるフォクサ・・・いいのか?
まぁ、喜んでるんだからいいかと、あまり気にしないようにした。
歩いて冒険者ギルドシーパラ本部から早乙女工房ビルに戻りながらフォクサに念輪を練習させる。
コレでるびのといつでも話せるようなったと教えると・・・もともと従属神と聖獣は霊的な繋がりがあって『霊話』が出来るって話だったが、念輪だとパーティー回線で複数で同時に話が出来るようになるのはありがたいっすとお礼を言われる。
早乙女工房に到着してビル内部駐車場からフォクサと共に早乙女邸に転移する。
「早乙女さんもワタシと一緒で転移魔法が使えるんっすね」
「あぁ、そうだよ。フォクサも『賢者のマスター』なんだよな?」
「白帝様に眷属にさせていただいて1000歳を迎えて妖狐に転生したときに賢者が発現して、今から1000年前の2500歳の時にマスターになったっす。なにしろ師匠もいない状態でしたんでムチャクチャ時間だけが掛かったっす」
「自力のみで賢者になったんかよ。フォクサってすげぇな」
「元々、狐魔獣ってのは魔獣の中でも『知識欲』が強い性格を持つ者が多い種族なんす。それにワタシの場合は鑑識の魔眼を持って生まれてきたもんですから白帝様に可愛がっていただきまして、『幻影』『変化』などの魔法で人間社会の監視をしたり対外的な交渉がワタシの仕事だったっす」
などと雑談しながら早乙女邸内をフォクサに案内する。
地下にたどり着いた時にフォクサがワインセラーの向かい側に自分専用の部屋を作ってもいいかと聞いてきた。狐魔獣は元々ウェルヅ大陸の最北の高山地帯に住んでいるので寒い場所を好んでいる。
それに岩山にあるような洞窟が好きなので気温設定まで全部を好きなように部屋を作りたいらしい。
自分で全部作れるようなので、フォクサの好きなように作っていいよと許可する。
フォクサが自分の部屋を作り始めたので俺は階段を降りて地下練習場へ。
地下練習場ではアイリたちがクラリーナが弓の練習をしていたので装備している防具のシルバードコートを弓の動きを妨げないように少しだけ改良する。
アイリは双剣の練習をしていたので俺とミーとお揃いのサイラスの甲殻鎧と甲殻ブーツを作ってあげる。
スピードと手数が勝負の双剣でフルプレートアーマーはおかしいからな。
甲殻鎧の性能は俺とミーの鎧に合わせたはずだが、俺の『神の創り手』スキルの影響が入ってしまうので若干アイリの防具の方がっ防御力が高そうだな。
ミーは師匠ゴーレムを相手にサイラスの片鎌槍の練習をしてる。
地下練習場の奥の壁際に弓専用の練習場を作ってあげた。
このまま晩ご飯まで嫁たちは練習を続けると言ってるので、俺は隣のシャワールームで汗を流してから着替える。パーカーとカーゴパンツとスニーカーのいつものようなスタイル。
シャワールームを出るとフォクサが巣穴を作り終えたみたいで、おすわりして嫁たちの練習を眺めていた。
フォクサが作った巣穴の中を見せてもらってから、また早乙女邸の案内を再開する。
露天風呂を案内した時にフォクサも温泉が大好きだったみたいなので話が弾む。
ウェルヅ大陸の北部にはいたるところに露天の温泉があってフォクサも何度も入ってるので大好きらしい。
るびのの部屋についてから今日はここで2人で晩ご飯を食べるそうだ。
2人だけで話したいこともあるだろうしな。
ハウスボートの改良から戻ってきたセバスチャンが、るびのの部屋に丁度やってきたので後の世話は任せて俺はリビングに行って休憩する。