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え? 聖獣ってたくさんいるの? ・・・っす。

居間の俺専用のソファーで寛ぎながらセバスチャンの報告を受けた。

セバスチャンもマリアも今日の狩りの中の採取でウェルヅリステルの南側のジャングルの中から『カカオ』を大量に見つけたらしい。

しかも大森林のカカオ豆は俺が今日の食料品市場で購入した普通の3倍近い大きさで少しキモいレベルだな。

・・・育ち過ぎじゃねぇーのか?


コーヒー豆も大量にあったみたいだ。

両方共が俺のアイテムボックスにすでに大量に送られてきている。

さっそく自分でコーヒーを作って試しに飲んでみるがこれは結構美味いな。

俺の好きなコーヒーの味かもしれん。

コーヒー豆も普通の2倍ぐらくて少し驚く。

チョコレートも巨大なカカオ豆で作ってみるが・・・こちらはデカイだけで味に違いはあまりみられらないな。


もしかして・・・リステル川の南側は植生にまで影響が出ているのではないかと思えるのでオークや森林モンキーが大量発生しているのだろうか?

セバスチャンやマリアも原因を探ってみたが植物がデカイだけでよくわからなかったそうだ。

ただ、なぜか理由はまだわからないがリステル川の南側は植生が大きくなっていたが、後で狩りに行ったリステル川の西側は普通のサイズだった。

だけど南側よりも西側の方がオークも森林モンキーも大量に生息していたようだった。


コーヒーを飲み終わり、チョコレートも食べ終わったのでそのまま居間で防具に着替え始める。

セバスチャン・マリアと今日の狩りで退治したオークと森林モンキーの巣に出かける。

これからオークと森林モンキーの巣の総ざらいをしてくる。


防具を装備してから・・・武器の装備に悩んでしまっている。


今日アマテラスから貰った武器の小太刀『雪切ゆきり正宗まさむね』を普通の江戸時代以降の武士の武器装備は左腰に2本差して装備するんだけど・・・俺の貰った知識では左の腰にメインのカタナを差して、小太刀は2刀流にする場合は左右どちらの手でも抜刀のしやすさを、長年の殺し合いの経験から考慮してあって左腰に差すのではなく、右腰に刃を下にして小太刀を横に吊り下げ『太刀を帯びる形』となって・・・すなわち小太刀は今の拵えから全てを変えないといけなくなる。

カタナをぶつける心配のない武士がほぼいないファンタジーならではの装備。


・・・やってみますかね。

雪切正宗の鞘の拵えを外してカタナ用の拵えを太刀用の拵えに作り変える。

腰のベルトも手直しして吊り下げやすいように金具を取り付けた。

こうすることで右手でもとっさの防御で小太刀を逆手で抜くことが可能になった。

実際に抜刀してみるが動きに支障はなさそうだな。

この装備になると使用するスキルは剣客と剣豪の複合上位スキル『剣聖』を使用することになるだろう。


玄関に行ってブーツを履いてからセバスチャンとマリアを連れて転移する。

森林モンキーの巣を2つとオークの巣を4つ。

巣の中にある魔獣が溜め込んでいた、もしくは拾い集めてきていた全てのアイテムなどのモノを総ざらいでアイテムボックスに入れる。

半日かかって全員で森林モンキーもオークも両方とも1000匹ずつぐらい狩ったようだった。

両方の素材はすでに俺のアイテムボックスに山ほど入ってきてるが、この巣の拾い物も馬鹿に出来ないほどありがたい。

魔石や魔結晶がたくさん残ってるし、死んでいたり魔獣に殺された冒険者の装備品やアイテムが山のように残っているのだ。素材ばかりだが貴重な鉱石も少しは入っているのでありがたい。

毎回ステータスカードを拾っていてすでに合計は200枚以上と山のようにあるが、まだ冒険者ギルドには届けていない。

卯月たち任侠ギルドトーナメントで成敗したヤツラのステータスカードと同じで『ギルドに説明・提出・精査などをする手間が面倒臭そうだから』と絶賛放置中になってる。


合計6個の巣の中を俺・セバスチャン・マリアの3人で手分けをして拾い集めてまわったが全部で2時間以上掛かって、すでに深夜の1時を越えてしまった。

せっかくここまできたし・・・まだ時間に余裕があるのでついでに原因究明に調べて回る。

先程のセバスチャンの報告にあったコーヒーとカカオ豆の収穫した場所に転移して俺も原因を調べてみる事にした。


鑑識で草木を調べてみるが異常は特には見あたらない。

ただただとにかく植物が大きく成長しているのだ。

木も草も普通の倍以上もしくは3倍以上の大きさになって成長してる。

深夜なのであたりをうろつく魔獣や昆虫魔獣は普通の大きさだ。変化は見られないが・・・とにかく数が多いな。

とりあえず昆虫魔獣も捕獲して詳しく調べてみたが何もない。

ヨークルの森林モンキーの時のように魔結晶と魔水晶が相互に干渉して魔力が暴走しているような気配もないのだ。


植物だけに大きさに変化が見られて、魔獣はそれにあわせて数が増える・・・が、魔獣のサイズには変化がない。

植物に関係してるので水と土も調べてみたが・・・判らない。

水に変化は全くないが、土は普通よりも栄養分が多く含まれている・・・これが原因なのか?


手を3点セット魔法で浄化してから今日作ったチョコレートをかじりながら考え込む。

セバスチャンとマリアも俺と手分けして周囲の捜索に行ってるが念輪の回線は繋がってるので逐一報告が来るがいまだに原因不明だな。

セバスチャンとマリアに違う場所の土と水もアイテムボックス経由で送ってもらって鑑識で詳しく調べてみるが・・・土は栄養分が豊富になってるが水は普通というそのまま変化のない結果が出た。


土と水を採取した場所をMAPで入力してあちこち手当たり次第に採取する。そのままのデータをMAPに入力しながらヘルプさんに鑑定結果を入れていく。

鑑定結果に変化が少しずつ出てきた。

より南側の方が土の栄養素が多く含まれていて明らかにカカオとコーヒーの実の大きさがデカくなってるのだ。アイテムボックスに送られてくるサイズがすでに通常の5倍はある。

マリアとセバスチャンに南に行くように指示を出してから俺自身も南に向かって歩いていく。

確かにセバスチャンの報告にあったように魔獣の姿が少なくなってきた。草食の昆虫魔獣はより多くなってきたが、オークも森林モンキーも周囲にほとんど見当たらなくなってきた。

いちいち狩りをしながら進むと遅くなりそうなので3人とも隠者スキルを発動させて、気配も魔力も隠して更に南側に歩いていく。


土だけを時々採取して鑑定しながら進むとセバスチャンから速報が入った。

俺は念輪で会話しながらセバスチャンのほうに向かって走り出す。

「ご主人様、今の私がいる場所の1kmほど南方に強大な魔力反応が出ました。しかし場所が変です」

「マリアは俺と合流して一緒にセバスチャンのところに向かうぞ。セバスチャン、場所が変とはどういう事だ?」

「マリアです。ご主人様の元に帰還します」

「変というのは・・・丘の中に巨大な反応があってゆっくりと動いているのですが・・・動き方が変則的過ぎて巣穴の中を移動しているように思えません」


そう聞いたところで3人合流して巨大な魔力反応がある場所の近くに移動した。

確かにデカイ反応が地中にある・・・これってドラゴンとか、るびののような聖獣クラスの反応じゃないのか?

俺の中の経験と知識が警報を鳴らしてきた。

この丘の下は大きな水の空間が広がっているんだけど・・・

反応が敵対的とか暴君のような暴れまわる気配は全く感じなくて子供が迷って泣いてるような感覚さえあるので、セバスチャンも『変』という表現で俺に報告したのだろう。


セバスチャンとマリアを少し離れた場所に退避させて近くの巨大なコーヒー豆やカカオ豆を採取させておく。蜂の巣もたくさんあったのでハチミツも採取してもらう。

樹木の大きさも尋常なサイズではないので伐採して俺が後で回収しやすいようにある程度加工をしておいて貰う。

大きく成長した樹木は強度とか色々調べて見たいしな。


地中の水の空間に入るために土魔法の『土走り』を使用して土の中を移動する。

土を通り抜け今度は水の中。

ここの水はどこかで海と繋がっているみたいだな・・・かなり薄まっているが塩水だ。

水魔法の『水共存』を使って水中でも呼吸や飛翔魔法のように水中を自在に移動できるようにした。

更に奥に進むと巨大な魔力が向こうから俺に向かってきて声をかけてきた。

「もしかして、お父ちゃん?」

「やぁ、俺の名前は早乙女さおとめ真一しんいち。君の名前は?」

「・・・名前はまだないの。お父ちゃんに名前をつけてもらいたいの」


鑑識で調べるがやはりまだ子供で生まれたばかりだな。


海龍『・・・(名無し)』

種族 聖獣『水神』

年齢 0歳

性別 オス

所属 早乙女真一

海を統べる聖獣で海龍の転生した幼生体。またの名を水神。

まだ生まれてから15日ほどしかたってない。

名前はまだつけられていない。

ちなみに四神の一柱の『青龍』とは異なる聖獣である。

海龍は海を統べる聖獣。青龍は東の大陸を統べる聖獣。

住む場所も特徴も異なる別の聖獣。


・・・るびのと同じパターンだな。

俺の魔力と神力を求めて海から俺のほうに向かってくる時にここの地中の水溜りに引っかかって生まれちゃったんだろうってことが、容易に想像できてしまったな。

ゴッデスさんよ・・・流石に幼生体で5mを越す大きさの龍を育てることは無理だぞ?


【スマンのう、また遅れてしまったようじゃな】

「ゴッデス様、さっきも言ったけど流石に水神は育てられないよ?」

【そこまで無理は言わんよ、ただ名前をつけて海に帰してもらえんじゃろうか】

「名前をつけるのはかまわないが・・・『遊びに来ちゃった』って気軽に来たりしないだろうな? シーパラ大河は海に繋がってるし・・・」

【その心配は無用じゃ。勝手気ままに大海原を泳ぎ回るのが大好きな聖獣なんで狭い川とか小さな池にいると泣いてばかりで、そのうち海に逃げるために暴走するぐらいに狭いところが嫌いな生き物なんじゃ】

「わかったよ。名前をつけて海に帰すだけだな。それなら楽に出来るだろう。それと・・・こういうことは前もって教えて欲しいんだって言ったんだけどな」

【スマン。まだ暴れまわるには10日ほどは余裕があったのでゆっくりしすぎていたんじゃよ】

「わかったそれならいいよ。それと今回このジャングルの問題ってコイツのせいなの?」

【正確に言うと流していた涙が原因なんじゃよ。海龍の涙には栄養を周囲に広げる効果があってのう。水の中の栄養素は流れていくんじゃが、水が流れた後に栄養分だけが残って草木を異常に繁殖させるんじゃよ。それに魔獣が移動したのは海龍の放つ膨大な魔力と存在感の大きさが、周辺に住んでいた魔獣を逃走させていたんじゃろう】

「じゃあこれで解決だな。ゴッデス様、急に呼び出して申し訳ない。でもこのお詫びは次の依頼があったときに報酬に上乗せさせてもらいますよ」

【了解したよ。じゃあの】


ゴッデスとの話し合いは終わったのでコイツの名前を考える。

生まれてから15日しかたっていない子供と言っても・・・体長はすでに5m以上もあるドラゴンなので名前は・・・水神、すいじんから変化させてみずかみで『みかみ』に決めた。


「よし決めた! お前の名前は『みかみ』に決めた!」

「みかみ・・・みかみ・・・わかった。ボクの名前は『みかみ』だね。覚えたよ、お父ちゃん」

「よし。それじゃあ、みかみを海に帰してあげるよ」

「お父ちゃんありがとう。狭いし苦しいしエサはなくなっちゃったし、もうボクお腹ペコペコ」


海の中にある孤島に水神を祭る神殿『水神殿』があったのを俺の貰った記憶からヘルプさんが取り出してきてくれたので、そこにMAPをあわせて転移魔法でみかみと一緒に飛んだ。

周囲に海しかない孤島の水神殿の地中深くにある大きな空洞にやってきて空洞の中の半分を占める海は外海と繋がっているので、ここが正式? 公式? に、みかみの住処なんだろう。


海からシャチが出てきてついさっき捕獲したばかりのようなサメをお土産として持ってきて、みかみに渡してから話しかけてきた。

「水神様、お帰りなさいませ。私は眷属の子孫でシャチのリーダー『海虎うみとら』です。水神様に眷属にさせてもらうために御神託に従い、ここで御到着をお待ちしておりました」

「神託だって?」

「月読様の御神託が私にありまして、昨日からここで待っていたところでございます、早乙女様」

「俺の名前も知ってるのか?」

「月読様のくだされた御神託の中に一緒にありました。海の魔獣のボスになるお方だと」

「ここでも俺はボスかよ・・・それにシャチには月照神の月読様に信仰があるのか?」

「シンコーってなんですか?」

「信仰って・・・説明しづらいな・・・ま、いっか。海虎は今までに月読様から神託を受けたことがあるのか?」

「私は10日ほど前に初めて神託を受けました。ここの神殿に来れば水神様にお会いできて眷属にさせてもらえると、寝てるときに神託を受けましてここにやってきました。昨日到着してここでノンビリしていたんですけど、腹が減ったので近くのサメを食べようと狩りに行って今帰ってきたところです」


「サメおいしー!」

みかみは俺と海虎の会話は全く聞いてなくて、海虎から貰ったサメをムシャムシャガツガツ食ってる。

ここに来る前から腹減ったと言ってたからな。

自分とほぼ同じ大きさのサメを貰って嬉々としてガツガツ食ってるみかみの能天気な食いっぷりに、少しだけノホホンとした空気が流れてくる。

俺はなるべく気にしないようにして海虎に話しかける。

「海虎は眷属にしてもらうって行ってたけど、どうやって眷属にしてもらうんだ?」

「それは水神様が我ら眷属の末裔に魔力を分け与えて誓いの言葉『我、命尽きるまで水神様に永遠の忠誠を誓うものなり』と誓わせるだけです」

「へー、なるほどね。みかみ、試しにやってみたら?」


「・・・ん? お父ちゃん何か言った?」

俺と海虎の視線を感じて慌てて貪り食ってたサメから顔を上げて聞いてきた。俺と海虎で説明をし直して試しに海虎に誓いの言葉を言わせながら、みかみは魔力を分け与えてみた。

すると海虎の全身の体がエメラルドグリーンに光り輝いて目の周りに光が移動。

移動した光はグリーン色の・・・まるで歌舞伎役者目の周りのクマドリのような・・・炎のクマドリ模様になって顔に残り海虎のステータスの全ての数値が倍以上に膨れ上がった。


「おおお、自分の体が! 体中が熱く燃える様でいて頭の中は冷たく冴え渡るようで・・・凄いです。さすが眷属となった甲斐があります」

「そうか、それじゃあ後のみかみの教育係は海虎に任せてそろそろ俺は帰るよ」

「え? お父ちゃんどっか行っちゃうの?」

「俺は海の中で住んで暮らすことは出来ないから・・・」


みかみに俺の陸上での生活とかの説明をしていく。嫁は3人いることなど。るびのの存在も教えてあげた。

念輪で好きなときに話すことが出来るよと念輪の腕輪とアイテムボックス(中)の腕輪をプレゼントしてあげて使い方を教える。

るびののような物覚えの早さに驚きながら全部を教えた。さすが聖獣っていったところか。

海虎にもみかみの事を再度お願いして俺は帰ることにする。

元々自由気ままに暮らしている聖獣のみかみは別れもまったく湿っぽくなくて助かるな。

まぁ、今生の別れというわけでもないし、まだそこまでの絆がある訳でもない。

会いたくなったら念輪で待ち合わせをして会えばいいんだしな。

バイバイと気軽に別れる。


1度ウェルヅリステルの南の奥地のみかみがいた丘に戻ってセバスチャンとマリアに会いに行く。

セバスチャンとマリアが採取したモノはすでにアイテムボックス経由で俺のアイテムボックスに届いているが、伐採した樹木はセバスチャンたちのアイテムボックスには入りきらない大きさのモノもあるので俺が直接回収する。

土もある程度回収しておき今後の早乙女邸の畑などで栽培する野菜や果物の研究をするそうだ。


帰宅前に上空500m以上に飛翔魔法で飛び上がり周辺の魔力と気配の探査を行ってみると、みかみの巨大な魔力反応が消えたので西と北に逃避していたオークや森林モンキーなどの魔獣たちが続々と元いた場所に戻ろうと移動を開始してるみたいだった。

これで安心して早乙女邸の玄関に帰宅。

居間に戻り装備を外して防具からガウンに着替えをしてお風呂に入り今日は寝ることにした。


風呂にゆったりと浸かっていたら深夜の3時を越えてしまったが・・・まぁ、いつもの事だな。

では、おやすみなさい。

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