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カカオと抹茶を発見した。デザートが更に潤うっす。

今夜の晩ご飯用の食材はすでに購入し終えていたので、この時間はプラプラと見て回ることにした。

食料品市場は広大な敷地にギッシリと業者が入り込んで入り混じっているので、まわるたびに新たな発見があって楽しい。

酒屋があったので新たな酒を購入しておく。試飲させてもらったら美味しかった日本酒と焼酎があって樽ごと購入してアイテムボックスに入れる。

味噌汁などの出汁用に昆布の乾物も安く大量に売っているので購入しておく。

フォレストグリーン商会に売っていたものと似てる・・・ここに卸しているのかもな。

乾物屋には乾燥キノコや魚の干物などかなりの種類のモノがあったのでいくつか買っておく。

試食できるところは積極的に試食している。

野菜も意外と安かった。


首都シーパラの南側の対岸にある旧首都のウェルヅリステルの用水路を利用した畑栽培や水田が盛んに行われていて、元々は300万人以上の人間が住み暮らしていたほどの広大な土地を利用して田んぼも畑も広大にあり、今やウェルヅリステルは首都シーパラの食を支える農業都市として南と西の最終ラインのリステル川まで続いているんだと、商品購入後に雑談をしていた店主が教えてくれた。

リステル川より西側と南側は大森林に浸食されてしまっている。

だが、あまりに広い土地なのでまだまだ土地は余っているんだそうだ。


周囲に幾つもの砦となる線路で繋いだ農業都市が複数存在したが、るびのの攻撃で砦も住民も畑も田んぼも丸ごと消滅してしまっているので、人も砦もない空き地は大森林のジャングルに次々と飲み込まれていった。

線路もレールだけはそのまま残ってるが、すでに復旧することも回収することも出来なくて500年もの間放置されてる。

線路に近づく魔獣を完全に排除する為の結界を長期間維持することが出来ないので線路が復旧できないのだ。

・・・俺なら出来るけどな・・・面倒そうだから大金を貰ってもやらないけど。


そんなことを考えながら食料品市場の中をまわっていると・・・カカオ豆が売ってた・・・チョコレートきたーーーーー! 即購入する。

あるだけ持ってこーーい! とまでは行かなかったが店にあるだけ大量に購入する。

この店は最近やっと食料品市場の中にこの店舗を構える事が出来たが、カカオ豆はまだ商売になってなかったが少しずつお客を増やしてる段階なんだそうだ。

俺が大興奮でチョコレートの作り方・ココアパウダーの分離方法・ココアバターの製製造方法などを興奮しながら教える。

大衆の目の前で料理スキルを使っているが興奮し過ぎて自重と言う言葉は置き去りだ。

店主のオバちゃんも俺がレシピを渡しながら実際に目の前で作ってあげて、周りの人に試食という名の下に配って渡すと、店主のオバちゃんも周囲の試食した人達も大興奮して話し始めた。


ちょっとした騒ぎになってしまった。


しかも俺のヨークル食料品市場での評判を知っている人も何人かいて『ヨークルの救世主』やら『目利きのグルメ早乙女』の名前が出てきてビックリした。

さっそくどこかの商人がオバちゃんと商談を始めてる。

商談の話に割り込んで『チョコレートやココアは製法を独占するよりも公表した方がよりデザート文化の発展を遂げるよ、ココアバターには別の使い道もある』とオバちゃんにアドバイスを送ると、オバちゃんも商談していた商人も同じように頷きながら俺に握手を求めてきた。


ヨークルでアンコ・・・シーパラでチョコ・・・デザート大国の誕生か?

さらに隣の店では抹茶の粉末まで売ってる。これも大量購入してしまった。

俺が抹茶を大量に購入しながら『これって飲み物だけでなくデザートに使えるんだよね』って言う言葉を、ぽろっと言うと俺の後ろについて来ていた商人たちが店に群がり試飲や商談を始める。


デザート大国がデザート超大国に・・・


更に物色して食料品市場を回るのにも熱が入る。

先程発見したカカオ豆の店と抹茶の店はMAPに登録しておいた。

アイテムボックスの中でさっそく買い物をしながらチョコレートや抹茶を使ったデザートを量産し始める。チョコを試しに取り出してみて試食する。


うめぇ・・・イーデスハリスの世界に来てから初チョコレートだからな。


しかも全てが自分の好みの味付けに出来るようになったので嬉しい。

甘いものは元々日本にいる時から好きだったが・・・この世界にきて加速しているように思う。

食べてる量も多い割には太りそうな気配もないので、それも含めて『転生バンザイ』になる。

毎日トレーニングもしてないし体も動かしているわけじゃないけど・・・カロリーはどこに行ってるんだろうな。魔力にでも変換されているのか?

でも嫁たちもメチャクチャ食ってるのだが、体型が変化するって気配もないな。

俺やクラリーナには魔力変換説は有効だが、アイリやミーの場合は魔力に変換されても魔法を使えないので・・・カロリーの魔力変換説は無理があるな。

若さに変換されている・・・それならばムチャクチャ凄いな。

大量に食べると若さが維持できる・・・永久機関になるやん。


地球で女の若さを保つ秘密が『食べること』食べても太ることなく若さが維持できる・・・だったら地球にダイエットって言葉は消滅するけど、食糧というものがなくなるだろうな。

世の女性が世界中の食糧を食い尽くすことが目に浮かびそう。男は餓死か?


そんなくだらない事を考えながら買い物を終わらせた。アイテムボックスの中では料理を作り続けている。

夕方4時を過ぎたので食料品市場の外に出ると雨はあがっていた。

食料品市場を離れていくと俺に付いて来ていた商人たちは散っていった。俺に付いてまわって商機を見出そうとでもしていたんだろう。俺は最近まで知らなかったがミーから聞いた噂があった。

『早乙女に食料品市場以外の場所で付いてまわると『敵対者』とみなされて排除対象になるので市場以外の場所で商人は絶対に付いていかない事』

これがヨークルの食料品市場で暗黙の了解になっているそうだ。

すでにシーパラでも・・・。


今日は1日中雨が降るのかと思っていたら違ったみたいだな。

あれだけ分厚く広がっていた雨雲も今は雨は上がり雲はかなり薄くなっていて所々に晴れ間も見えてきている。


雲の間から夕方の斜めになった光が差し込んでいる風景を見ると、地球に住んでるときもよく見た風景なんだが・・・・どこかファンタジックな風景だと勝手に思っていた。

だけど今実際にファンタジーの世界で見てみると街並みが違うだけでたいして変わりないんだな。

街を歩く人達も1/10ぐらいはケモミミついてるからファンタジーを感じるけど。

・・・ファンタジーの世界ってのをケモミミで感じてる俺って変だ。


本日の最終予定のガルディア商会とフォレストグリーン商会に行っておにぎり販売の事で話がしたいことなんだけど・・・2つの商会の場所すら知らない。

商業ギルドに行って聞くしかないな。

俺はまたアイテムボックスからホップボードを取り出してフワリと飛び乗って移動開始。


時速10kmという超低速でゴーレム馬車の渋滞をすり抜けて行く。

日本の原付みたいだな。取り扱いは原付よりも楽だけどな。

この渋滞の中をスイスイとすり抜けて行く感覚は気持ちが良い。

移動する時にエンジン音も風を切る音もまったくないという完全の無音のホップボードという乗り物(?)なので周囲への最大限の注意は必要だろう。

だけど、事故らないように注意だけしておけばこれほどちょっとした移動に適してる乗り物(?)はないな。長距離は無理だけど街乗りでゴーレム馬車の渋滞中はホップボードの方が早いだろう。

商業ギルドまではすぐに到着した。


アイテムボックスに片付けて中に入りガルディア商会とフォレストグリーン商会の場所を聞くとさすが2つともこのシーパラ連合国を代表するシーズの商会。

2つの商会は商業ギルドの近くのビルだった。

しかも隣同士に立ってるな。そういえばヨークルにある大きな支部も通りを挟んで向かい側にあったし・・・それでグレゴリオとミーシアは恋愛結婚をしたとゾリオンから聞いてる。

シーズ同士の結婚で恋愛結婚って言うのはかなり珍しいと言ってゾリオンが少し自慢してたことを覚えてる。


シーパラ連合国のシーズの家は12家ある。シーズの商会だけが特別大きいというわけではない。

小さな商会のシーズの家もある。フォレストグリーン商会はそれほど大きな商会ではない。

フォレストグリーン商会よりも大きな商会はいくつかはある。

でもただ大きいだけで国政には参加できないので、情報収集や法改正など色々な意味でシーズではない家は長期的に考えると不利でしかない。


最高評議会を形成するメンバーはシーズのの当主を自らの子に譲り第一線から退いた者のみで作られている。長生きすると最高評議会に親子で参加してるシーズの家もある。

過去には3世代で最高評議会に同時参加って事もあったと聞いたことがある。


その国政の中心の最高評議会をサポートと暴走をしないように監視するために”後から”最高評議会の決定で作られたのが評議会。こちらはか各ギルドの代表者や教会関係者や各村・町・街・都市の代表者などで形成されてる。

評議会の人間には自分で村を作れば議会の議員になることが出来るが、物凄く金が掛かってしまうだろう。どこかのギルドの代表者になったほうが早いし、掛ける金額も安く済んでしまうのが現実だ。

俺みたいに魔法やスキルで何でも解決できれば話は変わるが・・・それはそれで問題続出だろうな。

俺がいる間は良いがいなくなった途端に綻び始めるだろう。


商業ギルドの受付で場所を聞いてから、外に出てまず始めに向かったのがフォレストグリーン商会だった。なぜ俺と付き合いの深いガルディア商会ではなくてフォレストグリーン商会から先に来たのかというと・・・手前にあったから。

ただそれだけだったりする。

フォレストグリーン商会はシーパラのあるのは本部ではなく『シーパラ支部』になる。

本部はシーパラ連合国の海外への玄関口の都市『ドルガーブ』にあると聞いてる。しかしいくらシーズの中では小さい方の商会で、さらにここは支部とはいえ7階建てのビルになってるし、ここは中央行政区で商業ギルドのすぐ近くの1等地になるから流石のシーズの1つと言えるだろう。


フォレストグリーン商会のシーパラ支部のビルの中に入って行って、受付で冒険者ギルドカードを見せてグレゴリオ・シーズ・フォレストグリーンへの面会を求めると意外に低姿勢で受付横のソファーでお待ちくださいと丁寧に対応される。

”クソガキが何の用だ! とっとと帰れ!”

なんて、すっ飛んできた警備員に怒鳴られるテンプレがあるかと思ったが・・・普通以上の丁寧な対応をみるに、Bランクの冒険者ギルドカードを出して正解だったのかな。

秘書課のグレゴリオ第3秘書『位松いまつ尚史なおふみ』と言う人が奥の事務所からやってきて商業ギルドカードも見せてくれた。

俺もお返しに冒険者ギルドカードを見せる。

名刺交換ならぬカード交換だな。見終わったら返すけれど。


位松さんの話によると俺の話はフォレストグリーン商会の中では『超有名人』になってるそうだ。

商会の儲けが劇的に増えそうなほどのビジネスチャンスをくれた人物として。

俺が持ち込んだ梅酢を利用した食品や料理の開発に今や何十人もの人間が取り組んで日々開発を頑張っているそうだ。

紅生姜とミョウガの梅酢漬けはすでに販売が始まっていて、俺が教えたように梅酢を容器に入れて調味料としても販売は始まっていると。

販売網も今までとは別のところで広がりつつあり、すでに幾つかの商会と商談に入って何件かと契約完了していて、他も契約寸前まで行っているそうだ。

だから窓口で丁寧な対応をされたのだろうな。Bランクは関係なかったかもな。


それでグレゴリオは今日は昼過ぎに隣のビルのゾリオン・シーズ・ガルディアと共に帰ってきたが、そのままガルディア商会のビルで話しこんでいるようだった。

明日の証人喚問で2人は連名の告発人になってるから、俺は別の証人喚問に出席していて参加してない午前中も質疑応答などをするので、明日の本番前の会議中だということだった。


それで出来れば俺にも参加して情報交換がして欲しいと言うことを秘書が言ってきた。

確かに本番前に情報交換は必要だろうし、別件のおにぎり販売の事でグレゴリオ・ゾリオンの2人にお願いしたいこともあるので会議に参加することにする。

案内をすると言ってくれた位松の後に続いて隣のガルディア商会のビルに行く。

流石にこのシーパラ連合国で5本の指に入るという商会の本部だ。

20階を越える巨大なビルは見る人を圧倒しているが・・・俺には逆に見慣れた風景だったりする。

日本で働いていた会社も大きなビルの中に入っていたからな。


グレゴリオの第3秘書の『位松尚史』が先に歩きビルの中に入ってきてるので受付の対応も良いしなにより早い。

本人証明で位松の後に自分の冒険者カードを見せるだけなので楽で良い。


最上階の会議室へと行ける転送部屋に歩いて向かいながら俺はマリアと早乙女邸専属メイドのクロに念輪を繋ぐ。

「マリア、クロ、聞こえるか?」

「ご主人様、マリアです。聞こえています。どういった御用件でしょうか」

「クロです。ご主人様。聞こえております」

「まずはマリアに聞きたいのだが、今はどこまで帰ってきてる?」

「今はウェルヅリステルの中を全員でキャンピングバスに乗り移動中です。あと20分後にはハウスボートに到着すると思います契約したマリーナに帰還できるのは更にその10分後になりますね」

「マリアありがとうな。では、2人のお願いしたいことがある。俺は今日アマテラス様から簡易ゲートの製造方法を教えてもらってアイテムボックス内で作った。今から2人に簡易ゲートを1つずつアイテムボックスに送るからマリアはハウスボートに到着してから、ハウスボートのトイレ横の壁に設置してくれ。クロは早乙女邸のガレージのどこでもいいけど・・・玄関の近くの壁に設置してくれ。簡易ゲートの向きは柱の白い面を壁にピッタリとつけて固定化の魔法で固定しておいてくれ」

「マリアです、了解しました」

「クロです。了解しました。と言うことは今夜、ご主人様の帰宅はは遅くなりそうだという事ですか?」

「ああ、ゾリオンとグレゴリオがしている明日の証人喚問に向けての事前会議に俺が今から参加することになった。これは会議がどこまで掛かるか全く予想もつかないからな、いつ終わるのか想像もできん。それにその後にゾリオンとグレゴリオに俺が今考えてる『もふもふ天国のゴーレム駐車場でのおにぎり販売』の商談もしておきたいから更に終わる時間は遅くなるだろう」

「それで今日の迎えに行った時に俺が自分でつける予定だった簡易ゲートを取り付けておいて欲しい。これがあれば、俺がいなくても自由に早乙女邸に帰ることが出来るからな」

「「了解しました」」

「それと、これはクロにお願いだが・・・今夜の晩ご飯は『海鮮天ぷら』にしようと材料を買っておいたのだけど、もしかしたら俺は遅くなるかもしれない。材料はアイテムボックスに送るから先に料理して作っておいてくれ。それで嫁達には先に食べてもらっててくれ。嫁達には後で直接俺から念輪で話をするよ」

「了解ですご主人様」


話が終わったのでここで念輪の回線を切った。

丁度ガルディア商会の会議室に到着してドアが開けられた。

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