アマテラスから依頼報酬と今までのお詫びの物を貰ったっす。
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8・24修正しました。
10分ほどカオスな状況が続くが桜の咳払いと共に遊びは終わる。
「んんっ。失礼しました。あまりの嬉しさではしゃいでしまい、早乙女さんにはまたお見苦しいところを見せてしまいましたね」
「気にしないでいいですよ。自然な笑顔で美しい桜さんはこれからモテモテになりますので気をつけてくださいね。中には桜さんの美貌を利用しようとよからぬ事を企むヤツラも入ってきますので」
「またまたご冗談を」
桜の謙遜する言葉に即座に反論したのがシルで次がアーシェだった。
「いえ、全く冗談ではありません大司教様。私が生まれてから初めて心から美しい女性というものを今見ております。同性でありながらに見とれるほど美しい姿なんですよ」
「シルが今言ったとおりです。男として初めて見た女性に心が奪われるような感覚は俺にもそこまでありませんが・・・今は大司教様の横顔を見てるだけで顔が熱くなるほどになります」
大司教室の接客用のソファーに座りながら我が子を慈しむ様な笑顔で、両隣に立つシルとアーシェを交互に眺めてる桜の頭上が淡く仄かにホワッと一瞬だけ瞬いた。
俺以外に光ったことに気付く人間はいなかっただろうが・・・。
俺は桜に話しかける。
「露草桜さん、おめでとうございます。スキル取得条件を満たしましたので、貴女は今から聖女から『聖母』へとランクアップを果たしました」
「・・・え、早乙女さん・・・聖女は聞いたことがございますが『聖母』とは・・・いったいなんの事なんでしょうか?」
「聖母は今まで転生者しか存在しなかった伝説クラスのスキルです。聖職者において最高位にあたり『神の使徒』またの名を『神の奇跡を代行する者』ですね。今頃は世界中の教会関係者の中の100名を越す人間に『シーパラ連合国で聖母降臨』という御神託が降りてきてるでしょう。早急に総本山会議が行われて近い時期にお迎えが来られると思います。露草桜さんはこれから『聖母』へと就任して『教皇の上に立つ者』『アマテラス様の使徒』『神の奇跡を代行する者』として中央大陸に戻らなくてはなりません」
「そんな・・・大変なお役目を任されてしまいましたわ」
「こればかりは教会に勤める人としてワガママを言うことはできません。アマテラス様の祝福を受けて聖女となり子を愛し自分の命以上に他の命を大切に思う気持ちなど、多数あって複雑な聖母スキル取得条件を満たしたのですから。でもいきなり中央大陸にある教会総本山の権勢と嫉妬とやっかみが渦巻く世界に行かせるには過酷で危険すぎるでしょうから、俺からのプレゼントを差し上げましょう」
俺はアイテムボックスから素材を取り出してゴーレムを2体作る。
マリア・セバスチャンと同じ身長150cmほどの金色のクマ型メイドゴーレム。
それと守護者代わりで今のるびのよ一回り大きくて普通のトラのサイズ。
ホワイトタイガーの模様をしている・・・白虎型ゴーレムと言った方がいいかもな。
重力魔法と風魔法の複合魔法を操って空を自由自在に駆け回れるようにしたので『世界最強のゴーレム』というのは過言ではない。桜を背に乗せて走り回る事も逃げる事も可能。
内蔵した魔結晶に次々と魔法やスキルを封入していく。もはや手馴れた作業で数秒で作り上げ終了する。
「この2体のゴーレムはこの白いトラ型が『コースケ』という名前です。桜さん、貴女の身に降りかかる災厄から守ってくれるでしょう。Sクラスの冒険者が束になって攻撃してきてもかなわないほど強く作りましたので世界最強のゴーレムと言えます。そしてこちらの愛らしいクマ型がメイドゴーレムで名前が『シェリアス』です。メイドの知識は全部習得してますし、身の回りの世話も出来ますし、料理スキルも持ってますので、作った料理はプロより上手いでしょう。これからは毒殺とかもありえる世界に飛び込んでいかれるわけですから注意してください。・・・ゴーレムの名前は貴女のご両親から付けさせて頂きました。貴女を守り育てることが出来なかったご両親からのお詫び、俺が勝手に桜さんの過去まで覗いてしまったお詫びとして2体のゴーレムを御贈りします。遠慮なく受け取ってください」
「私の両親からのお詫びですか?」
「お詫びというよりも子供の対する親の不変的な願い・・・『我が子を守りたい』・・・そういうことです。詳しくはアマテラス様から聞いてください。俺から言える情報は少ないです」
俺は両目に強い意思を乗せて桜の瞳を真っ直ぐ見つめる。
俺が転生者であることなどはここでは軽はずみに言えない。誰が誰と繋がってどこで情報を回しているかも良くわからない首都シーパラの教会の中だからな。
今の桜には俺から伝えられる情報は少ないのだという意思を桜を真っ直ぐ見つめる自身の目に込めた。
俺の意思のこもった目に有無を言わせない圧力に桜は軽く頷くと話題を変えてきた。
「わかりました。ありがたくいただきます。それでは『コースケ』と『シェリアス』は私の部下として教会で登録させていただきます。それと・・・早乙女さんは今、こちらのクマ型メイドゴーレムの『シェリアス』には『料理スキル』を持ってるとおっしゃいませんでした?」
「持ってますよ。料理スキルは中央大陸の教会の総本山に持ってる人間が何人かいるはずではなかったのでしょうか・・・違ってましたか?」
「それが中央大陸にある教会総本山には数年前に失われてしまったらしいのです。もったいぶったスキルの最終伝承者がスキルの伝承を自分の教え子に伝えずに、郊外で馬車に引かれるという交通事故で亡くなり途絶えてしまったと手紙で連絡を受けてます。それで料理スキルの所持者はどこかにいないかと問う手紙でしたね」
「それならこれをお渡しください」
俺は数枚の紙にサラサラっと料理スキルの取得条件を書き込んで渡す。
料理スキルの取得条件は熟練の技術だけでなくセンスが条件で絶対に必要となる。
そこから蒸す・焼く・煮る・燻す・切る・さばくなどの料理での基本の技を身につけて、ある程度の技の熟成が身につくと料理スキルが身につく。
こちらもセンスが必要になるので注意点だけを書き込んで桜に渡した。
まずスキルを取得できそうな料理のセンスがある若者を探し出すこと。
その中から修行させて行けば数年後には何人か料理スキルを持つものが現れるだろう事。
スキル取得してからそれから料理スキルマスターへの道も書き記しておく。
これをそのまま書き写して中央大陸に送ればいい・・・桜がこの情報をこの教会から流して世界中に伝えることで、料理スキル伝承に失敗した中央大陸にも世界中の教会・政府・王族にも恩が売れるので一石二鳥どころか一石四鳥にも五鳥にもなるだろう・・・と、伝えておく。
トラ型ゴーレムのコースケをモフモフしている笑顔の桜・アーシェ・シルの3人に俺が作ったもふもふ天国シーパラ店の宣伝もしておいた。
桜もアーシェもそのうち行くと言ってたが、必ず店に行くとシルは断言してる。
モフモフマニアがここにもいたな。
他のモフモフ好きな友人もたくさん誘ってゴーレム馬車で行くのだそうだ。常連発掘できたかな。
今までは自分たち仲間内でモフモフのぬいぐるみ作りで満足してたが、これからはもふもふ天国に足しげく通うことになりそうだと目を輝かせて断言してる。
モフモフは正義だから仕方がないな。
俺は話が終わったので桜たちに別れを告げて大司教室を後にする。
これから礼拝堂に行くと俺が言うとシルが大聖堂を案内しますと言ってくれたので案内を任せる。
自分も見てみたかったのでシルに前を歩いて解説までしてもらい、大聖堂の中だけでなく教会の敷地内のあちこちの建物を全て見て回り、最後は大聖堂の中にある広い礼拝堂の中の長椅子に座って祈りを捧げる。
俺に飛んできて抱きついてこないで、今日は珍しく少し離れた場所からモジモジと話しかけてくるアマテラス。
【真一お兄ちゃん、お久しぶり・・・怒ってる?】
「そりゃ、お前が放置していた問題を俺に押し付けまくってきたんだ、しかも一晩に3件はやりすぎだろう。怒ってるというよりムカついてるだな」
【ごめんなさい】
「それで?」
【まずは今までのお詫びとして真一お兄ちゃんが欲しがってる情報を・・・】
「・・・おおお!」
アマテラスが俺に向かい飛びついてきて・・・俺の脳内に情報が流れ込んでくる。
今まで俺が知らなかった・・・
『コーラ製造方法』『カルピス製造方法』『焼肉のタレの製造方法』『ソース製造方法』『ウナギのタレ製造方法』
などの食に関するレシピだけでなくて・・・
『アイテムボックス内で製造する方法』『魔石を複数使って魔結晶に魔法で加工する方法』『クズ魔結晶を複数使って大きな魔結晶に魔法で加工する方法』『簡易ゲート製造方法』
とか、今まで俺の中では謎になっていた情報やデータやレシピが俺の頭の中に流れ込んできてヘルプさんの中に集約されて整理されていく。
俺の知識にはない神の知識・古代の知識・地球の知識が入ってきてるな。
「これでアマテラスから今までの詫びは受け取ったよ。まぁ・・・これなら合格点かな。それで、今回の依頼の報酬は?」
【真一お兄ちゃんが今1番欲しいと思ってるだろう物を悩みに悩んで・・・こういうのを用意しました】
5リットルぐらいは入る電気ポットのようなモノを2つ渡される。
【こっちのポットが神力によって毎日200リットルまで使用することが出来る『ミルクポット』です】
【こっちのポットは一日最大100kgまでの出てくる『ローションポット』です。どちらも神器になりますが、真一お兄ちゃんの『神の創り手』スキルならば複製可能です】
ミックスジュース・バター・チーズなどでミルクを集める為だけに、ミルクさん狩りをするのに少しうんざりしてたところでの『ミルクポット』・・・これはマジでたいへんありがたいな。
ローションポットは俺がマッサージ屋を始め様と考えていたことを見越しての物なんだろうな。
神の創り手スキルで複製できるように複製で必要な材料レシピまでついてるのはありがたい。
受け取ったミルクポットとローションポットとレシピをアイテムボックスに入れながらアマテラスに話しかける。
「これならムカつきが消すことが出来るぐらいになってるな・・・ありがとう」
【それと私のこの世界での代行者『聖母』を真一お兄ちゃんのおかげで生み出すことに成功できたよ。今、真一お兄ちゃんと同じように祈りを捧げてくれてる露草桜さんには、真一お兄ちゃんが説明できなかった事を全て説明しておいたよ。・・・それのお詫びの品を一つ『白扇子』です。それとこちらはゴッデス様からお詫びの一品で『雪切正宗』です。天乃村正に対なる小太刀です】
思わず渡された品物2つを鑑識で見てみる。
扇子『風神と雷神の扇子』
製造者 アマテラス『神器』
所有者 早乙女真一
神の力によって扇子に描かれた風神・雷神の力を宿す白い扇子。
風と雷の力を自在に操り燃え盛る山をも一扇ぎで吹き消すことが可能。
小太刀『雪切正宗』
製造者 ゴッデス『神剣』
所有者 早乙女真一
刀身に雪のような白く光る氷の薄き衣をまといて邪を断ち切り、切りつけた切り口から凍らせる。
氷と闇の属性の性質を持ち、切れ味が劣化しない。
刀身53cmで全長76cm。カタナ『天乃村正』と対になる神剣の小太刀。
拵えは天乃村正と同じデザインとなっている。
鞘には『再生』の魔法がかけられてあり欠けた刀身を直す。
「おおお、この白扇子は雷と風を自在に操るのかよ・・・西遊記の芭蕉扇みたいな一品だな。ゴッデス様も奮発してくれたみたいだな『小太刀』か・・・」
【そうみたい。真一お兄ちゃんにお詫びしておいてくれとゴッデス様からの伝言があるよ。私が持ってなかった古代の知識はゴッデス様からいただいたものなの】
「なるほどね。それで理解できたよ。まぁこれだけのものを貰ったのなら納得しないとな。これで報酬は終わりだよな?」
アイテムボックスに雪切正宗と白扇子を入れながらアマテラスに尋ねる。
【そうなるね。これで私から真一お兄ちゃんに頼んだ依頼はおしまい。・・・ゴメンね。また教会にきてくれるかな?】
「まぁ用があればな。それに神様ってアマテラスとゴッデスだけじゃないんだろ? そっちで友達を作った方がいいよ」
【友達は月読ちゃんとかいっぱいいるけど、みんな同じ神様で年齢も生まれた日まで一緒なんだからいつも一緒にたくさん遊んでるよ。でもお兄ちゃんは初めてだったから・・・甘えすぎてごめんなさい】
「これからは前もって何をして欲しいかの情報は出来るだけ欲しい。戦いがあるときは特にな。露草桜のような場合は・・・回復魔法や浄化魔法で解決できるようなことはいいんだけどな。それに俺に押し付けるだけでなく神様同士で連携してイーデスハリスの問題解決も出来るようにしていかないとな。俺1人で救って回るには広い世界なんだからな」
【わかった。みんなと話し合っておくよ。じゃあ、真一お兄ちゃん、またね!】
「ああ、アマテラス・・・またな会いにくるよ。またな!」
俺に抱きついていたアマテラスの頭を優しくポンポンと叩くと、今まで抱き付いていたアマテラスが離れて俺の意識が礼拝堂の中の長椅子に座ってる状態に戻ってくる。
これで今回のアマテラスの依頼は報酬受け取りも含めて完全に終わった。
明日の最高評議会の証人喚問のような後始末ぐらいは残ってるかもしれんがな。
シルに言って寄付金を100万G入金させてもらった。
シルと握手をして別れて大聖堂を後に、また移動用にホップボードを取り出して北の食料品市場にまで戻る。
移動中にどんなゴーレムを使ってマッサージをさせるか考える。
美男美女って言うのは難しいと思う。
美意識が千差万別過ぎて対応に難しいだろう。
モフモフだったらいいかもな・・・ここはもふもふ天国ならぬ『もふもふマッサージ』にするかな。
マヅゲーラの風俗店だけは『ローションマッサージ』にして女性を雇えばいいかな?
並列する思考でアイテムボックスの中に入れたミルクポットとローションポットを複製して20個ずつほどストックとして作っておく。
作ったミルクポットをメイドゴーレムの全部(シェリアスを除く)のアイテムボックスに送って念輪のパーティー回線で全てのメイドゴーレム(以下略)にストックを作っておくように指示を出しておいた。
そんなことをしてる間に北の食料品市場に到着した。
ホップボードをアイテムボックスに片付けて、不思議な乗り物から降りる俺に集まる周りの目線をガン無視して食料品市場の中に入っていく。