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首都シーパラの教会大聖堂での話っす。

10・24修正しました。

その後も海鮮系の食材を中心に買い集めていく。

今夜の晩ご飯は早乙女邸で食べる予定なので天ぷらの串揚げにしようと考えていたので、海鮮系の串揚げに合いそうな食材を集めていく。

車海老がとても美味そうだし、ホタテなどの貝類も美味そうだ。

チーズなどの変わり具材も買って行くことにする。そういうのも美味しそうだしな。

キノコも美味しそうなものがあったので・・・

っていうか、ウナギと同じような現象がおきてるよ・・・マツタケがシイタケより半分以下の価格って、異常な安さなんですけど。

マツタケがバラで売られてなくてカゴに入って売っているのでこれも買っておいた。


マツタケご飯でも作るか?

土瓶蒸しでもするか?

・・・土瓶から作らないといけないが。

アスパラや大葉などの野菜も買いそろえていく。

なぜか山芋が安くて大量にあったので5本ほど購入した。

たくさんの串揚げがバリエーションが豊富に作ることが出来そうだな。

12時をまわって、お昼の時間になったのでミーに念輪の回線をつないで話しかける。


「ミー、今いいかな?」

「しんちゃんどうしたの?」

「冒険者ギルドシーパラ支部で美味しそうな物のリサーチは出来た?」

「今はギルド女性職員に教えてもらった店にキャンピングバスで移動中だよ。焼き鳥の美味しい店があってタレが絶品なんだってさ」

「わかった。それじゃあ今からアイリ達を迎えにいってくるよ」

「了解。じゃあキャンピングバスの運転席で待ってるからね」


念輪の回線を切って建物の裏側に入り込んで自分の気配を絶ってから、周囲の気配を探査魔法で探って安全を確認してから転移魔法で水影の巣の近くまで飛ぶ。

強い雨の日だから出来たけど普通だったらこんなことできないな。

都会は人の目が多すぎる。

転移先の大森林の奥地はすでに雨はあがっていたが地面はぬかるみまくってるな。

転移魔法でキャンピングバスのキャビンスペースに移動すると同じに全員に3点セット魔法で浄化もしておく。

素朴な疑問をアイリに聞いてみる。

・・・と、駐車中のキャンピングバスの外からミーが帰ってきてミーが答えてくれた。


「クラリーナはそのままでもいいがアイリはフルプレートアーマーのままでは店に入りにくいんじゃないか?」

「そういうお店もありますので入る前に確認が必要ですね」

「大丈夫だよしんちゃん。個室の予約をしてきたから、るびのも中で食事が出来るよ」

「お! やったね。ミーかあさんありがとう。ねぇとうちゃん、小さくなった方がいいかな?」

「ま、認識阻害の魔法をかけてまだ小さめのトラにしか見えないようにするから大丈夫だろ」


俺はるびのに魔法をかけて見る人に認識阻害を起こさせているので、1時間ぐらいは魔法抵抗力の強いエルフすらもちょっとした違和感以外には何も感じられないだろう。

俺の魔法なので見破ることすら不可能になってる。

みんなでドカドカ入っていって個室で食べる。

さすがタレの味で有名な店だけあってかなりの美味しさだった。

るびのは塩焼きの焼き鳥を2・3本食べただけで、後はマリアが焼いたトロール肉を骨ごとバリボリ食ってる。

何本食べたか計算もしないで大量に食ってから、とりあえず一息ついて番茶をすすりミーに話しかける。


「ミー、それで冒険者ギルドで調査してみて、ここシーパラ周辺の狩場ってあったのか?」

「シーパラ大河の北側には爆走鳥の狩場が多いぐらいでほとんど情報もなかった。でも南側の『旧都ウェルヅリステル』のさらに南側にはここ100年ほどでかなり侵食してきた大森林が広がってきていて、『森林モンキー』と『オーク』の討伐依頼がたくさんあったよ。大発生の兆しが出てるってギルド職員が警戒をしてて近々大規模討伐軍を送り出すために国軍の編成作業に入ってるから、Bランクの私に出来ればチームで狩れるだけ狩ってきてくださいってお願いされちゃった」

「なるほどね。それじゃあ今日の午後からと明日は一日中狩りでもしちゃいますかね。大剣の練習と気配察知の実戦練習が捗るからありがたいわね」

「それなら俺はみんなの狩り尽した魔獣の巣の中をセバスチャン達と深夜にを総ざらいするから、練習がてら巣の中ごと狩りまくっちゃってくればいいよ。キャンピングバスはクラリーナがアイテムボックスに入れて、休憩の時に取り出して使えばいい。キャンピングバスはトイレもあるからな。魔獣の死体回収はマリアとセバスチャンに任せてくれ。俺のアイテムボックスに送ってくれるから」


「しん様わかりました。対岸への移動はどうしましょうか?」

「マリーナに停泊中のハウスボートを使えばいい。対岸にも同じ商会のマリーナがあって同じように停泊することが可能だと聞いてる。ハウスボートは早乙女商会の所属になってるし早乙女商会のゴーレム船2艘で契約したから商業ギルドカードを見せればいいよ」

「ん。わかったよしんちゃん。食べ終わったしそろそろ行きますかね」

「それとクラリーナに注意点がある。アイリとミーは知ってるだろうけど大森林で大雨の時は、普段夜間にしか行動しない魔獣や昆虫魔獣も出てきて食べ物を探し始めるから注意してね・・・って言っても、るびのもセバスチャンもマリアもいるチームの探査能力を超えて攻撃できる敵が存在しないけどね」

「了解です。私たちも気配察知と魔力探査の練習中ですので頑張ります」

「おう、クラリーナ。みんなも無理は禁物で。るびの、かあさん達を頼むぞ」

「うん。わかったー。今日午前中の狩りが終わってからとうちゃんを待ってる間に水影さん達に会って、オレの持ってるオーク肉とトロール肉を交換したから大量のトロール肉をとうちゃんのアイテムボックスに送ってあるよ。大森林の奥地には最近オークが少なくてトロールばかりだから水影さん達も『久しぶりの豚肉うめぇ』って喜んでたよ。森林タイガーさん達にも分けてあげるって言うから、俺の持ってた分を全部上げちゃったんだ」

「・・・今調べたけど確かにトロール肉がメチャクチャ大量に入ってるな。それだとるびのが持ってたオーク肉はほとんどなくなってるんじゃないのか?」

「うん。もう空っぽだから・・・今日と明日でオレはオークを狩りまくるよ、とうちゃん」

「おう、るびのもがんばれよ」


この前も大森林で森林モンキーが大量発生してたし、オークも最近は物凄く増えてるような気がするぐらいに多い。

大森林の奥地ではトロールが大量発生しているみたいだし、大森林の魔獣発生率が多くなってる・・・生態系がおかしくなってるのかな。

今のところはまだ街や村に影響を及ぼしてないみたいだけど・・・詳しく調べた方がいいかもしれんな。

大量発生すると生まれるのが『上位種』だし。

森林モンキーの大量発生の主な原因はエサの大量発生だったから今回の場合もそうかもしれん。

念輪で誰にも気付かれないように密かにマリアとセバスチャンに原因究明できるか探らせておくように指示を出す。

前みたいに魔結晶と魔水晶が暴走してるかもしれないし、どこかでダンジョンが発生している可能性もある。

キングやエンペラーの最上位種が生まれてきてる可能性もある。

状況次第では今夜の深夜にでも俺が動く必要があるかも。


トロール肉が大量にありすぎるから、今度ガウリスク達の大草原の魔獣に配りに行こうかな。

大草原にはトロールはいないから喜ばれるだろう。

るびのが渡したオーク肉も大好評だったみたいだし。


料金を払って会計を済ませて外に出ると、俺以外のチーム早乙女遊撃隊のみんなはキャンピングバスに乗り込んでマリーナのハウスボートに向かっていった。

俺はアイテムボックスからホップボードを取り出して1人で中央行政区域のシーパラ連合国の教会の大聖堂に向かう。


雨は更に強くなってるが嫁達がこれから乗り込むハウスボートはこれぐらいの雨では俺の雨避けの結界を潜り抜けられない。

波の影響も軽減できるように魔力パワーボートと同じ改造をシーパラへの移動中、ヒマな時間にチョコチョコと改良を施したので高波の影響もほぼ問題ないと思う。

魔力パワーボートのように全面を魔石加工パネルで覆っているわけじゃないので影響はゼロではないが20以上もの魔石を埋め込んだのでたぶん大丈夫だろう。

・・・あくまで俺の計算上の話だけど。


まぁ、雨は強いけど風はそれほど強くは吹いていないので大丈夫だな。


シーパラ大聖堂に到着してホップボードを降りる。

地球にいたときに画像でしか見たことないような巨大な大聖堂という建物。

中央部分の大きなドーム状の屋根があって形も全てに装飾が施されていて素晴らしい建物だな。

俺の知識の中にもあるシーパラ大聖堂がそのままの姿で残ってる。

敷地に入る前にステータスカードでチェックを受けてみると・・・


「・・・あ! 早乙女様、申し訳ないのですが少々お待ちください」


と、警備をしている聖騎士団団員に丁寧な言葉で引きとめられてしまった。


俺が門警備の団員詰所で待っていると詰所の奥の方から慌てて司祭服じゃなくて枢機卿の制服を着た中年男性が走ってくる。

司教の制服を着た秘書のような意外と若い女性も必死に走ってついてきてる。

不思議なことに2人ともどこかで見たことがあるな・・・何でだろうか。


「お待ちしてました、早乙女さん。アマテラス様の御神託がありまして今日は昼からここで待機してました。私の名前は『アーシェル・ペスカトーレ』です。昨日から枢機卿に選出されて今日から正式に枢機卿となりました。早乙女さんが知っている『ローグランドペスカトーレ真偽官』の兄になります。アーシェと呼んでください」

「おー! どおりでどこか見たことあると思いましたよ。よろしくお願いします。で、こちらは?」


思わず大声を上げてアーシェと握手を交わして、隣の司教の制服を着る女性の事を質問する。


「早乙女さん初めまして。私の名前は『シル・バリトネット』で見てのとおりエルフです。シルと呼んでくださいね。私はアーシェル様の後釜で司教になりました」

「エルフ・・・知り合い・・・ん~~」

「早乙女さん、どうかなされたのですか?」

「俺はシルの顔もどこかで見たことあるんだよ・・・エルフ・・・思い出した! シルの知り合いがゾリオン村にいませんか?」

「私の姉夫婦がいますね。姉は私にそこまで似ていませんが、今年48歳になった姪が私にソックリですよ。ゾリオン村で会われたのですかね」

「なるほど。わかりました。ありがとうございます。何度もゾリオン村に入ってますのでそこでみたのだと思う」

「姪は何か最近になって友達と屋台を始めたいとか手紙が来ましたねゾリオン村で流行っている食べのもがあるとか」


・・・思い出したよ。

草原の暴風の生き残りたちに誘拐されていたエルフで俺の魔法を2回レジストした女の子がシルの姪っ子なんだろう。

誘拐されていたこともシルは知らないみたいだし、ここは黙っておいた方がいいな。


「それでお2人がここで俺を待っていた理由はなんでしょうか?」

「この国の教会を束ねてる大司教に会っていただきたいのです。明日に最高評議会で行われる証人喚問で今回の事件を解決に導いていただいた御礼を言わせていただきたいと聞いてまして、大司教室にまで連れてきて欲しいと頼まれてます」

「頼まれるって・・・枢機卿って大司教の下についてるわけじゃないですよね?」

「名目上、枢機卿は大司教管区に所属するわけでなく中央大陸の教皇様に直属している官職になってますが・・・私は大司教様の教え子でして弟のローグと2人で息子のように可愛がって育てていただいたのです。いまだに役職以外では『育ての母』という認識になってしまいます」

「なるほど、そういうことだったんですか」

「私にもアマテラス様から御神託が降りてきましたので、アーシェ様にお願いしてついでに会いにこさせていただきました」

「わかりました。では会いに行きましょう」


大司教の部屋までシルが先導する。

雑談しながら歩くがシルもアーシェも『大司教様に会っても怒ったり驚かないでくださいね』と俺に何度も言ってくる。

大司教の部屋に入って大司教を見てシルとアーシェの言葉の全てを理解した。

大司教の体のあちこちに拷問によって出来たであろう惨たらしいほどの傷が全身にあるのだろう。

女性の顔にここまで酷いことをするヤツに殺意さえ沸いてきてしまう。

まずは大司教に挨拶と握手を交わす。


「早乙女さん、初めまして。私の姿を見て怒りが沸くことは女性にとって大変ありがたいことなのですが、教会内でコレほどまでの殺気を出されると息苦しくなってしまいます」

「あ! 申し訳ないです。では怒りを消すための魔法を2つほど」


『エクストラヒール』

『神の癒しの光』


・・・アマテラスめ、やってくれるな。

こんな仕事は頼まれなくても俺がやってしまうのもアイツの計算通りなんだろうな。

俺が本気で治したい、心を込めて助けたいとエクストラヒールを使用したのはクラリーナ以来だな。

俺の魔法で大司教の体は鈍く光って表面を覆っていた光が体内に吸い込まれていく。

神の癒しの光は呪いを解くための最高浄化魔法だ。キラキラと光る大気中の光の粒が踊りながら大司教の周りをフワフワ動き回る。


これだけ傷つけて呪いまで掛けるヤツに殺気があふれ出ることを抑えることが出来なかったのだ。

魔力を封じる呪いと子供を出産することを出来なくする呪いって・・・クソヤロウが。


「お”お”お”お”」

俺の隣で全てを見ていたアーシェが大声を上げる。シルは口を開けたままポカーンとしてる。

みるみると顔にあった大司教の傷が消えて、抉り取られていた右目も復活する。欠損していた耳が出てきて大司教の美しい顔が復元されているのを目の当たりにして声を上げることを我慢することが出来なかったのだろう。

エクストラヒールは血液以外の欠損部位が復活できることは周知の事実だ。


ん?

ローグとアーシェの育ての親なのに、えらく若くないか?

鑑識で鑑定してしまった。

ハーフエルフで230歳を超えているんだな。

若い見た目も少し尖った耳も納得。


俺の顔を両目で見ようとしてあまりの眩しさで顔をしかめてる大司教に顔に掛けるヴェールのようなものを渡して大司教の帽子に掛けながら話しかける。


「何百年かぶりの右目から入ってくる光です。このヴェールでお顔を覆うようにして10日ほどお過ごしください。その間に光の奔流に脳も慣れてくると思います」

「わかりました。私を治療してくれた早乙女さんの指示に従います。・・・これが正真正銘ウソ偽りなしのエクストラヒールの力ですか・・・凄まじいです。あっ、申し遅れてしまいましたが私の名前は『露草つゆくささくら』です。桜と呼んでください」

「・・・桜さんですね。わかりました」


名前を聞いて息を呑んでしまった・・・知ってる人間の娘だった。

父親は転生者『露草つゆくさ康助こうすけ』で俺の中に知識と経験が残ってる。

先程使用した桜さんの鑑識の鑑定からの情報が俺の脳内に無意識で入ってくる。

父親の康助の知識と桜の経験してきたことが俺の中で情報として整理される。

桜も凄い体験をしてきてるみたいだな。

彼女の傷と呪いを消したことで俺の中の転生者の残した無念の残りが浄化して消えていく。

転生者も子供を残して死ななきゃいけなくて無念を持ってる人が多いのだろうな。


露草康助はエルフの近くに村に転生してエルフの王族の娘と恋に落ち婚姻する。

傍若無人で始めはエルフのために戦っていたが次第に本性を現して、自分のワガママからエルフの国の王族と争いごとを起こして転生者の力を使って魔王に転生しエルフの王族を滅ぼした。

エルフの王族の中で唯一の生き残りだった王子が勇者になって討伐。

エルフの国は平和になったが数年後に流行り病で国は乱れて崩壊しエルフの勇者の国は消滅した。


これがエルフの国の周辺に暮らしているエルフの村に伝承として伝わる勇者の英雄譚なんだが・・・実際は全く違う話だ。


露草康助はエルフの国の近くの村に転生したが転生して初日にエルフが攻め込んできて捕まって隷属の首輪によって奴隷にされてしまう。

エルフの国の為の戦いに転生者としての戦闘能力を全て駆り出されて殺戮に次ぐ殺戮の日々。

隷属の首輪を外されることはなかったが同じ奴隷環境のエルフの娘と恋に落ちて婚姻は許された。

しかし婚姻もエルフ王族の策略だった。

生まれた子供の桜は人質とされて脅迫。

更に侵略戦争に駆り出されて過酷な日々を送っていたところに、康助に隷属の首輪をつけたエルフが戦争の敗戦で逃亡中に、戦争の敵対者だったドワーフに殺されて隷属の首輪から開放されることに成功した。

エルフの国に戻った露草康助が知った事実は妻のエルフの女性は王族の男性陣によって性奴隷にされていてすでに死亡していた。

娘の桜はハーフエルフでエルフから忌み嫌われているので奴隷商人に売られていてすでに行方不明。

怒り狂った露草康助は恨みと呪いで悪魔に魂を売り魔王へと転生しエルフの国に宣戦布告をして魔王の力を使ってエルフを虐殺する。


これは4人の神が作った遊びのシナリオだと康助が気付いたのはエルフの国の王族だけでなくエルフの国の全ての住民を滅ぼした後だった。

康助の暴走を止めたのはエルフの王族の勇者などではなく、エルフの国から侵略戦争を受けていた・・・絶対的敵対者のドワーフの集団に攻め込まれて康助は一切抵抗することなくドワーフに討たれる。

4人の神にここまでの恨みを残して成仏など出来るわけもなく、彷徨う康助の魂が桜の行方を捜していたが見つけることは出来ずにいて200年以上の月日がながれて、康助はゴッデスに魂を拾われて4人の神の討伐で恨みを晴らすために俺の中に入ったのだ。


俺の持つ剣客の戦闘経験は露草康助が戦争によって鍛え上げたもの。

康助は4人の神によってイーデスハリスの世界に転生してきたときに貰った力が『剣客・弓』の2つのスキルマスターの力。

この力で転生した次の日から戦争に巻き込まれて捨て駒のように魂が擦り切れるまで奴隷として使われていた。

そこまでして会いたかった桜の傷と呪いを消すことが出来たので露草康助の無念が昇華していく。


桜の経験してきた歴史も凄い。

性奴隷として奴隷商人かから他国に売られて最終的に飽きて捨てられた。

全身を覆っていた傷は幼少期から育てられて10歳を超えてから父親と思って育てられていた主人によって強姦されてから性的虐待のみならず肉体的に全ての傷をつけられて最後は目玉を抉り出されて・・・壊れたおもちゃのように捨てられた。

捨てられた先が教会だったので命だけは取り留めたが傷は消すことが出来なかった。

シスターとして生きていくうちに元々持っていたハーフエルフとしての魔力が覚醒したが奴隷の時の主人の遊びでつけられた呪いのせいで、自身が持つ全ての魔力を開放できなくて聖女にはなれなかった。


しかし150年以上も長い間を教会で真面目に勤め上げた成果で大司教にまで出世して、50年ほど前にこのシーパラ連合国に赴任してきた。

赴任してきてからも長い間この国でたくさんの孤児たちを育ててきてる本物の『聖女』なのだろう。

エクストラヒールを使える枢機卿がいたのに自分の為には1度も使わせようとしなかったのだ。

使わせないっていうよりも、使っても治らなかったんだけどな。

アレって詐欺師だし。


こんなことまでわかってしまう人物鑑定がそら恐ろしいな。彼女も4人の神の犠牲者なのだ。

泣いてしまいそうになる親子の悲劇を知ってしまうが我慢する。


「これで露草桜さんを蝕んでいた傷も呪いも全て消えました」

「えっ・・・の、呪いも消えたのですか?」

「はい、呪いも完全に消えました。ですので桜さんはこれからは自身の子供が生める体になりました。それと魔力を封じていた呪いも消したので、今から桜さんはアマテラス様から『聖女』の祝福がついてるはずです。ステータスカードで自分自身の目でご確認ください」

「え・・・」


桜は絶句して自分のステータスカードを取り出して自分の目で確認して、全部の呪いが消えて『聖女』の祝福がついてることを確認して・・・固まってしまった。

あふれ出る涙を抑えることが出来ないようだ。

心から湧き出る喜びの涙だからこそ美しい。

アーシェもシルもガン泣きしてる。

みんなが泣き止むまで俺は静かに待つことにした。

今までは喜びで流した涙なぞなかった過酷な生活を何百年も耐えてきたのだ。

悲しくて辛くて流す涙は枯れ果てていただろう。

これからは幸せになって過ごす権利が彼女にはある。


「申し訳ありませんでした。早乙女さんに、はしたないところをお見せしてしまいましたわね。でもありがとうございます。私も女として幸せになれると考えたら涙が止まりませんでした」

「喜びの涙です。歓喜の涙なんです。我慢なんて必要ないですよ。アマテラス様もそれを望んで私をここに導いたのでしょう」

「アマテラス様のお導きに、早乙女さんの起こした奇跡に感謝の祈りを捧げます」


1分ほど黙祷をした後に笑顔で桜が復活してきた。

ここまで外見が美しい女性で心まで美しいのだ。

素晴らしい笑顔だ・・・これから桜は求婚が絶えない生活になりそうだな。


「それではここに早乙女さんを連れてきてもらった当初の目的を・・・早乙女さん、このシーパラ連合国の教会の内部で隠れていた汚れた部分を浄化していただき誠にありがとうございます」


1度ここで言葉を遮り桜は深々とお辞儀をする。アーシェとシルもそれに続く。

頭を上げてニッコリと微笑みながら言葉を続ける。


「エクストラヒールの実証としての私も明日の最高評議会の証人喚問に出席することをここに誓いますわ」

「大司教様、司教の許可もなく勝手に決めちゃって良いんですか?」

「アーシェ、大丈夫です。それぐらいのワガママは許されるはずです」


左右の手を両腰に当ててエッヘンポーズをする桜・・・俺はワッハッハッハと思わず声を出して笑ってしまった。


「桜さん、その調子です。たまにはワガママ言うぐらいなのが人として正しいことなんです」

「ちょ、ちょっと母上。勝手に決めたらマズイですって・・・早乙女さんまで煽らないでくださいよ」

「露草桜大司教様って案外お茶目な方だったのですね。なおさら尊敬してしまいますわ」

「シル、そこで感心してないで! 大司教様を止めるのが司教の君の立場なんだよ!」


カオスになってきた。

大爆笑してる俺の横に立ち、桜の笑顔に感心してウンウンと頷くシル。

ニコニコの笑顔で無茶を宣言する桜に慌てて止めようとするアーシェル。

中々のカオスっぷりがシーパラ連合国の大聖堂の中にある大司教室でしばらく続いた。

エルフの年齢が間違っていたので修正しました。

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