もふもふ天国シーパラ店の家族お披露目っす。
ちょっぴりセンチメンタルになってしまった気分は俺の腹がグーーと鳴る音で消滅。
しかも嫁3人に笑われてしまった。
気を取り直してアイリ・ミー・クラリーナ・マリア・セバスチャンを連れて自宅の裏庭に転移する。
今夜の晩ご飯は裏庭で海鮮素材のバーベキューだ。
シーパラで購入した新鮮な海鮮がメインになってる。
肉ももちろんあるがやはり今日のメインは魚介系。
買出しをしたみんなへ俺からのリクエストは『貝』で頼んである。
酒を片手に具材が焼きあがる前に刺身からガツガツと食べていく。
刺身もマリアが大量に用意してくれてる。
刺身も新鮮で美味い。今日の昼食で食べた海鮮丼と遜色ないほどにマジで美味いな。
まずはすぐに焼ける肉から食べるが・・・こういうときに焼肉のタレのありがたみを感じる。
が・・・アマテラス、今回の依頼の報酬が『焼肉のタレ』だけなんて言ったらブチギレするからな? と念を込めてアマテラスに送る。
【ギクッ】って声が聞こえてきたような気がしたがシカトする。
たくさんあるうちの一つって事で焼肉のタレを渡されたのなら納得できるが、ここまで散々こき使っておいて焼肉のタレだけ渡されたら、流石に温厚な俺でもブチギレて暴れる自信があるぞ?
・・・アマテラスのためにも教会に行くのは明日にしておこう。
今夜の酒はビールにした。バーベキューの時はやっぱりビールかな。
魔法でジョッキをキンキンに冷えた状態でいつまでも維持できるので、いつでも冷たくて美味しいビールが飲み放題って言うのは・・・まさしく魔法バンザイだな。
嫁達が買って来た魚介系も美味しい。甲羅ごと焼くカニやエビ、殻ごと焼いてる牡蠣などもメチャウマだな。貝系統がバーベキューでは1番好きと言うオレのリクエストに応えてくれて大アサリやサザエなどもあって醤油の香ばしいこげた香りが更に食欲を誘う。
肉や野菜や魚をガッツリ食べて、冷えたビールをがぶ飲みをする。
俺の場合は新陳代謝が良過ぎて酔うことが出来ないってのもこういうときには考え物だな。
この世界に来てから『酔っ払う』って言う言葉は俺の辞書からは消えた。
ま、酒の美味しさは味わえるから良いんだけど。
「ねぇしん君、はじめて来たシーパラの感想は?」
今日は嫁の3人ともビールを飲んでるだけなので全然酔ってない。俺の与えた祝福『早乙女に愛されし者』というのが回復力を倍増させているので以前に比べてあまり酔えなくなった、たくさん飲めるようになった、二日酔いが全くなくなったとみんなから聞いてる。
そんなことを考えていたらアイリから質問されていた。
「綺麗なんだけど・・・この高層ビルの群れは少し日本を思い出す」
「しんちゃんの故郷もたくさんの高い建物があったの?」
「俺が住んでいたところにも100mを越す高層建築物はたくさんあったよ。いくつかは屋上の展望室まで行って景色を見たことがあるけど・・・200m以上のところに1度だけ登ってみたんだけど、景色が物凄かった記憶があるよ」
「へぇ~~、そういえばしん君が以前、日本に帰りたいとは思わないって言ってたけど、私は逆にしん君の生まれ育った国を見てみたいけどね」
「そうなんだ」
「私もアイリと一緒ね。しんちゃんが過ごした日本っていう国を1度でいいから見てみたいと思ってるよ」
「私はしん様とこれからたくさんの国を、色々な町を、様々な風景を見て回ってみたいです。今はそれほどしん様の故郷の日本って国に興味がないので行きたいとは思いませんね」
「俺が育った場所は田舎でゾリオン村みたいな雰囲気だよ。学校を卒業してからはシーパラの倍ぐらいの住人が住む都市に住んでいたけど・・・働く場所があったら田舎に暮らしていたままだったかもな。もし田舎で働いていたら、イーデスハリスの世界に来てないと思う・・・死亡原因も時期も変わっていただろうしな」
「そしたら私たちはしん君に会えなくなっていたわね」
「俺もみんなに出会えなかった人生は今更考えたくもないよ」
「それにしても・・・高さ200m以上の展望台ですか? それはこの国にも他国にも聞いたことがないですね。シーパラの最高評議会のビルの最上階は35階で180mほどで、世界一だと聞いたことがあるのですけど・・・200mですか。私も1度見てみたいです・・・凄過ぎますよね。最高評議会の最上階は展望レストランがあるらしいという噂を聞いてますが、一般に開放されているわけでなくシーズの人間か国賓クラスでないと入ることさえ出来ないと聞いてますし」
「上空から見るだけだったらいつでもいいよクラリーナ。俺の飛翔魔法だったら1000m上空でも可能だよ。なんなら今からでもいいけど・・・夜は真っ暗闇の中飛翔で飛び回るのは面白くないからやめたほうがいいかな」
「確かに夜は下が見えなくて、逆に怖くなっちゃいそうね」
「ミーの言うとおり夜はかなり怖いと思うよ。月の明かりで照らされている天気の良い時なら幻想的でいいのかもしれないけど、今夜は少しずつ曇ってきて月もすでに隠れてしまってるし・・・明日は曇りか雨だろう」
「しん君、じゃあ明後日は?」
「明後日の予定についての事で話があるんだけど・・・」
俺は明後日は朝から冒険者ギルドに行って最高評議会からの証人喚問に出席するという予定が入ってしまったことをみんなに伝える。
「ねぇ、しん君・・・ホントに大丈夫なの?」
「気にしないでも大丈夫だよ。俺の場合は呼び出される犯罪者としての出席ではなくて、最高評議会における裁判の証人としての出席を求められているんだ。だから日程も俺が明後日の午後と午前に決めたからアイリが心配するほどの出来事なんてないだろう」
「しん様は午前と午後の2つの証人喚問に出席するのですか?」
「ああ、それは『冒険者ギルドの幹部ノラギス・サザールが冒険者ギルド所属する冒険者の個人情報転売問題』と『枢機卿のエクストラヒール詐欺事件』の2つに出廷を依頼されているからね」
「枢機卿の詐欺事件って・・・国の威信にかかわりそうなメチャクチャ大きい事件だよね・・・しんちゃんに以前、話だけは聞いていたけど、今は心配になってきちゃったよ」
「みんなの心配は無用なんだけどなぁ。俺からすればただの『後始末』でしかないんだから。こういうことは一刻も早く終わらせたくて明後日に予定を入れてもらったんだ。それに枢機卿の詐欺事件に関しては俺がエクストラヒールの証明を最高評議会でやらないと詐欺と証明することが出来ないから絶対に出ないといけないって覚悟はしてたし」
「そうだったんですね。じゃあ、明日と明後日の予定を決めてしん様に伝えておかないといけませんね」
「そうなんだ。みんなの予定を聞きたかったんだ。ちなみに・・・るびのはどこか行きたいところはあるか?」
食後にマリアに全身を3点セット魔法で洗って貰っているのに、聖獣のクセにメチャクチャ猫っぽい動きで熱心に顔を洗っているるびのに聞いてみた。
「ふぇ・・・オレ? オレは首都シーパラ周辺の狩りをしたことがないから、一度してみたいな」
「それは私もアイリもしたことなから、ちょっと面白そうね」
「そうね。シーパラ周辺の狩り・・・私もしてみたいわね。どんな魔獣がいるのかしら」
「というよりも、あの都会の周辺に魔獣っているのか?」
「私もしん様と同じ疑問を持ちました」
「しん君って今日冒険者ギルド本部に行ったって言ってたけど・・・冒険者ギルドにそういう情報とか、掲示板に依頼表ってなかったの?」
「それがさぁ・・・」
冒険所ギルド本部の事と冒険者ギルド出張所の説明をする。
俺も今日聴いた話なので簡単にしか説明できないがシーパラの冒険者ギルドには2つの場所があって、俺が今日行ったのは『ギルド本部』で依頼受付などの事務仕事や組織運営などの担当部署。
冒険者ギルドのシーパラ支部は北のシーパラ駅の近くで北門の近くにあるみたいだとみんなに商業ギルドで貰った地図をみせて説明する。
説明しながら裏庭に設置したイスに腰掛けて刺身をパクつく。酒は話の途中から日本酒に変更した。
アイリたちは酒はやめて緑茶やハーブティーなんかに替えたようだった。
るびのは俺の隣で休憩を終えて本気で食い始めてる。
甲羅ごと焼いたカニをハフハフしながらバキバキと食ってる。
・・・顔はネコの様に洗っても猫舌ではなさそうだ。
しかも食事中の休憩で顔を洗ってるし・・・ナゾだな聖獣って。
カニの次は甲羅ごと焼いた伊勢えびをバリバリ食ってたので美味しいんだろう。
魚介の合間に焼いた骨付き肉も食ってるしバーベキューを楽しんでいるようなので助かるな。
マリアがるびのの要求に応えて焼いてくれてるし、俺も自分の食べたいものだけ焼いてる。
嫁たちも話をしながらいっぱい食べてるので、箸の停まらない早乙女一家だな。
今日の買い物でセバスチャンやマリアのショック魔法で撃退したストーカーは10人以上いたと嫁達が笑いながら話してる。嫁たちはストーカーを逆に利用して気配を感じる練習をしていたと教えてもらう。
クラリーナが1番スジがいいとセバスチャンの言葉でクラリーナは嬉しそうだ。
クラリーナは魔力探査と気配探査のスキルが今後の訓練しだいで取得できそうだな。
ミーは向けられた敵意や殺気はわかるけど監視している人間の気配を感じ取ることに苦戦してるとボヤいていた。
アイリはこういうことをそつなくこなす。
シールダーという職業も敵の気配をいち早く察知して味方を守るのが仕事だ。アイリも気配探査はスキル取得できるような訓練をしてもらおう。
ミーはちょっと時間がかかりそう。ミーも気配探査スキルの訓練に時間を掛ければ使えるようになる。
そうやって嫁3人にそれぞれ説明したら嬉しそうになっていた。今後のヒマを見つけて訓練を続けてスキル取得にがんばるそうだ。
みんなで今日の経験した出来事なんかを雑談を交えて話す。
俺は・・・午前中に早乙女商会と契約した業者に気を使われていて、業者側の人間が俺に信頼してもらえそうな人のみを厳選して契約の場に呼んでいたこと。
午後からの商業ギルドではリーチェに紹介してもらった商業ギルドシーパラ本部の腕利きで、不動産部門の責任者『マリス・シュガート』と専属窓口の契約をして、ある程度は仲良くなったこと。
購入する物件を安く手に入れるために2件も御祓いさせられてしまったが、大量の魔結晶と魔水晶と希少鉱石が手に入ったのでホクホクになってしまったこと。
首都シーパラでもふもふ天国ヨークル店の店舗の敷地よりも広くて工房が立ち並び職人達が行き来する区域と、南の食糧品市場の周辺で飲食店超激戦区との中間地点にある。
そんな絶妙な場所に総額1億Gと物凄く安く購入できたのはいいが、早乙女邸の隣の倉庫のようにガタガタの建物だったので土台から作り変えて外観以外は新築の店舗にしたこと。
「しん様新しく作ったもふもふ天国シーパラ店を見てみたいです」
「クラリーナは見たいのか。アイリとミーは?」
「私も見てみたい。ミーはどうする?」
「もちろん私も見たい。しんちゃん今から連れてってよ」
「わかった。るびのはどうする?」
「オレはもう少し食べたいからここにいるよ」
「じゃあ、マリアはるびののバーベキュー係を続けててくれ。セバスチャンは残った食材をすぐに食べられるように調理しておいてくれ。それと後片付けを頼む」
「「了解しました、ご主人様」」
アイリ・ミー・クラリーナの嫁3人を連れてもふもふ天国シーパラ店へ転移する。
みんなに質問してる間にもふ天のメイドゴーレム達に念輪で準備を命令しておいたので、2階事務所にいるシロが3階居住区の転送部屋の前のリビングに待機してくれていた。建物全ては俺たちの到着と同時に魔道ランプに点灯されて明るくなってる。
6畳ほどの大きさの転送部屋を出ると3階のリビングに出る。
寝室は設計段階で潰してリビングとキッチンを広げてある。ここで食事することがあっても寝るのはヨークルの早乙女邸に帰ればいいだけだからな。
あくまで早乙女商会の事務所で使用する予定なのでここに客を連れてくることもないだろう。
すでにハウス栽培用で上部が全面カラス張りのベランダには多くのプランターが置かれていて、何かしらの苗が植えられている。
ガラスは20cm角の小さな窓がドーム状になった集合体となっていて1つずつ個別に開閉も出来るし、黒くして太陽の光を遮って暗室にすら出来る優れもののハウスにした。
マリアと連携して俺のアイテムボックス経由で苗やプランターや土などを送ってもらってるみたいだな。
俺が細かく指示することもなく連携して対応してくれる優秀なメイドゴーレムたちに感謝だ。
2階に降りて嫁たちに事務所の説明する。玄関の外に一度出て外階段の説明もした。
以前は鉄製だったが見た目だけが同じで今回はオーガ鋼にミスリルコーティングした階段なので頑丈になって錆びる事がなくなった。
錆びっぽく色がワザとつけられているのは外観だけは寸分たりとも変えないようにしているので。
玄関に戻ってから更に1階へと降りる。
嫁達のもふもふ天国シーパラ店の感想は『ヨークル店に似てる』だった。
俺と同じ感想で思ったとおりだな。
愛玩ゴーレムたちがポテポテと音をたてるように歩きながら群がってくるのを、触りまくって撫でまくってもふもふを堪能する。メイドゴーレムのグリーンたちがテーブルとクッションを出して並べてくれる。
嫁たちも思い思いの酒をテーブルに出して呑み始めた。
オレはポテトとカットフルーツをシルバーに出して貰ってつまみにして酒をウイスキーに変えた。
ミーは今日のシーパラ買い物ツアーで発見した30年物のブランデーを樽ごと購入していたのでロックで飲みはじめてる。つまみは小魚の素揚げをアイテムボックスから取り出してつまんでる。
アイリは10年物のワインだった。
これはアイリが1番好きな味のワインだと以前言ってた。
無論、自分でヨークルの食料品市場の酒屋で探し出してきて樽ごと何個か購入していた。
つまみは今日の買い物ツアーでアイリが発見したチーズの大きな塊を俺に渡してきて、何か新しいつまみを作ってほしいというリクエストされてしまった。
なので5mmほどの厚さにスライスして蒸したジャガイモにチーズを溶かしてかけただけというシンプルな物を出してあげたら美味しいと喜んでいる。
クラリーナは俺が前にあげた饅頭をつまみにして焼酎の炭酸水割を飲んでいる。
もふもふ天国で愛玩ゴーレムたちと戯れてもふもふを堪能しながらまだ決まっていなかった予定の話をする。
「俺は明日は午前中に、このもふもふ天国シーパラ店をオープンさせようかと思ってる。午後からは教会に行ってアマテラス様と話し合ってくるよ。明後日は一日中証人喚問で最高評議会に拘束されてしまうし・・・みんなはどうする?」