任侠ギルドトーナメント第1回戦の第1試合が始まったっす。
8・12修正しました。
嫁達に和のスイーツが大好評だったのはありがたい。
俺とリーチェだけがアンコで盛り上がっても、ちょっと悲しい気分になりそうだしな。
自分のアイテムボックスから材料をクロとマリアのアイテムボックスに送って、2人にヒマな時間に作ってもらうように命令しておく。
「今日の予定だけど、このまま計算通りだと午後3時ぐらいには首都シーパラに到着できると思うけど・・・ホテルはどうしようか? クラリーナの見たい風景が『海に沈む夕陽』だったよね? どこか綺麗な夕陽が見えるホテルって知らないかな?」
「要求したのは私ですが、何しろ小さい時以来の首都シーパラになりますので、知らないことばかりなんですが・・・友人達から聞いた話では『クラッシック・グリフォンズホテル』が海の眺望と料理で、かなり有名みたいですね」
「ああ、クラッシック・グリフォンズホテルなら私とミーも聞いたことがあるぐらい有名よ。目玉が飛び出そうなほど高級ホテルとしても有名だけど」
「じゃあ、そこに2泊で確定だな。先に俺が行って部屋をとるからな。今夜も明日も天気は良さそうだから、『海に沈む夕陽』を2回は堪能できるだろう。俺は今日は無理そうだけど」
「ねぇしんちゃん、私達も今夜からシーパラに行くの?」
「そうだよ。だから夕方の5時にはみんな家に帰ってきてくれ」
「わかったわ。私は元々今日の午後もこれから少しだけ昼寝して、その後は地下訓練場で大剣の練習なんだけどね」
「私も午後からはアイリと一緒に練習だし。昼寝するのは15時にするよ」
「それでは私は今日は早めに友人達との会話を切り上げて戻ってくることにします。今から行ってきますね」
「おう、わかった。気をつけてな」
クラリーナは午後からの予定通り友人達に会いにもふもふ天国にマリアと共に向かう。
キャンピングバスの運転はマリアがするようだった。
アイリは昼寝してから地下訓練場に向かう。先に寝室に向かっていった。
ミーはそのまま地下訓練場に降りていった。
俺はコーヒーの入ったマグカップを持ったままハウスボートの操縦席にリビングのソファーに座ったまま転移する。
自分の中のMAPにハウスボートが移動した時に探査魔法で探って得た情報を、『情報複製』の魔法で俺の脳内MAPにコピーさせて、俺の脳内MAPの空白部分を埋めておく。
計算だとこのまま午後3時ぐらいには首都シーパラに到着できそうだな。
ホテルの付属のマリーナに入れると宿泊代にマリーナ使用料金を追加されるからお金が掛かるけど・・・まっ、いいか。
どうせ今日中に任侠ギルドトーナメントの優勝賞金の1億Gという大金が入ってくるし、それに俺が優勝するのは間違いないんだから自分自身で所持金を賭けておけば、数倍になって戻ってくるだろう。
俺の個人資産だけで3億Gぐらいは賭けられる。
冒険者ギルドカードにもチーム早乙女遊撃隊の資産が5億Gほど入ってるので合計8億Gぐらいは賭けられるな。
自分のオッズがどうなってるのかは知らないが、Aランクの冒険者もいるので2倍以上にはなるだろうし・・・もふもふ天国シーパラ店開店資金のためにも、ここらで少し稼いでおくことにするか。
そんなことを考えてる間にシーパラに近づいてきたので10ノットまで速度を落とす。
シーパラを一度通り過ぎてからUターンして戻る。通り過ぎるときにホテルの場所はわかった。
大きなグリフォンの彫像が目印でわかりやすかった。
ホテルのマリーナ入り口で魔水晶を使った確認をされた後で予約の有無を確認。
予約はないので空き部屋の確認をしてもらった。
4人宿泊用のスイートルーム。
海側が眺望できる部屋は1泊120万Gだけどマリーナ使用料金も含まれているので仕方がない。
2泊分の料金240万Gを支払う。
女房達は夕方に迎えに行くと言っておいて、まずは俺だけ最上階の部屋に入る。
部屋からの眺めは最高だ。高額の料金を払っているんだから当然って言えば当然なんだが。
部屋でノンビリとコーヒーを飲んでいたら夕方の4時になったので、念輪でセバスチャンに回線を開く。
「セバスチャン、早乙女だ。今は会話できるか?」
「大丈夫ですご主人様。既にるびのも狩りを終えて待ち合わせ場所のニャービスの巣に戻ってきている途中です。あと15分後には戻れるでしょう」
「わかった、今から20分後に迎えに行くよ」
俺は部屋を出てホテルのフロントに部屋の鍵を一度返して嫁達を迎えに行くと告げて出かける。
ハウスボートでマリーナを出て首都シーパラの対岸に向かう。
現在の首都シーパラはシーパラ大河の北側にあるが、対岸の南側はウェルヅ帝国時代の首都『ウェルヅリステル』があった。
ここにウェルヅ帝国最大の『ウェルヅ皇宮』という名前の城を含む強大な軍事施設があったが、怒り狂った白虎に一昼夜以上の30時間ほど攻撃にさらされて全て滅ぼされ・・・ヨークルと違って壁すら残らずに今はただの用水路しか残っていない。
『田園』となってしまってる。
今の首都のシーパラは軍人のいない商業施設のみの副都市だったので、500年前の白虎からの攻撃はなく難を逃れていた。
今現在のウェルヅリステルは農民しか住んでいない広大な田園になっているので、観光名所にすらなっていない・・・用水路しか残ってないんだから仕方がないが。
その対岸のウェルヅリステルまでは行かずにグルーっと10ノット規制区域をゆっくりと自動運転で周回させる。
俺はるびのとセバスチャンを迎えに待ち合わせ場所の大森林のニャービスの巣に転移した。
ニャービスと水影にお礼と別れを告げてから、るびのとセバスチャンを連れ自宅のガレージに戻る。
ガレージにはキャンピングバスが戻ってきていたので3点セット魔法でキャンピングバスを浄化して、俺のアイテムボックスに入れておく。
今日はホテルの宿泊する部屋で夕陽を見ながら晩ご飯を食べる予定なので、るびのの世話はクロに任せて俺は嫁3人とマリアとセバスチャンを連れてハウスボートに転移する。
俺は全員を連れて行くと嫁達にホテルで自由にしてもらう。
今日の晩ご飯は俺だけは別行動になるので食事を食べててもらい、俺はマヅゲーラのホテルに転移魔法で飛んだ。
任侠ギルドまで歩いていくとちょうどいい時間になっていた。
トーナメント参加者の32名が集合している。
無傷なのは俺を含めて予選を免除された6名だけで残りの26名が全員大小様々な傷を負ってる。
俺にとっては結果がわかっている組み合わせ抽選会で俺は1番を引いて終了。
卯月要市朗は2番。サトシ・バーミリオンは4番だった。
さすがアマテラス・・・予定通りだな。卯月が俺の名前と顔を見てニヤつきながら話しかけてきた。
「早乙女真一・・・お前、元日本人だな?」
俺はニヤニヤしながら任侠ギルドの職員に話しかける。話しかけてきた卯月はガン無視した。
「すみませーん。対戦相手を殺すのはOKだったよな。これなら楽勝じゃん。1回戦なんてただの馬鹿だし。殺した敵のアイテムボックスも自由に出来るんだからな・・・美味しいエサだな」
「・・・クソガキが! お前みたいな生意気なガキは試合中にウンコ漏らさないようにオムツつけて来いよ?」
卯月が挑発してくると周りの何人かの人間がゲヒャゲヒャ笑ってる。
俺はニヤニヤしたまま笑ったヤツラを見回しながら答える。
「ふーん、オッサン達のリクエストが『試合中にウンコを漏らして死にたい』だな。めんどくさいけど全員やってやんよ。まぁ、俺の引き立て役として惨めに死んでくれ。・・・それでこの任侠ギルドのどこで金を賭ける事ができるんだ?」
「はい。こちらです」
職員に案内されて任侠ギルドの建物の中の小部屋に連れてかれて、小部屋の中にある魔水晶に8億Gを入金して全額を俺の優勝に賭けた。
俺の優勝倍率が7.4倍もあるんで・・・これはかなりオイシイ。
職員からの説明で税金と組織運営費で儲けの2割も持っていかれるが、47億3600万Gが残る。
・・・非合法組織なのに賭け事の儲けは税金で15%も持っていくのかよ。
でも、15%だけで脱税でなくなるからまだマシかな。
部屋を出ると俺以外の参加者も別の小部屋に出入りしている。
俺が今まで入っていた部屋にも違う参加者が入れ替わりで入っていった。
職員に問いかけると参加者はマヅゲーラの南側の街の闘技場に夜の8時までに集合するだけでいいので、俺は今から歩いて向かいながら晩ご飯を済ませることにした。
街の中の道にはたくさんの屋台が並び様々なモノが売っている。
ヨークルに始めて来た時の『鬼まんじゅう』を売っている屋台を見つけたので、今度は30個ずつ程買いだめした。おにぎりも数種類買ったし串に刺さったウナギの白焼きもいくつか買った。
食べ歩きながら時間が近づいてきたので闘技場の参加者入り口から入っていく。
参加者紹介の時に初めて闘技場の中に立ってから、これから殺し合いをする場所の闘技場の周囲をじっくりと見渡す。
闘技場の中は地球の『闘牛場』のような場所で直径30mほどの円形の石畳。
石畳の周囲は3mほどの石壁に覆われていて、壁のすぐ上がVIPルームがグルリと周囲を取り囲み、さらにその上は観客が3000人は座れるスタジアムのようになっている。
壁と石畳と上空には封印結界が張ってあり、ここで魔法の打ち合い攻撃合戦になっても被害が参加者以外に出ないようにされてるみたいだな。
俺が周囲をキョロキョロしてる間に俺と卯月以外が控え室に戻り・・・
『試合開始』
の掛け声と共に任侠ギルドトーナメントの1回戦の第1試合が始まる。
卯月要市朗が大きな声で話しかけてきたので俺はため息と共に言葉を返す。
「クソガキ! オムツしてきたか?」
「はぁーあ、お前は俺とお話しにきたのか? ここはナンパするところじゃないんだけど。おっと武器をありがとう」
卯月が投げつけてきた2本のナイフを俺が軽々と受け止める。ナイフを鑑識で調べたが特に何も特徴のないオーガ鋼のナイフだった。
俺がナイフを見てる間に何10本も飛んでくるが受け止めてアイテムボックスに入れていく。
「オッサンはナイフ職人の割にはヘタクソなナイフだな。こんなに使い勝手の悪いナイフはそんなにたくさんいらないんだけどな。ナンパ失敗して今度はプレゼント攻撃ですか?」
「クソがきゃ、死ね! ガフッ・・・ううぅ、がぁ」
卯月が超スピードで後ろに回り込んでナイフを俺の後頭部に突き刺さる瞬間、俺は体を左に少し傾けてナイフをかわし、卯月の右手首を左手で掴んでスキだらけのボディーに右の掌底を軽く叩き込むと卯月が腹を抱えてしゃがみこみそのまま悶え始めた。
「オッサンのリクエストを叶えてあげた。今の掌低でオッサンの大腸と小腸に衝撃波を叩き込んだから、オッサンの腸は強烈な運動を引き起こしてるだろう。・・・では、カウントを始めようか。5・4・3・2・1・0・・・男として終わったな」
強烈な音と共に臭気が漂い始めて・・・ウンコマン3号の誕生だった。
俺は鼻をつまみながら卯月に近づいていく。
目の前で屈んでいる卯月にしか聞こえない小さな声で話しかける。
「ゴッデスとアマテラスに頼まれてオッサンを殺すために俺はトーナメントに参加してるんだ。調子に乗って好き勝手した罰だ。魂ごと消滅しろ」
「クソッタレ。どいつもコイツも神ってやつは好き勝手なことばかりして・・・」
「全ての神が自分勝手でワガママでクソみたいなのは全くの同意見なんだが、快楽殺人者で転生者を殺しまくったオッサンにそれを言う資格は欠片も存在しないな。それにクソッタレはオッサンだ。屈辱を感じることはない。死んで詫びろ・・・いや、違うな。『消滅』して詫びろ」
うずくまるオッサンの頭部を俺がサッカーボールキックで消滅させて1回戦の第1試合は終了した。